ホップステップジャンパーズ~空へと翔る道~   作:羊merry羊

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期待の新人から一歩先へ
22.一人前を目指して


「よっと、これで十匹目だな」

「そんなに強くないけどエンカウント率がかなり高いね。この間の地下水道と同じくらいかも」

 

地下水道でゴーレムと演じた大立ち回りから早や一週間が経過していた。あの時の功績と実力をシオンに認められ、カケルとソラは監督役の居ない任務を任されるようになった。これは実質的な一人前であると認定された事に他ならず、二人も言い渡された時は大いに喜んだ。

しかし、そうは言ってもいきなり大きな事件を任せるというのは難しいため、まずはお試しといった具合に『植物園で目撃されたプリズミックの調査』をする事になった。報告ではここ二、三日でプリズミックらしき姿を見たとの証言が数件お客から寄せられ、その調査と可能なら解決を依頼されたものである。とは言っても恐らく何処かから侵入したプリズミックがそこを寝床にしただけで事件性や危険度は低いであろうと推察されている。なればこそ、二人のキャリアアップに指定されたのだった。

だが実際に現場に来てみると、知らされていた以上にプリズミックと遭遇していた。

 

「数は居るけど弱いって動物の赤ちゃんみたいだな。稚魚とかそんな感じ」

「もしかしたら本当にそうなのかもよ?昨日聞いた時点ではここまでの遭遇率は絶対に無かった、なのにこれっていうのはここで孵化したとかそういう可能性が考えられない?」

 

カケルもソラの意見に頷き、改めて周囲の確認をする。

現在、訪れた植物園にて入り口から間もない地点である。高い天井には採光として全面ガラスがはめ込まれ、それに届かんと木が数本伸びている。枝には見慣れない花が咲いており、来場した人々に新鮮な感動を与えてくれるだろう。

他にも地面には様々な花が植えられており、こちらは落ち着いた雰囲気で楽しませてくれる。しかし、その花の一部は所々潰れていた。

 

「折角の綺麗な花がプリズミックに踏み潰されてる……」

「仕方がないさ。ここは密閉空間って訳じゃないけど基本的には閉じられた場所だから、もし本当にここで繁殖しているなら、増えた分だけ被害が出やすいんだと思う」

「だったら早く解決しなきゃね」

 

気合を入れ直して二人は奥へと向かう。これまでの経験やシオンに教えて貰った情報等により、群れの中に大物が居るなら深い所にいる場合が多いと知っているためだ。植物の踏み荒らされた様子を観察したり軽い戦闘を繰り返しながら30分が経過した頃、突如耳に届く声があった。

 

「キャーーーーーっ!」

「「っ!?」」

 

互いを見て首肯(しゅこう)したのち急いで声の方へ駆ける。幸いすぐそばだったようで垣根を一つ二つ越えるだけで辿り着くことができた。そこには体長50センチ程の二足歩行のトカゲがおり、少女を襲っていた。

 

「うげっ、キモチワル」

「そんな事言ってる場合か!」

 

腰が引けてしまったソラとは違い、カケルは逆に飛び出してトカゲに殴りかかった。とは言っても、トカゲと少女の距離が近かったため大振りな攻撃やましてやゼノディザスター等巻き添えにしてしまいかねない技は放てなかった為に、まずは距離を離させる。腕を水平に伸ばし上へ折り曲げ、突進の勢いを乗せて相手に叩き込む。いわゆるラリアットだ。

 

「クォーラルボンバー!」

 

カケルの必死の攻撃により、激しく宙を舞うトカゲ。そこにソラのマシンガンが撃ち込まれ、地面に激突する前に光の粒子となって消えていった。

 

「大丈夫でしたか?」

 

ソラが倒れたままの少女に声を掛ける。手を差し伸べるとツンとした顔をしながらも握られたので引き起こす。服についた土を軽くほろいながら少女を見ると、金色に靡く髪に宝石を纏めたかのようなバレッタが留められている。服は白を基調としたワンピースに黒をあしらわれ、裏地には髪と同じハニーゴールドを使用している様だ。所々レースの刺繍もされており、どこからどう見てもお金持ちのお嬢様といった風貌だった。

 

「貴方たち少しはやるじゃない。あんな奴、私一人でも追い払えたけど、手柄を譲ってあげるわ」

 

高慢な態度にムッとするソラだったが、カケルがストップをかけて顔を寄せてきた。

 

(落ち着けソラ、どっかのお嬢様を相手にしても良いこと無いし早いとこ退場して貰った方が動きやすい。家まで護衛しろとか言われたら面倒だぞ)

(そんなのボクだっていやだよ。お金持ちってなんでこう嫌な性格なんだろう)

 

「ちょっと貴方たち、何コソコソ話してるのよ」

 

そんな二人に痺れを切らしたお嬢様が声を掛けてきたので、機嫌を損ねる前に対応してこの場から去ってもらおうと視線で会話した。幼馴染とはこういう時便利である。

 

「ここは最近プリズミックが目撃されていて危ないんです。俺達はそれの調査と駆除に来たジャンパーです。お客さんも今みたいに危ない目に合う前に早くここから避難してください」

「こう見えてボク達結構強いんですよ」

 

相手を安心させるため、そして危機感を煽る為の言葉をそれぞれ投げかけ、相手の行動を誘導しようとした。さっさと居なくなってくれるならそれでよし、護衛をしろというならこっちは仕事だと言い訳が出来るので警備員にでも預ければそれで解決するだろう。と甘く考えていた。

 

「なんですって?ここでプリズミックが目撃?そんな事許さないわ。丁度いいから貴方たち私に力を貸しなさい。全部この私が倒してやるんだから」

「ちょっ、ちょっと待って!お嬢様が出て行ったら危ないですよ。ここは俺達に任せて」

 

話がとんでもない方向に進もうとしていたので慌てて(なだ)めようとする。しかしお嬢様の気持ちは固い様で、あれやこれやと捲し立ててくる。そうは言っても素人を戦わせるなんてもってのほかだ。二人はなんとかして引き下がって貰おうと言葉を尽くすが受け入れてもらえず、向こうも聞き分けがないとヒステリックになってきた。そしてとうとう爆発の時を迎える。

 

「いい加減にして!この庭園の持ち主でジャンパーの私が自分の庭を守ろうってだけじゃない!貴方達も私の部下なら黙って命令に従いなさい!」

「庭園の持ち主?」

「ジャンパー?」

 

呆けた返事をする二人に今名乗りを上げる人物、それは……

 

「ゴードンコーポレーション社長令嬢アルマが命じるわ。私に従いなさいっ!」

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