超次元ゲイムネプテューヌmk2 ~黒球に転生した者~ 作:legends
「よし。皆準備はいいな?」
「「「「はい!」」」」
時間帯は日が昇り始めてから間もなく、場所はプラネテューヌの教会前にある広い敷地を持つ庭。
そこにまん丸ブラックと向き合う、ネプギア、ユニ、ロム、ラムが力強い返事をシていた。
早朝にシャドーが女神救出のために修行していた所、ネプギア達が来て自分達も力を付けたいと彼に申し込んできた。
そのため現在、こうしてシャドーが教官(?)となり集合した彼女達に指示をかけている。
(……まあ、アイエフ達までいるのはちょっと意外だったけど、気にせずやるか)
そう、彼が思った通り集まってきたのはネプギア達だけではなく、アイエフ、コンパ、日本一、イストワールがおり、その三人は座り込みながら見学している(イストワールは通常通り本の上に座っている)。
彼女達曰く、「シャドーとネプギア達の修行に興味がある」との事。
シャドーは最初は気が引けると思ったのだが、この修行を見て何か自分の糧にできるものもあるかもしれないと思ったため渋々承諾した。
「それでカービィさん、修行っていっても何するんですか?」
「そうだな……皆の力が知りたいから、まずはネプギア達が俺と軽く個人戦闘をしよう。四人の実力はある程度知ってはいるが、個人の強さまでは把握してないからな」
女神の力は人間とは明らかに違う強さを持っている。それは分かるのだが、女神候補生と言えど、三種三様。
彼は一人一人が扱う力までは分からないため、軽く肩慣らし程度に己と模擬戦闘をすれば、彼女達がより強くなると思われる点を色々と指摘やアドバイスが出来ると思ったのだ。
「分かったわ。それじゃ誰が先にやればいいのかしら?」
「ああその事なんだが、順番は既に決まってるぞ。ネプギア、ユニ、ロムとラムという順だな」
「えー、なんでわたし達が最後なのー?」
「……まあ、出会った順番で簡単に決めさせてもらったよ」
ぶー。と不平を述べるラムだが、シャドーがそう言って治める。
……しかし内面では予め先に決めておかないと喧嘩に発展して、修行どころではなくなる大変な事態になるかもしれないと思った。ラムがこうして不満気にする辺り、修行前に各国の女神候補生と出会った順番で決めたのは功を奏したとも言える。
「んじゃ、説明は一旦終わり。最初はネプギアだ。来てくれ」
「はい!」
「ユニ、ロム、ラム、お前等は危ないから離れててくれ」
シャドーが近いと巻き添えになるという意見によって、座りながら見学しているアイエフ達の元まで離れる。
「本気で行きます! カービィさん!」
「どっからでも来い!」
ネプギアがビームソードを、シャドーがマスターソードをそれぞれ出現させて構えると、お互いにそう言い放つ。
足に力を込めたネプギアは地を勢いよく蹴り駆け出す。幸先良いスタートを見たシャドーは思わず「おおっ」と声を漏らした。
「はああっ!」
掛け声を上げながら武器を縦薙ぎに振るうネプギアだが、シャドーは両手で携えたマスターソードを横方向に向けて防御する。その瞬間、金属音が辺りに鳴り響く。
これぐらいでどうにかなると思っていないネプギアは、自ら剣を引かせ、連続で剣撃を浴びせる。
ネプギアの素早い連撃に、彼はマスターソードで正確にガードして受け止める。
間髪入れず剣の嵐がシャドーを襲うも、無駄のない動きで受け止めて防御する、あるいは時折受け流して冷静に対処する。
ビームソードと金色の剣がぶつかる度に火花が散り、周囲に金属音が木霊する。
ネプギアの鋭くも綺麗な太刀筋と、シャドーは臆する事なく全てを受け止めているその様子に、皆が魅入る。
