超次元ゲイムネプテューヌmk2 ~黒球に転生した者~ 作:legends
自分でもバカだと思いましたw
「それじゃ、この島はもう大丈夫なんだね」
俺達は、下っ端のいた犯罪組織の拠点を清算し、そのことをファルコムに伝えにきた。
「余程の事がなければ、もう一度来ようとはしないと思うわよ」
「本当にありがとう。君達が来てくれて助かったよ」
「いえ、当然の事をしただけですから」
ネプギアの言う通り、ファルコムから感謝の礼を言われたが、犯罪組織のこれ以上の悪事は見逃せないためにやっただけに過ぎない。
「ファルコムさんは、これからどうされるんですか?」
「そうだね。もう一度旅に……と言いたいところだけど、それはもう少し先かな。この島には、犯罪組織の爪痕が多く残っているし、まずは復興の手伝いをしないと」
「そうか。また何かあれば俺達を頼ってくれても構わない」
「がんばってくださいね。私達も、一日も早く犯罪組織をやっつけますから」
「うん。今回の恩は絶対忘れないから! あたしにできる事があったら、いつでも手を貸すからね」
そんなありがたい言葉をくれて、ファルコムと別れた後、俺達は改めてプラネテューヌに向かうためにその場を後にした。
──☆──
「ただいま、いーすんさん」
「お帰りなさい、みなさん。長い旅、本当にご苦労様でした」
俺達は久々にプラネテューヌの教会に帰ってきた。出迎えてくれた妖精サイズのイストワールの姿をこうして見るのも久しぶりだ。
「へー、ここがプラネテューヌの教会かー。他の国もきれいだったけど、ここが一番かも」
「……ここでライブしたら、何人くらい入れるかな」
「あまりきょろきょろしないですの。いなかものまる出しですの」
日本一が辺りを見回し、5pb.が物思いにふけっていたところをがすとに突っ込まれた。
……随分大人じみた事を言うな、うん。こういうの、おませさんって言うんだっけ。
「なんかしつれいなことをおもわれた気がするですの」
「気のせい気のせい」
危うくがすとに気付かされそうになった。
「指示通り、各国のゲイムキャラの協力を取り付けてきました」
「はい。こちらでは今、みなさんが取り戻してくれたシェアを凝縮して、新たなシェアクリスタルを精製中です」
「それが完成したら……」
「そうです。今度こそ、女神達を救出します」
遂に来たか……女神救出の時が。
女神を助け出すことが俺達の本来の目的。シェアクリスタルとやらが完成すれば、その目的が果たせるという訳だ。
「いよいよか……」
「ついに本物の女神様を助けられるんだ! 腕がなるよー!」
「……女神様に、ボクの歌を……!」
「せかいへいわまで、あと一歩ですの」
「今度こそ失敗しない。絶対に……!」
皆、気合が入っている。
でも、そう簡単に助けられるとは思えない。テンプレだが、よくある救出の前にあるのは、その救出する対象に待ち受ける試練や刺客がいるのだ。
だから恐らく、手前の物事を片付けなければ女神は救出できないかもしれない。俺の思い過ごしであればいいのだが。
「…………」
俺達が意気込みを呟いていた時、ネプギアがあからさまに不安そうな表情をしていた。やはり、色々思う事があるんだろう。
「あの、ちょっと待ってください!」
そんなことを思っていると、ネプギアが声を上げる。
「あの、やっぱり他の女神候補生……ユニちゃんやロムちゃん、ラムちゃんも一緒に行ってもらった方がよくないですか?」
「それは……もちろん当初はその予定でしたが……」
そのことは一応俺も考えていた。だが……。
「みんな断られちゃったじゃない。あの様子じゃ、もう一度説得しても時間のムダよ」
アイエフの言う通りである。一度断られてしまったため、説得しようとしても素直に承諾するとは思えない。
「それはそうですけど、でも……」
ネプギアが逡巡して話が上手くまとまらない時だった。突然アイエフの携帯が鳴る。
「あ、ごめん。アタシだわ。えっと……諜報部のオトメちゃんから? もしもし、どうしたの? え……? それって……! うんうん……分かった。そっちも気をつけて」
アイエフが電話を切るなり深刻な顔にする。
……言わなくても分かる。これは何かあったな。聞くのが少し怖かったが、俺は理由を聞く。
「何かあったのか?」
「ルウィーで、犯罪組織の活動が急激に活発化したらしいわ。僅か数日で、九割近くのシェアが奪われたって……」
その言葉を聞き、その場の全員が驚いた表情をする。
「九割!? あり得ない数字です……一体何が?」
「そこまでは……本当に急な出来事だったみたいで」
「ロムちゃんとラムちゃんは大丈夫なんですか?」
「だから、そこまで分からないってば」
どうやってそんな事ができたのかは分からないが、シェア関係でやった奴らは間違いなく犯罪組織に決まってる。
なんでそんな事をしやがったんだクソが!
