-魔法少年と魔法少女-   作:マコスパ

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今回より<杏子編>を追加します。
杏子ちゃん視点から話が展開します。


-第3話- 杏子と少年

<杏子編>

 

 銀雪にすすめられて脱衣所に来たあたしは色々と考え始めていた。何日も洗えず汚かった服を脱ぎ、頭に着けていたリボンをほどいて髪を下ろし、胸にタオルを巻いて浴室へと入る。浴室は男とは思えない程きちんと整理されていて何処に何があるのか分かりやすかった。特に困る事は無さそうだ。

 

 シャワーを身体に浴びせて、自分の紅い髪を洗い始める。何日も洗えず汗でベトベトになっていた。その髪にまずはシャンプーをつけてごしごしとしっかり汚れを洗い落とす。次にリンスをつけて髪をさらさらにするためにしっかりと馴染ませる。髪を洗い終えるとあたしの髪はとても綺麗になり、前よりも鮮やかな紅になっていた。

 

 そして次に身体を洗おうとする。一度タオルを外して自分の裸体を露にし、ボディーソープをつける。

 

杏子「珍しいな……林檎の香りがするなんて」

 

 あたしは林檎が好きだ。だから、これで身体をアラッテイテ何だか心地よく感じる。石鹸を洗い落とすとみるみる身体は林檎の香りに包まれた。これで洗うのは終わりだ。

 

 再びタオルを巻いて湯船に入る。此処からは磨りガラスのドアのせいでよく見えないが、脱衣所の様子が何と無く見える。きっと銀雪があたしの服を洗濯しようと回収しているのだろう。それから別の事を考え始めた。今日1日の事だ。

 

 朝、あたしはいつもの様に見滝原をぶらぶらしていた。先日に魔女退治をしたせいか、今日は中々当たりと巡り会えず、朝から暇だ。ふと、あたしは住宅街への道を見つけた。そこはまだ行った事の無い道だった。別に用事の無いあたしはそこを通ってみる事にした。数百メートル程進むと、公園があった。結構綺麗で整備もしっかりされていた。あたしは1つのベンチに座り、マミから貰った紙袋から林檎を取り出した。昨日偶然マミと出会って、その時のお裾分けの様なものだ。まあよくマミの家に食べ物をたかりに行く事もあるが、それ以外はなるべく自分でどうにかしようと思っている。今は前みたいな強盗の様な事からも足を洗えている。

 

 それからだ、あたしは“魔力”を感じ取った。それに、誰かに見られていた気がした。慌てて辺りを見回すが魔女の結界はこれっぽっちも無い。それに妙だった。魔力のパターンが“魔女”ではない。そして、“魔法少女”でもない。あたしは魔力を探す。そして辿り着いたのは、1人の男だった。何の特徴も無さそうな、如何にも平凡そうな男だった。だが、確かに彼から魔力が出ていた。こんな魔力は感じた事が無かった。話しかけようともしたが、突然話しても通じる筈が無い。だから様子を見ることにした。

 

 夕方、再び彼を見つけた。今度ばかりはあたしも積極的に動く事にした。“尾行”だ。そして彼の家に辿り着いた。

 

 そして、あたしは彼と会った……桜 銀雪と………

 

 ちなみに、さっきあたしが最初、銀雪に“彼が魔力を持っている事”を言わなかったのは、まだ確証が無かったからだ。だが、キュゥべえが見える以上、確証を持った。彼には自分では気づいていないが、不思議な力を持っている。そして、それは魔法少女の力とよく似ているものなのだと。

 

銀雪「湯加減はどうだ?」

 

 ドア越しから銀雪の声がする。

 

杏子「ああ、丁度良いくらいだ。」

 

 あたしはそう返すと、銀雪はそのまま脱衣所を後にした。

 

 それからして、あたしも湯船を出て、脱衣所へと上がった。そして、タオルで体を拭き、ドライヤーで髪を乾かした。あたしは手ぶらでこの家に来たから、荷物はほとんど無い。だから、パジャマは代わりに銀雪のお古を貰った。結構綺麗にされているから、躊躇いはない。

 

 

 

 これから、こんな日常が再び始まるのだ。かつてあたしが何年もの間感じる事の無かった、「家族」としての生活が……

 

 

 

 あたしはそう思いながら、リビングへ向かう

 

-第3話- 杏子と少年 終




次回もよろしくお願いします
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