そして、受け止め続けている最中、シャドーは剣を持つ手に少し力を込め、ネプギアの剣を受け流して逸らす。
「そりゃっ!」
逸らした隙を見逃さない。彼はネプギアに向けて片足でキックを繰り出す。
「っ!」
突き出された蹴りに、咄嗟で得物で防御しようとするも、剣の柄の部分に蹴りが辺り、よろけながら後退する。
「実践ではこういう不意打ちが飛んでくる事あるから気を付けな」
「はい!」
シャドーがネプギアに指摘する。実践を想定した模擬戦闘であるため、こうしたアドバイスも意識すれば今後の時に何かと役立つはずだと彼は思った。
距離を置いて改めて構えたネプギアは、彼に向けて急接近し横薙ぎにビームソードを振るった。
「よっと」
しかしシャドーは、その場から飛び上がりネプギアの攻撃を躱す。空振りに終わり隙が出来たためシャドーは剣の切っ先を下方向に構え、急降下する。
「くっ!」
ネプギアはバックステップを取りシャドーの攻撃を何とか避けるものの、武器の威力とシャドーの力により地面に突き刺さった瞬間、彼を中心に小規模の砂塵が舞った。
態勢を整えたネプギアは、いつでも来ていいようにと剣を煙に向ける。だが、数秒もするとシャドー彼女の方向に切っ先を向けながらが勢いよく煙から飛び出してきた。
「!?」
予想外の速度で迫るシャドーに、防御の姿勢を取るネプギアだが、その防御は彼の意外な程の高威力攻撃により、武器同士がぶつかった瞬間、バランスを崩された。
そして、地面に足を着いたシャドーはもう一度切っ先をネプギアの胸に向けて、そのまま突き差す―――と思われたが、その剣はネプギアの手前で止まっていた。
「……言ったよな? 軽い戦闘だって。相手を絶対に殺したりはしない」
硬直するネプギアにシャドーは口元をニヤケさせながら告げる。
彼が剣を後方へ引かせると、ネプギアは緊張感が解けたのか尻餅を付いた。
「ま、俺が手を止めてなかったら勝負は決まっていたようなもんだからな。これでお預けとしよう」
「……はい、参りました……」
項垂れるネプギア。そんな面持ちをしている彼女に罪悪感が湧いたシャドーは照れ臭そうに声を掛ける。
「……だけどよネプギア。お前やっぱり強ええな。最初の攻撃もそうだけど、連続の攻撃を受け続けて手が今もちょっと痺れているんだ」
「……本当ですか?」
「ああ。だからこれから次第でもっと強くなるだろう。だからそう落ち込むな」
「ッ! あ、ありがとうございますカービィさん!」
シャドーの言葉で笑顔になったネプギアに向けて手を差し伸べる。ネプギアも彼の手を両手で取って立ち上がり、彼の元から離れていった。
……背丈で逆にシャドーが持ち上がるのではと考えてはいけない。
「次はアタシの番ね!」
「おう。準備万端そうだなユニ」
ネプギアとすれ違いになったユニはシャドーの元に来る。自身の武器である大型の銃を肩に担ぎ、いつでも戦えるといった様子だった。
「それじゃ、とっとと始めるか。来いよユニ!」
「ええ! こっちから行かせてもらうわ!」
銃口をシャドーに向けて構え、数発の銃弾を放つ。
本来であれば銃から放たれた弾は音速の速さであり、人間の目では捉えきれない。それは、シャドーも同じ事。であったのだが───。
銃弾は、確かにシャドーの体に直撃する。しかし、その全ての銃弾がシャドーの体にめり込んだ直後、ポトリと音を立てて落ちた。
『嘘!?』
余りに酷い光景にシャドーを除いた全員が驚愕の表情と声を荒げる。しかしそれは、彼自身も同じだった。
(……流石カービィの体だ。まさか銃弾をも受け付けない程の柔らかボディだったとは)
という風に内心考えていた。
「くっ! 銃弾が効かないなら、これならどうよ!」
