超次元ゲイムネプテューヌmk2 ~黒球に転生した者~   作:legends

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今回の話の後半から修行回に入ります。女神救出はもう少しです。


束の間の修行

 

「……これで文字通り、女神が揃いましたね」

 

「はい! ユニちゃんもロムちゃんもラムちゃんも、皆一緒です!」

 

 ブレイブ・ザ・ハードとの一戦後、ユニを仲間に加えたシャドー達一行は女神候補生が集結したとイストワールに報告するために一時プラネテューヌに戻った。

 

 教会に着くと各国の教祖達が勢揃いしていた。

 

「アタクシ達、教祖まで揃うなんて、いつ以来の事かしらね」

 

「二人共、いい子にしていましたか? わがままを言って、ネプギアさんやシャドーさんにご迷惑をかけていませんか?」

 

「もー、だいしょーぶだよ! いつまでも子供じゃないんだから!」

 

「ちゃんとしてる……と思う……」

 

 ミナが心配そうにロムとラムに訊ねると、二人はしっかりとこなしていると返事をする。

 

 ……実際の所、純粋無垢なためにシャドーを人形代わりに遊んでいたりしていた所もあったのだが。

 

「それで、結局アンタはプラネテューヌで何してたのよ?」

 

「ご挨拶だね。善意の協力を申し出たというのに、この言われようとは」

 

 アイエフが怪訝そうにケイに訊ねると、やれやれと言った感じで溜め息を吐く。

 

 シャドーは日頃の行いが悪い所為だろ……と内心でも呆れた。

 

「ケイさんはシェアクリスタルの力が増幅される装置を開発されたのですよ。それで他の皆さんより先に、プラネテューヌに来て頂いて、ご協力してもらっていたんです」

 

「それって、俺達がラステイションで材料を持ってこさせた事か?」

 

「ご名答。本当はラステイションだけで行動を起こすつもりでいたんだけどね。ことここに至ってはそうも言ってられない……」

 

(成程な……だからあんなレア素材を早急に持ってきて欲しいと言った訳か……)

 

 シャドーは心の中でケイの言い分をようやく理解した。

 

「それに我が国の女神候補生も、すっかりそちらと仲良しになったみたいだしね」

 

「べ、別に仲良くなんてなってないわよ! あくまで協力してるだけなんだから!」

 

 ユニはツンデレ口調でそっぽを向く。その光景を見たシャドーは笑いを堪えていた。

 

「そんで? 気になってたんだけど、シェアクリスタルの完成ってどれくらいかかるんだ?」

 

「そのことですが、およそ一週間後程で完成する予定でいます。完成次第、皆さんには再びギョウカイ墓場に赴いてもらいます」

 

「一週間……ねえ」

 

 イストワールの言葉を聞いたシャドーは感嘆の声を漏らす。

 

「……私たちは出来る限りの事はやりました。今度こそ、失敗は許されません……。ですが皆さんなら、必ず成功させて頂けると信じています」

 

「イストワール、そんなプレッシャー紛いな事言わない方がいいんじゃないか? なんて言ったって、芯が弱い奴だっているんだし……」

 

 シャドーはネプギア達をチラッと一瞥する。

 

「私は、大丈夫です! 今度こそお姉ちゃんを助けるって決めましたから!」

 

「当然よ。このアタシが協力してあげるんだからね」

 

「がんばろーね、ロムちゃん!」

 

「……うん!」

 

「ふふ、頼もしくなりましたね。本当に……」

 

 イストワールが微笑み返した後、その場は一旦解散となった。

 

 四人の女神の決意をしかと受け取った後、シャドーは自室へと戻って行った。

 

 

 

 

 

──☆──

 

 

 

 

 

「……前々から思ってたんだけど、俺一人だけじゃ広すぎる気がしなくもないな……」

 

 シャドーがプラネテューヌの教会にある自室を見回し、一言呟く。

 

 机やベッドに埃が被っていないのを見て、自分がネプギア達と同行している間にイストワールや他の職員が掃除していたのだろう。

 

 と、思いながらシャドーはベッドに座り、寝転がる。

 

「一週間か……」

 

 シャドーは物思いに耽る。ネプギア達と旅を共にし、様々な敵と戦った。その時自分は彼女達の援護をしたり、積極的に前に出て戦った。

 

