天地無用!魎皇鬼 ~アナザー~   作:ロン

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四話

「え~と…すいません勝仁さん、もう一度言っていただけますか」

 

「お主、天地、天女それとこの柾木村に住む人々の殆どは純粋な地球人ではない。更に柾木家にいる女性陣は全員宇宙人じゃ」

 

「はぁぁぁ~~」

 

勝仁さんに呼ばれた俺は天女さんを伴い向かった社務所にて、彼がこの星の生まれでは無く祖先である遥照本人であると聞かされた。

更に柾木家にいる俺・天地・天女さんを除き全員が宇宙人だと聞かされた。

 

「突拍子も無い話で驚くのも無理ないけど、私と天地そして遥一君もお爺ちゃんの産まれた星である樹雷と言うんだけど、その血を引いた純粋な地球人ではないわ」

 

「わはは、驚いてるみたいだね」

 

「・・・わ、鷲羽ちゃんも宇宙人だと認めるわけ」

 

「地球人から見ればそうだね。見た目はこうだけど実年齢は万を超えるし、他の子にしたって見た目と実年齢が一致しないよ」

 

気配を感じさせず突然話し掛けて来た鷲羽ちゃんに驚きつつ問いかけるとそんな答えが返ってきた。

外見的には20代に見える天女さんも実年齢は80を超え同級生が存命の為にこの家に居る時以外は歳相応の姿でいるらしい。

 

「何故いきなりそんな話を…」

 

「その理由は遥一殿が昨日見せた光の羽…光鷹翼と言うんだけど、基本的にその力は皇家の樹のサポートを受けて初めて扱える物のはずなの。しかし、遥一殿は皇家の樹の力を借りる事なく光鷹翼を使ったこれは大変な問題なのさ」

 

「光鷹翼については後で話すとして、まずは儂の話をしておこう」

 

そう言って話し始めたのは勝仁さん遥照がこの星に来た理由だった。

700年程前に故郷である樹雷星が1人と1匹の宇宙海賊に襲われ、それを追って地球まで辿り着いた彼が激闘の末に退ける事に成功したが、乗って来た宇宙船が破壊され帰る宛が無くなり彼は地球で生きる事にした。

樹雷星の文明は地球を遥かに凌ぐ科学技術等を持ち、生体強化や延命調整が可能だったが、あくまで皇家の樹の恩恵があっての事でそれを失った以上は途中で微妙が来ておかしくなかった。

地球で生活を始めて5年経…10年経っても老いる事が無い事を疑問に思い調べた所、力を失ったと思われていた皇家の樹がこの地に根を張り生きている事を知った。

そこで柾木神社を建て妻を娶るとこの地に村を作り今に至るらしい。

 

「鷲羽ちゃんが言う様に船穂の樹がこの地に根付いたから存命なんじゃが、皇家の樹は本来樹雷星以外で根付く事がないとされていたのじゃがな」

 

「そこら辺は地球と樹雷の間に何らかの繋がりがあるのかもしれないわね」

 

勝仁さん達の話から光の羽…光鷹翼の発現が俺の中に流れる勝仁さんの故郷である樹雷の血が流れている事に端を発するためだった。

皇家の樹のサポートがあって初めて発現出来るはずの力が、そのサポート無しで発揮出来る理由は不明だが天地も同じ様に自力で光鷹翼を発現出来る1人らしい。

ただし、樹雷星の歴史上でその様な人物がいたと言う歴史は存在せず現在確認されているのは俺と天地の2人のみだった。

 

「落ち着いてから話すつもりだったけど、昨夜の事もあり取り急ぎ話をしたと言う訳じゃが…」

 

「そこからは私が引き継いで話すけど、遥一殿の危機に際して発現したのは光鷹翼で間違いないわ。天女殿と勝仁殿から聞いた話と直接遭遇した天地殿達の言葉だから間違いは無いわ。気絶した遥一殿には申し訳ないけど検査をさせて貰ったけど、命に関わるレベルまではいかないけど消耗が激しすぎるの」

 

そう言った鷲羽ちゃん曰く、今までの研究結果から見ても明らかに消耗度が高く完全に力が目覚めておらず、その状態下で光鷹翼を発現させている為に体に大きな負荷が掛かっているのではないかと言うのが鷲羽ちゃんの結論だった。

