ホップステップジャンパーズ~空へと翔る道~ 作:羊merry羊
「どうするソラ?最終試験がまさかのゴミ拾いとは」
「どうするもこうするもないよ。それが試験っていうならやるだけだよ。まあ色々とガッカリだったのは認めるけどね」
互いに顔を見合わせため息一つついた後、仕方がないやるかと頬を両手で叩く。
「考えてみればそれだけで合格出来そうなら簡単でよかったよ。気を取り直して受かった後の事でも考えながらやればちょっとはマシに感じるんじゃない?」
「それもそうか、そんじゃまあ行くか」
急いでルイカの後を追いかけた二人。来たばかりの道を戻って街へと飛び出すとルイカが口を尖らせてこちらを見ている。
「遅いよ後輩君たち。ちゃっちゃと片付けなきゃ日が暮れちゃうよ」
「すみませんルイカさん、ちょっと気合いれてました」
「お、やる気満々だね。それなら許してあげよう。何たって私は心が広い先輩だからね」
得意げな顔をして笑う様子に二人はルイカがどんな人物なのか早くも理解出来た気がした。
「それで、ゴミ拾いって具体的にはどんな感じにすればいいですか?」
「ゴミ拾いじゃなくてゴミ掃除ね。街に落ちてるゴミを無くすのも仕事だけど、汚れてる箇所があったらそこも綺麗にするんだよ。袋や箒とかの道具は今渡すけど、水を撒くような必要があったら私に言ってね」
わかりましたと返事をした二人に渡されたのは言われた通りのビニール袋に箒、そして火バサミ。
「とりあえずニ時間くらい作業しようか。私は君たちから付かず離れずくらいの距離で見守りながらやるけど、二人はある程度一緒に行動するなら自由にやってていいよ」
軽く手を振りながら離れていくルイカを見送ると一つ気になることがあった。
「ルイカさんって最初ボンベ背負ってたよな?」
「そうだね」
「今籠背負ってたよな?」
「あ、拾ったゴミを入れてるね」
「「…………忘れよう」」
今見た物の事は記憶から抹消し、カケルはソラへと向き直る。
「じゃあ始めるか」
「そうだね、付かず離れずって事は作業の様子を評価するんだろうし、さっさと始めよう。そしてこんな課題終わらせて正式なジャンパーになろう!」
頷き一つ交わしてゴミ拾いを始めるソラ達。普段街を歩いていても特段ゴミが多いとは思わないが、いざ作業を始めてみると意外にも纏まった量が出るものである。缶など分別しながらの腰を曲げる作業は若者であっても堪えるもので、一時間が経過した所でカケルが音を上げた。
「駄目だー!腰が痛え!」
火バサミや箒があっても中腰になる事が多い慣れない作業は体が悲鳴を挙げる。
「カケル文句言わない、ボクも頑張ってるんだからあと半分頑張ろう」
「そうは言っても、これ割とキリがないぞ?片付けても片付けても風で飛んできたりするし」
そうなのである、見える範囲にゴミがなければ腰も真っ直ぐ伸ばしていれるのだが、拾うごとに視界の端に別のゴミが映ってしまうのだ。
「普段は気付かないけど、ボクらの街って結構汚れてるんだね」
「ポイ捨てもあるんだろうけど、ゴミを荒らすカラスとかもいるし、一人一人の意識改革でもしない限りずっとこのままなんだろうな」
平時であれば気にしない事も視点を変えれば見え方が変わる。少しセンチメンタルな気持ちになった二人は、地面を見つめて何事か思いを馳せる。
するとそこに『キャー』という叫び声が聞こえてきた。
「プリズミックよ!プリズミックが出たわ!」
「パトカーに擬態しているぞ、轢かれるぞ逃げろ!」
「誰かー!助けてー!」
「ジャンパーは!?ジャンパーはいないのか!」
ほんの少し前まで賑やかだった街は一転して阿鼻叫喚の地獄絵図となっていた。逃げ惑う人々、押して押されて転び踏みつけられプリズミックよりも混乱による人災の方が大きいのではないか。
「お、やっとお出ましだね。それじゃあ最終試験と行きますか後輩君たち」
いつの間にか背後にルイカが来ていた。
「ルイカさん最終試験ってどういうことですか?ゴミ拾いをしてたんじゃ?」
「だから何回も言わせないでね。私はずっと『ゴミ掃除』と言っていたよ。ボランティアで街の清掃をする事も確かにあるけど、ジャンパーとしての本業、そして掃除屋『スイーパー』といえば?」
ニチャアと粘着質な笑みを浮かべるルイカにカケルは、
「性格悪いですよルイカさん、てっきり俺はずっとゴミ拾わされるのかと思ってました」
「ぬっふっふっふっふ、まだまだ甘いねえ後輩君。修行が足りないよ。っと、そろそろ動かないとヤバそうだね。私も手伝ってあげるから三人で協力してアイツを倒そう。一応確認するけど、二人とも試験受ける為に戦闘用の装備は持ってきてるよね?」
「はい、持ってきてますけど。あれ、ルイカさんいつの間にかボンベ背負ってる。籠は?」
「プリズミックと戦うのに籠なんか持ってくるわけないじゃん。きっと見間違えたんだよ」
いやそれはないないと心でツッコミを入れるカケルとソラだったが、実戦を前にしてあまりふざけるのもどうかとグッと堪える。
「それじゃ最終試験プリズミック実戦討伐始めるよ」