(キュゥべえとも別れた後2人きりとなり)
<杏子編>
銀雪「親子…か……」
杏子「ああ…」
兄貴の言葉にあたしはそう反応した。あたしは自分の家族が好きだった。だけど、その家族を壊したのは、あたしだ………。
銀雪「…杏子?」
兄貴はあたしの顔を覗き込んだ。心配していそうな表情だ。
杏子「……何でも無い」
あたしはそう誤魔化した。
銀雪「……俺がいるだろ?」
杏子「え…?」
銀雪「俺が、お前のお兄ちゃんで、家族だろ?」
杏子「……兄貴…うん」
あたしは嬉しかった。そんな風に言われるのはいつぶりだっただろうか……?
銀雪「そう言えば…」
兄貴が口を開く。
銀雪「魔女と戦っている時、不思議なものが見えたな。」
杏子「?」
銀雪「紅い…影?沢山見えたな。」
杏子「……ロッソ・ファンタズマだ」
あたしは技名を恥ずかしながら言う。
銀雪「凄い技だったな、あれは杏子が考えた技なのか?」
杏子「……ああ、まぁな」
そう、確かにこの技はあたしが考えた。
でも、考えたのは“あたしだけ”ではない。
杏子「……本当は、もう1人いるんだ…。そして、この技の名前をつけたのも、そいつなんだ……。」
銀雪「……?」
杏子「昔、あたしが世話になった先輩…“師匠”だ。」
銀雪「師匠?」
杏子「ああ、“マミ”って言うんだ。“巴マミ”」
銀雪「巴マミ……。」
杏子「マミは、とっても優しい奴だった。あたしのもう1人の家族と言っても良かったさ。」
そこからあたしは、マミとの過去を語り始める
──────
まだ魔法少女として駆け出しの頃、あたしは風見野で魔女退治をしていた。ある日、見滝原に逃げた魔女を追い掛けて、あたしは見滝原に来た。
その魔女は予想外に強くて、あたしはもう負けそうだった。動けないあたしは目を閉じて覚悟したよ。そして魔女が攻撃してきた。
その時だった。
???「ティロ・フィナーレ!!」
次に目を開けた時には魔女は吹き飛んで跡形も無くなっていた。残っていたのはグリーフシードだけだった。
???「危なかったわね、もう大丈夫よ。」
そうして、その人は手を差し伸べてくれた。
それが、“巴マミ”との出会いだった。
マミ「貴方、見ない顔ね。見滝原の魔法少女?」
杏子「いや、あたしは隣の風見野の魔法少女だ」
マミ「そう…ねぇ、良かったら今からうちに来ないかしら?」
杏子「……え?」
マミ「ほら、貴方まだ怪我してるし、せっかく会ったものだから。」
マミは初対面の人間にも躊躇い無く接する事が出来る人間だった。あたしはマミの招待を受け入れ、あいつの家に行った。
マミ「そう言えば挨拶がまだだったわね。私は巴マミ。見滝原の魔法少女よ。」
杏子「あたしは佐倉杏子だ、風見野で魔法少女をしてる。」
あたしとマミは沢山の事を話した。マミの事、あたしの事、色々とだ。
その時にあたしはマミに頼んだんだ。
杏子「……あのさ」
マミ「何かしら?」
杏子「良ければその…あたしをマミさんの弟子にしてくれないか?」
マミ「……!?」
杏子「貴方は…魔法少女でも特段に強いです。あたしはまだ、駆け出しの魔法少女。貴方の様な師匠がいれば、あたしも強くなれるかなぁ…って」
あたしは魔女に負けそうになった時を思い出して恐怖を抱いていた。そんな気持ちをもう味わいたくないと思ったんだ。
マミ「……そう、良いわよ。」
杏子「本当か?」
マミ「ええ、私も1人で寂しいから、貴方と一緒にいることが出来れば、私も楽しいわ。」
マミは幼い頃に両親を交通事故で亡くし、その時にマミも死ぬ所だったんだ。そこにキュゥべえが現れて、マミは「私を助けて」と願って、生きる事は出来た。だが、それからはずっと孤独に………。
杏子「………ありがとう、マミさん」
マミ「よろしくね、佐倉さん。」