「たしかなことは言えませんが……女神が九割ものシェアを奪われれば、体になんらかの異常をきたすのが普通です」
「そんな……」
「気になります。他国のこととはいえ、あまり多くのシェアを奪われたら、作戦に支障が出る恐れも……。まだ、シェアクリスタルの完成には時間がかかります。その間に、ルウィーの調査をお願いしてもいいでしょうか?」
「はい、行ってきます。私も二人の事が心配ですから」
無論、俺もだ。誰だかは知ったこっちゃねえが、そんな卑劣なことをする奴には制裁が必要だな。
──☆──
「失礼します!」
俺達はルウィーの教会に辿り着いた。
扉を開け、中へと駆け込む。すると、教祖ミナが書類や資料に目を向けながら何やら慌ただしくしている様子だった。
俺達の姿を確認したミナは驚いた表情を浮かべる。
「あ、あら? あなた方は……何故、ルウィーに?」
「かおいろが悪いですの。だいじょうぶですの?」
そう、ミナの顔色は明らかに悪くなっていたのだ。目の下には隈も出ているし。
「すみません……ここ数日、不眠不休の状態が続いていたものですから……」
突然起きた異常事態。そんなにやばい事になってるのか……。
「ロムちゃんとラムちゃんは? 二人は平気なんですか?」
「あんまり、平気じゃない……」
ネプギアがミナに二人の安否を確認しようとしたところ、ラムが顔を覗かせる。
ラムの顔色も悪く、いつもの元気さが感じられなかった。
「ラムちゃんだけ? ロムちゃんは?」
「寝てる……あの日から、ほとんど目を覚まさないの、ロムちゃん……」
「原因は分かってるの?」
「いいえ。いまだ不明です……ただ、突然シェアを奪われたという事実があるだけで……」
そう答えるミナでも、まだ原因は分からないか……犯罪組織の奴らも随分とまあ手の込んだことをしてくるな。
九割近くのシェアを奪ったんだ。シェアがなくなれば女神にとっては、命に関わらずとも身体や精神に何らかの異常をきたす。だから何としてもそんな事にはなって欲しくない。
「そう……じゃあ、それを調べるところから……」
「待ってください。二人を助けるのが先です!」
「え……?」
ネプギアの言葉にラムは驚いた表情をする。
だが、俺も同じ事を思っていたところだ。
「助けるって、どうやって助けるの?」
「シェアを回復するんです。そうすれば、ロムちゃんもラムちゃんも元気になって……」
「かいふくしても、またうばわれたら同じですの」
……確かにな。そもそも九割のシェアが向こうにあるんだしな。たとえ回復しても、また奪われるのが目に見えている。
「い、それは……そうだ! ミナさん、シェアクリスタルは作れますか?」
「は、はあ……一応、方法は知ってますけど……」
「じゃあ、回復したシェアをすぐクリスタルにしてください。小っちゃいクリスタルなら、すぐ作れますよね?」
なるほど、その方法があったか。今現在で疲弊しているミナには悪いが、試してみる価値はある。
アイエフは何か言いたげな感じだったが、今のネプギアの様子では止められないと思ったのか、多少呆れながらも協力するようになった。
「……本当? 本当にロムちゃんの事、助けてくれるの?」
「ロムだけじゃない、ラム、お前もだ。何としてでも必ず二人を助けてみせる!」
「ま、待ってください! お気持ちはありがたいですが、他国の方にそこまでしていただくわけには……」
ミナがこれ以上迷惑をかけるのは忍びなかったのか、声をかける。
「なんでだ? ラムとロムがこんな様子じゃ、助けない訳には行かないだろ?」
「そういう問題ではないんです。あまり他国に借りを作っては、ルウィーの自主性とか、政治的な立場とか色々と……」
ふう……。こんな時だってのに全く。
「……こういうのもなんだが、俺は困ってる人を見逃すってことが好きじゃないんだよな。それに、こんな一大事の時に自主性とか政治が何だろうが、そんな事、今は関係ない。下手すればロムとラム、二人の状況が芳しくないんだ……だからただ黙って見ているだけってことはしたくない」
「……ですが……」
頑固だなあ。恐らくこの国の問題はこの国だけで解決するって考えているんだろう。教祖という立場もあるから。
しかしその教祖も体調がよろしくない。だから無理せずこんな時こそ、頼ってくれればいいのにな……。
ん? さっきミナは借りって言わなかったか?
……そうだ。だったらお互い納得する条件を立てればいいんじゃないか。
「だったら……交換条件を立てないか?」
俺なりの意見を出すと、ネプギアはあっ! という表情をする。
「そっか、分かりました! ミナさん、私達はロムちゃんとラムちゃんを助けます。
その代わり二人が治ったら、女神達を助けるために、二人にも協力してもらいます。それでどうですか?」
なるほど、半分勢いで言ってしまい、少し考えないと意見が浮かばなかったが、ネプギアが代わりに言ってくれた。うーんありがたい。
「そ、それは……妥当な取引かしら? いえ、なんかこちらにばかりメリットがあるような……」
「それでいいよ! だからロムちゃんを助けて!」
「あ、ダメですよ! 勝手にそんな……」
「ラムも承諾したから交渉成立ゥ! って事で……行ってきまーす!」
俺達はこれ以上なんやかんやあると嫌なので、ミナには悪いが、ラムの言葉も出汁に、強引に言いつつ教会を後にした。
「……押し切られてしまいました。うう、わたしひょっとして、ダメ教祖なんでしょうか……」
ミナは誰もいなくなった教会でそう呟いたのだった。
はい、という訳で、会話回のみでした。そろそろ変態ロリコン野郎との対決が近い……。