葉月の異常な愛情~または僕は如何にして心配するのを止めて近界民を愛するようになったか~ 作:Amisuru
――という訳で、寺島さんに
『お兄ちゃんは今すぐ
少なくともC級では一人も見かけなかったんだよなあ……。
那須さんとウィルバー氏に連れられて入った
「……さて、レイガストの前に――元使い手としては、
そう語る寺島さんの手に握られているのはレイガストではない。弧月だ。僕がただの刀呼ばわりして、訓練生時代に狩り尽くしたもの。
それ故の理解らせ。そのための訓練室、そのための寺島雷蔵。元トップクラスの
「……おまえ、本当に今でもその距離からの旋空が届くのか? 起動時間内に剣を振り切ることが出来ればいいがな」
そんな燃えるシチュエーションに全力で冷や水をぶっかける御人、風間蒼也。
いやまあ、彼が懸念する気持ちも理解らんでもない。『またトリオン体でコーラか』と風間さんが口にした通り、寺島さんは出会った時点で換装済みの状態だった。つまり生身だろうがトリオン体だろうが丸いものは丸いのだ。僕らみたいなワケアリ組と違って。
「風間。俺はね、エンドゲームでソーが最後まで太ったまま戦い抜いたことにいたく感銘を受けたんだよ」
「……確かに最後まで体型が戻らなかったのには俺も驚いたが、そこは真似するポイントではないだろう」
「エンドゲーム? なんです?」
「あれ、大庭くん知らない? アベンジャーズだよ、去年やってた映画。興行収入で世界歴代1位になったって話題にもなったんだぜ」
「すみません、娯楽に関する知識が偏っているもので……ところで今って西暦何年でしたっけ?」
『そこは考えたら負けだよお兄ちゃん』
陽花の言に倣うかの如く、沈黙をもって答えとする御二方。
なるほど、
「で、そのソーっていうのは一体何者なんです?」
「元ネタは北欧神話に出てくる神様だよ。日本だったら"トール"の方が馴染みあるかな」
「あ、それならわかります」
といっても、本当に名前を聞いたことはある程度だが。ただ、この名前を聞いて連想するものといえば――
「――
「そういうこと。俺がそのキャラにシンパシー感じた理由、なんとなく理解ってくれたんじゃないかな」
「そうですね。僕も名前に葉とか月とか付いてるキャラ見かけると勝手に親近感湧いたりします」
『単純……』
そうは言うけどおまえも好きだろ、
『……まあ、そういうこともある』
素直でよろしい。
「――ということは、寺島さんの握ってる
「そんな大層なもんじゃないけどね。投げたら戻ってくる訳でもないし、掲げたところで雷が降ってくる訳でもない――ただ、この剣はね。
そう言って、寺島さんが弧月を顔の横に構える。野球のバッティングポーズにも似た、いわゆる八相の構えとかいうやつだ。
旋空。弧月専用のオプショントリガー。確かに間合いが伸びるとはBBFにも記載されていたが、あくまで近距離兵装の域を出ないレベルの話だと思っていた。しかし、この距離で振るわれた刃が僕の身体を両断しうると言うのであれば――確かに二度と、弧月をただの刀とは呼べなくなるな。
『え、ていうか何。私ら普通に斬られる流れなのこれ』
痛くなければ覚えませぬ。
『痛覚ないじゃん』
ええい、揚げ足を取るでない。こういうのは身体で覚えるのが一番なんじゃい。
「――というわけで、覚悟はいいかな大庭くん」
「押忍。まな板の上の鯉になった気分で臨みます」
「おまえの諺の使い方はおかしい」
いえその、捌かれるのを待つだけの身としてはこれ以上にない表現だと思いまして……。
とにかく、さあばっち来いや弧月ァ!!
