無理矢理転生【リメイクの為、永久凍結】   作:ムメイノライデン

30 / 37
前回のあらすじ……は、尺の都合カットします。
それだけ、長い……いつもより明らかに長い。

それでは、本編をお楽しみください。


幻影召喚(インストール)

「それじゃあ、改めて自己紹介するよ。俺は衛宮……じゃなくて、朔月士郎の兄。サーベラス・フォン・アインツベルン……またの名を英霊ケルベロス。人類悪(ビースト)の、クラスにて現界した英霊だ。こことは別の世界で生まれ、聖杯戦争に参加したりしてなんだかんだあって死んで人類悪のクラスを貰った正義の味方擬きの守護者だが、まぁ、気にしないでくれ。」

 

「「「【嫌、すっごい気になるんですけど!?】」」」

 

【貴方は封印指定か何かですか?】

 

「もはやそのレベルじゃ扱えきれませんわ。」

 

「お兄ちゃんの……お兄ちゃん?????」

 

「規格外すぎるよ、兄さん……」

 

「この場合は、私の、その、義兄さん……って事ですか……ね?」

 

「と言うか、なんで私やイリヤと同じアインツベルンなのよ?」

 

うわ〜説明が面倒臭いやつだなこれ。

どうやって説明した方がいいんだろ。

 

まぁ、ゼルレッチの第二魔法を基準にした話でもするか。

 

「しょうが無いから、説明しよう。先ずは俺が英霊化した原因からかな。」

 

 

 

 

 

 

〜Now Loading〜(説明中)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「という訳で、俺は英霊となり、抑止力の守護者として様々な次元や、世界、時の中を移動しているのでした……って、なんで泣いてるんだよ!?」

 

「だって、、だってぇぇ!!!」

 

「こんな話も、、グスッ、、あるものなのですね。」

 

【ルビーちゃんの想像以上でした。まさか別世界の住人だったとは……】

 

「そんなに驚くものじゃないよ。ただ単に俺がそう言う運命だっただけさ。」

 

「だからってねぇ……よく貴方はそんなに軽く語れるわね……」

 

「なに、慣れだよ慣れ。これでも正義の守護者さんなんだ。これぐらい慣れないとダメなんだよ。」

 

本当に、正義の味方だの、抑止力の守護者だの……俺達エミヤは報われないんだよなー

 

座に帰ったら帰ったで速攻呼び出しだし……心が硝子な士郎なんて、魂をすり減らしに減らして鉄心の弓兵(エミヤ)になったり

 

変な自称菩薩に狂わされ、自分の名前すら捨て、悪の敵……敵を殺すだけの機械(エミヤ・オルタ)になったりと……

 

やれやれ、やはり抑止力はまともじゃないな。

アラヤもガイアも両方嫌いだ。

 

【それで、その正義の守護者さんが何の用ですか?聞く話によると、別世界の士郎様である、朔月様を手伝う為にクラスカードを利用して現界したんですよね?

 

なら、何故まだ現世に残ってるんですか?

貴方のような家族思いの事です、本来なら美遊様やイリヤ様に力を貸すためにクラスカードになると予測できますが……】

 

「ん?理由……理由ねぇ?そりゃ〜宿敵がいたら戦うのが運命って言うか、ただ単に家族を守りたいだけって言うか……まぁ、意思がないクラスカードよりも、俺の方が役に立つってのもあるけどね。」

 

うん、と言うか、俺の力を使いこなせる奴なんてそうそういないし……根源接続だとか、聖杯だとか、それぐらいの力がないとね。

 

「宿敵……それって確か英雄王ギルガメッシュでしたわよね?」

 

「その通り!俺の宿敵は慢心愉悦金ピカ野郎ギルガメッシュ!別名AUO……アイツの宝具は規格外だからな。『天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)』に耐えきれる自信があるならいいけど?」

 

「………………無理……対界宝具とか、対処出来るわけないじゃない……」

 

ダヨネ〜普通は対処できてたまるかって話だよ。

そんなのできたら、俺達、抑止力はいらないしさ。

 

「まっ、とりあえずは英雄王戦までの共闘だ。それが終わったら、俺は座に帰るってことで……んじゃ!遊びにでも行きますか!

