「親父、帰ったぜ」
「ん、おかえり」
あれから数日。まだ新たな敵は現れていない。
零はリビングのソファの上のダンの隣に腰掛け、学校での出来事を楽しそうに話した。
「でさ、翔悟が小テストで満点とったんだよ 珍しいことらしくて、先生も本人もめちゃくちゃビックリしてたんだ 点数わかったときの反応がマジで面白くてさ」
「ふふ、そうか…… 学校は、楽しめているようだな」
「おう!すげえ楽しいぜ あ、そうだ、翔悟で思い出した これの解析が終わったから、あいつが渡してくれたんだ」
そう言って取り出すのは、先日彼と仲間たちで倒した、ゴモラボーンのボーンカード。
「これで、3枚だな」
腰を上げて部屋を移動するダンを、零が追いかけた。
目的の部屋には、厳重なセキュリティが行われていた。虹彩認識をした上で、鍵を使って開けた隠し収納の中の端末にパスコードを入力する。
その先には、真っ白な空間が広がっていた。その中央に置かれたケースも、また厳重に守られている。光の国の言葉で示される3段階のステップを踏んで、ロックをを開けた
そこには、2枚のボーンカードがあった。そこに、零がゴモラボーンのボーンカードをおいた。
「ガンQ、キングジョー、そしてゴモラ……」
「一体あと何枚集めりゃいいんだろな」
はあ とため息をついた。
「でも、この2枚集めたのは親父だもんな まじで助かってるよ、2人でやっと3枚集まるのを、1人でやろうとしたらどうなっていたことか……」
素直に、しかも脈絡なく感謝を伝えられたことに照れてしまって、ダンは目をそらして零の頭をなでた。零は驚きこそしたものの、抵抗しない。
(今日は機嫌がいいな)
ダンはそう思いながら、零を連れてその部屋をあとにした。
「そういや、親父」
零は、ダンの膝の上から尋ねた。この体勢は、あのあと何故か零の機嫌が良かったために気を良くしたダンが言い出し、冷静になってもお互いやめようとは言い出せなかった結果である。
「何だ?」
「あの2枚回収したとき、あいつらとは戦ったって言ってたよな なんか不思議なことなかったか?」
「いや……特になかったと思うが……具体的には、どんなことだ?」
「例えば、あるはずの足跡がない、とか」
ふむ、とダンは考えて、首を横に振った。
「すまない、そこまでは見ていなかった しかし、どうして急にそんなことを」
「いや、この前さ……」
零はゴモラボーンのときの足跡のことを話した。話を聞いて、ダンはうなずく。
「そんなことが……わかった、次からは俺も注意しよう」
「頼むぜ」
そう言って、ダンの膝からピョン、と飛び降りた。ダンの名残惜しそうな声は無視をする。ダンの親馬鹿に付き合っていたらキリがないことはわかっているのだ。
「んじゃ、俺翔悟の家行ってくる」
「そうか……気をつけるんだぞ」
それに元気よく返事をして、ピグモンの刺繍が入ったカバンを持った零は家を出た。
翔悟を訪ねれば、彼は快く零を迎え入れる。既にアントニオらがいるらしく、部屋からはいつもの騒がしい声が聞こえた。
「……零か」
その中でいち早く零に気がついたのはルークだ。
「おう、ルーク ボーンカード、サンキュな」
「構わない 君には助けられている」
ルークの返答を聞いてから、智子が出してきたカステラを口に運ぶ。零が子供舌だと翔悟たちが知ったのはつい最近のことだ。甘党のルークとは気が合うらしく、2人での会話が増えている。あそこのパフェが美味しいだの、どこどこの広場には何曜日にドーナツ屋が来るだの、一体どこの女子だろうか。
あ と思いだしたように零が声を上げた。
「ゴモラボーン、なんか変なトコあったか?」
「ああ、それについてなんだが……」
翔悟たちの視線がルークに集まる。
あのボーンには私達のボーンと同じように属性がある。が、マジン粒子がない おそらく、何者かがボーンを真似て作った模造品なのだろう。……まあ、構造は普通のボーンと同じようだから、呼称は他と同じようになるんだがな。極めて緻密に再現されているようで、ボーンカードの大きさ、重さまでもが私達の知るものと全く同じのようだ。だが、そんな高度な技術、地球どころかネポスにもない。
(やっぱり、この宇宙のものじゃないのか……?)
