ポケモンと現実の混ざった世界で   作:チュロッシー

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7.一つ目

 

 

 

カフェでのバトル後、タツキは店長さんと話していた。

 

「ありがとうございました。」

 

「いや、こちらこそありがとう。楽しいバトルだったぞ。

それにしても、まさかトレーナーに成り立ての子に負けるとは思わなかったな。それに進化の場面も見させてもらえたしな。」

 

「そうですね。俺もまさか進化するとは思ってなかったです。」

 

「いいもん見させてもらったよ。じゃあ、これ会計の時に見せれば半額になるからな。」

 

とエネコが彫られた小さな木版をもらった。

 

「それから、これな。次来た時に使える2割引きチケットだ。」

 

こちらは、映画のチケットほどの大きさの紙にカフェの名前、電話番号、20%OFF と印刷されており、その上からエネコのスタンプが押されている。

 

「にしても、お前さんのワカシャモって♂だよな?」

 

いきなりの店長さんの質問に首を傾げながら はい と答える。

 

「いやな、♂であれだけ物理技で接触してたのに全くメロメロにならなかったなと思ってな。」

 

「んー、たぶんですけどなってましたよ。」

 

俺が自分なりの見解を口にすると店長さんは驚き詰め寄ってきた。

 

「どういう事だ⁈お前さんのワカシャモはしっかり指示通り行動してただろ。メロメロになってればそうはいかない筈だろ。」

 

「確証はないですけど、今日のシャモは途中から指示を聞いてから行動へ移すまでの速度が落ちてました。なので何らかの影響でメロメロ状態を抑え込んで行動していたと考えられます。」

 

「だが、そんな事今まで聞いた事ないぞ。俺も長いことトレーナーをしているが初めての事だ。」

 

といつの間にか俺と店長さんは腕を組みながらお互いにうんうんと唸っていた。

そこで俺は、一つの事を思い出しシャモを再度ボールから出してみる。

 

「シャモ⁈」

 

シャモも突然の呼び出しに驚いている様だった。

 

「どーしたんだ?いきなり。」

 

「いえ、確かに店長さんのエネコロロのどくどくで猛毒液を浴びた筈ですよね。」

 

「そうだな。しっかり浴びてたと思うぞ。それがどーしたんだ?」

 

不思議そうにこちらを見てくる店長さんにマルチナビの体調管理ナビでシャモをサーチした画面を見せる。

 

「どくどくを受けた筈なんですが毒状態にも猛毒状態にもなってないんですよ。」

 

「そうだな。状態異常の欄に異常なしって出てんな。でもそしたらおかしいだろ。あんなしっかりどくどく受けておいてよ。」

 

「そうなんです。どくどくの後に進化しているので可能性として進化に伴い状態異常も改善されたのか、それとも全く別の要因があったのか…。」

 

二人ともこのよく分からない状況に頭を悩ませていた。

 

「もう!店長!まだここにいたんですか?早く戻って下さい。」

 

「あぁ、悪いな、すぐ戻る。じゃあ、ボウズまたやろうな!バトル!それにチケットやったんだ、ご贔屓にしてくれよ。ポケモンセンター行くなら店出て左の公園を突っ切ったら近道だぜ。」

 

と言いながら肩をポンポンと叩き、店長さんは店に戻って行った。

 

「ここで考えていても仕方ない。とりあえず店長さんの言う近道でポケモンセンターまで行こう。回復してからジムへ向かうか」

 

 

   *** ***

 

ポケモンセンターでも調べてもらったがやはりシャモは、状態異常になっていなかった。

カフェを出たのが13時前、今の時間が16時過ぎ、ジム戦をすると流石に時間が遅くなると考え今のうちにポケモンセンターで宿泊用の部屋を予約する。

トレーナーカードを出すと無料で予約が出来た。

 

カフェを出てポケモンセンターまでなぜ3時間もかかったかと言うと単に街がデカいからって理由ではない。

単純に道行く人たちにバトルを申し込まれていたのだ。後で調べて気が付いたが店長さんの教えてくれた近道の公園は、トウカでも有名なバトルスポットのようであちこちでバトルが繰り広げられていた。

 

シャモも起用したがどくどくの事もあったため、フェル主体でバトルをしていたが時間にして3時間弱である、見事にフェルも進化した。

 

シャモ(ワカシャモ)レベル25 でんこうせっか、にどげり、ビルドアップ、ニトロチャージ

 

フェル(キルリア) レベル26 めいそう、ドレインキッス、テレポート、マジカルリーフ

 

この3時間弱でお金と経験値をたんまり稼いだ結果、しっかりとレベルが上がってしまった。

恐れていた事態だ。レベルが上がり過ぎるとトレーナーの言う事を聞かなくなるのがゲームでの設定で、この世界でも同様の事が確認されている。

しかし、何故かシャモとフェルもしっかりと言うことを聞いてくれている。今までに一度も指示を無視した事はなかった。

これは、早々に研究しないといけなそうだ。バッジを取ってしまってからでは研究出来ないテーマである。明日にでも情報を探そうと思う。

 

レベルも上がった、調べたい事も何個か出来た。

待ってろトウカジム!

 

 

*** ***

 

 

タツキは、ポケモンセンターの予約していた宿泊用の部屋で持って来た小型ノートパソコンに今日調べた事をまとめていた。

 

ジム戦?

 

ポケモンは、予想通りのゴニョニョとドゴームの2体。

ちょうおんぱくらい使ってくるかと思っていたが、バトルしてみるとどちらもエコーボイスの連打のみ…

こちらはシャモがビルドアップを使い能力を上げ、にどげりでそれぞれワンパン。

これでいいのかジムリーダー…

と思ってしまったのも仕方ないだろう。

ジムに入ってから10分でバッジを獲得し、外に出てきたのだ。

正直なところバトル自体にかかった時間は、4分程で残りはバッジの説明などである。

こうして全く苦戦する事もなくスルッと人生初バッジを手に入れたのだった。

 

想像以上の脳筋バトルに頬を引き攣らせながらも、マップナビを使用し図書館までやって来たのである。

 

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