超次元ゲイムネプテューヌmk2 ~黒球に転生した者~ 作:legends
「はあ、はあ……クソッ、冗談じゃネェ。洗脳を解く手段を持ってやがるなんて……」
下っ端は洗脳されたロムをルウィーの街で暴れさせたが、シェアクリスタルを持ってきたシャドー達によってあと一歩まで洗脳を解けるといったところで、下っ端とロムは逃げていった。
「う、ううう……」
「テメエも簡単に苦しんでんじゃネエ! 使えネェガキが!」
下っ端はロムに叱りつける。が、そこで下っ端は何かを思いだしたかのような顔をする。
「……あ、そうだ。こんな時のためにって預かってた物があったじゃネェか。動転してすっかり忘れてたぜ……えっと、たしかここに……」
「そこまでよ!」
下っ端は何か禍々しく赤黒く光っている結晶体を取り出したと同時に、俺達は追いついた。
「だーっ! もう追いついて来やがった!」
「ロムちゃん、しっかりして!」
「今、元に戻してあげるからね」
「う……ラムちゃ……ネプギアちゃ……」
やはり洗脳は解けかかっているようで、苦しみながらも二人の名前を呼んでいた。
「へっ、そうはさせるかよ。もう一度洗脳し直してやる! チビガキ、こっちを見やがれ!」
下っ端が言うと、まだ洗脳が完全に解けている訳ではないため、その結晶体を見てしまう。
「あ、あ……ああああっ!」
「ロムちゃん!」
「どうしたですか? また苦しみだしたです!」
「ダメだ……あの光を見ては……!」
―――くそ、不味い……また洗脳が戻ってしまう……!
「いいか? テメエの敵はアイツ等だ……ほら、だんだんアイツ等をブッ殺したくなってきただろ?」
「う……」
「っ……これ以上、ロムちゃんにひどい事しないで!」
ロムが苦しむ様子が見ていられなくなったのか、ラムは下っ端の持っている結晶体を無理矢理奪い、それを地面に投げて叩き割る。
「きゃあああああっ!!」
だが、結晶体が割れると同時に、ラムとロムを包むように禍々しい光が輝く。
「ちょっと! 無茶な事してんじゃないわよ!」
「ラムちゃん! ロムちゃん!」
そして、勢いよく光り続けると思えば、急に閃光が止んだ。
「ぐあ、止まっちまった……どうなったんだ? まさか失敗……?」
「…………」
「…………」
ロムとラムは目を閉じて俯いたままの状態だ。
(下っ端の言う通り、失敗だったら本当にありがたいが……)
シャドーが内心で、彼女達が無事である事を祈る。
その想いが、無惨にも散る事になり得る事も知らずに。
「ん? まさか……おい、返事してみろ。呼び方は……ご主人様だ」
そして数秒ぐらいすると、二人は目を開け―――。
「ご主人様……」
「ご主人様、ご命令を」
「……!」
―――予想だにしない出来事が起こってしまった。ロムとラム、女神の二人が洗脳されてしまったのだ。
下っ端に忠誠を誓うその言葉に、シャドーは驚愕する。
「へ、へへへ……バカだ! バカがいやがる! わざわざテメエから洗脳されやがるなんてよ! こっちにとっちゃ、願ってもネェ展開だぜ。さあ、アイツ等を片付けてきな!」
「「はい、ご主人様」」
二人が下っ端の言ったことに返事すると、二人が武器を持つ。ラムまでもが女神化しており、
「ど、どうすればいいですか?」
「とりあえず動けなくするしかないわね。洗脳を解くのはその後!」
「は、はい! ロムちゃん、ラムちゃん。少しだけガマンしてね!」
「ちくしょう……やるしかねえってのか!」
俺達は仕方なく、洗脳されたロムとラムと戦闘を開始した。
──☆──
「アイエフ達は下がってろ! 女神候補生が相手だから、手強い。万が一、俺やネプギアがピンチになった時のために、後方に待機していてくれ!」
「分かったわ!」
アイエフやコンパ達が俺の指示に従い、俺達の後方へ退避する。
「ネプギア、行けるか?」
「はい! 私はいつでも行けます!」
俺の言葉にネプギアは力強く言う。これで二対二の対決だ。
ロムとラム、共に得意な攻撃方法は"魔法"だ。大人数で戦うと、広範囲に魔法が飛んでくるため、巻き添えを喰らってしまう可能性が高い。
ある程度人数が少ない方があまり不自由なく戦いやすいのだ。
だからといって相手は杖で殴るといった物理攻撃も可能なので、接近戦なら一方的という訳でもなし。
いずれにせよ注意が必要だ。
「コピー能力……『ソード』!」
安定して戦えるといったらやはり"ソード"カービィ。いつでも来れるように剣を構える。
その瞬間、二人の女神候補生がプロセッサユニットの噴射を用い、突進してきた。
「二人とも……お願い、元に戻って!」
女神化したネプギアが接近してくるロムとラムにそう言い聞かせるも、二人は無表情のまま杖を振るってネプギアに攻撃してくる。
「くっ!」
その場から飛び上がって間一髪かわし、着地の瞬間を見計らって二人は回り込んで攻撃しようとする。
「ロム! 悪いな。お前の相手は俺だ!」
が、俺がそれを許さない。通せんぼするが如く、ロムの目の前に立ち、彼女が一瞬のけ反るが、すぐに俺に武器を振るってくる。咄嗟の事だったがそれを剣でガードする。
「ちぃ……」
予想よりもロムの攻撃が重かった。女神化しているとはいえ、中々強い攻撃だった。
