そして、タツキが四天王に挑戦する日がやってきた。
「四天王のメンツはゲームと変わってないな。タイプはあく、ゴースト、こおり、ドラゴン。とりあえず、この四人は今のパーティーで負けはないな。」
タツキ自身もTVをつければ自分の特集があちこちのチャンネルで放送されていた為、幾つかの番組は観ていた。その中にはコメンテーター達がタツキのバトルについて討論しているものもあり、客観的に見て自身のバトルが変化技を使用していてもこの世界の脳筋バトルの域を出ないモノだと感じた。
(このままじゃ、いくら補助技を使っていても結局はレベルや能力の高いポケモンだから勝てたと言われても仕方ない。それなら、ダイゴとの勝負で観てもらおう。力だけが全てじゃないって事を…。)
タツキは世論からダイゴ戦に向けて新たなポケモンの育成を始めていた。幸いにもチャンピオンロードには高レベルのポケモンが多く生息している為相手を探す手間もない。
さらに、予選前の期間に母のポケモンがタマゴをくれた事で必要なピースは全て揃っている。
その為にも出来る限り早く四天王を倒し、育成の時間を確保したいタツキはギラついた目で目の前の扉を見るのだった。
(チャンピオンには変化技の怖さを知ってもらうじゃないか。)
そう考え、ニヤリと笑いながら最初の四天王の部屋へ入っていくタツキ。
ーーー ーーー
タツキは何の不安も感じさせる事なく四天王を突破する。
この事実に世間の反応はやはり二分された。
「攻撃じゃない技を使った方が実は強くなるのでは?」と言ったなんちゃって肯定派と「結局強いポケモン使ってるから勝てるだけだろ。」と言う否定派。
しかし、メディアは賛否あるタツキの快進撃に食いつかない訳もなく、チャンピオン大会以上の盛り上がりをみせた。
更に、ホウエン地方ポケモンリーグ協会が驚くべき発表をする。
『今回のチャンピオン対チャレンジャーのバトルをTVで放送する。』と言うのだ。
これはタツキからのお願いであったが、協会もタツキ効果でホウエンへの観光客が増えている事もあり、世間の注目を集めるバトルをTV中継する事で更なる集客を狙っての事だった。
快進撃の裏ではタツキによるチャンピオンロードブートキャンプが行われており、着々とポケモン達のレベルも上がっていった。
今回は全てのポケモンをレベル50で育成を切り上げた。
チャンピオンよりも低いレベルのポケモン達で勝ち切ると考えての事だ。しかし、レベル50では覚えない技は技マシンなどを使い戦略を立てた。
チャンピオン戦当日、TV中継の為撮影クルーもタツキと一緒に最後のバトルフィールドへ向かう。
最後の扉の前で協会関係者に最後の戦いを前に不正がないかを調べてもらうため、使用ポケモンの検査をお願いする。
「タツキ選手、本当にこのポケモン達で戦うんですか?」
「はい。もちろん。」
それを聞いた関係者は思わず大きな声を出してしまう。
「もちろんて、昨日までのポケモンが一体もいないじゃないですか!それにどのポケモンもレベルが低い!このポケモン達じゃ、勝てませんよ!なにより4体しかいないじゃないですか!」
関係者は慌てた様に捲し立てる。
「大丈夫です。ポケモンバトルは力勝負じゃないって事を教えてあげますよ。」
タツキはそう言い切るとボールを受け取り、最後の扉へと歩いていく。
タツキが扉を開けるとチャンピオンダイゴが笑顔で待っていた。
「ボクは、カナズミで君に宣戦布告された時からこうなる気がしていたよ。」
少し大袈裟なジェスチャーをしながらダイゴが話始めた。
「君は何か他のトレーナーにはない気配がするんだ。もっともっとボクを楽しませてくれる様な、そんな気配がね。」
「チャンピオンにそう言って頂けるなら光栄です。」
「大会から四天王戦の全てのバトルを観させてもらったよ。とても興味深かった。特性や技を活かした流れる様なバトル。まるでそうなるのが決まっていたかの様なバトルだったね。あの力強いポケモン達と戦えると思うとボクまで興奮するよ。最高のバトルをしようじゃないか!」
興奮気味に話すダイゴにタツキは冷静に応える。
「えぇ、楽しいバトルをしましょう。そして更に驚かせてあげますよ。ポケモンの更なる可能性で俺があなたを倒します。強い力が全てじゃないんですよ!」
バトルフィールドの両端に分かれ、睨み合うタツキとダイゴ。
この場にあるカメラのレンズを通して多くの人がこの場を観ており、フィールド内は物音一つなく、静寂が支配していた。
静寂の支配を破った審判がバトル開始の合図を出す。
「いけ!エアームド!」
「積んでこい!テッカニン!」
チャンピオンダイゴ対タツキの戦いが幕を開けた。