ホップステップジャンパーズ~空へと翔る道~ 作:羊merry羊
「やぁ!これでどうだ!」
「オラオラオラオラオラ!」
カケルとソラが戦線復帰してから既に5分が経過していた。しかし、二人の攻撃は余り効いているようには見えず、実質ルイカと敵の一対一であった。
「私の攻撃しか有効打が無いってもの辛いね。相手もそれが分かってるから、二人にはそれなりの対処で済ませて私の攻撃だけしっかり見切ってる感じだし」
火と水の相性は、正に火を見るよりも明らかという表現がピッタリであろう。敵の火による攻撃は全てルイカによって相殺され、そのままの勢いで迫る。しかしギリギリの所で躱すかガードをして、決定的なダメージは入らない。どうしたものかと思案するルイカだったが、
「ぐあっ!アッツ!」
「カケル大丈夫!?こなくそおおお!」
倒れたカケルに近寄らせまいと銃弾をばら撒くソラ。
これまでカケルはヒット&アウェイで戦っていたのだが、敵の攻撃を躱そうと大きく飛びずさった。しかし、その着地点には運悪く、敵の炎によって赤熱化し融解したアスファルトがあったのだ。
急いでルイカが水をかけて冷やすものの、焼け爛れた肌が痛々しかった。
「大丈夫!?これはちょっとヤバそうだね。一度下がって……」
「大丈夫です!行けます!」
患部を見てカケルを戦線から外そうかとしたのだが、それを押しのけて無理矢理立ち上がるカケル。
「そんな怪我してまともに戦える訳ないでしょ!」
「戦わないから大丈夫です!」
「はあっ?どういうこと?」
怪我のショックで頭が逝っちゃったのかと思ったが、ルイカを見返す目には正気が見て取れた。だからその続きを促す。
「先輩に冷やして貰って思い付きました。火を消すには水を掛ければいいんです」
「そんなの当たり前じゃない。やっぱり逝っちゃってたか」
「失礼な事言わないでください。俺は正気ですよ。つまり先輩の水だけじゃ足りないなら、俺達も水を使います」
「そんなこと言っても何処にも水なんてないし、仮にあっても水道の水程度じゃ全然足りないんだよ?」
「大丈夫!たっぷりありますから!とにかく先輩は敵だけ狙って攻撃してください。俺等で弱らせるから、トドメは任せます」
「こらっまだ話は終わってない!」
引き留めようとするルイカの手をすり抜け、カケルは足を引きずりながらもソラに近寄って何かを伝える。
そうしてそのまま離れていき、何かを探す。
「ったく、何をする気か知らないけど終わったらお説教だからね」
今は少しでも敵の注意を惹き、カケルの作戦らしき何かを阻害されないようにサポートする。そう決めたルイカは水鉄砲を連射して攪乱を行う。
するとソラも銃撃を止めて何処かへと走っていく。
「一体何を始める気やら」
牽制の最中、去っていくソラ背中を横目で見るが、突然それとは反対の方向から何かが飛び出した。
「えっ雨?違う、これは!?」
ソラとは反対の方向で何かが起きた。それ即ちカケルが向かった方向である!
「は……はは。アハハハハッ!そう来るか、やるねえ後輩君!」
視線の先、そこにはカケルが消火栓を殴り壊し、上方へ高々と吹き上がる噴水が立ち昇っていた。
また、ドガーンと音がした方でもソラが別の消火栓を破壊して水を振り撒いている。
先程まで赤熱化していたアスファルトも、降り注ぐ水で冷やされ固まっている。肝心の敵は、肌を濡らす水を何とか振りほどけないかと藻掻くが、雨を躱す方法など何処にもない。更には、濡れるたびに体が少しずつ縮んでいるように見える。
「水を掛ければ火は消える。特性もそのまま受け継いじゃったのかな?カケル君、そこから昨日見せてくれた遠距離攻撃って出来そう?」
「強いのは無理ですけど弱めのなら何とか」
「じゃ、それでよろしく。ソラちゃんもありったけ叩きこんで」
「了ー解!うりゃあああ」
「私ももう一回あれをっと」
カケルにはルイカが何か準備しているのが見えた。昨日の自分と逆だと思えた。だからこそ、力を溜めている間は邪魔をさせない。
「こんな体じゃゼノディザスターは打てないし踏ん張りも効かない。でもこれならああああああ」
カケルが戦闘中にも見せている乱打攻撃。接近戦だとより効果が高いが、遠距離でも拳圧を飛ばすことが出来る。それがカケルのもつ対プリズミック兵装ビートナックルの能力だった。
「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」
先程までは無視しても大してダメージを受けていなかった敵も、水で弱ったのか今度はダメージを受けている様だ。油断していたため、まともにラッシュを浴びたから一溜りもない。
何とかガードを試みようとするが、その腕を銃弾が弾き飛ばす。逆の手を出そうとするが、それも弾かれる。そうやってガードを上げながら胴体にも攻撃を加えていく。
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄!」
そしてとうとう相手は態勢を崩され、地面に膝を付いた。その前に立ちはだかるはパイセンことルイカ。
「グ、グギャ……ガァッアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」
忌々しそうに睨み付け、至近距離から放たれた業火の奔流。しかしそれに動じる者は誰一人おらず、勝利を確信していた。
「さっきのとは違う、全力を見せてあげる。
ジュバアアアアアアアアアアアアアアアッ!
迫りくる炎など介在しないかのように一瞬でかき消される。そして直撃する豪水。
「グギャアア!グギャギャギャアアアアァァァァァ……」
怒涛の放水が終わる頃には、プリズミックの姿はそこに跡形も無くなっていた。
「これにて一件落着!二人ともお疲れ様」
「流石ですね先輩。凄かったです」
「本当、先輩って強いんですね!」
「ぬっふっふっふっふ。そうだろうそうだろう、もっと褒めてくれてもいいのだよう?」
すぐ調子に乗ってしまうのが玉に