 

さぁ、行くぞ、イリヤ、クロエ、美遊!兄さんがたっぷりと遊んでやるよ!……って、そんな歳じゃなかったな……(生前)の癖が残ったままか。

 

ま、いっか!ほら、士郎と桜ちゃんも行くぞ〜!」

 

「「「「「え、えぇぇ!?」」」」」

 

という訳で、再びやって来ましたアインツベルン城!

今回はここで全力で遊ぼうと思いまーす。

 

「ど、どうなってんのよ。」

 

「さぁ、さぁ、ここなら思いっきりやれるな?よし、特訓も兼ねて、俺と全力の鬼ごっこでもしようか!」

 

「特訓も兼ねてってどういう事!?」

 

「……多分、走ったり、捕まらないようにしたりすることで、反射神経と運動神経を爆発的にあげる特訓。」

 

「うわっ、美遊の理解力早くないか?どんな英才教育をしたんだよ士郎。」

 

「え〜と……兄さんが教えてくれたことは、ほとんど教えたかな。」

 

「あちゃー……俺基準か〜……そりゃ、オーバースペックになりますわ。」

 

聖杯を宿した奴なんて基準にしたらいけないっての。

チートの連鎖が止まらなくなるからね。

 

「サーベラス先輩って、生前もこんな感じだったんですね……」

 

あらら、義妹に驚かれてる……まっ、いっか!

 

「鬼ごっこのルールは簡単。

 

範囲はこのアインツベルン城全部。

 

俺が、この英雄王の放つ宝具に似せたこのスポンジ製の剣を英雄王と同じ方法で放つから、1回でも当たったら負け。

 

俺が放つスポンジ製の剣を受けずに俺をタッチ出来たらイリヤ達の勝ちだ。

 

鬼ごっこと言うよりかは、模擬戦だけどね。

武器はなんでもあり、兎に角、本気でかかってこい、以上!」

 

さぁさぁ、どれだけ持つかな?

それじゃあ、ガバエイムアーチャーするとしますか!

 

「では行くぞ!『王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)』精々、足掻けよ雑種…………自分で真似しててなんだけど、イラつくなこれ。」

 

何だか、実際の慢心王を思い出してイライラしている俺ですが、やる事はちゃんとやる。

 

自信に慢心王を投影するイメージを構築し、なるべくオリジナルに近づける。

 

スポンジの剣には誰も当たらない。

美遊とイリヤは魔力の塊を打ち出して避けて、クロエと士郎は干将・莫耶で切り捨てる、同じ武器を投影するなどして避けている。

 

桜ちゃんに関しては虚数魔術の一つである影を操る能力で剣を全て叩き落としている。

 

…………見た目が黒桜ちゃんで影を操る……怖いな、なんか。くうくうお腹が鳴っていないだけましか。

 

鳴ったら本当に俺は逃げたくなるね!

マキリの杯はお呼びじゃないんだよ、ヘブンズフィールで我慢してくれ!

 

さて、そうこうしているうちに、全員ガバエイムの弱点を見つけたようだ。

 

避けて少し進み、また避ける。

射出の速度を上げても、ガバエイムの攻撃では、そう簡単には当たらない。

 

さて、かなり接近してきた……この場合あの金ピカなら……

 

「おのれおのれおのれおのれぇぇ!!雑種風情がァ!なんつってね。」

 

慢心王の真似をしつつ、行動すら投影する。

正直いって精神的に疲れる。

 

イリヤ達を強化するために仕方ないとはいえ、あのクソッタレた慢心愉悦王の真似をしなきゃ行けないとか……

 

と、そんな事を言っているうちにイリヤ達が超接近してきたぞ!?

 

「トドメです!当たってくださーい!!」

 

桜ちゃんも、本気だぁ!?