呆気に取られた思考を頭を振って戻し、そう言ったユニは銃口にエネルギーを溜めると、黄色い光線がシャドーに向けて放たれた。
彼は迫るエネルギーを横へ側転して難なく躱す。
「それっ、お返しだ!」
シャドーは剣にエネルギーを溜めると下から上に薙ぐように
「まずっ……」
ユニが体を逸らして急激な速度で向かうその攻撃を何とか避ける。
だが、その攻撃に意識を集中していたユニは全力疾走で走り向かってくるシャドーの存在に気付くのに遅れてしまった。
「早っ……!? しまった!」
横薙ぎに振るわれたその剣が、やはり彼女の手前で止まる。ユニは悔しそうにシャドーを睨む。
「アンタのあのスピード……普通出ないわよ……」
「そうか? 放ったと同時に走っただけなんだがな」
「それにしたって早すぎるわ」
彼の言う通り、波動切りを放った直後に全力で走っていた。その分反応が遅れたと思っているのだろう。
しかしそれは彼は無意識に人間を超えている速度を出していたのを知らないからだ。カービィの身体能力は測り知れないものがある。
……何せ、地球外生命体なのだから。
「最後はロムとラムだな!」
「……うん、お兄ちゃん。わたし、がんばる」
「カービィ! あんたにわたし達の強さを見せてあげるんだから!」
最後にロムとラムの二人が相手になると言うシャドーに対し、ロムが頑張ると、ラムがシャドーに指を指しながら自信満々に宣言する。
「ほうほう。だったらその自信、俺に見せてくれよ」
「言われなくても分かってるわよ! 行くよ、ロムちゃん!」
「うん……!」
二人が杖を出現させると、それぞれ魔法を唱える。
「エアブラスト!」
「エアロトルネード……!」
彼女達がシャドーに向けて杖を振るうと、彼を中心に小規模の竜巻が発生する。
二人のコンビネーションによって繰り出された強力な魔法攻撃。並大抵の敵であれば撃破できる一撃だ。
「…………」
シャドーはその魔法攻撃を避けようとせずに、
ロムとラムは攻撃をマトモに食らったのを見て喜びの表情を浮かべながらハイタッチをする。
だが、二人によって発生した竜巻は未だに消えずに残り、それどころか勢いが増しているようにも思える。
「良い魔法攻撃だな。だが、これぐらいで満足していたらやられるぞ?」
竜巻の中から声が発せられる。不審に思った二人が驚愕の表情を浮かべると同時に、その竜巻が霧散する。
そこにいたのは、渦巻いた冠を被っているシャドーだった。
「コピー能力―――『トルネイド』。コピー能力は使わないと思ってたんだけど、二人の魔法が色んなコピー能力を参考にできるかもしれないと思ったから、一旦使わせてもらう」
一言謝りを述べたシャドーにロムとラムは後ずさる。
「一例で、二人が参考となるだろう技、見せてやるよ」
そう言ったシャドーが彼の大きさと同じぐらいの竜巻が発生する。その途端、シャドーから彼女達に向けて竜巻が射出された。
間一髪のことだったが、その攻撃を何とか躱す。
「まだまだ! 今の避けたぐらいじゃ安心するな!」
再びシャドーが竜巻を発生させ、その勢いを増加させていく。周りの物を巻き上げていく様を見ると、正に最大瞬間風速と言っても過言ではないだろう。
「「きゃあああ!」」
突風に吹き飛ばされるロムとラム。その光景を見届けたシャドーはコピー能力を解いて着地する。
「ふう……」
「び、びっくりした~」
「お兄ちゃん、凄い……」
やり遂げたという表情のシャドーとは対照的に、ラムとロムは二人して尻餅をついて呆然としていた。
「さて……こんなもんかな。皆の強化ポイントも見抜けた事だし。一旦休憩だ」
時間的に昼近くになったシャドー達は模擬戦を一旦終了し、休憩を取るのだった。
──☆──
「さて、お前達が力を鍛えるためのアドバイスを伝えるとしよう!」
