「....どうだ」
「簡潔に言うと、数値が少し上昇してるって言ったところだな」
無人島での戦闘があった二日後、俺と姉貴は俺専用のラボにいた。そして、俺と姉貴の
前にあるモニターには傷無のギアであるエロスのスペックが映し出されていた。
「数値がか?」
「あぁ。て言ってもほぼ誤差みたいなものだがな」
そう言いながらキーボードを叩いて少し前のエロスのデータを比較した。
「確かに少し上昇しているな....理由はわかるか」
「いや、現状さっぱりだ。しいて言うなら接続改装が関係してるんじゃないかっていう
仮説は俺の頭にあるが」
「そうか。益々不思議だな」
「そもそもハート・ハイブリット・ギア自体が不思議な物だ。エロスに然り、
ギアに然り。ま、俺のギアが一番不思議な物だがな」
俺はそう言って、自分のギアのデータをモニターに映した。
「始まりのギア、ガロス....」
「全てのロスシリーズのベースとなったギア。コイツはまだまだ強くなるぜ姉貴。
今はデータが少ないからここで止まってるがな」
そう言いながら、俺は五つのガロスのデータを姉貴に見せた。
「通常形態のガロス、遠距離攻撃特化のガロス‐D、高速での動きで敵を翻弄するガロス‐K、
超火力と防御特化のガロス‐V、そしてトランザムガロス....どれもこれもが一機で国を
支配できる力だな....」
「それだけの力がなけりゃ、連中には勝てないからな....」
そう言いながら、俺はキーボードを叩いて画面を消した。
「なぁ真。少し頼みがあるんだが良いか」
「頼みか?」
「あぁ。アタラクシアにある生徒達が使う武器とアタラクシアの防衛設備を強化することは
できるか?」
「武器と防衛設備をか?」
「あぁ。この二つが少しでも強化できればギアを使うお前達の負担が減らすことが
できるからな」
「なるほど....」
俺は姉貴の言葉に納得できた。だが....
「強化するのは良いが、そもそものスペックがわからないことにはどうしようもねぇぞ」
「っ! それもそうだな....」
「(考えてなかったのかよ....)」
姉貴のどこか抜けてるところに、俺は口に出さなかったが呆れた。
「取り敢えず、武器を見せてくれ。話しはそれからだ」
「あぁ、わかった」
そう言って、俺と姉貴はラボから出て武器が置かれている倉庫に向かった。
~~~~
武器庫付近
ラボから出て学園に入り、武器が置かれている倉庫に向かっていると授業中の姫川達が
グラウンドにいた。
「そ、総司令!」
グラウンドにいた生徒達は姉貴に気づくと敬礼した。
「みんな、楽にしてくれて構わない」
「総司令、そちらにいらっしゃる方は....?」
「飛騨 傷無の兄の飛騨 真だ。少し用事があって私が連れてきた」
姉貴がそう言うと、生徒たちは少し怪しんだように俺を見てきた。
「姉貴、さっさと用事済ませたいんだが」
「あぁ。すまないが、銃を一つ持ってきてくれるか」
姉貴がそう言うと、生徒の一人が銃を一丁姉貴に渡した。
「真。一応これが学園で使っている銃だ」
俺は姉貴に渡された銃を受け取っていろいろと確認した。
「....散弾と榴弾系の銃か」
俺は銃の中にある弾を見てそう呟いた。
「姉貴、少し試し打ちするぞ」
俺はそう言ってガロスの盾を呼び出して少し離れた所に置いた。そして、銃を構えて
盾に向かって撃った。練習用の弾だったから盾には傷一つつかなかったが、盾は置いた
場所から1ミリも動いていなかった。
「....姉貴。弾は徹甲弾系に変えたほうが良い。散弾や榴弾じゃ敵に対してあまり効果が
なさそうだ。徹甲弾なら一撃当たれば魔導兵器の装甲が貫けるはずだ」
「そうか。なら、あとで工廠の方に伝えておこう」
「そうしてくれ」
そう言いながら盾を片づけて銃を姉貴に返した。
「授業中に邪魔をしてすまなかった諸君。引き続き訓練を頑張ってくれたまえ」
姉貴がそう言ってこの場から離れようとし、それについて行こうとしたその時....
「そ、総司令! 少しよろしいですか!」
姫川が姉貴に向かってそう叫んだ。
「どうした姫川」
すると、姫川は意外なことを言った。
「その、飛騨さんが良ければいいのですが....私と一度、戦ってもらえませんか」
「何?」
「っ....!」
「私自身、今自分がどれだけ強いのかわかりません。なので、あのような凄い戦いを
する飛騨さんに一度私と戦って欲しいんです」
「....と言っているが、どうする真?」
「....」
「(....姫川の実力には少し興味があるな)」
「....いくつか条件を付けるが、それでもいいか」
俺はそう考えながら姫川にそう言った。
「条件ですか?」
「戦う時間は15分間。姫川のハイブリット・カウントが5%減った瞬間、もしくは致命傷に
なると思われる攻撃が当たりそうになった瞬間に勝負は終了。この条件が飲めるなら
勝負しても良い」
「わかりました。その条件でお願いします」
「....そうか。なら姉貴、審判を頼む」
「....わかった」
俺は姉貴にそう言うと、姉貴は少し呆れたようにそう言った。
「....じゃあ、少し待ってろ」
そう言って、俺は無線を使ってハロを呼び出して勝負の準備を始めた。