 

こんな時、あの慢心王は……

乖離剣を取り出すかぁ……よし、諦めよう。

 

そもそも、こんな距離で乖離剣とか危ないにも程がある。

 

という訳で……

 

「はいはい、俺の負け。ギブアップ……いや〜連携力って恐ろしいぃ〜!」

 

「そこが、きっとお兄ちゃんになくて私達にはある物なのね。」

 

「おいおいクロエ、俺をぼっちみたいに言わないでくれる?俺だって、ランサーと組めば無敵のコンビなんだぞ?」

 

「ランサーって、……このクラスカードの英霊、クーフーリンの事?」

 

「違うよ。俺の呼び出したランサーの真名はメドゥーサ……クラスカードではライダーの英霊だったかな。」

 

思えば、ランサークラスで遭遇するより、ライダークラスで遭遇する方が多いよな……

 

ライダーの方が召喚されやすいってのもあるけどね。

 

「へぇ〜英霊って真名は同じでもクラスは違う時があるのね。」

 

「そりゃ〜そうだろ。ちなみに、メドゥーサも、ランサーの場合は子供の姿で、ライダーの場合は大人の姿で召喚されてたな。」

 

大人になっても、あまり変わらないけどね。

俺も大人の姿にはなれるけど……まぁ、こっち(子供)の方が慣れてるからな。

 

それに、この姿なら敵が油断してくれるのもいいポイントだ。

 

敵によって姿を変えるのもあり……ね?

よし、覚えた。

 

さてさて、今の所は文句なし。

イリヤ達でも十分にあの慢心金ピカ愉悦王を対処できるだろう。

 

そこに俺も加わることで……よし、パーフェクト!

 

「OK、これなら勝てるな!よし、今夜は決戦じゃぁ!」

 

「「えぇ!?いきなり(ですか)かよ!?」」

 

「な〜に、この戦力ならどうにかなるさ!それに、いざと言う時は…………俺が奴を殺す。」

 

「ッ!?お、おう。分かったよ。とりあえず遠坂にも伝えておくよ。」

 

「頼んだぜ、士郎!……さぁて……アイツの顔を拝むのも久しぶりだな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Now Loading(移動中)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………ここが……あいつがいる場所?」

 

そこは人工的に作られた洞窟。

どうやらルヴィアちゃんが作らせたらしいけど……

 

「もう少し戦闘しやすい形に出来なかったのかねぇ?」

 

【我慢してください、時間がなかったのですから。】

 

「はぁ……まぁ、やれるだけやるさ。戦場はいつも選べる訳じゃないしな。」

 

さて、後はイリヤ達がどれだけやれるか……まぁ、頑張りますか。

 

「っで、メンバーを改めて確認するけど……イリヤ」

 

「はい!」

 

「美遊」

 

「はい。」

 

「クロエ」

 

「はーい。」

 

「士郎」

 

「あぁ。」

 

「桜ちゃん」

 

「はい。」

 

「凛ちゃん」

 

「えぇ。」

 

「ルヴィアちゃん。」

 

「そうですわ。」

 

「そして……あれ?ダメット……じゃなくて、バゼットは来てないのか?」

 

「たった今来ました……それよりも誰ですか貴方。また一般人ですか?」

 

「よーし、全員ついたな?それじゃあ早速……接界(ジャンプ)……うわぁ、悪趣味な見た目だな。」

 

鏡面界に、飛ぶ……そこにいたのは、俺が知ってる金ピカじゃなくて……

 

「▅▂▂▂▅▅▂▂▅▅▅▅!!!」

 

「随分と黒くなったじゃねぇか、英雄王!!」

 

影を纏った俺よりも黒く、禍々しい英雄王の姿だった。

 

 

「黒い……魔力の霧!?」

 

「これって、セイバーと同じ……」

 

「いえ、それ以上よ!」

 

「いや、これでも第四次の時よりは弱いね……さぁて……英雄王、俺とお前がこうして出会ったのならやる事は一つ……。」

 

「▅▅▅▅▂▅▅▂▂▂▅!!!」

 

「手加減なしの殺し合いだァ!」

 

英雄王が叫ぶのと同時に走り出す。

今のうちにイリヤ達は準備を始め、あいつにとんでもない攻撃を用意する。

 

イリヤと美遊は、凛ちゃんとルヴィアちゃんによる、魔力増幅用の砲台から放つ最大出力の砲撃を……

 

クロエは投影した約束された勝利の剣(エクスカリバー)を変形させ、矢として放つ用意を……

 

俺の仕事は、それまで耐える……もしくは、先に討伐する事だ!

