魔女兵器 Another Story(書き直し中) 作:にえちゃん
「今朝方から新豊洲の各地で『時空位相波動』の警報が作動した。まるで何かが覚醒したように、な。監視衛星の記録によるとお前たちは異変区域である研究センターで一時的に姿を消し、しばらくすると別の場所から現れた。何故か1人増えてな。」
そう言いマリルはアニーを見つめる
「そしてだ、お前たちが現れると同時にその場所の『時空位相波動』の反応が消失した」
「その『時空位相波動』って何なんだ?」
「……『時空位相波動』区域に出入できるのに何も知らないんだな。
説明するとだな、時空位相は物理法則の基礎、例えるならば宇宙の座標系のようなものだ。粒子の動きにかかわらず座標軸は安定していなければならない。もしも座標軸にブレが出てしまうとどんなに小さいブレでも空間内の粒子の秩序に壊滅的な影響を与えてしまうんだ。
簡単に言えば建物を構成する粒子の約5%の座標が不規則に1
ところがだ、お前たちは何ともなかったかのようにピンピンしているし、お前たちがいた区域内の建物は崩壊していない。
(そもそも聖痕研究によると『GHOST』を持っている人間が時空位相の空間に入ろうとすることは不可能だと結論が出ている)
何が言いたいかと言うとだな、お前たちは鎌鼬を起こすほどヤバい台風に突っ込んだのに無傷で生還し、台風まで鎮めて見せたんだ」
異変というのは俺達に襲い掛かってきたやつらのことなのだろうか、そのことをマリルに伝えると
「そいつらのことは「未知のエネルギー体」と仮称することにする。そいつらと時空位相波動の関係性は確認中だが情報が足りない。外見については調書を取った後にお前たちに作成してもらう」
「あー…俺さ、絵は苦手で……」
「俺もだ」
「心配するな、別に手書きで描けと言うわけではない。こちらで画像生成用のAIを使用するからな。結構便利だぞ」
――――30分後
「ふむ、これだけの情報があればしばらくは十分だろう。もうすぐ元老院との会議があるからな。元老院は会議中にリアルタイム分析ができるソフトなどを使って他人の噓を暴くのが大好きな『――規制――』なやつばかりだからな。今の時点で私が知る情報は少ない方が元老院から隠しやすい」
流石にの発言はどうかと思うがマリルだしな……
――も似たようなことを考えていたのか「元老院に対して皮肉……扱いに慣れているんだね……」と発言するとマリルから「お前も女の子なんだから上手く噓をつけるようにならないとな~」とからかわれていた
「今まで全世界で観測された『時空位相波動』の記録は4回しかない。その多くは『異質物』の収容ミスにより発生している。それに特性不明の『聖痕』が激発すると大惨事になる可能性が極めて高くなる。最も深刻な状況になると一時被害だけでも死者数は数万人は下らんだろう。そうなった場合は他の学園都市と「協力」して情報を隠蔽し、都合のいい「普通の事故」として報道される。例えばガス漏れ、テロ襲撃などになるんだが……
今回の場合は特別だ。これほどまでに大規模な時空位相の連続爆発は今までにないからな……既に最高レベルの偽装シナリオでカバーできる範疇を超えてしまったからな。」
それを聞いた――は自分たちが原因だと思ったのだろう。マリルに何か手伝えることはないかと聞いていたがマリルは
「可能性の話をするな。お前たちの身体と『時空位相波動』は関係あるかもしれんが、それだけのことでこんなことにはならんだろう。もしも何かしらの手がかりが欲しいのならば私の部下と一緒に現場に行ってみてもいいぞ。
(例えばの話だがこの小娘たちが今回の事件の唯一の対抗策となるならば……)
大丈夫だとは思うが無理だけはしないように。それと自分の事を絶対に他人には話すなよ」
他人には話すな、か……。こんな事を話しても信じてくれる人はそうそういないと思うが、もしも信じる人がいたら……恐らくはモルモットだな
――は深く考えずにマリルに何故ダメなのか聞いているがマリルの事だ『一生研究所暮らし』『研究者のおっさんにあんなことやこんなこと~』『――規制――』なんてことを言ってるんだろうな。――の顔が青くなってるし
「では私は会議があるのでな。また後で話の続きをするとしよう」
そう言ってマリルは部屋から出ていく
残された俺達はマリルが現場に行ってもいいと言っていたので部下の人に連れていってもらうことにした
――――――――――
会議室
「あの小娘たち、なかなか面白かったな……」
マリルが独り言を呟いていると前方右側にあるスクリーンから接続の際に出るボイスガイドが流れてくる
しばらくすると声などを偽装する為であろう、わざとらしい電子音声が聞えてくる
(何度もブリーフィングをしたことはあるが……私からは何も見えず、相手からは見えるこの形式はかなり不愉快だな)