これは天地と言う俺と同じ事が出来る人間を研究して来たことからの推論だと言う。

天地は初めて発現させてから今日まで幾度も光鷹翼を発現して来たが、ある程度の疲労は観測されるが気絶する様な事は一度も無かったらしい。

 

「分からない事だらけなんですけど、大変な事だというこだけは理解出来ました。それでこれからどうしたらいいんですか」

 

「当面の間柾木家に滞在し経過観察かしらね。樹雷の力の研究は何千年とされて来たけど殆ど解明されていないけど、ここには勝仁殿に天地殿を含め樹雷の直系が4名もいるし、この宇宙一の天才科学者である鷲羽ちゃんも居るから何らかの対応は出来るわ」

 

「それで期間的にはどれ位だと考えてるんですか」

 

「そうね。ぶっちゃけちゃうと突然解決しちゃう可能性もあるんだけど、とりあえずサポート体制が整うまで2週間位滞在してくれると助かるわ」

 

先祖が住んで居た場所に興味が無いわけではないし、この村に着いてから不思議と落ち着く様から少しの間ここでゆっくりするのも良いかもしれない。

勝仁さんからも祖先や祖母の事を知る人が存命だしこの機会に少しそれらを知るのも良いかもしれないと言われた。

鷲羽ちゃんの言う2週間と言う期間は、問題が解決せず東京に帰った場合のフォロー出来る体制を作りあげる目安らしかった。

 

「折角来た故郷とも言える場所ですし、そんな長期の滞在しても良いのでしょうか」

 

「それなら問題無いわ、事前に天地達にも相談して了承は取ってあるから」

 

「天女殿の言う通り家主の天地殿には話は通してあるから安心して良いわ。脅かす訳じゃないけど遥一殿のその力は色々な意味で危険も孕んでいるの、準備が整わない内に東京に戻って万が一が起こるのは本意じゃないでしょ」

 

「儂も鷲羽ちゃんの言う通りじゃと思う、儂らが持つ力は人の身で持つには余りにも強大じゃ、切欠はどうあれ折角ここまで来たのじゃ騙されたと思ってゆっくりしていけばよい」

 

余りにも突拍子も無い話だが、明らかに自力でどうにか出来るレベルを超え危険も孕んでると言われて俺はこの提案を了承した。

これ以降は都度必要になれば話をすると言う事で、明日からは予定が無い限りは天地と共に修行に参加する様言われ社務所を出た。

 

「それじゃ、気分転換に天地が耕してる畑に行ってみましょう。この時間なら天地もいるはずだし少し話をしてもいいかもしれないわ」

 

「ええ」

 

勝仁さんと鷲羽ちゃんから聞かされた話が壮大過ぎて頭の整理が追い付かない俺を見越して、天女さんが天地が居るであろう畑へと案内してくれた。

今回の話は、この村で育った人間が成人する時に聞かされる話なのだが今ほど簡単に外の情報を得られないご時世だった事もあり聞かされ当時は大層驚いたらしい。

木漏れ日の中を歩いて行く内に落ち着いていくと今度は遥照様の鬼退治の逸話が気になり問いかけると思わぬ事実が分かった。

 

「お爺ちゃんの話に出た宇宙海賊って、魎呼と魎皇鬼ちゃんなのよ」

 

「は?魎呼さんと魎皇鬼ちゃんが鬼」

 

彼女の話だと、700年前に樹雷を襲った魎呼さんを追い掛けて地球に来た勝仁さんが戦いは人知を超えた物で、当時の地球に人々がそれを見て鬼と称したのが始まりだった。

魎呼さんが飛べる事にも驚いたが、あの魎皇鬼ちゃんが宇宙船になる事に驚かされた。

人が空を飛びエネルギーを放ち、大型船サイズの物体が空を飛び回る光景を幻視して確かに当時の人々がそう言ったのも頷ける。

 

「数年前、瀬戸大橋で謎の爆発事故があったでしょ。あれの原因は魎皇鬼ちゃんに乗った魎呼とお爺ちゃんを探しに来た阿重霞さんがドンパチやった余波が原因なのよ」

 

「当時ワイドショーでUFOを見たとか言う情報もあったけどアレは本当の話だったんですね」

 

「お父さんから連絡が来て驚いたわよ、地球にいる担当者に連絡を取って魎皇鬼とかの映像を誤魔化すのに苦労したらしわ」

 