稲妻の如き一太刀が、僕の身体を真っ二つに――
しませんでした。
「……」
「……」
「……」
『……』
虚しく刃が空を切った後、気まずい沈黙が訓練室を支配する。
な……なんだ? 故障か? トリガーの不具合か何かか? どういう言葉を投げかけるべきか判断に迷っていると、当の寺島さんから「……もう一度いいかな」というお声が掛かる。僕には視える。寺島さん、動じていないように見えてめちゃくちゃに焦っている。こんな筈はないとでも言いたげに、困惑と動揺が彼の内面を埋め尽くしている。で、そんな心境を拭い切れぬままに繰り返し弧月を振るうのだが――
一刀、また一刀と振るう度にどんどん太刀筋からキレが失われていく。トリオン体に疲弊の概念はない筈なのだが、これは一体どういうことなのか。それになんだろうか、素人目にも寺島さんの素振りは力が入っていないというか、筋肉のエネルギーが刀に伝わっていないというか、あちこち歪んでいるというか――これが本当に、元トップクラス
「……見る影もない……技の冴えに限って言えば、忍田本部長にすら見劣りしないと言われた男の剣が……」
遠くの方で目を覆いながら風間さんがそう嘆いている。目を覆い……な、泣いている!?
いや流石にそれはなかった。単に額に手を当てていただけだった。でも悲しいのはマジっぽい。やはり現役時代を知る者からしてみれば、今の寺島さんの姿というのは大層ショックなものなんだろう。かつては速球派で鳴らしていた
「……大庭くん、もう5mくらい寄ってきてもらってもいいかな」
「は、はい」
言われるがままに寺島さんへと歩み寄っていく。5mくらい。よく理解らないが距離を詰めれば解決する問題らしい。
というわけで、テイク2入ります。
先と比べて大幅に覇気の減退した声に、おいおい大丈夫かと心配しかけた次の瞬間。
胴薙ぎに振るわれた寺島さんの弧月が
『戦闘体活動限界』
『「うおおおおおおおお!?」』
思わず兄妹で悲鳴がシンクロしてしまった。当然のことながら仮想戦闘モードなので一瞬にして千切れた腹も元通りなのだが、それでもビビるものはビビる。伸びた。本当に剣が伸びた。すごいぞ弧月。ヤバいぞ弧月。誰だこんなトンデモ兵器をただの刀とか言ったのは。『お前じゃい』その
「……旋空の射程距離は、起動時間の長さに反比例する。大体の
「……少しは痩せる気になったか?」
「いや……いいんだ、むしろ逆に実感したよ……
黄昏るように力なく笑う獣神サンダー・ライゾー氏。哀愁の漂い具合が半端ない。ああ……祇園精舎の諸行無常の沙羅双樹がうんたらかんたら……つまるところ盛者必衰、新庄剛志が現役復帰を断念したように、寺島さんも全盛期の輝きを取り戻すことは叶わなかったのだ……泣けるで……。
「――欲を掻くから綻びを生む。良い教訓になったな、寺島」
「そこは『粗製デニムのようにな』って言えよぉ……」
「おまえがジーンズの似合う体型に戻ったら言ってやる。……弧月の真価であれば、おまえでなくとも大庭に叩き込める奴は幾らでもいる。わざわざおまえが見栄を張る必要は何処にもなかった」
「いや……そこはうっかり、元弧月使いの血が騒いじゃったというかさ……」
「それが欲だと言っている。……別に責めているわけじゃない、おまえの役割を思い出せという話をしたいだけだ。確かにおまえの言う通り、弧月使いの寺島雷蔵は死んだんだろう――だったら、
責めているわけじゃない。本人の言う通り、風間さんの内側に寺島さんを批難するような感情は視受けられない。むしろ、
――うん。どうせ叱られるんだったら、こういう風に叱られたいもんだよな、やっぱり。
『……それ、
――さて。誰のことでしょうね?
「……隊長やるようになって、人を使うのが上手くなったよね、風間は」
苦笑を浮かべて、寺島さんが握っていた弧月を消失させる。代わって手元に生み出されたのは、グリップ部分を庇うように構築された半透明の
類稀なる
「――OK、ここからが本番だ。キューブを構えてくれ、大庭くん」
「――押忍!」
どうやら完全に吹っ切れたようだ。ならばこちらも、
――というわけで、準備はいいか?