一方で、ネプギアもラムと戦っていた。が、ネプギアの方が押されている。
何ていったって、相手は女神候補生でありながら子供だ。且つ知り合いでもあり、本気で戦うと逆に大きく傷付けてしまうだろう。それは出来るだけ避けたい。
「―――」
「ッ!」
しまった。ネプギアの方を見てて反応が遅れた。無表情のロムがもう一度俺に武器を振るう。
何とか防御したが、後ろに退かせる。さらに―――。
「アイシクルトルネード」
無感情のままのロムがそう唱えると、俺の地点から冷気の竜巻が発生し、為すすべなく数十メートルほど空中に吹き飛ばされる。
「ぐっ……」
「カービィさん!」
ネプギアが心配してくるが、ラムに相手取っているため、まともに動ける状況ではだった。
だが、心配ご無用。空中で俺は剣を下向きに構える。
「ソード下付き!」
重力に従いつつも速度を上乗せして落下する。
俺はロムがいる付近の地面に剣を突き刺し、小さい衝撃波を発生させる。これで僅かながらもダメージを与える事ができた。
だが、この攻撃が何回も通じるとは思えない。洗脳されてるとはいえ、同じ攻撃を繰り返しているとパターンが分かってしまうため、何回やってもかわされるのがオチだろう。
「カービィさん、大丈夫ですか?」
「……まあ多少は喰らっちまったけど大丈夫だ」
一時的に退いたネプギアが背中越しで俺に話しかけてくる。どうやら傍から見ると、俺とネプギアが背中合わせとなっているように見えるかもしれない。背丈は全然違うけど。
って、今はそんな事どうでもいい。問題なのは二人の強さだ。元々がコンビネーションが抜群なため、洗脳されてもそれが健在なのである。参ったな……。
「くっそ……どうすればいいんだ……?」
「……カービィさん、私に考えがあります」
「ダメフラグなのは勘弁してくれよ……」
俺が言うがネプギアは自分なりの作戦を提案し始める。だが相手も悠長に待ってはくれない。ロムが突っ込んできた。
その前に、ネプギアが一通り作戦の概要を話し終えていた。
「……分かったよ! とりあえずその作戦でいくぞ!」
「はい!」
ラムとロムが此方に向かってくるが、二人の攻撃が当たろうとする前に、俺が高く飛び上がる。
「はあああっ!」
そしてネプギアが
その瞬間地が弾け、土煙が発生。それはネプギアを中心に包み、重力に従い俺はその煙の中に引き寄せられるように入っていく。
「「!?」」
ラムとロムは突然発生した土煙に止まる事ができずに煙の中に入ってきた。いくら女神候補生でも煙の中では視界不良で、俺達の姿が確認できない。
しかしそれは俺達も同じ事。煙の中ではサーモグラフィーといった赤外線カメラみたいなものがないと満足に見えない。
故に―――煙から抜け出して二人が突っ込んできた方向……つまりはロムとラムの背後を取る。
(―――見えたッ!)
幾ばくもすれば、流石に煙が晴れる。正気ではないラムとロムは煙の中で咳き込んでいる様子もなく、ただ辺りを見渡している。
それを見計らって―――。
「ごめんね……ラムちゃん! フォーミュラーエッジ!」
「済まんロム! ソード微塵切り!」
俺とネプギアは剣とM.P.B.Lと連続で剣撃を仕掛ける。思いもよらない方向から攻撃された二人は喰らい、怯む。
ネプギアの考えとは、土煙を発生させ、二人が煙に入ってくるタイミングを計って、且つ閉じ込めてロムとラムを混乱させるという事。
最初は上手くいくかと不安に思っていたが、上手いことに的中したのである。優等生の考えパネェ……。
だが、手加減した攻撃のため、ロムとラムはすぐに態勢を整える。
俺とネプギアも態勢を整える。だが、次の瞬間だった。
「エクスプロージョン」
「アイシクルトルネード」
「しまっ……!」
ノーモーションで魔法攻撃を提唱され、爆風と竜巻の攻撃で俺とネプギアは互いに数メートルほど吹き飛ばされてしまった。
「ぐ……く、くそ……」
「うぅ……はあ……はぁ……」
不意を突かれた攻撃で防御の態勢を取っていなかった。俺は爆風で体が焼けるようなダメージを負ってしまった。ネプギアもダメージを貰ったようだが、そこまで酷くはなかった。
……くそ、このままじゃジリ貧だな……どうにかして、二人を戻す方法はないのか……。
「ちょっとシャドー! ネプギア! 大丈夫なの!?」
アイエフが後ろで心配の声を上げている。他にも、休んでてとか、そんな意見が飛んできている。
「私は大丈夫です! それよりもカービィさん! 少し休んでてください!」
「アンタは一人で背負い込み過ぎなのよ。たまには私達も頼りなさい」
「……わりぃな」
皆に退くように言われて一旦下がる。
くそ……ずっとあいつらに任せっぱなしにする訳にはいかない。今のロムとラムは無慈悲に攻撃してくる。
俺とネプギアの二人で劣勢だったのだから、アイエフ達が苦戦する可能性が高い。
最悪の展開にならないためにも、考えろ、考えろ……何か策があるはずだ。二人を出来るだけ傷つけない方法……。
何とか倒せる方法を……何とか大きな衝撃を与えたりして気絶まで持ち込めばシェアクリスタルで正気を戻せるはず―――。
―――ん? "衝撃"?
