超次元ゲイムネプテューヌmk2 ~黒球に転生した者~ 作:legends
「はあ、はあ……ひどい目に遭いました……」
ネプギアが息を荒げながら項垂れる。
先程下っ端が用意していたであろうスライヌの軍団に襲われて(ただし性的に)、身動きが取れないでいた。だがキレたアイエフとシャドーによってスライヌ達は殲滅された。
「スライヌといえど、群れるとあれ程恐ろしいモンスターになるのね……」
「もう当分、スライヌは見たくねえよ……」
ケイブも先程襲われていたにも関わらず、意外と冷静だった。
一方、シャドーはスライヌに軽いトラウマが出来てしまった。
「下っ端には、完全に逃げられちゃったね」
「でも、ここに逃げ込んだってことは、ここがアジトであるかのうせいが高いですの」
「そうね。あんな目に遭って手ぶらで帰るのも癪だし、もう少し奥まで行ってみましょう」
そうしてこのダンジョンの奥に進んで行った。
──☆──
熱い……。
アンダーインヴァースの奥に入っていったのはいいんだが、細い道だし、何か下にはマグマがあるし……このダンジョンに入った当初とは大違い過ぎる。
まあこれは俺の心の中で思ってる訳で。直接言ってる訳じゃあない。とまあどうでもいい事を思ってると日本一が誰か捕まっているという声を発した。
「あれは……チカ!」
どうやら本物の箱崎チカのようだ。だが倒れている。俺達は急いで彼女の所へ駆けよっていく。
「チカ! 大丈夫ですか?」
「う……ああ、ケイブ……?」
チカは弱弱しく顔を上げながら言う。弱っていたが、怪我を負っている様子はないようだ。
「気をしっかり。今助けます」
「ううん、いいの。アタクシはもうダメ……。ああ、最後にもう一度……ベールお姉様にお会いしたかった……」
「そんな! ようやく会えたのに……」
「いや、全然ダメそうには見えないし、めっちゃ余裕そうに思うんだが……」
実際、顔色を見てもまだ大丈夫そうに見えるし、ただかったるそうにも感じる。悲しそうにするネプギアとは対照的に、俺がそう思いながら言い放つ。
「チカの戯言に耳を貸す必要はないわ。いつもの事だから」
ケイブがやれやれといった口調で返した。
「ひ、ひどい。アタクシ、本当に死にかけて……げほっ、ごほごほ! ……ちらっ」
「……確かに死にそうって感じじゃないわね」
「でも、体は本当に弱ってるです。安静にできる場所に運んだ方がいいです」
「ええ。一度教会まで運びましょう」
「無理よ。アタクシはもう歩けない……どうかアタクシの事は、ここに置いていって……あなた、どうしてそんな体をしているのかしら……?」
俺達がチカを教会まで運ぼうとしたら、実際は余裕なのにもう死ぬという風に言ってきた。しかもついでに俺の体の事まで尋ねてきた。
……うん、めんどくさい人ですな。こりゃ。
「とりあえず色々あってこういう体なんだ。理由は詳しく話せないが」
もうこの言い方が定着しちゃってるな。
「ふーん……まあどうでもいいわ」
「おい」
おい(ニ回目)。そっちから振ってきたのにその返しはどうなんだコラァ……。
「いつまでもふざけていると、本当に置いていきますよ」
「……もう、つれないんだから。ケイブは……」
ケイブがこの問題ありまくりの教祖に対する、ある意味ストッパーの役割を果たしているな。
まあ何はともあれ。チカの救出は成功したので、俺達は教会に戻る事にした。
──☆──
「先程は見苦しい所を見せたわね。アタクシがここリーンボックスの教祖、箱崎チカよ。覚えておきなさい」
「さっきとは全然様子が違うな……」
そう、ダンジョンで見つけた時とは打って変わっていた。やっぱり教祖ってのは個性豊かだな。
「悪い癖なのよ。見逃してあげて」
いつもこんななんか。慣れるまで時間かかりそう(小並感)。
「本物のチカさん……つまり、こっちのチカさんが私をリーンボックスに呼んだんですよね?」
「ええ。各国のシェアを回復させている女神がいると聞いて。女神不在のこの国には、うってつけかと思ったの。……それに何より、あなたはベールお姉様の事をご存知なのよね? さあ、早く話しなさい! ほら、早く!」
「え、あ、あの……何か目が怖いんですけど……」
興奮しているチカが喧騒たっぷりの目でネプギアを見つめる。……というか、興奮しすぎだ。ネプギアが困り果ててるし。
……ツッコむか?