『……ったく、寝起きの妹を容赦なくこき使ってくれるよね。お腹は斬られるし』
まあそう言うな。一応今回は
『――ご褒美?』
そう。ま、おまえが喜ぶかはわからないけど。僕の自己満足で終わるかもしれないし。
『え、何。お兄ちゃんの癖に思わせぶりな引っ張り方するのやめてほしいんだけど』
……ま、昨日から続く
先に言っておくけど、あんまり大層なことは期待するなよ。僕は期待に応えられない男なんだ。
『まーた自信満々にカッコ悪いこと言っちゃって……まあいいや。好きに使いなよ、
サンキュー。
そんじゃま、毎度お馴染みの
「……ほう」
手元に浮かべた僕のトリオンキューブを見て、風間さんが小さくそう漏らす。如何でしょうか、A級隊員の目から見た
「――結構デカいね。木崎のキューブもこのくらいのサイズだったかな? あいつのキューブなんてあんまり見る機会ないから、今はもう少し大きくなってるかもしれないけど」
「……あれ、成長するものなんですか? トリオンって」
「若いうちから使っていればね。ボーダー隊員に低年齢が多い理由だよ。20歳になって成長が止まると、本部運営の方に回されたりもするんだけどさ。そういう意味じゃ風間も割と引退ギリギリの歳ってわけ」
「俺はまだまだ裏方に回るつもりはないがな」
なるほど。何の理由もなしに子供ばかりを戦場へと送り込んでいるわけではなかったのか。まあ理由が判明したところで人道的にどうなんだという問題が解決したわけでもないが。確か正隊員の戦闘体には緊急脱出の機能があるとかウィルバー氏が言っていたから、それを安全面として対外的にアピールしているんだろう、きっと。
『……そっか。
らしいな。やる気出たか?
『ガンガンいこうぜ』
僕はいのちをだいじに派だなあ。詳しくないけど。
「――それじゃあ早速、その自慢のキューブをぶっ放してもらおうかな」
そう言って、寺島さんがレイガストを正眼に構える。これが弧月なら何を無謀なと言いたくなるところだが、何しろこいつは『対・弾丸トリガー』との謳い文句で開発された代物なのだ。ならば見せてもらおうじゃないか、その文句に嘘偽りはないということを――
「遠慮なくいきますよ、寺島さん――
分割無しの大玉一発。弾丸設定こそ
寺島さんが呟くのと同時に、レイガストの
直後、
『やったか!?』
何故お前はそうもフラグを立てるのが好きなのか。ていうか今回は
「――これが、レイガストの持つ弾丸対策その1だ」
ほっ。
晴れた煙の中、五体満足でレイガストを構える寺島さんの姿がそこにはあった。ただし、その手に握られているのは剣ではない。機動隊の持っているそれにも似た、半身を覆えるほどの大盾だ。これが僕らの
「シールドとスコーピオンの二種をベースにして開発したこのレイガストは、用途に応じて形状を自由に変えることが出来る。攻撃用の
「おお~……」
そいつはお得だ。何が魅力的かって、これ一本で攻めも防御も賄えるっていうのがいい。
「……今の大庭くん、『そんなにすごいトリガーなのに、どうしてC級では全然見かけなかったんだろう……』とか、そんな感じのこと考えてるよね」
「ひゅい!?」
「相も変わらず考えていることが顔に出やすいやつだな、おまえは」
「そ……そうなんでしょうか……まったくもって自覚がないんですが……」
何だろうな。表情筋が緩すぎるんだろうか? 普段からもっと引き締まった顔してれば崩れないのかもしれない。キリッ。
『ああ……また私の顔が
ある朝、グレゴール・陽花が不安な夢からふと覚めてみると、ベッドの中で自分の顔が一人の、とてつもなくドヤった佐鳥賢に変わってしまっているのに気がついた。おわり。
「――理由は単純、
「はえ~……」
うーん、
相手の理解を得られることなく、パッと見の印象で投げ出されてしまう。こういう事態を防ぐにはどうしたらいいんだろうか。軽く出来るならそれに越したことはないのだろうが、
