ホップステップジャンパーズ~空へと翔る道~ 作:羊merry羊
カケルの事は皆無視することに決めて、ソニヤの報告とこれからの対応について話を進めることにした一同。
「今の所経緯は調査中やけど、エルメスの装備が流出したのは間違いないみたいやな」
「やっぱりデスか。それで司令官はなんと?」
「東京の方は本部を急行させながら周囲に散らばった奴らを駆逐するってゆーとった。丁度各隊長達もバラバラに行動しとったらしいから、周りから中心に追い込むって作戦らしいで」
なるほどと相づちを打つエスメスに対し、話を半分ほどしか理解できなかったソラが疑問を呈する。
「すみません、司令官とか隊長っていうのは?」
「アイアンバレットには陸海空にそれぞれ隊長副隊長が一人ずつおんねん。そしてそれらを総括してるのが司令官のレグルスさんちゅう訳やな」
「皆さん任務の関係で居場所が離れていたのが、今回の事例では幸いした形デス。うまく連携すれば被害は最小限に留められるかもしれまセン」
ここまで話してソニヤは端末を取り出し、そこからプロジェクションマッピングを表示した。
「うちらが今居るのがココや。そして各隊長たちが居るのがこの辺り。うちらはマリン──海部隊長の事な?──が手配してくれる船を使って海上から東京を目指すで」
「温泉でまったり過ごす予定がトンだ急展開デスよ」
「事が事だから仕方がないですよ。ボク達が対応しなかったらもっと被害拡大するかもしれませんし」
しょんぼりとするエルメスを慰めるソラ。そんなソラにソニヤは意外そうな顔を向ける。
「今回の件はうちらが原因の可能性があるから、他所者のソラちゃんは参加しないで温泉楽しんでてくれてもええんやで?」
「何言ってるんですか。ジャンパーは市民をプリズミックから守るのが仕事です。どこの所属だとか関係ないですよ」
「おおきにな。それじゃさっさとエルプリ始末して、またゆっくり湯に浸かろうやないか」
「エルプリって何デスか?」
「エルメスみたいなプリズミックやからエルプリや。覚えやすやろ」
「そんな適当で安直な名前は嫌デス!もっとカッコイイのにするべきデス」
「わかりやすさ第一や。それに大層な名前つけても元がアンタならしゃあないで」
ソニヤの言葉に憤慨しているエルメスを無視し、話を進める。
作戦はこうだ。海上を経由して東京に戻り、各所にて暴れているエルプリを撃破。その間、他の隊長達が包囲網を敷くので、網の中でもっとも活発に動く部分にエルプリのボスが居るだろうと予測を立てて最終的にこれを討伐する。
言葉にするとありきたりだが、これまで個人チームで活動してきたソラには組織立った大規模作戦は少々不安を感じていた。
これをすぐさま見抜いたソニヤはニッコリ笑って背中を軽く叩く。
「そんな暗い顔せんでええって。目の前のプリズミックを倒すだけや。それ以外の細かいことは上が勝手にしてくれるから、末端社員は馬車馬の如く働くだけの簡単なお仕事やで」
冗談交じりに励ましてくれたソニヤ。ソラは思わず吹き出してしまい、肩の力が抜ける。
「ぷっ、そうですね。難しいこと考えてもわかりませんし、馬車馬の如く働いて、また温泉で疲れを癒やしましょう」
「その意気デス。それじゃワタシ達もそろそろ移動開始しましょう」
皆連れ立って外へと歩いて行く。その姿に気負った様子はなく、極めて自然体だ。
何かに臨む精神状態としてはこれがベストではないかだろうか。
きっと彼女たちなら上手くやってくれる、そんな事を見ている者達に抱かせる安心感があった。
「………………はっ!ちょ、俺を置いていかないでくれぇえええ」
────────上手くやってくれるだろう。多分……