次の日の朝、目が覚めた俺は朝風呂に入っているとハロが、昨日姉貴から
渡された通信端末を持ってきた。
『マコト! レイリカラデンワ! レイリカラデンワ!』
「姉貴から?」
俺はハロから端末を受け取り電話に出た。
「もしもし」
『起きていたか真』
「あぁ。で、こんな朝から何の用だ?」
『昨日、お前のギアが整備できる所を教えるのを忘れていてな。今から教えようと
思うのだが、すぐに外に出て来れるか?』
「....少しだけ待ってくれ。今風呂に入ってるんだよ」
『そうか。なら少しだけ待っていよう』
姉貴はそう言うと通信を切った。そして、俺は風呂から上がって髪の毛を乾かすと
外に出る時用の服に着替え、ハロを連れて部屋を出た。
〜〜〜〜
『レイリ、オハヨウ!』
「あぁ、おはようハロ。それに真も」
寮の外に出ると、姉貴がリムジンの前で立っていた。
「....ちょっと待て姉貴。何でわざわざリムジンで来た」
俺はそこそこ値段がしそうなリムジンを見てそう言った。
「仕方ないだろう。私が持っている車はこれだけだ」
「....はぁ、何でリムジンなんて買うんだ」
俺は頭を押さえながらそう呟いた。
「文句なら車の中で聞いてやる。それよりも早く乗れ。私もあまり長い時間は
取れないんだ」
「わかった....」
俺は諦めて、渋々リムジンに乗り込んだ。
〜〜〜〜
「向こうではちゃんと飯は食べていたか?」
「あぁ。ちゃんと毎食食うようにはしていた」
「そうか。なら安心した」
「俺らの心配よりも、姉貴こそどうなんだ? 昨日の総会見てたが、家にいる時とは
まるで別人だな」
「ぐっ....そ、それは間違ってでも生徒の前で言うなよ! 私のイメージが崩れる!」
「へいへい....」
目的地に向かっている途中、俺と姉貴はここに来る前の話しなどをしていた。
ちゃんと寝てるかとか、傷無は勉強していたかとか、普通の姉弟の会話だった。
すると、リムジンはとある建物の前で止まった。
「着いたか」
「姉貴、ここは....」
俺はその建物に見覚えがあった。何故なら、この建物は俺の母親が俺に人体実験を
行った研究所だからだ。
「あぁ。お前の想像通りだ。とりあえず私について来い」
姉貴はそう言うと、研究所の中に入っていった。俺も姉貴の後を追いその研究所の中に
入っていった。
〜〜〜〜
「....何だか、昔と比べて小さく感じるな」
研究所の中を歩いている時、俺はふとそう呟いた。
「お前も大きくなったからな。あの時とは違うと感じて当然だろう」
すると、姉貴はある扉の前で止まった。
「私だ。ケイ、入るぞ」
姉貴がそう言って入ると、中には大量の本棚と本が置かれていた。そして、謎の暖簾を
潜るとコクピットのような席に座って忙しそうにキーボードを叩いている白衣を着た
少女がいた。
「紹介する。私のたった一人の親友で現在このラボの責任者で技術主任を務めている
識名 京だ」
姉貴がそう紹介すると、少女は俺の目をじっと見てきた。そして、キーボードを
叩くと俺の目の前にウインドウが現れた。
『はじめまして。私は識名 京。れーりからあなたの話しはよく聞いている。
ケイと呼んでくれて構わない。よろしく、飛騨 真、ハロ』
『ヨロシク! ヨロシク!』
「....姉貴、これは?」
俺は突然現れたウインドウを指差してそう聞いた。
「ケイは少々他人とのコミュニケーションが苦手でな。基本的に会話は全てこんな感じだ。
まぁ、お前はこの方が良いんじゃないか?」
「まぁ、少しはな....」
姉貴の言葉に、俺は特に否定する事が出来なかった。
「ならあまり深く考えるな。....さてケイ、後は任せて良いか?」
姉貴はケイに聞くと、ケイは首を縦に振った。
「じゃ、後はケイの案内に従ってくれ。私は今から学園の仕事があるのでな」
そう言って、姉貴はこの部屋から出ていった。そして、姉貴が出て行くとウインドウに
文字が打ち込まれた。
『....それじゃあ私について来て。あなた専用の整備室へ案内する』
「わかった」
俺がそう言うと、ケイは少し驚いた表情をしたがすぐに表情を戻して歩き出した。
そして、この部屋にあった扉に入って少し歩くと目的地に着いた。
『ここが、あなた専用の整備室。中にある物は自由に使ってくれて良い』
「わかった。案内ありがとな」
『....あなた、本当に人間不信なの?』
俺の目の前に急にウインドウが現れたかと思うと、ケイはそう聞いてきた。
「あぁ。まぁ、アンタはあの姉貴の親友だから変に疑う必要がないんだよ」
『....そう』
「ま、これから世話になる。よろしくなケイ」
『こちらこそ。よろしく真』
そう言って、俺とケイはお互いに握手をした。
『それじゃあ私は部屋に戻る。基本的に私はずっとあそこにいるから、
何かあったらそこに来て欲しい』
「わかった」
『じゃあ、後はご自由に』
そう言って、ケイは整備室から出て行った。
「....さてと。ハロ、始めるぞ」
『リョウカイ! リョウカイ!』
ハロにそう言い、俺はガロスの整備を始めた。
〜数時間後〜
「ま、こんなもんか....」
ほぼ半日整備室にいた俺は、ガロスといくつかの追加武装の調整を終えて整備室を出た。
そして、ケイのいる部屋に戻ると何故か傷無が姉貴と一緒にいた。
「何してんだ傷無に姉貴」
「兄ちゃん! 何でここに!」
俺がここにいる事に傷無は驚いていた。
「ガロスの整備をしてたんだよ。で、お前はここに何しに来たんだ?」
「姉ちゃんに色々と話を聞いてたんだ。俺がここに連れて来られた理由とか」
「そうか」
「それにしても、ちょうど良い時に来たな真。今から傷無のギアの調整を行う。暇なら
その調整を手伝ってくれないか?」
すると、姉貴は良いことを思いついたみたいな表情で俺にそう言ってきた。
「別に良いが....今からか?」
「あぁ」
「....わかった」
俺が了承すると、ケイが姉貴の耳元に何かを言っていた。そして、姉貴は傷無にこう言った。
「傷無、そのドアの突き当たりが調整室だ。着替えを置いてあるから先に行ってこい」
「わかった!」
傷無は嬉しそうな表情を浮かべながら部屋を出ていった。だが、逆に姉貴はどこか
悔しそうな表情をしていた。
「....傷無には、まだ言わなかったんだな」
「あぁ....だが、いずれは話さなければならない事だ」
「そうか....ま、姉貴の覚悟が決まった時に言えば良いんじゃねぇか?」
「....そうだな」
そう話しながら、俺達は傷無が向かった調整室に向かって歩き出した。