「……っていうと、まるで使われない理由を使う側に押しつけてるみたいになるから、正直に白状するんだけどさ」
そんな取り留めのない思考を断ち切るように、寺島さんが話の流れを変えてきた。おや、まるでレイガストの側にも非があると認めるような言い方。いやまあ、重たいってだけで充分デメリットなのも間違いないのだが。
「大庭くん。今から俺がレイガストでキミを斬ろうとするから、キミはそうならないように上手く立ち回ってみて。当然、
「うお、いきなり実戦形式でありますか」
「そうだね。そのつもりでやってくれて全然構わない。遮蔽物も何も無いから単純な追いかけっこになるけど、走り回れるだけのスペースはあるからね、ここは」
寺島さんの言う通り、10mもの距離を保ちながら後ろにも横にもまだまだ余裕がある。訓練
「風間、せっかくだから
「……おまえ、レイガストを握ってテンションが妙なことになっているんじゃないか? いいから黙って始めろ、黙って」
「いや、そういうのあった方が雰囲気出るかなあと思ってさ」
「素晴らしい提案です寺島さん。風間さんがスタート切るまで不動の覚悟で行きましょう」
「…………」
うわーい、風間さんから"こいつらが組むと最高に面倒だな……"とでも言いたげな視線を浴びてしまったぜ。でもまだ怒りは
「……用意」
溜息交じりに片手を上げる風間さん。わざわざ構えを取ってくれるあたり、何だかんだこの人も律儀である。
さて、そんじゃまぼちぼち意識を切り替えまして――
風間さんが右手を振り下ろすのとほぼ同時に、予め周囲に分割しておいたキューブをまとめてぶっ放す。今度は避けられることも想定してのばら撒き弾だったが、一発一発の威力は先の大玉に比べて遥かに劣る。となれば、寺島さんの取る選択肢は当然――
「
――受けですよね。知ってました。細かく弾ける
『――だからって、このまますんなり斬られるかって言ったらそうでもないでしょ』
それもまた然り。いかに寺島さんが僕の攻撃を凌げようと、射程の優位までもが失われた訳ではないのだ。それにどうやら寺島さんの機動力は訓練生と比べても大分見劣りするらしく、こうして視線を切らないようバクステ気味の後退を続けていてもまるで追いつかれる感じがしない。全力で走っていないのか、或いは――いや、言うまい……。
「――確かにご立派な盾のようですが、ただ守っているだけでは僕は斬れませんよ!」
「……そう、それが訓練生にレイガストを見限られた本当の理由なんだ」
おや、思わぬタイミングで核心を突いてしまったらしい。寺島さんの感情に、ちらりと暗い影が過る。苦々しいというか、歯痒いというか――何かを悔やんでいる、そんな感じの色をしている。
「確かにレイガストは、C級ランク戦において唯一の防御機能を持ったトリガーだった――そりゃもう、
新たに放った
ならば何故、現在のC級ランク戦からレイガストは姿を消してしまったのか?
「レイガストは重い。重いってことは、担いでるだけでそれだけ
つまるところ。
レイガストというトリガーは、C級
期待を裏切った者に対する、願望者の反応というやつは冷淡なものだ。渇望していたものが手に入らなかったとき、人間っていうのはどこまでも
――彼らと寺島さんの求めていたものは、同じだったかもしれないのに。
『……まーたお兄ちゃんが余計な共感抱いてる』
……まあ、僕が
誰かの
「……寺島さんにとって、レイガストは
三度目の
レイガストは依然健在。しかしよく見ると、
「そう思ってるなら、キミを相手にあんな啖呵は切らないよ」
そうだ。
そんな筈はない。
『――
寺島さんの見せたかったものが、レイガストというトリガーの持つ力が、
「――だったら見せて下さいよ、レイガストの本当の力ってやつを!
