-魔法少年と魔法少女-   作:マコスパ

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遂に“魔法少年”となった桜 銀雪。
彼にとって初めてとなる“魔法少年の戦い”とは………?
そして、彼の“願い事”とは………?


-第5話- 魔法少年と戦い

<銀雪編>

 

「……杏子ーーー!!」

 

 そう叫んだ瞬間、俺の目の前は真っ白になった。その時だけは、時間の流れが止まったかの様に。

 

 

 

“銀雪の精神世界”

 

銀雪「……ここは?」

 

???「貴方は、“力”が欲しいのですか?」

 

銀雪「だ、誰だ!?」

 

???「私は………よ」

 

 名前の所だけが抜き取られた様に聞こえなかった。非情にもどかしい気持ちだ。俺は仮称として、“女神”と思っておく事にした。

 

女神「答えてみなさい。貴方は、力が欲しいのですか?」

 

銀雪「……“力”?」

 

女神「そう、“力”よ。今目の前で人が死のうとしている、貴方が彼女を助ける為には、力が必要でしょう?」

 

銀雪「………。」

 

女神「……だったら、言い方を変えてみるわ。“貴方の守りたいものはなんですか?”」

 

 女神にそう言われ、俺は自分でも不思議なくらいにその問いには直ぐに答える事が出来た。

 

銀雪「………っ!!…俺が守りたいのは……“家族”だ!今も、これからも…!」

 

女神「そう……、なら、やることは1つよね?」

 

銀雪「……俺が魔法少年になれば、杏子をたすけられるんだな?」

 

女神「ええ、きっと助けられるわ」

 

銀雪「だが、その為には願い事が必要だ」

 

女神「その通りね、願い事はあるのかしら?」

 

銀雪「それは………」

 

 俺は再び黙った。願い事なんて要らないって言う良い子気取りをしたかったのではない、本当に願い事が出てこないのだ。お金持ち、人にモテたい、不老不死、そんな願い事はどうでも良い。それ以外の何かを願いたいのだ。

 だが、願い事は出てこない………

 

女神「さあ、どうするの?もう時間は無いわよ。」

 

 俺はそう言われ、ある1つの結論に達した。

 

銀雪「……いらない」

 

女神「何て言ったの?」

 

銀雪「“今は”……願い事は要らない、とにかく魔法少年にさせてくれ」

 

女神「………後払いと言う事ね?」

 

銀雪「ああ…、悪い」

 

女神「願い事をせずに魔法少女(少年)になるなんて、貴方の様な人は初めてだけど、分かったわ、これで契約は成立よ。貴方を魔法少年にしましょう。」

 

 女神はそう言うと、俺の身体に手を突っ込んだ。端から見ればとんでもない光景だが、不思議と痛みは無かった。そして、女神が俺の中から取り出したもの、それは、“青く光る宝玉”だった……。

 

女神「さあ、それが貴方のソウルジェムよ」

 

銀雪「……卵型じゃない…?」

 

女神「貴方は特殊な存在なの。だから、他の魔法少女とは少し違うわ。勿論、ソウルジェム以外でもね。後は、なってみれば分かるわ。」

 

銀雪「1つ教えてくれ、魔法少女は沢山いると聞いている。だが、俺以外に魔法少年はいるのか?」

 

女神「………。」

 

 すると、今度は女神が黙り込んだ。何かを言うのを躊躇う様に。

 

女神「……いるわ、“もう1人”だけ」

 

銀雪「本当か!?」

 

女神「ええ、でも、その人もまた、特殊な存在、貴方とも大きく違うわ。そして、何れ貴方とも会う“運命”になるわ。」

 

銀雪「“運命”、か……」

 

女神「その通りよ…、さあ、そろそろ行きなさい。」

 

銀雪「ああ、ありがとう。また会おうか。」

 

女神「じゃあ…ね」

 

 そこで俺は現実に戻された。目の前では杏子が魔女にやられかけている。そして俺は、あるものに目が行った。

 

 のばした右手の前に浮く、“青く光る宝玉”を……

 

 すると突然、宝玉から青い光線が魔女へ向かって飛んでいった。その光線が魔女に当たると、魔女は大部分が“凍りついた”。

 

銀雪「これが…俺の力?」

 

