ホップステップジャンパーズ~空へと翔る道~   作:羊merry羊

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5.疾風のシオン登場

 かつて三大プリズミック事件と呼ばれる大規模災害があった。ヨーロッパを襲った神殿事件、アメリカを襲った海神事件、そして日本を襲った神龍事件の三つである。

 シオンはそのうちの一つ、神龍事件を解決に導いた立役者であり、救世主でもあった。

 

「知っていたか。改めて名乗らせてもらおう。俺の名はシオン、君たちの先輩に当たるジャンパーだ。よろしく頼む」

「キャー、カケルどうしよう!凄い人に挨拶されちゃったよ」

「俺に聞くなよ!えっとあの!ジャンパーの先輩として憧れてます!握手してください!」

「あっカケルずるいボクも!」

 

 先を争うように押しのけあって手を前に差し出す若者に苦笑を浮かべながらもそれに応じるシオン。

 

「別に俺はアイドルでもないし偉い立場でもないからそんなに恐縮することもないぞ。これからは同じ職場で働くんだから、もっと気を抜いてくれ」

「そんなこと言ってもシオンさんは世界的にも有名な人ですし、凄い人じゃないですか」

「そうそう、ボク達シオンさんみたいな立派なジャンパー目指して頑張ります!」

 

 シオンは目を輝かせて熱弁する二人にどう扱ったものか考えを巡らせていたが、意外な人物からの援護によりそれは杞憂(きゆう)に終わる。

 

「二人とも私の時とはエライ反応が違うねえ?私も先輩なんだけどなあ?」

 

 ジト目を通り越してべっちょり目とでも言えそうなくらい粘着質な視線が向けられた二人は慌てて言い訳をまくしたてる。

 

「え、いや別にルイカさんが凄くないとかそんなこと思ってるわけじゃないんですよ?先輩」

「そうそう、シオンさんがちょっと眩しかったから見えなくなってただけで、忘れてたわけじゃないんですよ?先輩」

「そう!私は先輩なのだ!だからどんどん頼ってくれても良いんだぞふふんっ」

 

(え、先輩呼ばれただけで機嫌直るのこの人)

(ちょろい。ボク達むしろ貶すようなこと喋っちゃた気がするのに)

 

話が可笑しな方向に進みそうだったので、シオンはパンパンと手を鳴らし、再度注目を集める。

 

「皆一先ず本部に戻るぞ。本番であれば報告をするまでが任務だからしっかりとな。その後正式な登録なんかを済ませたら君達の歓迎会が準備してある。楽しんでいってくれ」

「本当ですか!よーし腹いっぱい食うぞ」

「わざわざ気を使ってもらってすみません。もしもボクらが試験落ちてたら無駄になっちゃうかもしれないのに……」

「そんなことは無い。この試験はあくまでも実戦に置ける行動を把握するための練習の場という意味合いが強い。今回はイレギュラーが発生して想定していたよりも強い敵が現れてしまったが、討伐出来なくても合格だった。万が一、この試験で落ちるような例を挙げると、自分・他者含めて命を軽んじる行動や、周囲の被害を一切省みない様子が確認された場合審議されるくらいだろう」

 

 あっさりとネタ晴らしをするシオンにルイカは面白くなさそうに頭の後ろで腕を組む。

 

「なんでバラしちゃうかな、黙っていた方が自力で合格した達成感とかあるのに、シオンはその辺わかってないなあ」

「そ、そういう物なのか?」

 

 気まずそうにカケル達に確認の視線を向けると、こちらも気まずそうに微妙な表情を浮かべる二人。

 

「すまない二人とも。どうやら俺はその辺の機微に疎い方みたいでな、無神経に人を傷つける節があるようだ。悪かった」

「そんな謝らないでください。別に悪いことをしたわけじゃないんですし」

「そうそう、今後調子に乗って痛い視線向けられるより、よっぽどいいですよ」

 

 お互いフォローしあい、丸く収まった所でルイカが何かを見付ける。

 

「あれ?なんか変わったプリズムが落ちてる。なんだろこれ」

「七色に輝くプリズム?俺も見たことが無いタイプだな。いや待てよ、何処かで似たような物が……?」

 

 大きさは直径2cm程度のプリズム。決して大きいものでは無いこれを目ざとく見付けたルイカは評価に値する。が、誰もその事について触れてあげる事は無かった……

 

「とりあえずサンプルとして持ち帰ろう。ソフィに解析してもらえば何かわかるかもしれない。今回のプリズミックが強かったこともこれに由来している可能性がある」

「ソフィさんって俺のナックルやソラのジャンパースーツを開発してくれた人ですよね?」

「そうだ、スカイジャンパーズでプリズミック関係の研究と兵器の開発を一手に引き受ける優秀な人材だ。所属メンバーについては後程歓迎会で本人達から紹介があるだろうからここまでにして、早いとこ戻るとしよう」

「「はーい」」

 

 一行はそのまま雑談を交わしながら本部への道を歩いていく。戦いの緊張感とは無縁な笑顔が零れ、各自戦闘後の余韻を堪能するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャリッ!

 

「ふむ、あの検体がノアですらない、そんじょそこらにいる三人ばかしの奴等に始末されてしまうとは。まだまだ改良が必要ということか。まあいい、このデータを使ってより強い物を作ればいいだけだ。次はどういったものにするか……」

 

 ひと気が失せた現場に佇む、陰湿な笑みを浮かべるその者の存在に気付いた者は、この時点では誰もいなかった。

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