ホップステップジャンパーズ~空へと翔る道~ 作:羊merry羊
ソラの目の前に佇むは、後にパトランプリズミックと呼ばれるようになった個体。一般的にガーディアンと呼ばれるタイプに酷似していたが、それと違うのは文字通り頭部にあるパトランプの存在だった。
通常のガーディアンは色や大きさこそ多少の違いはあれど、見た目としてはほぼ同一であった。それがこの敵は目に見えての違いがあった。
「ガーディアンタイプは基本遠距離での砲撃、銃撃に加えて近距離での放電現象や爆破攻撃がメインなんですよね」
「その通り。あとは腕で直接殴ってくることもあるけどこれは稀だね。でも重機で殴られるのと同じだから、常に警戒はしておくこと。でないと授業料は命って事になりかねないよ」
油断はするなという警告に気を引き締める。三人で散開しパトランプリズミックを取り囲むとルイカが口を開いた。
「今まで確認されていないタイプのプリズミックと戦うときの基本は様子見をすること!相手がどんな攻撃パターンをしているか、どう潜り抜けて攻撃に転じればいいか、弱点は何処か。その他もろもろを回避と牽制をしつつ見極めるんだよ!」
「相手のパターンを把握するのはわかります。けど弱点の見つけ方ってどうやるんですか?」
「プリズミックには必ずコアが存在するんだ。これは常に発光しているんだけど体の中に隠し持つのと外に露出しているのに分かれる。露出している場合はそれが弱点その1。そしてその2は攻撃して一番苦しんだり、明らかに他とは違う手ごたえがするもの。まあ戦いながらそれっぽい所を探すってわけ」
「コイツはコアと思しきものは見当たらないから、出たとこ勝負って事か。どっちにしろ様子見だね」
「伝えることはこれくらいかな。あとは戦いながらアドバイスするから攻撃開始するよ!」
言うが早いか、ルイカの二丁拳銃が火を噴く、もとい水を噴く。高圧の水を噴射するシンプルなものだが、圧や大きさを意のままにすることが出来、大玉の水球をぶつけることも可能なのが彼女のハイドロシューターという武器であった。そしてこれの最大の特性が、
「ルイカさんが攻撃した箇所が変色してるんですけどこれは?」
「よく気付いたね。水鉄砲と聞くと一見弱そうに感じるけど、この水には相手のプリズミックコーティングを洗い落とす効果があるんだよ。つまり、表面の色が変わってる部分は疑似的な弱点となるのさ!」
「すげー!パイセンパネェっす!」
「ぬっふふーん♪もっと褒めてくれても良いんだよ?ってうわわわわわわわわわっ!」
「ルイカさん!」
コーティングを剥がされたのが気に障ったのか、ルイカ目掛けてミサイルとマシンガンの応酬が飛んできた。間一髪回避に成功したものの、あと一歩違えば大怪我をしていた事だろう。
「ふー危なかった。こういう事があるから戦闘中は気を抜かないようにね。それじゃこっちも反撃だ。ソラちゃん、変色した所にありったけぶちこんであげて」
「任せてください!これでもくらえっ!」
ソラの持つ銃から多量の人参を模したミサイルが飛び出す。着弾した箇所が爆発し、次から次へと弾幕が襲い掛かる。
「いいねその調子だよ。カケル君、爆煙が収まったらソラちゃんが攻撃した場所にガツンとダメ押しの一撃を与えてね」
「了解です!もう少ししたら収まるか?よし、行きます!」
煙が晴れる頃にはカケルが肉薄し、思いっきり腕を振りぬこうとしたとき、
ウゥゥゥゥウウウウゥゥウウーーーー!
「くっ、なんだ、これ……」
バチヂヂヂヂヂヂヂヂヂヂ!
「ぐはっ、体が……」
「カケル!」
先の報告にもあった放電攻撃。それをモロに喰らってしまったカケルは全身が痺れて動けなくなっていた。そこにパトランプリズミックの腕が振り下ろされようとしていた。
「いけない!早く助けなきゃ!ってあれ?」
「カケル歯食いしばれ!」
「な、に、を、ってえええええええええええ!?」
ちゅどおおおおおおおおおおおおおんっ!
ソラは咄嗟に大型のミサイルを放ち、カケルの手前で起爆することによって敵から弾き飛ばすことに成功した。
「えほっ!ゴホッ!ったく、ちょっと乱暴すぎるだろ今のは」
「助かったんだから文句言わない!それよりまたアイツの攻撃が来るよ」
「いや、あれはすぐには来ない奴だね。チャージして大きいのを仕掛ける気みたい」
いつの間にか三人が集結する形になったが、そこでルイカからの提案があった。
「さっきカケル君が動きを止められたのはサイレンだね。多分身に危険が迫るとあれで威嚇して敵を委縮させるんだと思う。そしてその後の放電するのに少し体を曲げたんだけどその時、頭のてっぺんにコアが埋まってるのが見えた。あれなら一発重い攻撃をお見舞いすれば倒せるはず。だからまず近づく為にサイレンを破壊、その後改めて頭に攻撃をしよう」
「それならボクがまた攻撃して壊すよ。カケルはトドメよろしく」
「俺がトドメ刺しちゃっていいのか?勝負は?」
キョトンとした顔のカケルにソラは笑って、
「いいの、勝ち負けなんかより確実に倒す方が重要だよ。僕の装備じゃ一点攻撃するのは不向きだからね」
「それじゃ私は先輩らしくカケル君の進む道を作ってあげるとしますか。サイレンが破壊されたら一気に近づくから遅れないで付いてきて」
「わかりました。それじゃあこれで本当に終わらせよう」
パトランプリズミックに向き直ると向こうも準備が出来たとばかりに大きなミサイルを何基も構えていた。
「さあまずは弾幕回避ゲーからだよ。これは手助けしないから各自、自分の力で乗り越えてね」
「俺、この戦いが終わったら……」
「カケルこんな時にフラグ立てない!」
「いや悪い悪い、結構耐えてたんだけどシリアスな展開続きすぎて緊張の糸が張り詰められて苦しくってさ。ちょっとリラックスしたくなったんだ」
「まあガチガチになってるよりはこのくらいの方がいいパフォーマンス発揮できるだろうし、それもいいんじゃない?」
「先輩までそうやって……じゃあボクも言おうっと。この戦いが終わったらボク……」
「プロポーズでもするのか?」
「カケルにジェラー堂のスペシャルジャンボパフェ奢ってもらうんだ……」
「ちょっ!?ソラさん!?」
慌ててソラに振り向くとジト目が待ち構えていた。
「ボクまだ遅刻してきたこと許してないし、その時もカケル『はいはい』って言ったよね?約束は守って貰うから。男に二言はないんでしょ」
「いやでもあれ5000円するじゃん!ちょっと高すぎるだろ」
狼狽するカケルをみて爆笑してるルイカだが、顔はそのまま笑い、言葉だけは真剣に向き直る。
「それじゃ美味しいパフェを奢ってもらうためにもさっさと倒しちゃおうか。くるよ!」
「援護してくれソラ。一か所に弾を打ち込んでくれたらそこを突破する」
「了解、今度こそちゃんと決めてよね」
新人ジャンパー二人の初陣は佳境に入る。