ホップステップジャンパーズ~空へと翔る道~ 作:羊merry羊
「いっけえ、キャロットマシンガン!」
プリズミックから発射された数々のミサイルは、ソラの振り撒く弾幕により誘爆させられる。そうして作られた空白地帯にカケルとルイカが飛び込む。
「ソラちゃん、残りの迎撃はこっちで受け持つから、パトランプの破壊をお願い」
「はい!おりゃりゃりゃりゃりゃ」
砲口を上へとずらし頭部のパトランプを狙うと、嫌がるように体を捻り、腕でガードをするように弾幕の前に突き出す。
「負けるもんか、てりゃあああああ!」
ソラも移動しながらの射撃に切り替え、多角的に射線を取る。するとどの方向に向かってガードをすれば判断がつかなくなったのか、腕をブンブン振り回して追い払うかのような動きを見せる。
「ここだ!人参フルバースト!」
ビルの壁を三角跳びの要領で駆け上がり、捉えた一瞬を逃さず残弾を撃ち尽くす勢いでの攻勢に、流石のガーディアンの名も陥落せざるを得なかった。
ドガアアアン!ビキィッ!
慌ててガード姿勢を取り直そうとするも、蓄積したダメージに加え、無茶な角度からの急制動により腕は爆散し、その向こうのパトランプも砕け散った。
「やってくれたねソラちゃん、あとは私達にまかっせて。カケル君はトドメの一撃用に力を貯めておいて。私が道を切り開く」
「わかりました、はぁあああああああっ」
カケルの拳に光が集まるのを横目で確認しつつ、目の前に迫るミサイルを銃で受け流していくと、鞭のようにしなるロープが襲いかかった。
「中から飛び出した配線をそのまま武器にするとか頭良すぎでしょ。でもまだ甘い!」
これまで二丁それぞれ別々に操っていたルイカがここに来て一つに重ねて発砲した。一瞬で巨大な水球が形成され、そこに飲み込まれるコード群。
「水ってのは結構重いんだよ。それだけ抵抗が強ければこっちに届く前に回避できる」
目にも止まらぬ攻防はルイカに軍配が上がり、紙一重で回避した。そしてそのままの勢いで相手の頭上へと駆け上がる。
「ペインティングショット!」
ルイカの銃からそれぞれ色の付いた液体が飛び出し、ある一点で交差する。
「後輩くん、あの印がアイツのコアの位置だよ。決めちゃって」
続いて登ってきたカケルにバトンタッチと言わんばかりに視線を飛ばし、体の位置を譲る。その頃にはカケルの両手には眩い光が携えられており、込められたエネルギーの大きさを物語っていた。その両腕が弓のように後ろに引き絞られると気合烈迫と共に突き出される。
「これで終わりだ!ゼノディザスター!」
ルイカの付けたマーカーに全力で叩き付けられた拳。更にそこから撃ち出された力の奔流はガーディアンの装甲を完全に穿つらぬき、貫通した衝撃波が別の部位から溢れ出す。
パトランプリズミックは光を放ちながら膝から崩れ落ち、光が収まった後に残ったのは金色に輝くプリズミックキューブとヒビ割れたパトランプであった。
「勝った、のか?」
バシッ!
疑問混じりの呟きに返された返事は背中に伝わる衝撃。
「おつかれ!初めてな割には良い動きしてたよ。新人とは思えないくらい、優秀な人材が後輩に来てくれて私も鼻が高いよ」
「ルイカさん、ありがとうございます。そして痛いッス」
ジト目で睨んだ先にあるのはドヤ顔でふんぞり返る先輩の姿であった。戦闘中は結構格好良かったのに、もう少し余韻に浸らせてほしいものである。
「カケルお疲れ、プリズミック初討伐だね」
「ソラもお疲れ、これで俺達も立派なプリズミックハンターって訳だな」
初の実戦、初の討伐と初めてづくしだが、達成感が強く、今はやり遂げたという気持ちが胸を満たしていた。
「ひとまずこれで最終試験は終わり。二人共文句なしの合格だね、おめでとう」
「ありがとうございます。でもジャンパー試験って大変なんですね。こんな強い敵をいきなり倒さなくちゃいけないなんて……」
先程までプリズミックがいた場所を見つめながらカケルがしみじみと呟くと、ソラから叱咤しったが飛ぶ。
「情けないこと言わないの。初めての実戦なんだから危険が少ない敵に決まってるでしょ。もっと強い敵がこれから沢山出てくるんだよ。ですよね、先輩?」
「そのとおり。この程度の敵はまだまだ序の口に過ぎないのだよ」
うんうんと頷くルイカであったが、急に困ったような顔になる。
「って言いたいところなんだけどね。正直に言うと今回の敵は想定していた強さよりかなり強い部類だったんだよねえ」
頬をポリポリ掻きながら目線を逸らすルイカ。
「いやはや、よく皆生きてたね。運が良かったよ」
はははと渇いた笑いを浮かべ気まずそうにするルイカ。そしてその隣に突然現れた者が語りかけてきた。
「本当に危なくなった時は手を貸そうと見守っていたが、そんな事にはならずにすんだ。期待の新人って所かな?二人とも良くやった」
ネイビーブルーの短髪に
「え、この人ってもしかして」
「超有名人の疾風のシオンさん!?」
スカイジャンパーズにこの人あり、かつて世界最強とも謳うたわれた強者が二人を讃えていた。