「ああ、言われなくっても見せてやるさ……! これがレイガストの弾丸対策その2、欠点の機動力を補うために開発された、専用のオプショントリガー――」
殺到する
――そう、レイガストは決してただの
瞬間。
寺島雷蔵は、今度こそ、
――迅い!!
「んなっ……!?」
見る見るうちに距離的優位が失われていく。
「
5m。4m。突っ込んでくる寺島さんの手に握られたレイガストが、再びその形を変えていく。
3m。2m。
「――でぇいっ!!」
――稲妻の如き一太刀が、僕の身体を真っ二つにした。
――大庭葉月を一刀の下に斬り捨てた瞬間、寺島雷蔵は思った。
そうだ。刀を振るうときの感覚は、こういうものだった――と。
それと同時に、先に弧月を振るったとき、自分の身体は何故思うように動かなかったのかということにも察しが付いた。さっきの自分は、
皮肉なものだ。
けれど。
「――
「……いや。見間違いだよ、それは」
けれど――やはり
本気で現役復帰を目指せば、再び
今は道半ば――そして、その道を降りるつもりなど、微塵もない。
「今の俺は
「――そうか」
風間蒼也は短く、それだけを言った。
『そうか』というたった三文字の言葉がこの男の口癖であることを、寺島は知っている。風間は小言こそ多いが、自身の主張を一方的に押し付けるような真似はしない男だ。相手に確固たるものがあると理解した途端に、この三文字と共にすっと身を引いていく。今回もまた、同様であった。
「好きにすればいい。おまえの人生だ」
「ああ、そうするよ」
最早未練はない。自分はこれからも、コーラ片手に開発室の片隅でちまちまとトリガーを弄る、華々しいランク戦の舞台とは無縁の人生を送り続けることになるだろう。けれど、それでいい。
――そこに自分はいなくとも、自分の手掛けたトリガー達が、証を刻んでくれることだろう。
寺島雷蔵という一人の
「――お見事でした」
その声で、思考が未来から現在へと引き戻される。換装を解いた大庭葉月が、柔和な笑みを浮かべて立っていた。
大人げないことをしてしまったなと、今更ながらに寺島は思った。
「……なんか、ようやく冷静になれたんだけど――変なことに付き合わせちゃって悪かったね」
「とんでもないです。
寺島の握っている半透明の
「――レイガストに籠められた寺島さんの
良いトリガーですね。
飾りっ気のないシンプルな賞賛だが、胸に響くものがあった。
きっと自分は、ずっとその言葉が欲しかったんだろうなと、思った。
「決めました。僕の
「――え? これでって……レイガストとスラスター?」
「そうです。一目惚れしました。他にも気になるのは幾つかあったんですけど、なんていうか――
その発言の意味するところは、寺島にはよく理解できない。けれど、彼がレイガストに何らかの
「僕、
「さり気なくスラスターの無いレイガストは使い辛そうだと白状しているな、大庭」
「お゛っ……!? ちちち、違うんですよ寺島さん、持ち上げるフリしてレイガストをディするようなつもりは全くもってこれっぽっちも!!」
「は、ははは……いや、いいんだよそれは。開発者の俺が一番よく理解ってるから……でも、
自分で言いつつ、ちょっと見てみたい光景だなと寺島は思った。愛着があるのは断然レイガストの方だが、
自分の子供が可愛くない親など、この世にいるものなんだろうか?
「いえ――
大庭葉月は大庭葉月で、またしてもよく理解らないことを口にしている。
などと、思っていると。
「――
いよいよもって理解を越えた発言に、寺島雷蔵の脳内は無数の疑問符によって埋め尽くされた。
寺島さんの実力はいくら盛っても許されるという風潮
しかしたかだかトリガーセット決めるのに何話使うつもりなんですかね……(呆れ)。