衝撃を与えるという事は、無理に戦って倒す必要がなくなる。殴る、叩く、蹴る等と物理攻撃以外の強い衝撃さえあればいいって訳だ。
……なるほど、この手があったか。だとすれば、あのコピー能力しかない。
よし、じゃあ最大出力でぶっ放すとしますか! ラムとロムには申し訳ないけど……。
──☆──
「くっ……」
アイエフがラムの攻撃を避けるが、掠ってしまう。
シャドーの予想通り、シャドーが抜けたネプギア達の戦闘は、一方的なものだった。
相手は二人にも関わらず、しばしば魔法攻撃を使ってくる。かと言って、近接攻撃もしない訳ではない。
さらに相手は女神候補生。自分達とは多少なりとも差がある事は分かっていた。その上でその女神と互角のシャドーを休ませ、自分達が挑んだのである。
だが、彼女達は苦戦を強いられていた。
「女神様達、手強いね……」
「このままじゃ私達がやられてしまうわ……」
「一体どうすればいいの……」
と、皆が苦戦必至、不安げになったそんな時だった。
『ワオワオぉぉおぉおお!! イェイイェイいえええあああ!! さあ、この場の全員、俺の歌を聴けえええええええい!!』
『『『!?』』』
戦闘に出ていた彼女達からの後方からの突然の爆音に驚愕し、彼女達は後ろを見る。
そこには、コピー能力『マイク』になっていたシャドーがいたのだ。
「ちょっとシャドー! そのコピー能力は……!」
『その通りぃぃぃ!! この俺、マイクカービィは二人を倒すために、全力で歌うぜぇぇぇ!』
「やめなさいよ!」
『だが断るぅ!!』
先程からシャドーのマイクを使っての音量の大きさに、空間ごとビリビリと痺らされているネプギア達。
アイエフは、前にシャドーがマイクで歌った時の恐ろしさを知っているため、制止を呼びかけるために大きい声で言う。それは皆も同じ気持ちになっているはず。
だが、それを拒否った彼は恰好をイメージチェンジし、スタンドマイクを持ち、頭にモヒカンを付け始める。今にもブッ放ちそうな雰囲気である。ネプギア達は咄嗟の思いで耳を塞ぐ。
それに対し、5pb.はというと。
「すごい! シャドーくん、君も歌を歌えるの!? だったら、ボクと一緒に歌を歌って―――」
「はい、5pb.さん、耳を塞いでくださいねー」
5pb.はコンパに手を無理やり動かされ、強制的に耳を塞がれる。
そうして、ラムとロム以外の人達が耳を塞いだが、二人はその事に何も知る由もない。
大ボリュームが発せられた方向のシャドーを目線を向け、とりあえず何かしそうなのは間違いないと判断し、シャドーの所に向かっていく。
「あっ! カービィさん! 避けてください!!」
耳を塞ぎながらネプギアがカービィに強めの声でラムとロムが向かっている事を知らせる。
が、シャドーはそれを承知済みと言わんばかりに内心で考えを思い浮かべていた。
(その調子だ……どんどん近づけ……! 近くに来れば衝撃が大きい。そのまま近くに来てから俺の"ラストコンサート"を……)
瞬く間に迫ってくる二人の距離はもう何メートルもなかった。今のロムとラムは相手を敵とみなしている。だからシャドーを攻撃するのは容易い。
(カービィさん……!)
ネプギアが心の中でシャドーの無事を祈る。
そうして、二人が武器を振るってシャドーに攻撃しようとした瞬間だった―――。
チェストオオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォォッッッ!!!!!
そうシャドーから野太い声が発せられると、周りに超巨大な衝撃波と爆音が放たれた。
「んぎゃあああああああ―――!!???」
その際、近くに潜んでいた下っ端も巻き込まれ、吹き飛んだそうな。
後に残ったのは、荒れた地と、気絶したロム、ラム、ネプギア達と物凄く満足そうにしているシャドーだった。
はい、またやり過ぎちゃいましたwでも、反省も後悔もしてない。
次回ですが、ちゃんと物語通り続きますし、いよいよアイツとの対決です。