「テッカニン?ポケモンを悪く言うつもりはないけど、彼でボクのエアームドに勝てるかな?」
タツキの選出に疑問を持つダイゴ。
「みんな勘違いしてますよ。強いから勝つんじゃない、勝ったと言う結果が残るから強いんですよ。それに複数所持の対戦はチーム戦だって事を教えてあげますよ!」
自身の前を飛ぶテッカニンの背中を見ながらダイゴに啖呵をきるタツキ。
「なら、その強さを見せてもらおうか!」
「舞え!テッカニン!」
タツキのテッカニンが空中で独特な舞を始める。
「なにをしてるかわからないけどエアームド、つばめがえし!」
「シザークロスで弾いて、かげぶんしん!」
テッカニンは自身目掛けて飛んでくるエアームドを自らの爪で弾く、若干のダメージはあるもののそれはエアームドも変わらず一合目は痛み分けとなる。
「そのままかげぶんしん!」
「どくどくで動きを止めろ!」
自身の特性により速度の上がったテッカニンを狙おうにも早すぎて狙いが付けられないエアームド。
テッカニンはその間にもかげぶんしんで回避率を、特性で素早さを上げていく。
「テッカニン、バトンタッチ!」
テッカニンがその場にバトンを残し、ボールへ戻る。
タツキの指示にダイゴの顔が険しくなる。
(バトンタッチ?どんな効果かわからないが彼が使う技だ、油断出来ない。)
「行け!クチート!」
タツキの二番手は鋼・フェアリータイプのクチート。
「エアームド、はがねのつばさ!」
交代したクチートにエアームドが迫るも普通のクチートでは考えられない速さで避けるクチート。
「クチートがそんなに速いわけが…。」
物凄い速さで動くクチートに驚きながらカラクリを探るダイゴ。
「てっぺき!」
エアームドを翻弄しながら自身の硬度を高めるクチート。
何度かエアームドの攻撃が擦るものの元々の耐久値もあり、致命傷には程遠い。
クチートはその後も何度かてっぺきを使い、自身の硬度を高めていく。
「ほのおのキバ!」
恐ろしい速度でエアームドに近付いたクチートが炎を纏った顎門を開きエアームドに噛み付く。
つるぎのまいで上がった攻撃力の前になす術無くエアームドが堕ちる。
「エアームド戦闘不能。」
「くっ、エアームド戻れ!行け!ネンドール!」
(今の速さはさっきのテッカニン程の速さだった…。クチートの素早さが上がったのか?しかし違うポケモンなのに何故?)
ダイゴはエアームドに代わりネンドールを繰り出す。
そのタイミングでタツキもクチートへ指示を出す。
「クチート、みがわりからのバトンタッチ!」
クチートは小さなぬいぐるみとバトンを残しボールへ戻っていく。
(またバトンタッチ…、バトン⁈まさか、能力の上昇を引き継ぐ技⁈だから攻撃してこないのか⁈それにみがわり?今度はどんな効果なんだ⁈)
「頼んだ!レパルダス!」
フィールドではレパルダスとネンドールが睨み合う。
「つめとぎ!」
「させるな!だいちのちからだ!」
レパルダスの行動を阻止させようとダイゴが指示を出すも特性によりレパルダスのつめとぎが成功する。
ネンドールの攻撃がレパルダスから逸れ、ぬいぐるみに向かう。
高まった素早さ、回避率でネンドールを翻弄しながらつめとぎを成功させていくレパルダス。
ネンドールの攻撃は全てぬいぐるみが受け止めており、レパルダスは未だ無傷。
「つじぎり!」
凄まじい速さで接近し、研ぎ澄まされた爪がネンドールを引き裂く。
衝撃でフィールドの端まで吹き飛んでしまうネンドール。
その間に、レパルダスは最後のバトンを残しボールへ戻る。
「薙ぎ倒せ!キノガッサ!」
最後のバトンを託されたのはキノガッサだった。
この世界でキノガッサはマイナーなポケモンだった。バトルで弱いわけではない。しかし現在の脳筋環境ではどうしても他のポケモンに目が行ってしまい、使用される事が少なかった。
だが、このバトルでのキノガッサは違った。
テッカニンの加速で素早さは6段上昇。攻撃力はつるぎのまいとつめとぎの効果でこちらも6段上昇。命中率は4段上昇。かげぶんしんの効果で回避率も6段上昇。更に防御力もてっぺきの効果で6段上昇しており、能力的に全く別のポケモンと言っても良いほどだった。
その結果として、キノガッサは弱ったネンドールをはじめ、ボスゴドラ、ユレイドル、アーマルドをキノコのほうしで素早く眠らせ、立て続けに倒していった。
自身に傷一つ付けずダイゴのポケモン達を圧倒した。
キノガッサの速さについて来られない時点でキノコのほうしを防げず、皆夢の中へと誘われていった。
最後のメタグロスもほうしには勝てず眠ってしまい、起きるまでの間にキノガッサの火力に耐えられずに倒れてしまう。
これにより、ダイゴの負けが決まり新チャンピオンか誕生する事となった。
TVを観ていた人の大半がキノガッサではメタグロスに勝てないと思っていたが、結果はその逆となった。
このバトルをきっかけに巷では、タツキのバトンタッチ戦法を使う人が一時的に増えたものの変化技の知識が無いためなんの能力の引き継ぎもないバトンタッチになってしまっていた。