超次元ゲイムネプテューヌmk2 ~黒球に転生した者~   作:legends

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今回シャドーの悪魔な暴れっぷりが見られますw
後、ルウィーのゲイムキャラのフラグ回収回です。


覚醒の悪魔

 パワーアップした下っ端とワレチュー戦。ネプギア達は劣勢を強いられ、手も足も出なかった。

 

 ―――そんな時だった。シャドーが突然驚異的な覚醒をしたのは。

 

『キキキキ……ヒヒヒ……』

 

 狂気染みた嗤い。それはまるで悪魔に取り憑かれたかのような不気味な外見と一致していた。

 

 下っ端やワレチュー、ネプギア達はその異様なまでに変貌してしまったシャドーを見て、誰一人も口を動かせなかった。

 

 さらに体中からゆらゆらと噴出している黒いオーラは、女神が変身する時のシェアとは、まさに真逆のようだった。

 

『ヒャハハハァ!!!』

 

 シャドーが狂った嗤いと共に下っ端に襲い掛かる。先程までと違う、異常に素早い動きだった。

 

 下っ端もシャドーの変貌ぶりに呆然としていたが、彼の声で我に返る。

 

「ぐうぅぅ!」

 

 すぐさま武器でガードするも、予想以上に攻撃が重かったのか下っ端が顔を歪ませた。さらに受け止めたにも関わらず後方に退かせた。

 

「ちゅ──!!」

 

 ワレチューが突っ込んできてシャドーに襲い掛かろうとしてくる。

 

『ハァ!!』

 

「ぢゅうぅう!?」

 

 ぶつかる手前でシャドーは超人的な速さで振り返り、剣を薙ぎ払うように振るった。剣の動きが残像を残す程だ。

 

 急に止まれる事ができず剣撃でワレチューは大きく吹き飛ぶ。

 

 そこからシャドーは追撃しようと地面を蹴り、凄まじいスピードで跳躍する。その速度は大砲の玉と言っても過言ではない。しかもその跳躍の時、地面に衝撃が発生し小規模な風圧が残っていた。

 

 ワレチューの眼前に迫ったシャドーは縦に剣を振る。ワレチューは防御の姿勢を取るが、空中ではあまり意味がなく、防御の姿勢のまま叩き落とされてしまった。落下し地面に激突した影響で土煙が舞う。

 

 もう一撃として重力に従い、落下する勢いのまま叩き落とされたワレチューに強烈なキックをお見舞いした。

 

 その衝撃は凄まじく、地面が砕け瓦礫が舞い、ワレチューは"く"の字になって吐血する。

 

「く、クソがあああぁ!」

 

 ワレチューをフルボッコにしている最中、下っ端は手が出せない状況下にあったが、痺れを切らしたのかヤケクソ気味にシャドーに突進してきた。

 

 が、シャドーは向かって来ている事に気づいていなかった。

 

「か、カービィさん!!」

 

 シャドーが覚醒してから一言も発していない、否、声が出なかったネプギアがシャドーに向けて叫ぶ。

 

 それによって、他の面々も一気に我に返る。だが、彼は彼女の叫び声にすら気が付かなかった。

 

 そして肉薄した下っ端が武器を力一杯振るった。思わずネプギア達が目を瞑る。

 

 するとすぐに鈍い音が聞こえた。シャドーがやられてしまったのかと恐る恐る目を開ける。

 

「な、何じゃこりゃあ!?」

 

 下っ端の驚愕した声と同様に、想像の遥か上の光景に目を疑った。

 

 下っ端の攻撃はシャドーの異様な形をしていた翼に確かにクリーンヒットし、めりこむように大きく歪んでいた。だがその時、翼がグネグネと不気味に動き始めたのだ。

 

 まるで下っ端の得物を取り込むかのような動きに、思わず彼女は得物から手を放す。

 

 そこでシャドーは下っ端の存在にようやく気付く。紅い目で下っ端の方を睨みながら振り向いたシャドーは相変わらずゲスな笑みを浮かべている。

 

 その不気味な顔に尻込みし、固まってしまう下っ端。

 

 すかさずシャドーは―――。

 

『ウヒャアハハハハ!!!』

 

 飛び上がりつつサマーソルトの如く勢いよく一回転し、下っ端を吹き飛ばした。

 

「ぶっはああぁぁぁ!?」

 

 打ち上げられた下っ端は絶叫し、そのまま真上に吹き飛んでいく。

 

 彼はその様子を見上げたまま飛び上がる。刹那の間に下っ端よりも頭上にいつの間にかいたシャドーが、今度はかかと落としの要領でワレチューと同じように足で下っ端を叩き落とした。

