ホップステップジャンパーズ~空へと翔る道~ 作:羊merry羊
ゴードンコーポレーション。それは世界規模で多角的に展開されている超一流企業の名である。先代社長の手により起業、データ通信と機械技術によりシェアを広げ世界進出までも果たす。現社長に世代交代してからは、医療や食品等様々な分野にも乗り出し業績は鰻上りだ。
そして目の前にいる少女がそのゴードンの社長令嬢だと名乗ったのだから二人は大いに慌てた。オマケにこの植物園が彼女の持ち物だというのだ。まだ15歳前後に見えるのに資産を所有しているとは流石超一流のお嬢様である。
(カケルどうしよう。超お嬢様だよ)
(そんなこと言われてもそんな人の相手したこと無いからどうすればいいのか俺もわかんねえよ)
「ちょっと二人で何コソコソ言ってるの?さっさと退治しに行くわよ」
困惑する二人だったが、彼女の中では既にプリズミック退治に同行するのは決定事項のようで、急かしてくる。対応の仕方が分からなかったが何とか落ち着いて貰おうと思いつくことを話すことにした。
「えーっとですね。お嬢様がここの持ち主ってのは分かったんですが、プリズミックは危ないから俺達プロに任せて避難してもらえると助かるんですが」
「だから私が行くんじゃない。さっきも言ったけど、貴方達も私の部下なら私がジャンパーって知ってるでしょ!」
「そういえばそんなことも言ってたような……」
「というかなんでボク達勝手に部下にされてるの?」
たまらず疑問を投げかけるソラ。それに対する答えは実にシンプルであった。
「だって貴方達ゴードンのジャンパーなんでしょ?見覚えは無いけどうちに所属する以上は私の部下で間違ってないじゃない」
「いやいや、俺達スカイジャンパーズです!勝手に決めつけないで下さいよ」
「なんでスカジャンがここに居るのよ!ゴードンの敷地にプリズミックが出たなら他所よりうちに情報提供と依頼が出されるのが普通でしょ!?」
そんなこと言われてもと顔を見合わせる二人だったが、特に返せる言葉もなかったので結局黙り込んでしまう。そんな態度を見かねたのか、アルマは苛立ちを隠さずに悪態をつく。
「全くうちの連中は何をやってるのかしら。うちの敷地でどこの馬の骨か分からない奴らに先を越されるなんて職務怠慢だわ」
「ちょっと、どこの馬の骨か分からないのは事実かもしれないけどそこまで言う必要ある?ボク達はれっきとした任務で来てるんだからね」
憤りを顕わにするソラ。お嬢様相手に喧嘩を売るのを止めようと落ち着かせるべくカケルがアタフタしたが、意外にも相手は気にした様子はなかった。
「ああ、気に障ったなら御免なさいね。そっちを悪く言った訳じゃなくてこっちの組織に物言いたかっただけなの」
「そういう事ならまあ聞き流すけど。とりあえずボク達は調査しなきゃいけないから先に行くね」
「待ちなさい。私の勘違いもあったけど、私の庭を人だろうとプリズミックだろうと勝手に歩き回るのは気持ちのいい事じゃないわ。だから私が同行してあげる」
「そうは言ってもお嬢様が居ると俺達も守りながら戦わなきゃいけないし、動きづらいというかなんというか……」
未だ煮え切らない態度を示すカケル。そんな様子にキレ気味に反論が飛ぶ。
「だから何度言えばいいの!私はジャンパーなの!それも一流の!自分で言うのもなんだけど、凄い強いわよ。あとお嬢様って禁止」
「色々言いたい事があるけどなんでお嬢様禁止なの?」
色々言いたい割にはそこを聞くのかとツッコミを入れたくなるカケルだったが、ここはグッと堪えて見守る。するとアルマの口から出てきた言葉は意外なものだった。
「貴方達はうちの管轄じゃないんだから媚び
その返答により、プライドは高そうではあるが悪い人ではないと判断したカケル達は納得し、同行してもいいと思えた。
「わかった、それじゃあよろしくアルマさん」
「よろしくです」
「ええ、さっさとこの庭からあの気持ち悪いトカゲを排除するわよ」
土地勘を持っているアルマが仲間になったことで、調査はスムーズになった。遭遇したプリズミックとの戦闘では抱えている日傘からレーザーを放ち援護し、探索では発生元となる場所にアタリを付け軽い集団となっているプリズミックを発見する事に貢献した。そう『貢献』である。『先導』ではない。ここが重要だった……
「キャーッ!なんでこんなにキモイのよ!爬虫類なんて進化の途中で立ち止まった不完全生物でしょ!なんで絶滅しないのよ!」
「そんなこと言ったってしょうがないじゃないっすか。だったらなんで着いてきたんすよ」
「こんな気持ち悪いのが私の庭に居るなんて耐えられないじゃない!こっち来ないで!」
バキィッと日傘で思いっきり殴打し、吹っ飛んだ体に追撃としてレーザーを放って蒸発させる。文句を言いつつ及び腰になっての攻撃ではあるが、自分で言うように確かな実力が感じられた。
「アルマさん凄いですね。的確にプリズミックを倒してるし、次の行動への流れがとてもスムーズです」
「この程度で驚かれても困るわ。普段の私はもっと凄いんだから」
そういう割にはふふんと胸を張りまんざらでもなさそうである。聞けば今日はオフだからいつものジャンパースーツを着ていないし、武器もメインウェポンではないとの事。攻防ともに普段以下のスペックで、尚且つ苦手なビジュアルの相手をしてこの活躍はお見事としか言いようがなかった。
「それにしてもこんな奴らが私の庭にのさばってるなんて許せない。さっさと親玉でも倒してティータイムと洒落込みたいわ」
バシュゥゥゥッ!
そんな愚痴をこぼしたのもつかの間、突如近くの池から水柱が上がった。皆慌てて臨戦態勢を取るが、立ち昇る水流が収まるまでは観察をする。そうして勢いが衰えていき影から現れた者は、
「きゃああああああああああああ!むりムリ無理ぃいいいいいいいいいいいいいいっ!」
体長三メートルはあろうかという巨大なトカゲであった。