願いを叶えてあげたら   作:Celtmyth

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 猛暑で進まなかった。でもそうめんの食は進みました。


0日目②≠『僕らは彼女たちと話した』

 八神はやてに似た少女、ディアーチェの言葉を聞いて天吹は、脳内から木魚の音が鳴る幻聴を聞きながら思案し、

 

「うん、いいよ」

「アホか!!」

 

 答えたら阪奈に頭をはったたかれた。思わず忍者口調がなくなる程に。あと11才女の子としては鍛えているので結構痛い。

 なので天吹は頭を抑えて蹲る。そうすると出てくるのは、彼女(ヴェヌス)である。

 

「マスターの頭を叩くとは何事ですかっ!」

「馬鹿なことを―――んっ、んんっ。初見の相手の要求にすぐ頷く愚行はさすがに流せぬでござるからな。いわゆる鉄拳制裁でござる」

「私は暴力に対して意義を唱えているのです!」

「・・・・・・そろそろヴェヌス殿とは十分な話をした方がいいでござるな」

「はいはい。向こうが困ってるから後にしようね」

 

 口論が喧嘩に発展しそうな阪奈とヴェヌスをアリシアが宥める。こういう時は年上のアリシアが仲裁するので意外にもバランスが取れている3人組と一機である。天吹? まだ頭を抑えていた。

 

「・・・・・・後にしましょう」

「・・・・・・ござる」

 

 冷静さを取り戻すと改めて相手側と向き合う。と、なにやら向こうもコソコソ話し合ってた。

 

「ねぇー、お取り込み中―?」

 

 そんな彼女らに天吹が声を掛けると反応してこっちを向いてくれた。

 

「あー、うむ。問題無い」

「わかった。ところで八神はやてちゃんに似てるの?」」

「それはあの子鴉が我のオリジナルであるからだ。久保田天吹よ」

「どういう事? それとなんで僕の名前を知ってるの?」

「よく知っているとも。なぜなら我らマテリアルは貴様が消滅させた闇の書の奥から見ていたのだからな」

 

 闇の書。その名前になはとが反応した。それを感じた天吹は優しく撫でて上げた。

 

「闇の書は天吹殿が破壊した筈でござるが?」

「闇の書の再生プログラムも先に停止させていれば完全破壊が出来たでしょうね。あ、私は高町なのはをモデルにした星光の殲滅者シュテル・ザ・デストラクターと申します」

「あ、シュテるんズルい! ボクは力のマテリアル雷刃の襲撃者レヴィ・ザ・スラッシャー! オリジナルより強くて速くてカッコイイ!!」

 

 他の2人、シュテルとレヴィが改めて自己紹介する。シュテルは理的な印象を与えたがレヴィは『アホの子』とレッテルが貼られた。

 

「私が改めてご説明します。私たちはある目的のため行動をしています。すでに目前との所ですが、懸念はあります。それが久保田天吹、貴方が存在している事です」

「なんで?」

「願いを叶える存在。そのような者を無視できると思っているのですか?」

 

 確かにそうだろう。特に天吹はこの1年で起きた事件でアリシアやなはと、リインフォースを救っているし、リンカーコアを持たない阪奈に魔法の力を与えている。危険視するのは当然だった。

 

「故に天吹殿を連れて行くと?」

「結論から言えばその通りです」

「そうでござるか」

 

 阪奈の問いにシュテルが答えると、阪奈の姿が消えた。

 その姿が現れたのはディアーチェの背後、しかし剣戟の音と共にだった。

 

「ぬおっ!?」

「っ!」

 

 驚くディアーチェだったがシュテルがその手を掴んで離脱する。天吹たちは何が起きたのか見えていたがディアーチェ達は離れて何が起こったのか知る。

 

「・・・・・・よく反応したでござるな」

「キミは卑怯だねぇ。まだシュテるんが話してる所だったよ」

「そちらも目が合ったときから警戒していたござろう?」

「そりゃあ何か狙ってる目だったもん」

 

 そこにいたのは忍刀『流れ者』を持った阪奈とバルフィニカスでそれを防ぐレヴィの2人だ。この光景から予想されるのは阪奈が不意打ちをし、レヴィがそれを防いだと言う事。

 

「―――であるならば、今以上に動くしかないでござるな」

 