 

 結構な勢いがあったのか、地面が陥没し亀裂が走る。それでもパワーアップした影響があるため下っ端は立ち上がる。

 

 シャドーは下っ端の前に着地し、そのまま下っ端の前へとゆっくりと近づいて行く。

 

 自身とワレチューは疑似ゲイムキャラのディスクを用いて遥かにパワーが上がったのにも関わらず、変貌したシャドーに翻弄されて彼の存在に対し怯えが生じていた。

 

「化け物がああ……」

 

 薄気味悪くも、下っ端はそう呟く。

 

 目の前の敵は、目が赤くて鋭く、口もおかしいくらいに裂けているのだ。こんな敵を目の前にして、下っ端は恐怖感を味わっていた。

 

『ヒッヒッヒ』

 

 シャドーは何度目か分からない嗤いを零すと、ドス黒い剣を天に構える。

 

 するとその切っ先から剣と同じ色のエネルギーがズズズ……と凝縮されていく。

 

 やがて、赤黒い"玉"のようなものが切っ先に形成されており―――。

 

『ヒヒヒッ……ハァッ!!』

 

 そして、剣から閃光が放たれ―――先端から無数の光線が射出された。

 

 例えるなら多量の針地獄の先端を真正面から見たと言えるだろうか。そのとんでもない物量の嵐が下っ端とワレチューを襲う。

 

「うおわっ!?」

 

「ちゅっ!?」

 

 向かいくる閃光に一人と1匹は驚きながら、慌てて回避行動を取る。

 

 光線が地や壁に着弾する度に次々と爆発を起こし、荒らしていく。

 

 シャドーは下っ端とワレチューしか見えていないのか、ネプギア達まで影響が及ばなかったのは幸いだったか。

 

「あの黒チビ、なんつーモノを飛ばして―――ぎゃっ!?」

 

「ぢゅぅぅぅ!?」

 

 滅茶苦茶で不規則な軌道で飛ばされていたためか、下っ端とワレチューの手前で着弾し、吹き飛ばした。

 

『フヒヒ……ハハハ……クキキキキ……』

 

 もはや狂ってしまったといっても過言ではないぐらいに嗤っていた。その場にいる全員が怯えた。

 

 ネプギアは依然としてシャドーを怪訝な表情で見つめ、アイエフは見てられないという顔で目を逸らし、コンパとがすとは完全に怯えている。ケイブは何故かキッと目を鋭くしていたが。

 

 と、その時だった。

 

「うーん……あれ? カービィ?」

 

 ドンパチ騒ぎで気付いたのか、先程下っ端に壁に叩きつけられた日本一が目を覚ました。近くにいるシャドーに声をかけるも、その姿が明らかに変わっている事に気付いた。

 

「どうしたの? 滅茶苦茶悪そうな格好だよ?」

 

 他の人達が怯えている中、日本一はシャドーの不気味な姿を見て能天気な発言をした。

 

 こんな時ではあるがネプギア達はやはりこの子頭が弱いと思ってしまった。そんな事は露知らず、日本一は壁穴から抜け出し、降りる。

 

 

 ───瞬間。

 

 

 

 ヒュオオオオオォォン

 

 

 日本一の頭の上を何かが通り過ぎていった。

 

「……え?」

 

 突然のことに反応できなかった日本一。後ろを振り返り見上げる。するとそこには、──-ぽっかりと細長い穴の空洞があった。

 

 最初はこんなものはなかった。さらに言うとそこは日本一が叩きつけられた所だ。

 

 一体誰がとネプギア達は推理する。それをやったのは下っ端? 違う。いくら今の下っ端が強くなったと言って、反応ができない程の攻撃をしていない。ではワレチューか? それも違う。大体、ワレチューはさっきシャドーの攻撃によってダメージを負っていて少しフラフラしていた。

 

 まさか! と思いシャドーの方向を見る。

 

『……クヒッ……』

 

 シャドーの様子は変わらないが、剣を両手で持ち振りぬいたと思われる動作をしていた。否、自分の仲間を攻撃したのだ。

 

 あれほど仲間思いだったのに何故? 狙っていたのは下っ端達だけではなかったのか? まさか、今の状態は完全に理性がないのか。シャドーが日本一に顔を向けたままで、視線を外そうとしない。

 

 だとすれば―――。

 

「日本一! シャドーから離れなさい!!」

 

 アイエフがこれ以上シャドーの近くにいたら非常に不味い事になると思い、日本一に向けて叫ぶ。声をかけられた本人はキョトンとしていた。

 