現在の地球は、樹雷などからは初期文明と認知されており外部からの接触は基本的に禁止されていた。

それに銀河最大勢力である樹雷皇の妻が地球人と言う事もあり特別保護地域にも指定されており二重の形で保護されている状態らしい。

とは言え、皇族など極一部の人間は樹雷の存在を認知しており瀬戸大橋の時の様な事が起こった場合には連絡を取り処理をしているのが現状だった。

 

「それじゃ魎皇鬼ちゃんの方はお姉ちゃんに任せて男同士でゆっくりと話すと良いわ」

 

「気を使わせてすいません」

 

「天女姉さん、魎皇鬼のことお願いします」

 

褐色の肌の幼女姿の魎皇鬼ちゃんの手を引いて柾木家へと戻る天女さんを見送り、突然来た事を詫びると何となく来るような気がしていたと予め準備していた予備の鍬を手渡され初めての畑仕事を手伝うことにした。

 

「よっと…俺の場合はじっちゃんに内緒で魎呼の封印を解いた事が切欠でなし崩し的だったな。正木村の真実とかゴタゴタが落ち着いて初めて聞かされし、姉さんが居る事だってその時まで知らなかった位だった」

 

「まじか、んしょっと…その魎呼さんって遥照様が封じたと言われてた鬼って話は本当なのか」

 

天地によると魎呼さんを含む柾木家の女性陣は生体強化によりやろうと思えば大岩を砕く事も出来なくないらしい、その中でも特に戦闘能力と言う面で突出しており飛翔能力に手からエネルギーを撃ち出すなど、巨大国家樹雷を手玉に取るだけの力を有しているらしい。

そんな人が700年前の地球に現れたら鬼だ何だと伝えがられてもおかしく無いかもしれない。実際のところ勝仁さん当時の遥照による情報操作があってそうなったらしいのだが、宇宙人でも妖怪でも人知を超えている存在であるのは間違いない。

 

「天地、こんな物でいいか」

 

「助かったよ、鷲羽ちゃんの技術で普通より楽なはずなんだけど人の手でしないと味が微妙でね。帰り道に魎呼の封じられた祠の前を通って帰ろう」

 

かなりの広さを誇る畑の殆どが魎皇鬼の大好物だと言うニンジンが植えられているのには驚いたが、先程の天女さんが連れて行った幼女が魎皇鬼の変身した姿であり本体は宇宙船のコンピューターユニットで遥照が倒したとされる2匹の鬼の片割れである事を聞かされた。

ノイケさんも手伝ってくれるようになり大分楽になったと言っていたが、当分の間こちらにお世話になるので基本的に俺も手伝う旨を伝えながら目的の祠の前に辿り着いた。

 

「て~んち~」

 

「こら魎呼、遥一だから良いけど少しは注意しろ」

 

「何言ってるんだよ、この村の連中ならもう周知の事実だし、こいつがじじいから話を聞くまで我慢してたから大丈夫だって、なあ遥一」

 

「うわっ、いきなり後ろから魎呼さんが…」

 

上空から天地に抱き着いていた魎呼さんの姿が突然目の前から消えると、いきなり誰かに背後から抱き着かれた事に驚いて顔を後ろに向けると悪戯っ子の様な笑みを浮かべそう言った魎呼さんがウインクすると再び姿を消し天地に抱き着いていた。

天地曰く、所謂テレポートこれも魎呼さんの能力の一つである程度の距離ならこの様な事も出来るらしい。

 

「それにしてもあんなに小っちゃかったお前がこうしてここに来るなんてな」

 

「はい?俺はここに来た事あるんですか」

 

「知らなかったのか、天地を抱えた清音と一緒にお前とそっくりな色の瞳の女性がお前を抱えてここにやって来た事があるぞ」

 

この祠に封じられてから何百年かして、祠の入り口までなら意識だけ飛ばせる様になっていた魎呼さんはずっとこの祠に来る人間を観察し続けて来たらしい。

その彼女が言うには遥照と同じ瞳の色をした人間がこの地を訪れる事も見ており、直近で天地が生まれた数年後に来た事も覚えていた。

ただ、彼女が言う女性が歳の頃20代半ば天地の母親である清音さんと同年代程度だったと言われ俺は混乱する事になる。

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