 

投影開始(トレース・オン)……干将・莫耶!!」

 

さて、これから面白いものを見せてやる!

 

「行くぜ……俺に限界はねぇ!これが、これこそが衛宮家の魔術の真の力!『真固有時制御・時空加速(タイムアルター・クロノス)』!」

 

衛宮家の魔術……忘れている人が多いかもしれないがその真の力は時を操ることが出来る能力だ。

 

確か、俺の爺さんだっけか?

兎に角、父さんの父さんが封印指定された理由でもある衛宮家の魔術は時間に干渉して、その物の時を止めたり、巻き戻したり、逆に早送りにしたりする事が出来る。

 

代償は当然大きいが、その分、強力な魔術なのだ。

それこそ、進化し続ければ“魔法”の域に達する程の。

 

衛宮家の人間が元々固有結界を使用することが得意なのはこの“時間に干渉する”と言う行為が、“空間に干渉する”と言う固有結界の原理とよく似ており、それだけ、相性がいいと言うことだ。

 

今回、俺はそんな衛宮家の魔術を起源レベルで再現し、更には聖杯の力を使う事で、限りなく時を止めたのと同じ状態に近付いたのだ。

 

この『真固有時制御・時空加速(タイムアルター・クロノス)』は先程も言った通り、限りなく時を止めたのと同じ状態に近付く能力。

 

自身の体内に固有結界を展開するのと同時に、周りの時間を圧縮、そして自分の周りにのみ纏うことで、時空レベルの加速を実現した魔法に近い魔術。

 

欠点としては、この能力を使用している間は大量の魔力を消費している為、『無限の幻影』も、『喰らい千切る地獄の番犬』も、『直死の魔眼』も使えない上に、投影できる武器も、干将・莫耶に制限される事。

 

そして、これはあくまでも、“時を止めている”のでは無く、“限りなく時を止めたのと同じ状態”になっているだけ……つまりは、音や光を超える速さで動いている為、身体への、負担が大きすぎる事だ。

 

通常、生物の身体って言うものは光を超える速さで動くと、急速に原子レベルまで分解される。

 

それは、英霊も例外なくだ。

光を超えた速さで動くと、原子の質量が急増して、そこにブラックホールが発生するとも言われている。

 

アキレウスのような有名な英霊は自らの“逸話”によって光を超える速さで動いても平気なのだが、俺のような無銘の英霊は当然そのような“逸話”がない。

 

その為、俺は限られた時間……3秒間の間のみ、この能力を使用できるのだ。

 

それ以上やると、俺の身体が消滅して、ブラックホールが発生する……流星一弓(ステラ)なんかとは、比べ物にならない自爆能力でもある。

 

そんな中で俺が出来ることは少ない。

だが、それだけで十分だ。

 

──1秒経過

 

干将・莫耶を2対ほど投擲する。

そして即座に干将・莫耶(銃)から弾丸を放つ。

 

──2秒経過

 

干将・莫耶(銃)を変形、合体させ、薙刀のような形状になったものを投げつける。

 

そして、干将・莫耶を投影する。

 

──3秒経過!

 

それをオーバーエッジ状態にして投げると同時に固有時制御を解除……これが!

 

「『真・鶴翼連撃』!!」

 

これだと、ただ単にすごい速度で武器を投げているだけ、干将・莫耶も弾丸も俺の元を離れた瞬間動かなくなる。

 

ここからがこの真固有時制御の本領発揮。

先程、俺は時間を俺の周りの空間に“圧縮”したと言ったよな?