「え? なんでさー」

 

「いいから早く離れなさい! じゃないと、アンタやられるわよ!」

 

「え!? やられる!?」

 

 日本一が驚いた顔をし、しばらくオロオロしていたが、少しするとアイエフ達の元に行った。

 

 シャドーは日本一の方向を追い、ネプギア達に視線を向ける。そして剣を掲げ、真っ黒いエネルギーを溜め始める。それにイチ早く付いたアイエフが皆に向けて叫ぶ。

 

「……ッ!! 皆、避けて!!」

 

「えっ! な、なんでですか―――」

 

 何故かとコンパが問おうとしたが、その瞬間、シャドーから赤黒い三日月型の巨大な波動切りを放ってきた。それは地面を抉りながら突き進み、ネプギア達を襲う。

 

「!!」

 

 一直線上だったため各々が別々の方向に何とかかわす。

 

『ヒヒヒヒヒ……』

 

 しかしシャドーは間髪入れず、剣を掲げ再びエネルギーを溜めようとしていた。

 

(カービィさん……!)

 

 ネプギアは何を思ったのか、急にシャドーの元に走って行く。アイエフやコンパ達は大きく目を見開かせた。

 

「なっ……! ネプギア!? 待ちなさいよ! なんでシャドーのとこに行くのよ!」

 

「ギアちゃんダメです! あれじゃやられに行くようなものです!」

 

 ネプギアに制止を聞かせる声を上げるが、それを聞かずに向かった。自殺行為であると知っていながら……。

 

 シャドーはズズズと真っ黒いエネルギーを溜めていた。後数秒でもすれば再びそれが放たれるだろう。

 

「カービィさん! お願いです! 止めてください!」

 

 ネプギアがこの先には行かせないといわんばかりに手を広げてシャドーの前に立ち塞がり、声を呼びかける。

 

『イヒヒハハ……ハ?』

 

 ネプギアが声をかけるもほぼ無意味だった……と思いきや、ピタッと動きを止めた。表情が緩まり、剣を降ろして溜まったエネルギーが霧散する。

 

「……え?」

 

 流石に急に聞いてくれるとは思わなかったので、ネプギアもポカンとする。それには遠巻きに見ていたアイエフ達も同じような反応だった。

 

『ァ……ヌフハハハッ!』

 

 しかし少し時間が経つとまた先程までの不気味な声と笑みを漏らすようになり、剣を掲げてエネルギーを溜め始める。

 

「まさか……」

 

 ネプギアは何かを思いつき、シャドーに声をかける。

 

「カービィさん! 聞こえますか!? 私です! ネプギアです! もうこんな事止めてください!」

 

 ネプギアは声をかけて動きを止めたため、だがシャドーは聞こえた素振りを見せず、無我夢中でエネルギーを溜めている。

 

 もしこのまま聞いていないと攻撃を貰う可能性がある。それを思ったアイエフ達はネプギアに避けてや、離れてなどの心配の声をかける。

 

 そして剣のエネルギー充電が最大になり、天に(そび)える巨大なオーラを纏う特大の剣と化す。

 

 あんなものを女神化もしていないネプギアが喰らってしまえば、裁断されるか、潰れるといった事になりかねない。どちらにせよ直撃すればタダじゃ済まない。

 

 このままではやられる。アイエフ達はそう思い、彼女の元へ向かおうとした。

 

 だが、ネプギアは勇気を振り絞って、彼に言い放つ。

 

「お願い! カービィさんやめてください!!」

 

 その一声によって。シャドーは反応を示した。

 

『ウア……? ネプ…………ギア……ウウ……アアア……ギ……アアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』

 

「カービィさん!?」

 

 シャドーは我に返ったのかネプギアの名前を言いかけようとしたが、エネルギーが止んだ剣を落としたと思えば突然苦しみ出し、大声を上げた。その声は、ダンジョン内に響く程だ。

 

 さらに体中からとめどなく黒い渦のようなものが出ていた。まるで、何者かによる支配から逃れているような……それは勢いを増している。

 

 シャドーは、依然として大声を上げ体から黒い渦を吹き出し続けていた。その様子を見ていられなくなったネプギアがシャドーの側に行き―――。

 

「……カービィさん……」

 

 涙を流し、まるで赤子をあやすようにその体を抱き締めた。苦しみの声を上げる中、それでもネプギアは泣きながら抱き締め続けた。

 

『ガアアアア!! アガッグ……アアアあアアあああああ!!』

 

「カービィさん……! がんばって……! がんばってください!!」

 