「いいから! 時間がもったいないから早く話しなさい! こちらから出せる情報ならいくらでも渡すから!」
「は、はいい……」
チカの恐ろしさにビビりながらもネプギアは返事した。
これは、あれだな、ツッコんだら負けってやつだ。
――☆――
ネプギアから話をある程度聞くと、チカは険しい顔になっていた。
「……そう。ではベールお姉様は今も犯罪組織の手に落ちたまま……」
「はい。それで、助けるためにはゲイムキャラの助けが必要なんです。チカさん、この国のゲイムキャラの居場所とか、ご存知じゃないですか?」
「知っているわ。いえ、正確に言えば知っていた、ね」
ん? 知っていた、って……? 意味深な回答だな。
「どういう事です?」
「この国のゲイムキャラは、すでに犯罪組織の手に渡っているの。アタクシが捕まる少し前にね」
「じゃあ、もうやられちゃったの? ルウィーの時みたいに」
「ディスクのはへんがあれば、がすとが直せるですけど」
「いえ、そのような気配は感じないわ。消されたのであれば、国に何らかの予兆があるはずだし……」
何らかの予兆、か。そのような事はリーンボックスに来てから今のところは感じていないが……。
「なんで今回はすぐ壊さないんでしょう?」
「さあ、そこまでは。犯罪組織が何を考えてるかなんて分からないし」
犯罪組織がしようとしてる事……犯罪神を復活させることが主な目的。
だが、他の目的はまだ分からないと。
「ただ、壊されてない以上、取り戻すチャンスがあるというのは間違いないわね」
「そうですね。一刻も早く助けないと……」
「そのためには犯罪組織の……いや、もっと分かりやすく、下っ端を探して吐かせた方が早いかもね」
「あれだけ目立つ風貌をしているんだし、街の誰かが見かけているかもしれないわ。一度情報収集をしてみましょう」
「おう。そうだな」
俺達は、街に出るために教会を後にした。
──☆──
シャドー達は下っ端の情報を街の人や警備隊の人達に聞いてみた。すると以前訪れたアンダーインヴァースに向かっていったとの情報が入った。
ちなみに彼は下っ端だけではなく大きいネズミが出入りしていると聞き、久々のアイツか……と思っていた。
情報を頼りに、シャドー達はダンジョンに向かった。
場所は変わってアンダーインヴァース。
「……それで正体がバレた上に、教祖まで取り返されたっちゅか? 相変わらず使えないっちゅ……」
「うるせぇ! 元々、こそこそ変装するなんてガラじゃネェんだよ!」
一人と一匹、言い合いをしていた。下っ端と、前にシャドーによって"スロウ"で投げられ、"ファイター"のサマーソルトキックで星になったのにも関わらずピンピンしていたワレチューである。
「そうっちゅね。ガサツな女に教祖の真似事なんて、土台無理な話だったっちゅ」
「なんだろうなぁ。その通りだが、テメエに言われるとムカツキ度二割増しで聞こえるのはよぉ!」
「仕事ができないやつのひがみっちゅ。こっちはちゃんと命令通り、ゲイムキャラを生け捕りにしてきたっちゅ」
ワレチューの手には、緑色のゲイムキャラのディスクがあった。
ゲイムキャラは息を呑みながらも、至って冷静に沈黙している。
『…………』
「チッ、面白くネェ……捕まえたんなら、さっさとブッ壊しちまえばいいのによ。なんで生け捕りなんて面倒臭ぇ……」
「そういう命令っちゅ。なんでも壊せばいいって単細胞だから、いつまでも下っ端から出世できないっちゅ」
「だから! テメエが下っ端よばわりすんじゃネェよ!」
散々煽り発言を言いまくるワレチューに下っ端は散々怒りを増して言い放つ。
その時だった。
「いた! 見つけました!」
ネプギア達が一人と一匹の所にやってきた。
「それだけ大声でケンカしてくれてると、探す方も楽でいいわ」
「下っ端とネズミ……いたのか」
「うおわ!? ま、またテメエ等か……どうしてこの場所が分かった!?」
「派手な女と大きいネズミが出入りしている場所、と街の人に聞いたら、簡単に聞き出せたわ」
ケイブはそう言う。下っ端は動揺を隠せないでいた。
「ああっ! コンパちゃん! コンパちゃんの方から会いに来てくれるなんて……感激っちゅ!」
ワレチューはコンパに治療されたあの時が忘れられなく、振られたにも関わらず未だに嬉しそうにしていた。
「ネズミさん、ゲイムキャラさんを返してください!」
「返すっちゅ! いくらでも返すっちゅ! 今すぐ返すっちゅ!」
そうして興奮しながらコンパにゲイムキャラのディスクを渡そうとするが。
「バカぬかしてんじゃネェ! この発情ネズミが! はいそーですか、とでも言うと思ったのかよ!」
ワレチューの頭を下っ端が殴り、動きを止めさせる。
「ちっ、惜しかった。大人しくあのまま止めなければ、上手くこっちに流れがきたのに……まあいい。とりあえず、お前達を倒してから、取り返してやる」
「あなた達は少々好き勝手やり過ぎたわ……覚悟してもらいましょうか」
「覚悟すんのはテメエ等だ! 毎回毎回素直に負けてやると思うなよ!」
「ふん、そう上手く事が進むと思っていたのか? 目にものを見せてやる!」
こうして、人数差では圧倒的な対決が始まった。
そろそろ、シャドーが悪魔としての本性を現す時が来るかな?(予想)