転生者はテリウス大陸へと:蒼炎の軌跡外伝!!! ライバルはアイク!?   作:幸福野郎

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アイクVS転生主人公

「……で、そんなこんなで試験に落ちたんだ」

「へえ、残念だね」

「ふふふ、実はそんなでもないのさ……」

「?」

 

 グラスに入った赤いジュースを飲み干し転生系主人公は、にやにやと右手をさすっている。

 マスターはすでに奇行に慣れているので、特に触れずにグラスを磨いていた。

 まあどうせ自分から長々と語り出すだろうと予測して。

 

「実は俺……ミストちゃんに介抱されたんだよねっ」

「ほう、意中の相手に」

「そうなんだよー。でへへ」

「まあ、よかったな」

「へへへ」

 

 彼の話によると、入団試験の途中で体調を崩した自分を心配して、団員のミストに介抱してもらったらしい。

 まだ会って間もない人物をそんなに心配するなんて、とてつもなく善人だという印象を受けるマスター。

 

「それでさ。俺がわざと目を瞑って呻いていたら、手を握ってくれてさ」

「わざと?」

「そうそう。てか、倒れたのは自分で自分に呪いをかけたからなんだけど」

「……」

「でゅふふ、もうこれ手を洗えないぜ」

 

 話を聞いている内にわりと最低ではと思い始めたマスター。

 にやにやしている様子をみるに罪悪感はなさそうだ。

 

「そして薄目を開けて確認すると……近くにミストちゃんのおっぱ……でゅふふ」

「お客さん、それはどうかと思うよ」

「でゅふふ。嫉妬してんのかよぉ~」

「いらッ」

 

 可哀そうなやつを見る目で見られてしまったマスターは、若干イラっとした。

 一瞬カクテルの配分を滅茶苦茶にしてやろうかと思ったが、それはプロとしてできない。

 

「へへへ、そんなこんなでミストちゃんにあーんとかされたり、一緒にお喋りしたり……青春を謳歌したんだよ」

「はいはい」

「試験には落ちたけど……絶対また再チャレンジしてやるんだ」

「やる気はあるんだね」

 

 熱意に満ちた主人公の瞳。

 一応、アイクの傭兵団に入る気持ちはマックスのようだ。

 その動機がなんとも不純の極みだが。

 

「で、去る時に少しムカついたから、アイクに呪いをかけた」

「は?」

「でゅふふ、俺呪いはそれなりに得意なんだよ」

「……」

 

 完全な逆恨みにアイクに対して同情を抱くマスター。

 傭兵のアイクと言えばそれなりに知っているし、まだ嫌がらせを続けるようならチクる必要もあるかもと思う。

 

「で、どうなったんだい」

「ああ……それは。うッ」

 

 話の途中で腹を押さえた主人公は、凄い速度で店のトイレに入っていった。

 あまりの急展開にぽかん状態のマスター。

 数分後に主人公は戻ってきて、同じ場所に座った。

 

「これが呪いだ」

「へ?」

「あいつの魔防と精神力が高すぎて、跳ね返された。ちくしょう! バケモンかよ!!」

「……」

 

 アイクさんグッジョブ。

 全力でそう思ったマスターであった。

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