『うぐウ……ネプ……ギア……うああアアア!!!』

 

 傍から見ても、彼が受けている苦しみはどれ程のものなのか分からない。シャドーが上げる悲痛の声に目を背けたくなるが、アイエフ達は食い入るように見つめている。

 

「あ……ああ……うう…………」

 

「か、カービィさん……?」

 

 ネプギアが見ると、シャドーの体からは黒い渦が出てくる量が少なくなっていた。それに伴って、彼も正気を取り戻しかけている。

 

 さらに、生えていた真っ黒い翼が消えかけていて、紅い目と裂けていた口が消え、元のシャドーの顔に戻りかけていた。

 

 落ちていた剣も、元々真っ黒いオーラがかかっていたが、彼からのオーラが晴れる度に輪郭が露わになっていく、

 

 それは鏡の世界における、伝説の秘宝・万能の剣―――金色の"マスターソード"だった。

 

 そして遂には―――。

 

「……う……あ……ね……ネプギア……?」

 

「か、カービィさん……? カービィさん!!」

 

 可愛らしい声が聞こえ、ネプギアが体を離すといつも通りのシャドーに戻っていた。いつものシャドーのくりっとした目、口、そして声も聴きなれた声となっていた。

 

 ネプギアはいつものシャドーに戻ってくれた事でぽろぽろと涙を零す。

 

「ネプギア……泣いてるとこ悪いけど、俺は……俺は一体どうなっt「カ──ビィさ──ん!!!」のわっ!? ちょ、ネプ……むぐっ!?」

 

 シャドーが何かを聞こうとしたが、ネプギアが勢いよく抱き付いてきて、勢いが強すぎたのかドサッとネプギアがシャドーに覆いかぶさるような形になる。

 

「もががっ!? ひょ、ふぇふふぃあ(ちょ、ネプギア)……ふふひぃっへ(苦しいって)……!」

 

「よかった……カービィさん……本当に、よかった……!」

 

 シャドーは(不可抗力とはいえ)口が塞がれて息が出来ない状態になった。何とか気付いてもらおうとジタバタするが、気付いてもらえない様子だった。それどころか、安堵の表情で、未だに強く抱きしめていた。

 

「む……むふぇふぁ(胸が)……あふぁふぇる(当たってる)……ふぇいうふぁ(ていうか)ふぁふいっふぇ(まずいって)!」

 

「あっそこは……ひゃん! カービィさん、そんなに顔動かさないで……ああっ!」

 

 酸素を取り入れようとネプギアの胸で激しく頭を動かすものだから、彼女はやけに艶っぽい声が出てしまった。

 

(あ……やべ……)

 

 ―――カクンッ

 

 遂にはシャドーが動かなくなった。

 

「……へ……? ああっ! カービィさんが昇天してる!?」※死んでません

 

「全く……何やってんのよアンタ達は……」

 

 アイエフ達が呆れながらやってくる。

 

「よく分かんなかったけど、カービィが元に戻ってよかったね!」

 

「そうね……一時はどうなるかと思ったけど……」

 

 シャドーが倒れている中、シャドーが元に戻ってよかったと皆が談笑していた。

 

「あの~こっちの存在を忘れていませんか──?」

 

「そうっちゅ。そこの黒ボールよりも、コンパちゃんはオイラの心配をして欲しいっちゅ!」

 

 下っ端とワレチューが自分を指差しながらそう言ってきた。

 

「……まだいたのね。アンタ達」

 

「うるせぇ! テメエ等がぐずぐずしてっから、こっちが待たされるハメになるんだよ!」

 

 自分達が悪い訳ではないのに、抗議の声を上げる下っ端。

 

「でも、まだあの状態は続いているんですよね……」

 

「うっ、確かにそうだったわね……」

 

 ネプギアが言うあの状態。それはゲイムキャラのディスクを不法で使って下っ端達がパワーアップした事。

 

 その状態を未だ維持していたため、それはそれでまずいという訳だ。

 

「そうさ! ソイツにはヤられたが、もうあのヤベエ状態にはなってネェ! テメエ等如き楽勝さ!」

 

 下っ端が自信満々に言い放つ。覚醒したシャドーが元に戻ったはいいが、誰かさん(ネプギア)のせいで気絶して、もはやパワーアップした下っ端やワレチューには誰も勝てやしないのか。そう思っていた。

 

 

 

 

 

「諦めないでくださいっ!」

 

 ……真なる助っ人が来るまでは。

 




微妙な区切りで終わってしまってすいません……。
とりあえず、次回から原作に戻ります。
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