一休憩した後、シャドーはネプギア達を徴集させ、ブリーフィングを行い始める。
ビシッと無い指の代わりに手をを突き出しながら告げる。
「まず、全員共通として―――自分自身の武器を素振るんだ。基本で基礎だがそれだけでも結構違ってくるようなもんだ」
「待って、アタシのような重い銃でも素振るの?」
ユニが質問してきた。
「そうだな。例え重くても武器の重さに振り回されないよう扱えればまた違ってくるしな」
ユニはふーんと納得したような表情をする。
「では次に、一人ずつ専門的な助言をする。ネプギア、近距離はそこまで問題ないが、足りないものとしては遠距離攻撃だな」
「遠距離……ですか?」
「ああ。確か女神化すればビームみたいな遠距離の攻撃ができるけど、女神化してない時に遠距離も攻撃できるようになったら尚効果的だ。例えばそうだな……お前は剣主体だから、俺のコピー能力『ソード』の"ソードビーム"とかを使えればいいと思う」
ネプギアは剣が主体の攻撃をメインとする。女神化をした時のネプギアは遠距離を攻撃できる光線を放てる武器を持つようになるが、通常時でも何か遠距離に攻撃できれば相手を隙を与えにくいと考えた。
「カービィさんの……」
「一応教えようと思ってるけど、無理するなよ?」
シャドーが持つ技を今後伝授すると伝え、しかして無理する必要はないとも言った。
「次にユニだ。お前は銃主体の攻撃だろ? それはそれでいいが、逆に考えると、近接はあまり得意ではないんじゃないか?」
「……ええ。確かにそう思うわ」
「だから銃主体の攻撃は勿論、アクセントとして武器で殴るとか、接近して格闘攻撃のような技を持てればいいと思う。そういう意味も込めてさっき武器を素振れと言ったんだ」
「なるほどね……」
ユニは姉のような存在になりたい事をシャドーは存じている。銃だけを扱うのではなく、身体を使って攻撃できれば姉に近づけると思ったのだ。
「最後にロムとラム。二人は魔法で攻撃するが、だからといって物理攻撃できない訳ではないのは知っている。なら、魔法の技を増やすんだ。そうすれば、相手を攪乱しやすい」
「増やすって……どうするの?」
「俺のコピー能力『ファイア』、『アイス』、『トルネイド』を参考にしていい」
「でもカービィお兄ちゃん……その、コピー、能力? わたし達、知らないよ……?」
二人はシャドーの付き合いの日が浅い。故にコピー能力の多くを知らないのも無理はない。
しかしそれもシャドーは想定済みだった。
「なあに、勿論後で一杯教えてやるさ。……ま、簡単に纏めると魔法の数を増やし、相手を惑わしている隙に一気に叩き込むって感じだ」
二人のコンビネーションは抜群だ。ロムとラムが犯罪組織の手によって操られた際、シャドーやネプギアを苦しめた。
その力を見込んでシャドーはそう言ったのだ。
敵を追い詰めて手数で相手を攻めるも良し、高威力の攻撃を繰り出す事も二人はさして問題なく扱えるためでもある。
「こんな感じかな? 後は各自女神救出の日に向けて今言った事も含めて練習だ。俺は一旦自分の修行をするけど、時々皆の様子を見に行く。それでいいな?」
「「「「はい!」」」」
「よし! んじゃ解散だ! 皆、女神救出に向けて頑張ってくれ!」
シャドーが鼓舞するように言うと、皆がそれぞれ違う方向へと歩き出し、自分の修行を始める。
自分自身の姉の救出。その目的を果たすために皆一同、強くなってみせると意気込む。
それはシャドーも例外ではない。自分も強くなってネプギア達の後押しをする。
例え自分の限界が来ようが諦めない。その気持ちを抱き続けながら修行を続け―――。
―――そして、遂にその時が来た。
次回、女神救出回。