「それでも、まだまだ力が足りないな……」

 

 思い返せばそうだ。確かにカービィの力は常人にはないものがある。

 

 しかしそれでも自分やネプギア達が力及ばず、死に掛けた事があったのをシャドーは思い出す。

 

 そしてそれは、実際に犯罪組織の四天王の一人にも言われた。

 

「……そういえば、あの時話してきた奴って誰なんだろう?」

 

 リーンボックスにて、下っ端とワレチューがマジェコンヌ製のゲイムキャラの力を取り込み、自分達が完膚なきまでに倒された。

 

 だがその時、心の中で『自分ではない誰か』が話しかけてきたのだ。

 

 その者の言葉によって、シャドーは覚醒……否、変貌したと言っても過言ではないだろう。

 

 悪魔のような姿へと為ったシャドーは敵味方関係なく無差別に襲った。

 

 勿論、シャドーは何者からの言葉の後の記憶が無い。

 

「……そいつの存在とあの後の出来事が気になるけど、まあいいか。何が来ようと対応できるように鍛えて行かないとな!」

 

 シャドーはそんな決意を新たにし、襲い掛かる睡魔に耐え切れず眠りに就いた。

 

 

 

 

 

──☆──

 

 

 

 

 

「ふっ、ふっ、ふっ…………」

 

 時間は午前六時過ぎ。黒く丸い一つの影が息を吐きながら走っている。無論、シャドーだった。

 

 夜も早々に就寝して、いつもよりも早く覚醒したシャドーは女神救出の一週間、だらけているのも何なので、自身のトレーニングを開始したのだった。

 

 自分自身を鍛えるのに当たって、まず基礎的なランニングを行っていた。

 

 生憎、自分の体や手が短いため腹筋や腕立て伏せといったような筋トレは出来なくて今頃泣きを見たシャドーは、結局自分自身を鍛える手立てはランニングしかないと決めて、現在こうして走っている。

 

「後、何週だ……? はぁ……はぁ……」

 

 シャドーは走りながら息を切らしている。彼はプラネテューヌの教会周辺を走り回っており、いよいよ何周したか分からなくなってきていた。

 

 いくらカービィが地球外生命体と言えど、体力という概念が存在しないのはあり得ない。無論人間の体の作りとは全く違うが。

 

「げ、元気ドリンク……」

 

 一時足を止め、シャドーは懐(といっても携帯やハンカチを出す箇所と同じ)から元気ドリンクのビンを取り出し、給水するように蓋を開けて口元へ運ぶ。

 

「……よし!」

 

 すると先程まで息を切らしていたシャドーは何事もなかったように活力を取り戻し、再び走り始める。

 

 事実、こうして体力が切れた際、こうして強制的に体力を復活させている。この行為をシャドーは三回も繰り返していた。

 

 それにしても、元気ドリンクという飲み物は一体成分が何なのか、謎である。

 

 そして、シャドーが走り始め一時間が経過した頃、シャドーは教会付近で足を止めた。

 

 ―――時刻はAM七時を回る所。

 

「次は素振りだな……よし……」

 

 シャドーがそう言いながら右手を天に掲げる。すると何もない空間から黄金色に輝く剣―――「マスター」が火花と共に出現する。

 

 召喚させた黄金剣をシャドーはそれを両手に持ち直す。

 

「これを千回振るか!」

 

 シャドーはマスターソードを前方に突き出した後、ありとあらゆる方向へと素振りを始める。

 

 敢えて「ソードカービィ」になってマスターソードを振るうでも良かったのだが、それだとコピー能力に頼りっきりになり意味がないと考え、コピー能力を使用せずに自身の手を鍛えるのにはいい機会かと思った。

 

「ふっ! せいぃっ! そらっ!」

 

 掛け声を上げながら剣を振り続けるシャドー。

 

 既に使える「スピニングソード」、「ソード微塵切り」などといった技を繰り出す他、ある時は飛び上りながら数回振り、直後に下に突き刺す。ある時はバク転をしたすぐさま薙ぎ払うように振る。またある時は振り向き様に剣を振るといったような行動を取っている。

 