 

“圧縮”とは、文字通り圧力で何かを収縮する事を示す。

それには当然、無理矢理小さくしているので、その物体が元に戻ろうとする力が働く。

 

では、“圧縮”した物が一気に解放されるとどうなるか。

イメージするとしたらペットボトルロケット。

 

無理矢理ペットボトルに圧縮された空気が一気に解き放たれる事により、高く吹き飛ぶペットボトルロケット。

 

これはその原理と似ている。

“圧縮”した時間が、解き放たれる事により、通常とは比べ物にならない程の速度で元に戻る!!

 

つまり、簡単に言うなら……

音を超える速さの連続攻撃が、英雄王向かって放たれたという事だ。

 

横から見ている全員は驚いたまま。

英雄王の周りの魔力の霧は一瞬で吹き飛び、英雄王にもダメージをかなり与えた。

 

「な、なによ今の!?」

 

「いいから、早く攻撃しなさいって!」

 

「そ、そうね!やりなさい、イリヤ、美遊、クロ!」

 

「うん!全力の『砲撃(フォイヤ)』!!」

 

「私も、『砲撃(シュート)』!!」

 

投影開始(トレース・オン)……はぁ!!」

 

イリヤと美遊が凛ちゃんの魔術によって強化された巨大レーザー……クロエが、約束された勝利の剣(エクスカリバー)を、矢の形に変形させた物を放つ。

 

それは、英雄王を確かに、貫いた……はずだった。

 

「セイ……ハイィィィ!!!!」

 

なんと、英雄王は蔵から盾を取り出して防いでいたのだ。

 

そして、一瞬。

英雄王は美遊の方へと飛んでいく……恐らく、美遊の中にある聖杯を手に入れる為に美遊ごと、取り込むつもりなんだろう。

 

普通なら間に合わない。

だけど!

 

「美遊、危ない!!『固有時制御・二重加速(タイムアルター・ダブルアクセル)』!」

 

英雄王の速度と、俺の速度……早いのはもちろん俺なのだが、美遊達を助けて、俺も抜け出すとなると速度が足りない。

 

なら、せめて美遊達だけでも!!

俺は即座に美遊達の前に移動し、全員を後方に吹き飛ばす。

 

美遊を、掴むもうとした英雄王の手は……

 

 

 

 

 

ブチィ

 

 

 

 

 

美遊の代わりに俺の心臓を掴んだ。

 

「……ッチ、はな……れろ!」

 

残る力で英雄王を蹴り飛ばす。

だけど、アイツは探していた物を手に入れたかのように大笑いをしていた。

 

「クソっ……タレが……」

 

不味いな……何も見えねぇ……

魔力が…………足りねぇ。

 

しくじったな。

今回、俺は座から小聖杯しか持ってきていない。

 

その小聖杯もたった今、心臓ごと取られた。

つまり……俺は魔力切れで消滅するってことだ。

 

「「「お兄ちゃん!?」」」

 

「兄さん!?」

 

多分、イリヤ達が俺の所に駆け寄ってきているんだろう。

 

何も見えないし、聞こえないがそれだけは勘で分かる。

 

やべぇ…………意識が保てねぇ……

こんなピンチは…………久しぶり過ぎる…………

 

でも、美遊を……士郎を……イリヤを守らなきゃ……

ここには、クロエも、凛ちゃん達もいるんだぞ。

 

心臓とられた程度で、死ぬなよ、俺。

この程度、大丈夫なはずだろ?

 

動け、動け、動け!!

守らなきゃ行けない物がすぐ側にあるだろ!

 

当然、俺の身体は反応しない。

心臓を失った肉体は即座に死んでいくからだ。

 

心臓(聖杯)を取られた今。

俺のスキルは発動できない……なら、どうすればいいんだ!?

 

俺のクラスカードは、恐らくとっくに消滅している。

 

俺がこの世界に、残れたのは単独顕現のスキルあってこそだ。

 

それも、もう。

長くは持たない……だったらどうすれば?

 

考えに考える。

一度座に還ってもう一度顕現するか?