それからはマミさんに魔法少女の特訓を受ける日々が続いた。マミはあたしの魔法を見ると、すんなりとどう使えば良いかあたしに教えてくれた。
その努力で出来たのが、「ロッソ・ファンタズマ」だ。技名も、マミの提案だった。
マミ曰く、「あたし程成長するのが速い魔法少女は初めて」だと、あたしを褒めてくれた。
あたし達はもう家族同然だった。時にはマミをあたしの家に招待して御飯を食べた事もある。本当に幸せだった。
………あの時までは
あたしが魔法少女であること、神父であるあたしの父の信者があたしの願いで集まった事を知った父は、あたしを魔女と罵り、あたし以外の家族と無理心中したよ。
それからはマミとの関係も崩れ始めた。あたしは家族の事から、「魔法は自分の為だけに使う」と決心し、正反対の考えのマミと対立し、遂には戦った。あたしはマミに勝って、あいつのもとから離れて、1人で生きてきた。
──────
銀雪「それで…巴さんは……?」
杏子「しばらくしてから偶然再会したよ」
──────
あたしはいつもの様に魔女狩りをしていた。この日は何となく見滝原に来ていたんだ。そして、偶然見つけた魔女の結界の中で、マミを見つけたんだ。
マミ「ティロ・フィナーレ!!」
マミはかつてあたしを救った必殺技を魔女に放ち、勝った、つもりだった………。
魔女の中から更に魔女が現れて、マミはそいつに喰われそうになったんだ。
「魔法は自分の為にしか使わない」
そう決めていたはずのあたしは、その時だけはいてもたってもいられず、間一髪でマミを助けて、魔女を倒したんだ。
マミは魔女に喰われるかもと言うショックで気を失っていて、その時に実際にあたしの顔を見る事は無かったが、後日また再会した時にはそれはバレていた。マミの後輩から話を聞いたらしい。
マミ「まるで、初めて会った時の逆ね」
杏子「……ああ、そうだな」
マミ「もしかして、あの時の事、まだ気にしているの?」
杏子「………。」
マミ「私はもう気にしていないわよ。またこうして貴方と会えたのだから。」
杏子「マミ…?」
あたしはマミと離れてからその時まで、心の中で密かに悔やんでいた。そして、マミも怒っているのだろうと、心配だった。
マミ「だって、私達、“家族”でしょ?」
杏子「……!!」
こんなあたしにでさえ、マミは怒りの感情1つすら出さずに、あたしにそう言った。そう言われたあたしは、嬉しかった。
それからして、見滝原に“ワルプルギスの夜”が現れた。魔女の中でも最強最悪の魔女だ。あたしはマミに言われて、見滝原の魔法少女のチームに一時的に加入した。
そして、あたし達は勝った。
マミ「ねぇ、佐倉さん」
戦いの後、マミがあたしに話しかけた。
マミ「また、昔みたいに暮らさないかしら?」
杏子「え…?」
それはあまりにも意外な言葉だった。そして、それはあたしにとって嬉しい言葉だった。
だが、
杏子「……悪い、それは無理だ」
あたしは断った。
杏子「嫌な訳じゃない、本当は嬉しいさ。だけど、今直ぐにはまだ暮らせない。時間が欲しいんだ。でもあんたとは会いたい。だから、たまには顔出すよ。」
マミ「そう…分かったわ、いつでも貴方が来るのを待っているわ、佐倉さん。いえ、私の御弟子さん。」
杏子「ありがとうマミ…いや、師匠」
そしてあたし達は再び別々の道を辿った。
いつか再会する事を願って………。
──────
杏子「まあ、こんな所だ。」
話終えて時にはもう兄貴の家に着いていた。
銀雪「良い人を師匠にしたんだな。」
杏子「ああ、また会いたいさ。」
銀雪「俺も、会ってみたいな。」
あたし達は家に入り、今日の疲れを癒す事にした。
──────
<???編>
???編「……あの娘、元気にしてるかしら…?」
-第8話- 弟子と師匠 終
私は杏さやも好きですし、マミ杏も好きです笑笑