 これは素振りというよりも、敵との対決を彷彿とさせるイメージトレーニングに近いだろう。ただその場に立ち止まり素振りをするだけではなく、こうして動き回りながらの方が立ち回りがしやすくなるのではないかと考えたまでだ。

 

「ソードビームッ!」

 

 シャドーが剣を前方に掲げると、刃に粒子状のエネルギーが充電されていく。そして一気に縦方向に振りかぶったその瞬間、波動切りが放たれ、空気を切り裂きながら空中へと飛んでいった。

 

 そう、先程も言った通りシャドーはただ素振りをするのではなく、敵との対決を想定とした特訓を行っている。物理攻撃だけではなくこうした遠距離攻撃も交えているのだ。

 

「まだまだ……もっと、もっと……!」

 

 決戦前に張り切るシャドーが更なる力を蓄えるべく、猛特訓に勤しむ―――。

 

「カービィ……さん?」

 

 ―――その時であった。シャドーの傍から透き通るような声が届く。シャドーが剣を構えていた手を下げ、声の方向を見やるとそこには声の主であるネプギアだけではなく、ユニやロムとラムも佇んでいた。

 

「……どうした? 女神一同が揃いも揃って」

 

「どうしたって……もう七時過ぎてるのよ? 折角このアタシが起こして上げようと思ったのに、アンタが自室にいないもの」

 

「……お兄ちゃん、いなかった……」

 

「もー! せっかくロムちゃんとカービィの寝顔見ようとしたのにどうして部屋にいなかったの?」

 

「…………」

 

 ユニ、ロム、ラムの文句に近い言い分に、シャドーは絶句する。

 

 そんな中、ネプギアがシャドーに一言声をかける。

 

「あの、カービィさん。今何やってたんですか?」

 

「あ、ああ。女神達救出に向けて力を付けようと修行しようと思ってな。だから朝早く起きてやってたんだ」

 

「修行……ですか?」

 

「そうそう。……もしかして飯か? だったら悪ィが先に行っててくれ。すぐ終わって向かうから」

 

 特訓のメニューを少なくしようと考えたシャドーは剣を持ち直し、振ろうとするがネプギアが「いいえ」と声かける。

 

「そうではないんですけど……ただ……ちょっと……」

 

「? どうしたネプギア?」

 

 口どもるネプギアに、シャドーは心配そうに声をかけようとする。

 

 が、次の瞬間にはずいっとシャドーに顔を寄せる。

 

「カービィさん!」

 

「うおっ! 何だネプギア?」

 

「私に、修行をつけてください!」

 

 一瞬引いてしまったシャドーにネプギアはそう懇願する。あまりに唐突な言葉に、シャドーは目を丸くする。

 

「……え? 急にどうしたんだ?」

 

「……私はカービィさんに頼ってばかりで、強くないです。だけど、私はもう二度と大切なものを失いたくないんです! お姉ちゃんを助けるために! だから―――カービィさん、お願いします!」

 

 そう言いながら頭を下げるネプギアに、シャドーは困った表情をしていた。

 

「ちょっとネプギア! 抜け駆けはずるいわよ! カービィ、アタシにも頼むわ!」

 

「お兄ちゃん……私にも……」

 

「わたし達にしゅぎょうをつけて!」

 

 更に、ユニやロムとラムからも便乗するように懇願してきた。シャドーはどうしてこうなった……と困惑していた。

 

 だが、別に断る義理もないため、シャドーは二つ返事で承諾する事にした。

 

「……まあいいか。お前等もお姉ちゃんを助けるのに必死だと思うし。付き合うよ」

 

「ほ、本当ですか!?」

 

「ああ」

 

 剣を肩に担ぐようにしながらシャドーは言う。四人共、喜んでいる様子だった。

 

「そうと決まれば、朝食の後すぐにやるとしよう。皆それでいいか?」

 

「はい!」

 

「分かったわ!」

 

「……うん!」

 

「いいわよ!」

 

「決まりだな」

 

 彼らは朝食のために一旦教会に戻っていった。こうして、シャドーはネプギア達と共に修行をすることになったのだった。

 




荒ぶる神々を食べまくった後、ようやくブラッドレイジに覚醒できた遅延気味の作者です……
そんなこんなでレイジバースト買った訳ですが、難易度10と明らかに遅れていますねw
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