転生者はテリウス大陸へと:蒼炎の軌跡外伝!!! ライバルはアイク!?   作:幸福野郎

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自惚れた転生者

「木の実たべる?」

「いらない」

「……」

 

 大きな木を背に体育座りのガーネフは、ぼけっと地面を眺めている。

 あれからどのぐらいの時間が経ったのか分からないが、彼はもう何もする気がない。

 

(ちくしょう……あんなやつに勝てるかよ……)

 

 今でも思い出せるロンとか言う男の剣術。

 まるで歯が立たなかった。

 サザやマカロフはどうなったか分からないが、もう確認する余裕もない。

 

(ううぅ……あああっ)

 

 あまりのみじめさに泣きたくなる。

 こんなことならミストたんやワユたんだけで我慢しておけばよかったと、すこしずれた後悔をしてしまう。

 そうすれば調子にのっていられたのに。

 

「ちくしょう……ちくしょう……あ、やっぱり木の実くれ」

「たくましいなー。元の場所に戻すぐらいならできるよ? もう逃走ワープは使えなくなるけど」

 

 木の実をかじって落ち込みムードのガーネフ。

 これからどうするかも分からずに途方に暮れる姿に、森の主は不満気である。

 

「ねえ、大将は本当にそれでいいの?」

「……!」

「悔しくないの? そんなにボロクソに負けて」

「……!!」

 

 悔しいに決まっている。

 けれど、自分の力ではどうにもならないことも分かっている。

 所詮、自身が井の中の蛙であることを思い知らされた。あんな強いやつには勝てっこないのだ。

 

「この様でアイクがライバルなんて……笑っちまうよな」

「うん、それは笑えるね!」

「笑うなよっ」

 

 微笑む森の主に鋭いツッコミをする。

 なんだかさっきまでのピリピリした気持ちが温和されたような気もする。

 もしかしたら、これは彼女なりの気遣いなのかもしれないのであった。

 

「……」

 

 少し冷静になって、ガーネフはここ数日のことを思い返す。

 サザ達と過ごしたデインでの日々。

 

(サザは……いつも訓練を欠かしていなかったな)

 

 大切な人を守るために、必死で努力していたサザの姿。

 彼は戦闘に関しては凡人であるはずだ。

 それはサザ自身も分かっている筈なのに、ひたむきに頑張っていた。

 

(そしてマカロフ……)

 

「悪いボス。金貸してくれない?」

「必ず出世払いするからさ」

「お、金目の物発見!」

 

(マカロフは保留で)

 

 あんまりいい思い出がないので、スルーすることにした。

 その内思い出すかもしれないという希望に掛けて、次へ行く。

 

(ズッ友……)

 

「お前は何故、自分の力を鍛えようとしない?」

 

(そんなことを言われた。アシュナード君に)

 

「そこそこ見所はある。ならば己の力を磨くのを忘れるな」

 

 そう言ってくれた。

 今までガーネフに付いてきてくれたのは、もしかしたらその潜在能力を認めていたというのもあるのかもしれない。

 あの時の言葉が、自信をなくした今の彼に響く。

 

「……」

 

 思えば、転生前も転生後も己の力を磨くなんてこと、ろくにやっていなかった気がする。

 なんだか自分は根拠もないのに凄い人間だみたいな考えに囚われ、井の中の蛙を続けてきた。

 最弱ステータスだって、なにかの間違いと思って、真面目に受け止めてはいなかったかもだ。

 

「だが、もう蛙じゃいられない……」

 

 広い海を知ったガーネフは今、不安を抱えながらも泳ぎ出そうとしていた。

 もう一度、仲間たちの姿や声を思い返し――そして。

 

 

 

「……くそ、早くミカヤを助けないとっ」

 

 朝、一人の少年が館を睨みながら隠れていた。

 自分にとって最愛の人があそこに囚われているという事実に、焦りばかりが募る。

 

「ガーネフたちはいない……おれ一人でやるしかない!」

 

 決意を固めてナイフの柄を強く握った。

 特別戦闘能力を持っている訳でもないが、それでも命をなげうって助けたい人がいるのだ。

 その気持ちがあればサザは何でも出来た。

 

「よし――!」

 

「動くな。怪しい奴め」

「!?」

 

◆一瞬の油断◆

◆サザは背後を取られ――◆

 

「ふふふ、あの少女との結婚式も明日か……」

 

 綺麗な私室。

 顔を歪めて椅子に腰かけるドリーは、捕らえたミカヤに想いを馳せていた。

 

「ふふ、容姿もさることながら、あの横暴なベグニオン兵に立ち向かっていける気概……民のために立ち上がれる高潔さ……実に美しい! この美の求道者ドリーの花嫁にふさわしいといえる!」

 

 首に掛けた宝石のペンダントを右手でいじりながら、ドリーは待望の日を待ち望む。

 すると、部屋のドアがノックされた。

 入ってきたのは部屋の前で警備していた兵。

 

「も、もうしわけありません。少しお腹の調子が……」

「なにぃ? まったく仕方のないやつだ。構わん、行け」

「す、すみません」

 

 そう言って持ち場から離れる兵。

 ドリーは呆れた様子で頭を振ると、これからの予定を考える。

 

「美術品磨きでもするか……」

 

 彼にとって至福の時間の一つ。

 美の守護者の後継者であるのなら、欠かしてはならない行為。

 彼は明日のことを思い浮かべながら、作業に没頭しようと立ち上がった。

 

「!」

 

◆いきなり開け放たれる扉!◆

 

「……ここまでだ! 悪徳領主!」

「ミカヤはどこにいる!?」

 

◆入ってきたのは少年と青年の二人組◆

◆サザとガーネフ◆

 

「何者だ! 貴様ら! 兵はどうした!?」

「へへ、お前のご自慢の兵なら……」

 

「うおおお、呪いパワー!」

「ぐお!? 腹痛い! 少しトイレ!」

「奇襲!」

「わあああ!?」

 

(てな感じで各個撃破したぜ!)

 

「ぐぬぬ、汚い靴で私の部屋に踏み入りおって……! 許さんぞぉ!!」

 

 怒ったドリーの手から光魔法が出現する。もう片方の手には魔導書が。

 かなりの迅速な対応に、ただの守られる貴族様ではないとサザ。

 魔防が高いために呪いも通じない。

 

「ガーネフ! 気を付けていくぞ!」

「分かってる! もう蛙はやめだ!」

 

 何を言ってるのか分からないサザだが、不思議といつもより頼もしさを感じ、少しだけガーネフを見直した。

 ドリーの放つ光魔法を躱しながら、接近していく。

 

「うおおお!!」

「ぬぬぬ!? は、速い!」

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