そうマリルが心の中で悪態をついていると、通信相手である元老院の1人が要件を述べる
「マリル博士、『ロス・ゴールド』が消失した今回の事件、調査の進展はどうなっている?」
「本日午前0時15分、研究センターのセキュリティシステムが『ロス・ゴールド』の消失を確認。
午前6時40分、衛星監視システム『トゥルービジョン』が警告を発令。その後かなり強力な次元歪曲の発生が確認されました。
午前7時現在、『イージス』システムが新豊洲の防衛範囲圏内にて、6件の時空位相波動の警報を検出しました。
その6件の内、数件からは『未知のエネルギー体』を感知。
こちらの画像は目撃者の情報をもとにAIが作成したものになります。暫定的名称■■の未知エネルギー体で特徴としては顔がぼやけて見えてしまう事でしょう。」
自動的に暗号化されたことに呆れるマリルであったが顔に出さないようにする
この通信は最高レベルのものであり、暗号化したところでほとんど意味が無いからだ
「まず君の見解を聞きたいのだが」
「目撃者の証言によると、未知のエネルギー体は連携をとれる程度の知能を持っているそうです。■■と■■は未知のエネルギー体のリーダー格であると推測でき、■■■■と■■■■は彼らにかなりの頻度で随伴して出現しているとのことです。恐らくは兵隊アリのような役割を持っているのでしょう。これらのことを踏まえると、未知のエネルギー体はある程度の組織性を持ちゆるのは間違いないと思われます」
そう言うとマリルは自身の右後方をちらりと確認する。マリルからは何も見えないが話し方で予想はつく。あれは元老院主席執政官様だろう
「今回の事件、私はただの盗難事件だとは思いません。恐らくは『異質物』の覚醒及び、それに反応した『異質物』の連鎖反応だと思われます。
位相空間全体の侵入率が最高値を超える11.4%を占めていると『イージス』は計算しています。その他は全て不明です。現段階ではこれ以上の推測はできないためこれ以上のコメントを控えさせていただきます。」
マリルが報告を終えると周囲にあるスクリーンからざわめきが走る
そしてマリルの左側にあるスクリーンから低く穏やかな声が聞こえてくる
「精神影響型の『聖痕』が連鎖的に発生し、増加していると?」
「いえ、現在はただ同時発生しているだけだと思われますが……『聖痕』ですか、あまり不謹慎な言葉を使うのはあまり慣れていないもので……」
(彼は精神影響型の『異質物』の権威ではあるが……『聖痕』ねぇ……このゴリラは放射線でも吸収しすぎたのだろうか)
「私は君の意見が聞きたいのだが」
「現状では情報が少ないため結論は出せません。『イージス』でも参考程度にしか結論を出せないでしょう。本件の特異性を踏まえて無期限でのS級調査令を申請します。元老院の皆様、ご理解いただけますようお願いします。」
マリルは言い終えると周囲のざわめきを気にせずに手にあるタブレットを見つめる
(小娘たちが新しい異変区域に突入したようだな。やはり一度姿が消失してから再出現している。『時空位相波動』の停止も確認……。現場の映像は……身体に血痕?無理だけはするなと言ったのにまさか……)
「マリル長官、心ここにあらず、と見えるがどうかしたのか?」
「そんなことはありませんが?」
「君が見ているものはこの会議報告よりも大事なものなのかね?」
「あぁ、ただの子猫の映像ですよ。あなたも見ますか?」
マリルの左側から激しい電子音とブザーが鳴る
「まあまあ、そんなに怒らないでください。これは効率化のために適度に息抜きしているんですよ」
そう言いながらマリルは周囲を警戒する。誰もマリルの動揺は気づかれていないようだ
「では、現在判明している情報は報告書の通りということで、事件は今も調査中です。他に問題がなければ、私は現場へ向かわせていただきます。」
マリルが会議室から出ようとすると軽薄な声が話し始めた
「部下から君が高校生3人を連行したとの報告があったのですが」
「……………(またコイツか)」
「何かあったのですか?マリル閣下…いえ、今は博士でしたね」
「何でもありませんでしたよ。ただ迷い込んできただけの好奇心旺盛な3匹の子猫でした。取り調べも終わったので後ほど家に帰す手筈です」
「それはよかった。この敏感な時期に、我が国が一般人を攫い得体の知れない実験をしたりしている国だと他国から思われるのは大変困りますのでね……」
その言葉はどういう意味かと出席者が騒ぎ始める
「おっと、これは不謹慎でしたね。場を乱してしまい、すみませんでした。無かったことにしていただけると嬉しいですね」
(本当に嫌なやつだな……)
「……今回の事件は他の学園都市の注意を引いてしまったことだろう。今後の秘密調査、公共情報統制の指揮はマリル博士、君に頼む。」
「了解しました。」