次の日、高校への登校中。「おはよう!」と早穂と翔悟のうしろから声をかけてきたのは零だった。
「昨日ぶりだな、翔悟!そっちの君は?」
「はじめまして、早穂です 七星零くんですよね、転入生の」
「おう」
簡単な挨拶を済ませた零は二人を交互に見て、それから翔悟に
「彼女?」
だなんて聞くから早穂と二人で吹き出してしまって、それから慌てて否定したけれど零はニヤニヤするだけで。
「じゃ、俺は先に」
おまけにそんなことを言って走り去ってしまったものだから、二人の間の空気は変なものになった。
「アレが零くんかあ……ほんとにイケメンだね〜 なんか、王子様みたい」
そういう早穂の顔が輝いていたのは、少し悔しかったけれど。
零はどうやら頭もいいらしい。先生の指名を受けて、次々と問題を解いていった。サラサラと黒板の上を滑るチョークが文字を紡ぐさまは、もはや芸術である。
昼には彼の方から翔悟に話しかけてきた。
「翔悟!一緒に弁当食ってもいいか?」
「え?お、おう」
昨日のこともあったけれど、その屈託のない笑みには勝てなかった。
彼のおべんとうはなかなかきれいで、「母さんが作ってくれるのか?」と聞けば、「いや、親父が作ってくれた」と答え、おふくろはいないんだ、と言う。少し前まで自分の家が似たような状況だったこともあり、それ以上の詮索はやめた。一連の流れで彼には全く悪意がないことも感じ取れたため、少しづつ、普通の友人のように接するようにしていく。
「零ってさ、頭いいんだな」
「そうか?」
首を傾げられたので、ノートを見せてもらった。新品のノートには読みやすい、でも何かちょっと違う気がしなくもない日本語がびっしりと書かれていた。
その隙間隙間に、見慣れない、文字のような、記号のようなものが書かれていた。
「なあ零、これなんだ?」
尋ねれば、一瞬彼はぴしりと動きを止めて、それから、
「えーと、えーっと、その……ら、落書きだ!」
「……ふうん」
うろたえたのは、その‘落書き’がバレたせいだろうか。しかしこれは一体何なのだろう。考えている間に予鈴がなったので、考えるのはやめざるを得なかった。
(こんなこともあるんだな……これからはノートに光の国の言葉でメモをとるのはやめとこう……)
零は固く心にちかった。
翔悟が家に帰ると、久々にかつての仲間たちが集まっていた。
「あ、ショーゴおかえり!」
まっさきに彼に気がついて手を振ったのは、アントニオだった。それにつられてこちらを見て、仏頂面のままでいつのがギルバート、わらって「お邪魔してます」と律儀に挨拶をするのがタイロン、素知らぬ顔で黙々とアイスを食べているのが、我らがリーダー・ルークである。
「みんな来てたんだ 近いうちにっていうのは昨日ルークから聞いてたけど、早かったな 近いうちにっつーか、すぐじゃん」
苦笑いして、自分も座る。
「……昨日、君が言っていた彼だが」
唐突にルークが口を開いた。
「七星零、という名前は、ボーン研究所が所有するリストの中にはない さらに、君が言っていた彼の特徴なら、それこそインターネット上に出回っているのではとも思ったが、それもごく最近の、ここ2日くらいのものしかない」
ピリ、と緊張が走る。
とそのとき、翔悟の姉、智子が部屋に顔を出した。
「翔悟?友達が来てるわよ」
「友達?」
今日は誰も来る予定ではなかったはずだが。
その‘友達’は智子の後ろから顔をのぞかせた。
「よう、翔悟!早穂ちゃんにここ教えてもらえたから来たぜ!」
それは、
「……零?」
意見、ください。いいんですよ、どんなことでも。
とりま、親子のボーンどうしよう問題を片付けないといけないので、皆さん力を貸してください。