 

いや、ダメだ。

俺の顕現は抑止力により封印されてる。

 

では、奇跡を願うか?

いや、このままだと、美遊もあの英雄王に取り込まれてしまう。

 

今、この時に決めなきゃ……ダメだ。

でも、動けない。

何も見えない。

何も聞こえない。

何も話せない。

 

文字通り暗闇……

一筋の光も差さない暗闇。

 

俺は影だ。

光が無ければ、存在ができない。

 

もう、諦めてイリヤに任せるか……

そう、諦めの意見が自然にでる。

 

抑止力がもう無理だとでも言ってるのだろう。

俺も、結末は知っている。

 

この後は、イリヤが勝つはずだ。

……生憎、最終巻とかエインズワースの最後とか、そういうのを発表する前に俺は死んだからな。

 

でも、この先の事だ。

きっとイリヤ達がどうにかするはずだ。

 

あの子達は強い、一緒に戦えば無敵だろう。

それだけの友情があるんだ。

 

勇気もきっといつか持ってくれる。

だから、大丈夫……大丈夫……

 

『それで安心ですか?』

 

声が聞こえる……

 

んな訳無いだろ。

安心なんて出来るはずがない。

 

クラスカードが核のクロエはいつ消滅するか分からない。

 

聖杯を身体に持つ美遊はいつ魔術師に狙われるか分からない。

 

こんな、明らかにやばい状況……

安心できる訳が無いだろ。

 

『なら、何故戦わないのですか?』

 

戦えないから。

俺に……残された魔力が少ないから。

 

抑止力からも、もう終われって言われてる。

俺に出来ることなんて何一つ───

 

『その程度が……貴方の決意だったんですね。』

 

ハッとする。

決意……俺が生前に何を誓ったか。

 

俺は、家族を守るって誓ったはずだ。

例え、抑止力にこき使われようと……

 

何諦めてんだこの馬鹿は!!

身体が動かないなら、意地で動かす!

 

今までもそうだったんだ。

心臓くらい、なくても動け!!

 

「こ……の……程度……の傷で……死んでたまるかァァ!!!」

 

『それでこそ、私が好きなサーベラスです。』

 

声は聞こえなくなった。

でも、今なら動ける!!

 

残り少ない魔力も、今にも消えそうな身体も、これだけあれば戦える!!

 

「ちょっとアンタ!?心臓失って動くなんて、英霊でも死ぬわよ!!」

 

「それが、どうしたってんだ。」

 

「え?」

 

「別世界、別次元……様々な違いはあれど、イリヤも士郎も……クロエも、美遊も、凛ちゃんも、桜ちゃんも……全員俺の大切な家族なんだ……

 

 

その家族を守れずして何が守護者だ!人類悪となっても守りきるって決めたんだ、今更……俺は諦めねぇ!!!

 

ひたすらに暗い人口洞窟に、光が灯る。

それは、美遊が持っていたクラスカードから放たれていて…………こちらにカードのみが向かってきた。

 

俺はそのカードをキャッチする。

その“ライダー”のクラスカードは俺が手に取るのと同時に炎につつまれ、“ランサー”へと、姿を変えた。

 

「クラスが、変わっているですって!?」

 

「そうか……力を貸してくれるか、ランサー……ありがとうな。」

 

目も消えかけでまともに前が見えないが、それでもわかる。

 

あの英雄王はきっと、俺が覚醒するのを慢心して待っていると!!

 

「いいぜ、やってやろうじゃねぇか。行くよ……ランサー!!!

 

────幻影召喚(インストール)!!!」

 

魔力の渦に呑まれる。

だけど、悪い気はしない。

 

所々空いた穴を無理矢理だが、ランサーが埋めてくれたのだろう。

 

空間内に映る俺は髪も伸びてるし、片目の色も変わっている。

 

何より、髪の先端が蛇になっていて、前髪にもランサーと同じ髪色の、メッシュが入っているのだ。

 

まさに一心同体……ランサーには感謝しかない。

消えた心臓も、ランサーのクラスカードにより、埋められている。

 

これなら……全力で戦える!!

