ホップステップジャンパーズ~空へと翔る道~   作:羊merry羊

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30.見知らぬ少女との共闘

「あーあ、私もあの子達みたいに遊びに行きたいな。でもキチンとお仕事は終わらせなきゃ行けないのかしら。そう、何故なら私は責任ある隊長なのだから。でもでも終わってからなら行っても問題ないのかしら?」

 

 ここはとある海洋上、波間にたゆたうは大型の船。その甲板から少女が独り言を続けていた。

 どうやら知り合いと休日が合わず仲間はずれにされている模様だ。かれこれ10分は上の空のまま甲板を行ったり来たりしている。こんな心境の時は何かと不測の事態や不祥事が起きやすい。

 一際大きな波が船に押し寄せ、グラッと船体が傾く。

 例え航行に慣れている者であってもバランスは崩すこともあるし、考え事をしていれば尚更であった。

 

「きゃっ、ととと、危ないかしら!?」

 

 揺れに流されるまま進む体を止めようと手近にある物に体重を預けざるを得ない少女。そして──

 

 ガチャン、ドボン。

 

「あわわわわ……私知らないのだわ。何も見てないのかしら」

 

 ここはとある海洋上。例え何かが起きても、目撃者が居なければ事件には発展しない事が多々ある場所である。

 

 

 

 

 

「あーいいお湯だった」

「おっ、そっちも丁度上がった所か」

 

 上気した顔から立ち昇る微かな湯気、首に掛けられたままの手ぬぐい、そして二人を包む衣装は普段と違う浴衣であった。

 先日アルマの所持している植物園で起こった事件、これが通常の新人ジャンパーが受け持つには手に余る任務であったものの、人的被害はほぼ皆無であり迅速な解決に繋がった点を評価され、カケルとソラの二人には特別褒賞として二泊三日の温泉旅行が与えられたのだった。

 用意された温泉宿は打撲や打ち身等によく効くと評判で、最近自分のレベル以上の敵と戦い続けて疲労が溜まっている二人を心配したシオンからの粋な計らいであった。なお、後ろから私も行きたいと騒いでいた別の二名が居たことはあえて語るまでもない。

 

「ねえカケル、折角温泉に来たんだし卓球でもやらない?」

「いいね、俺の必殺ナックルサーブを受けきれるかな?」

 

 本来なら慰労で来ているのだから大人しくしているべきなのかもしれないが、若い二人には大人しくしているより体を動かす方が性に合っている。早速遊戯コーナーへと向かい勝負をしようと意気込むが、そこには既に先客がいた。

 

「これで終わりや!死に晒せえええええ!」

 

 物騒な言葉と共に打ち鳴らされたパコーンと甲高い音。どうやら必殺のスマッシュで勝負が決まったようだ。

 

 

「よっしゃー!うちの勝ちやな。コーヒー牛乳は貰うで」

 

 金髪ロングヘア―の女性が見た目とマッチしない関西弁を操りながら、隅に置かれていた瓶を手に取り一気飲みする。

 

「ぷは──、勝負の後の一杯は格別やなぁ」

「うぅ、ワタシの勝利の美酒が奪われたデス……」

「美酒って酒ちゃうやろ。とか言ってうちもおんなじ感想なんやけどな。あっはっは」

 

 次頑張りやーと間延びした声で手を振る金髪女性を恨めしそうに見るは緑のショートヘアの少女。浴衣のサイズが合っていないのか、袖が手のひら四分の一程まで覆っているのをカケルは見付け、内心負けたのはそれのせいもあるんじゃと思った。現に相手はいつでもリベンジ受け付けるでと挑発をしている。

 

「次こそは負けないデス!そこの人、手を貸してくださいデス!」

「へ、俺ですか?」

 

 突然の指名を受けたカケルはポカンとしていたが、どうやら少女はダブルスで勝負したいらしい。

 

「いいっすよ。俺はカケル、よろしく」

「ワタシはエルメスデス。二人で憎きソニヤさんを叩き潰すのデス」

「ならこっちはそっちの嬢ちゃん貰うさかいな。ソニヤや、よろしゅう」

「ソラです。なんか突然ですけどよろしくです」

 

 予定とは多少違ったものの、卓球をすることには変わりはないと気持ちを切り替えた二人は腕まくりをして勝負の世界へ没頭するのだった。

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