悔いはない。
それは一方的な展開だった。
場所は暗雲立ち込めるバトルフィールドと化した荒野。そこで対峙するのは赤いラインが走った白銀のアーマーを纏った一人の少年と、強者の風格を漂わせ、その身を着物のような鎧を纏った、狐耳と尻尾を持つ白髪の女性。
「くッ……」
「あらあら……もう敗けだと分かっているのによく足掻くわね」
プレイボードに手を着く少年に対して、女性は嘲笑うように挑発的な笑みを浮かべる。そんな彼女の背後に佇むのは紋章が刻まれた十二の宝玉を翼に携え、禍々しい程に輝く金色の鎧を纏った暗黒の魔神。
圧倒的とも言えるその姿に屈したりしないと言いたいのか、少年の側に立つ紅蓮の鎧を纏った古の竜と金色の鎧を纏った紅の龍神が吠える。
「騎士くんッ……」
「ユイ……残念ですが、彼はもう……」
彼らを後ろで見守るのは桃髪の少女。そして、彼女を支える一人の天使。そんな彼女の後ろには既に亡き者となった彼らの仲間が横たわっていた。
「いい加減、敗けを認めたらどうかしら? 手札も無い状態でたった一つのライフを守れるわけないじゃない」
「確かにそうだ……でも───諦める訳にはいかないッ!」
「……もはや哀れね。せめてもの情けに、すぐ終わらせてあげるわ。
アタックステップ。ゾディアック・デスペリアでアタック。アタック時効果でその目障りなスピリットを焼き払いなさい」
「……ッ、ノヴァッ!」
魔神の瞳から放たれた光線が竜を貫き、その身を破壊する。
竜の死と共に爆発が起こり、濛々と煙が立ち込まる。そんな古の竜の仇を取らんとばかりに、煙から龍神が黄金の大剣を手に斬りかかった。だが、魔神は龍神の斬擊を軽々と避け、竜と同じ目に会わせようと再び光線を放つ。龍神は大剣を犠牲にして、何とか直撃は免れたものの、そこに魔神が宝玉の着いた十二枚の羽を飛ばし、追撃を仕掛ける。変幻自在、上から下へ、右から左へ飛んでくる羽の刃をギリギリで避け続けるが、最後には羽を切り裂かれ、地面に落ちたところを宝玉から放たれた六色十二本の光線が襲い、龍神は竜と同じ道を辿った。
「残念。貴方のアルティメットのBPは30000。デスペリアの31000には一歩届かなかったわね。
……さて。デスペリアは自身の効果で回復状態。貴方を守るスピリットは無く、ライフも一つ。これで終わりよ」
女性がラストアタックを宣言し、魔神は十二の羽を束ね、最大の一撃を放とうとする。
(そんな……僕たちの願いは……叶わないのかッ……?)
「さあ、地獄に堕ちなさいッ!」
魔神の咆哮と共にすべてを飲み込む闇の一撃が放たれる。
少年はせめて、仲間だけはと残りの力のすべてを彼女たちの防御に回す。
「騎士くぅぅぅぅぅんッ!」
少女の叫びを聞き、それを最後に少年は闇にのまれたのだった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
瞼の上から差し込む光に目を開ける。
気がつくと、彼はそこにいた。
彼はボヤける頭で、どこか夢の中にいるような状態で自分の置かれた状況を確認する。
何か、硬い物の上に寝転がっているのだろう。
腹の上に暖かく、重いものが乗っているのが分かる。見れば、紅い鱗の小さなドラゴンが彼のお腹の上でスヤスヤと眠っていた。
彼は自分の置かれた状況に疑問を持つ。
ここはどこなのか。
自分は何でここにいるのか。
「───……ごめん。起こしちゃった? まだ寝ててもいいわよ。作業に集中したいし」
───……?
「…… 『あんた誰?』 って顔してるわね。初対面みたいな反応されると、やっぱりちょっと凹んじゃうわ。
私は、まあ……アメス とでも名乗っておくわ」
先が淡い紫に染まったエメラルドの髪の少女……『アメス』は自分の頭の上にひび割れたリングと背に壊れた機械的な翼を顕現させる。
「私は自己修復が終わるまで現実には関われない。だから私の代理として、貴方にはガイド役を派遣しておいたわ」
───…………。
「もっとお喋りがしたかったけど、いつまでも夢は見てられないから───」
次の瞬間、彼の体は光に包まれ、視界が回復したかと思えば、彼は空高き場所から落下していた。
空から落ちてくる一筋の光。その光を遥か遠方から眺める一人の少女がいた。
「綺麗なお星さま───じゃなくて、流れ星? こんな明るい時に見れるなんてヤバいですね☆」
次回予告
記憶を失った少年『ユウキ』はアメスからの信託を受けたエルフの少女『コッコロ』と出会う。
そこから彼らの絆の物語は始まる。
次回、バトスピコネクト!Re:Dive
『スタートステップ!龍皇ジークフリード!』
もう一度、君と繋がるための物語。
ゲートオープン、界放ッ!
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