 

「行くぜ……英雄王…………武器の貯蔵は十分か?」

 

そう話しかけるように言葉を発すると英雄王は大きく笑って、イリヤ達をはじき飛ばし、こちらに全ての武器を向けてきた。

 

「そう来なくっちゃなぁ!!なら、俺も最初っからフルスロットルだ!」

 

英雄王が蔵から出そうとした武器を全て投影して射出を防ぐ、この一瞬の隙が、最大のチャンスだ。

 

 

「世界の幻影、我が元に──

 

我は世界を救う守護者なり

 

我は世界を滅ぼす人類悪(ケモノ)なり

 

我が力は破壊の力

 

されど、我が力は守る為にあり

 

全てを移す鏡なり

 

我、抑止の守護者の名の元に

 

顕現せよ、我が心──

 

無限の幻影(インフィニテッド・シャドウ)』」

 

 

世界が一変する───

 

そこは、無限の幻影(アンリミテッド・シャドウ・ワールド)に似ている場所……しかし、根本的に何かが違う。

 

その事に、英雄王は驚いていた。

 

「驚いたか?これは俺の固有結界であり、世界の影……世界ってのは無限に広がり続けるものだ。

 

ここが、世界を映す影なら当然。

広がり続けるに決まってるだろう?」

 

そう、ここは英雄王の蔵とよく似ている。

王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)は無限に人類が生み出した宝を内包する。

 

ならば、この世界は“無限”という概念を内包している。

 

文字通りインフィニティ……人間が見れる世界が広がり続けるのと同様にこの世界も広がり続けるのだ。

 

「手加減なしだ、英雄王!!どちらかが死ぬまで、いざ、勝負!!」

 

俺は一番近くにあった俺が愛用している武器である。

鎌剣ハルペーを取る。

 

ランサーの力を使っているからか、これが一番手に馴染む。

 

「▅▅▂▅▂▂▂▅▅▅▅!!!」

 

「うるせぇ!!お前なんて斬り倒してやるぜ、英雄王!!」

 

走り出す。

英雄王が宝具を放ってくるが、それらを全て斬り裂く。

 

英雄王はその間に乖離剣を取り出しているようだ。

 

「慢心なしか……なら、こっちだって乖離剣だ!」

 

この無限の世界に存在する乖離剣を腕に顕現させる。

 

英雄王の方も準備万端、撃ち合いの時間と行こう!

 

「行くぜ……乖離剣よ、世界を裂け!原子は塗り固まり、天は堕ち、地は消え去る──天変地異を今此処に!『天地乖離す開闢の死星(エヌマ・エリシュ)』」

 

「『▅▂▅▅▅▂▅▂▂(エヌマ・エリシュ)』!!」

 

もう何度目かの乖離剣での撃ち合い。

相変わらず威力は相殺。

 

そして、この場では俺が有利だ!

ハルペーを持っている方の手に力が入る。

 

この一撃で決めるという決意。

そんな決意と共にハルペーは姿を変えた。

 

それは、“鎌”では無く、まさに“剣”。

まるで俺が使いやすいように形状が変化した。

 

「ランサー……ハハッ、これじゃあランサーじゃなくてセイバーだな……でも、ありがとう。これで、全力が出せるよ。」

 

俺は、どんな武器よりも剣を使う方が得意だ。

剣以外だとハルペーが次に得意。

 

そのハルペーが剣に変形したのなら……もう俺は無敵も同然だ!

 

「行くぞ……固有結界収束開始!」

 

固有結界の、全てを剣となったハルペーに集める。

乖離剣すらも融合したこの一撃……威力は計り知れないだろうな。

 

それを感じ取ったのか英雄王はこの場から逃げようとする。

 

だけど、

 

「──魔眼、解放!」

 

俺が逃がすわけないだろ!!!