零は考えるが、手掛かりのなさに思考は諦めざるを得なかった。
「ん〜……まあ、今はいいか」
とりあえず、今はあのよくわからないボーンを集めることに専念しよう 零はそう思って、テンションを切り替える。
「そーだ!翔悟、明日数学の小テストがあるの覚えてるか?」
「え……あっ忘れてた やっべぇ!」
慌てて教科書を取りに自分の部屋へ走る翔悟を、笑って見送る。
「そう言えば、零 あなたのボーンはどこまで僕たちのものと同じように再現されているんです?」
尋ねるギルバートを振り返って、ノアに言われたことを思い出す。
「強くなるかどうかは俺次第、らしい わかんないけど 始まりの魔神に作られてねえから、たぶんラインは使えない あの気紛れはそこまで面倒見ねえだろ」
「……つまり、今のあなたのボーンは、ホワイト状態、ということでしょうか」
ホワイト状態とは、ボーンの通常形態のことだ。よくわかっていない零にタイロンが説明する。
「レイ、いろいろ調べたっつってたけど、このことは知らなかったんだな〜」
そう言うアントニオに まあな と返す。
「それ、地球で言われてることだろ? ネポスメインで調べてたからな」
(あれ、ネポスにはないんですか?単に見逃していただけじゃ……)
タイロンはその言葉を飲み込んだ。
翔悟が教科書を持って降りてきたとき、ボーンカードが光りだした。
「……行こう」
ルークにうなずいて、6人はボーンが示す方へと進んだ。
そこは、市街地の中にある広場だった。たまたまだろうか、そこに人はいない。
「人が来る前に片付けなけないといけませんね」
ギルバートの言葉にうなずいて、ルークがアミュレットを起動した。
目の前には、一体のボーン。
黒の体躯に黄色の光が点滅を繰り返している。
ピポポポポポポポ……
「あ」
この音は、鳴き声は、
(知ってる)
そう思うのと、避けようのない距離に火球が迫るのは同時だった。
「ああああああっ!」
「ジャッカロープ!?」
ボディパーツがボーンクラッシュする。
「あいつ……ゼットン……!」
ジャッカロープが忌々しげにつぶやく。
攻撃を受けたジャッカロープに気を取られたライノーの前に突如、ついさっき火球を放ったそのボーンが現れた。
「は」
光線がライノーのレッグパーツを直撃し、そして簡単にボーンクラッシュしてしまう。
「はあああああ!!」
そこに仕掛けられたレオの攻撃は、当たることなく空を切った。おかしい そう思うと同時に、背後からヘッドパーツに衝撃を感じる。
「なんでっ!」
シャークが背後から仕掛けた奇襲は、バリアーによって防がれた。そのバリアーを避けて放たれたジャガーの拳が当たる前に、そのボーンは姿を消した。
「マジで?」
「瞬間移動……いや、テレポートか!」
「ゼットン……あいつは、ゼットンボーン、だ」
立ち上がったジャッカロープが言う。
ピポポポポ……ポポ
その頭がジャッカロープの方を向いて、それからテレポートで眼前に迫る。その脇をすり抜けて、ジャッカロープはヘッドパーツについた2本の角をブーメランのように投げた。
「これなら、どうだ!」
スラッガーを持つウルトラマンであるゼロに、零に、ジャッカロープにとって、それは自分の体も同然だ。器用に操り、ゼットンボーンの意表を突くような攻撃を次々に仕掛けた。投げた角の攻撃のうちいくつかは、狙ったように相手にぶつけることができた。しかし、それが大したダメージを与えているようには到底見えない。
「くそっ」
ゼットンボーンは、その攻撃を行うブーメランがジャッカロープのヘッドパーツの一部分であることに気がついたのだろうか。更にはきっと、さっきテレポートによる攻撃を防がれたことから学習したのだろう。立ち位置を変えないままに、光線を放つ。
ゼットンと言えば、瞬間移動
その考えに囚われていたジャッカロープは、その攻撃を避けきれなかった。ヘッドパーツに光線があたり、ボーンクラッシュする。
その場から動かないゼットンボーンに、ドラゴンが仕掛ける。必殺技であるその攻撃だが、技の名前を叫ぶ余裕はない。しかしそれはいとも簡単にバリアーで防がれた。更に、光弾による攻撃で、レフトアームパーツがボーンクラッシュした。咄嗟の判断で右腕を引けたのが、せめてもの救いだろうか。
次々に放たれる攻撃を、ゼットンボーンは難なく躱し、防ぐ。少しの間に、6人は追い込まれた。コアボーンはかろうじて無事であるものの、このままではコアボーンクラッシュは時間の問題であろう。
ジャッカロープは、ギリ、と歯を鳴らした。
(まずい……このままじゃ……)
このままでは、仲間たちが
(くそ、俺がもっと強ければ……)
ドラゴンたちのように、アイアンボーンの力があれば。
〘力が、ほしいか〙
声がした。真っ暗な意識の中に響く、へんに透明で、それでいて硬い声。
(……ああ、欲しい)
〘なんのために?〙
(あいつを、倒すために)
声が低く笑ったような気がした。ドロリ、と何かが纏わりつくような感覚に襲われる。
〘いいだろう、力をやる ただし、それをお前が扱えるとは思えんがな〙
意識が、闇の中に落ちた。
つ か れ た 何時間かかったかな、これだけ書くのに 続きが大変だよ 頑張らないと
ゼットンボーンの紹介は次回にさせてください。もう疲れた。