転生者はテリウス大陸へと:蒼炎の軌跡外伝!!! ライバルはアイク!?   作:幸福野郎

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怪物の訪れ

「くらえ!!」

「!?」

 

 サザの速さに気を取られている領主の隙を突き、ガーネフは槍の間合いに敵を収めた。

 ダッシュの勢いそのままに祖父に貰った槍を突き出す!

 

「なんのぉ!!」

「!」

 

 槍を無駄に華麗な動きで避けるドリー。

 見た目からは想像できない無駄に華麗さに、ガーネフは驚愕。

 ドリーは動けるタイプの肥満体型だったのだ。

 

(だが!!)

 

◆槍に込められた真の力が発動する!◆

 

(部分ワープ!!)

 

◆槍の切っ先が消滅し◆

◆ドリーの背後に現れる!◆

 

「これぞ不可避の槍! 【絶空】!!」

 

◆完全な死角攻撃◆

◆ドリーは避けられない!◆

 

「!?」

 

 そもそも避ける必要すらなかった。

 槍はドリーの体に弾かれ、敵を仕留めることが出来ない。まるで見えない鎧でも着ているかのような手応え。

 どういうことだ?

 ガーネフは激しい疑問を感じる。

 

「ふはは!! 馬鹿め!!」

「うわあ!?」

 

 ドリーの光魔法に吹き飛ばされるガーネフ。

 槍は彼の手から離れ、床を転がっていった。

 

「ど、どういうことだッ」

「……これぞ我が秘技! 【光の加護】!」

 

 自慢げに自分の腕にはめられた腕輪を見せるドリー。

 赤く大きな宝石で彩られた、とても強い魔力を感じる品。

 

「魔法か!」

「その通り! 貧弱な攻撃を全て無効化する、美しき鎧!」

 

(一定以下の攻撃を無効化する……夢のオーラ的な効果!?)

 

 ガーネフは冷や汗を流す。

 サザも自分も攻撃に優れている訳ではなく、突破できるかは怪しい。

 これがアイクなら魔法の鎧ごと斬り捨てられたのだろう。

 

「ははは、一気に終わらせてやろう!!」

 

◆ドリーは懐に手を突っ込む◆

◆すると◆

 

「【光の粛正】!!」

 

◆上下左右から光の玉が集まり◆

◆大きな光の鉄球が天井に出現した!◆

 

「うおおお!?」

「なッ」

 

◆爆音と共に、館全体が揺れた◆

 

「……!?」

 

 遠くにいたマカロフはその振動をしっかりと感じた。

 しかし、振動の原因まで調べることは出来ない。

 

「はぁあ……やっぱり逃げれば良かったかな」

 

 彼の現在地は館の玄関扉先。

 溜息を吐くマカロフの目前には、十人ほどのベグニオン兵。

 当然前に自分を倒したロンと言う剣士もいる。

 

「ふん、それなりに粘るじゃないか」

「そりゃどうも……」

「やはりおれ様の勘は当たっていたな。お前らはここに現れると!」

 

 ロンは戦わないでマカロフの戦いぶりを眺めている。

 余裕か、それとも別の理由があるのか。

 

「はっはは、しかしもうそろそろ始末させてもらおう。おれ様がやる!」

 

 数分程マカロフの戦いを見ていたロンだが、しびれを切らして自ら戦おうとする。

 腰に携えた剣を優雅に抜き、敵の首を一撃で刎ねるほどの気迫を放った。

 元々はさすらいの剣士だった彼が、賊どもを威圧する為に磨き上げたものだ。

 

(こりゃあ……まずい、あーあ……借金を返済してもらったからって、変に恩を感じて動くんじゃなかった)

 

 ガーネフたちに借金を返済してもらったマカロフ。

 そもそも彼が迷いの森に入ったのは、借金取りから逃げるためだ。

 

「お前は特別に、おれ様の【絶技】で始末してやる」

 

◆ロンの剣がマカロフへと向けられて――◆

 

「――ほう、なかなか骨がありそうな者だ」

 

◆重々しい声がその場を支配した◆

 

「……へえ」

 

 ロンはマカロフに対する興味をなくし、館の門から歩いてくる人物を睨む。

 その男が一歩歩くたびに空気が乱れるような威圧感が流れ、ロン以外の兵達を恐怖させた。

 力強い巨体と、持っている大きな剣。見覚えのある姿かたち。

 彼の全てがあらゆるものを威圧する。

 圧倒的な王の気配を持った、異質な戦士。

 

「おお、アシュナード……!」

 

 現れたアシュナードに助かったと思うマカロフ。

 だが、彼は特に仲間を助けにきたわけではないのだ。マカロフには見向きもしない。

 

「我と戦え。死力を尽くしてな」

 

 ただ強者を求めてアシュナードは現れた。

 その剣を振るうにふさわしい敵を求めて。

 

「ははは、いいね。乗った。楽しめそうだ――」

 

 にやりと笑うロンは剣を上段に構える。

 その構えは彼の絶技の前段階。

 今まであらゆる敵を一撃で葬ってきた、神業の領域に至った奥義。魔法を使う者に対して編み出し、結果的に最強の技となった一撃。

 だが、今回の敵は一撃で倒せないとロンは知っていた。

 

(こういう相手を待っていた、全力で戦える獲物を!!)

 

 ほくそ笑むロン。

 当然己の勝利を疑ってはいない。

 いくらでも彼は戦士を地に落とし、命乞いする顔を・悔しさで歪む顔を、刎ね飛ばしてきた。

 今回の相手もそうなる。

 ただそうなるまでの時間が長いか短いかの違いだ。

 

「行くぜ――!」

「来い」

 

◆ロンの剣が◆

 

「――」

 

◆アシュナードの一振りが人体を横に両断した◆

 

「え?」

「は?」

 

 周囲の者達はなにが起こったか分からない。

 常識が壊されてしまった衝撃。

 いままで様々な敵を葬ったリーダーの上半身が消し飛び、赤い水が散る光景。

 分かっていることは。

 

「――期待外れだ」

 

 井の中の蛙を排除した怪物の刃が、今度は自分たちに向けられるという事実。

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