 

通常なら直死のみのそれが、ランサーを幻影召喚(インストール)した事により、石化の能力も発揮した。

 

「ザッ……シュ……雑種フゼイガァァァ!!」

 

「これで終いだ、英雄王!!『不死を斬る地獄の剣(スラッシュ・エンド・ハルペー)』」

 

直死の魔眼と不死殺しの剣による斬撃は、英雄王の身体をいとも容易く貫き、英雄王は奪った聖杯とクラスカードごと粒子となり消滅した。

 

「勝っっったぁ!!!大勝利だぜ!」

 

ピンチからの大逆転……これ程、喜ばしい勝利は無い!

聖杯が消えたのは予想外だけど……まぁいいか。

 

「さてと……美遊達は……って気絶してる?」

 

美遊もイリヤもクロエも、凛ちゃんもルヴィアちゃんも桜ちゃんも、そしてまさかのバゼットまで気絶している。

 

どうやら俺が戦闘をした余波がかなり響いたらしい。

鏡面界にも、所々亀裂が入っている。

 

仕方ない。

美遊の中の聖杯とクロエの核含めたクラスカードを全て回収して座に帰るとしよう。

 

まずは、美遊の聖杯……うん、問題無し。

次はクロエの核だけど……クラスカードの代わりに普通の人間と、同じようにしてやろう。

 

それぐらいは聖杯の力を少し使えば可能だ。

…………これでよし……

 

「それじゃあ、俺は大人しく帰りますかね……」

 

「待ってくれ、兄さん!」

 

なるほど、いないと思っていたら避けきってたんだな。

 

お前は凄いよ、士郎。

 

「なんだい、士郎?俺はもう行かなきゃなんだけど?」

 

「……いや、これまでありがとうって言いたくてな。

 

俺にも、家族を守る事がどれだけ大事か、大変かを理解出来た。

 

だから───」

 

「心配するな、お前が言いたいことは分かってるって!じゃ、頑張れよ。家族の味方(エミヤシロウ)

 

ピンチになったら、いつでも呼んでくれ。

そこが地獄でも駆けつけてやるよ。」

 

「……そっちこそ、たまには弟を頼りにしてくれよ。

守護者(セイギノミカタ)!俺だってどこにでも駆けつけてやる!」

 

「そうかよ、それはそれは、期待してるぜ?それじゃあ幸せになれよ。士郎!イリヤ達に頑張れって伝えといてくれよ〜。」

 

やれやれ、弟は随分とカッコよくなった物だ。

これなら安心、桜ちゃんと仲良く夫婦やってくれ。

 

退去する時に何故か起動した千里眼で俺が見た未来は……

 

「お兄ちゃん、こっち!!」

 

「美遊も大きくなったなぁ……」

 

「あの頃とは比べ物になりませんね、せーんぱい!」

 

「桜はいつになったら先輩呼びを辞めるんだよ……」

 

平行世界にいたままでは有り得なかったであろう微笑ましい未来だった。




作者の〜次回予告!

いや〜前回は桜ちゃんに出番を譲った、と言うよりも強奪されたわけだけど、今回は普通に俺がやりますよ!

え?なになに?黒桜の部屋の方が面白い?
うるせいやい!桜ちゃんばっかに出番を取られてたまるか!

さて、そろそろ真面目に次回予告を………………
次回からはEXTRA編!と、そ の ま え に!

次回 「タイトル不明?」

ワックワクのどっきどきだよね!(白黒のクマ感)
え?細詳が分からない、真面目に次回予告しろ、タイトル教えろ、んな事より黒桜の部屋再開しろだって?

今回ばかりはお許しを!!
次回はいわゆる■■■回でして……予告しちゃうとつまらなくなる可能性があるので、本当に今回はお許しください!

それでは、次回もお楽しみに!

あ、そうだ。

サーベラス君がTwitterを始めたよ!
この小説についてや、雑談をするらしいよ。

もしかしたら、あっちでしか聞けない裏話も?
興味があったら是非、話しかけてあげてね!

それじゃあ今度こそ、バイバーい!

サーベラス君のTwitterアカウント↓↓↓
https://twitter.com/QWid7Q2nRmaLNKU?s=09
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告