 俺は宝玉に手を触れる。そうすると今度は、身体全体が光に包まれた。衣服は“銀色”と“青色”で“雪”や“氷”を連想させる様な服装へ変わり、左手には両刃の剣を握っていた。宝玉だけはそのままだった。

 

 光が拡散し、再び現実に戻る。魔女は未だ凍り付いたまま、身動き出来ない。杏子はまだ傷の為に動けないので、これが俺の、魔法少年としての“初陣”となる。

 

 俺はソウルジェムを胸の真ん中に装着した。どうやら変身すると此処につけられる様だ。剣を右手に持ちかえ、魔女の元へ走る。剣を両手で持ち、最初の一撃を身動き出来ない魔女に喰らわすのは意図も容易い事だ。

 

 最初に攻撃したのは尻尾だ。恐らくこの魔女の最も厄介な部位でありそうだからだ。続けて、体のあちこちを剣で斬り、魔女と距離をとる。

 

銀雪「これで…終わらせる!」

 

 ソウルジェムを左手に持ち、魔力を消費して魔女へ冷気魔法をお見舞いする。魔女は完全に凍り付いた。

 俺はトドメを刺すべく、剣を大きく振りかぶりながら魔女へ突撃し、

 

銀雪「やあーーー!!」

 

 ……魔女を一刀両断した。

 

 魔女はたちまち消滅し、結界は消え、残ったのは黒い不思議な物体だけとなった。俺はそれを拾い、杏子の元へ駆け寄り、

 

銀雪「杏子、こいつは……」

 

それを見せた。

 

杏子「……そいつが“グリーフシード”だ。前に少し話した筈だが、それで魔力を回復出来る。大体1つで1~3回程度だ。あんたが使えよ。」

 

銀雪「………。」

 

 俺は黙って、杏子のソウルジェムにグリーフシードを当てた。すると杏子のソウルジェムの濁りが消え、燃える様な赤に戻った。

 

杏子「…何してんだよ」

 

銀雪「杏子の方が怪我が酷いからな、俺は少しで良い」

 

杏子「そいつはあんたの獲物だろ?」

 

銀雪「もし仮にそうでも、それをどうするのも俺の自由だろ?」

 

 俺達は見つめあって、黙り込んだ。そして、少しするとお互いに大笑いした。

 

杏子「あはは!何だよそれ!」

 

銀雪「大切な妹の為だ!当たり前だろ!」

 

 俺達は可笑しくて仕方なかった。でも、それを幸せとも感じた。

 

キュゥべえ「やれやれ、この世の中にはまだ未知なるものが沢山ある様だ」

 

 キュゥべえは俺達の邪魔をしない様にか、静かに立ち去っていった。

 

 それから、俺は杏子をおんぶして帰った。

 

杏子「良いってそんなの!恥ずかしいだろ!///」

 

と嫌がる杏子を黙らせるのは少々苦ではあったが、お構い無しに俺はおんぶした。帰っている時も、俺達は色々と話し合った。

 

銀雪「(こんな時間が何時(いつ)までも続けば良いな………)」

 

 胸の中で、俺はそう思っていた。

 

 

 

 俺の魔法少年としての最初の戦いは、“勝利”に終わった。

 

 

 

-第5話- 魔法少年と戦い 終




登場人物紹介2

桜 銀雪<魔法少年ver>
ソウルジェム 青(但し卵型ではなく水晶玉の様な球体)
変身すると胸の真ん中に移り円形となるが、球体状にして手に浮かせて持ちそれで攻撃する事も出来る。
武器 両手で持つタイプの中型両刃剣(刃部分は彼の身長の半分程の長さ)。但し片手だけで持って攻撃する事も出来る。
固有魔法 冷気系魔法
願い事 現時点不明(後払いと言う形)
備考 キュゥべえと契約したのではなく、別の存在と契約した。
   大体は魔法少女と変わらないらしい。



佐倉 杏子<魔法少女ver>
ソウルジェム 赤
変身すると襟の部分へ移り楕円形となる。
武器 槍(手で持つ部分には多数の関節が隠されており、ムチにして攻撃したり拘束したり出来る)
固有魔法 結界·幻覚
願い事 親父の話をみんなが聞いてくれる様に



それでは次回もよろしくお願いします。
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