 しかし阪奈は表情を変えることなく、レヴィから下がると再び姿を消し――。

 

「スパークッ!!!」

 

 そこにレヴィが目の前、いや周辺に電気に変換した魔力を放つ。すると姿を消した阪奈が、レヴィの正面から斜め後ろから姿を現わす。

 

「アハハハッ、さすがに2回も王様の所には行かせないよ」

「ござるか。なら――!」

 

 忍刀を握り直した阪奈は標的をレヴィに固定、しているが隙あらばディアーチェに再び奇襲を掛けるつもりであった。そしてレヴィも本能でそれを察していた。

 そうして2人が戦闘態勢に入った中、残りの4人の半分、天吹とアリシアもまた戦闘態勢に入っていた。

 

「ごめんねー。阪奈がああ判断したなら間違いなくあれが正しいんだよ。だから天吹君は連れて行かせないよ」

「なるほど。彼女が貴方がたのブレインというわけですか」

「そーだよー。と言うわけで私たちもやろうか?」

「話が早いな貴様ら。――シュテル、我は天吹の相手をする。お前はあのレヴィ似の娘を相手をしろ」

「承知しました」

 

 ディアーチェがエルシニアクロイツと紫天の書を持ち、シュテルもまたルシフェリオンを構える。

 

「乗り気だねー。フォーチュンドロップ、No.1『ラッキーシューター』」

【No.2, Eject】

 

 アリシアもまたフォーチュンドロップから二丁拳銃型のラッキーシューターを取り出す。

 

「じゃあ天吹くん、なはと。そっちも頑張ってね」

「りょーかい」

「(シュッ!)」

 

 天吹が敬礼と一緒に返事をするとなはともスパイクを出し入れして返事をする。しかしアリシアは正直、天吹が1人で戦うのに不安がないわけではない。しかしそうする理由はあった。

 

『目的が天吹殿である以上、戦うでござるよ。』

 

 阪奈が最初に消えた直前、念話でそう伝えていた。ならば2人の選択は『戦う』である。しかし不安もある。アリシアは阪奈と忠との対戦経験はあるが、天吹はない。いや、()()()()()()()()()と判断したのに戦って大丈夫なのかと。むしろ阪奈の方がその事をよくわかっている。

 そんな彼女が戦うことを指示した。ならそれ以外の手がないと言うことでもある。つまりは、

 

(それだけの実力がある3人組、ってことだろうね)

 

 堂々と名乗ったのは油断を誘うため。話を聞いたのは行動を決めるため。話が終わって動いたのはそこに隙があったため。しかし防がれる可能性も考えていた阪奈は戦うことを選んだ。全てを踏まえて。

 

「でもま、やるしかないか」

 

 クルリと回転。ラッキーシューターも同時にクルリと回転。考えて考えたモーションでキメる。

 

「それじゃあはっじめるよー!」

「おー」

 

 なんとも緊張感のない合図だった。

 

 

 

 

 

 戦いまでの流れはともかく3対3、特定の相手による1対1の戦闘が結界内で始まった。この結界は『封時領域』と呼ばれる結界魔法だが天吹の重ね掛けで完全な隔離空間となっている。しかし天吹も継続的な隠蔽魔法を重ねるには結界魔法の範囲が大き過ぎた。故に、外界はこの存在を察知した。

 

「――こちらクロノ、現場に到着した。現在までの解析結果を教えてくれ」

『こちらエイミィ。まるっきりダメだよ。転移魔法で内部に侵入できないか何度もシミュレートしたけど結果は不可能。ベルカ式の魔法だけど後付けで未知の術式が加えられていて解析不能。本当に魔法なのって感じだよ』

「そうか。ありがとう」

 

 手の打ちようがない結果だったがクロノは礼を伝えて通信を閉じた。すでに山のように見える結界。それを展開した人物について思う。

 

「結界はおそらくマテリアルの子たちだろうし、未知の術式は間違いなく例の子供だろう」

 

 クロノは以前、接触した3人の少女の姿と、まだ見ぬ少年の存在を確信していた。内心、自分達では見付けられなかった少年をなぜマテリアルの子らが見付けられたのかという疑問が残るが、これはチャンスでもある。

 

「結界を張っている以上はどちらもまだ中にいる。入れない以上は・・・・・・」

 

 この結界への対処を考えているとふと、ある方法が浮かんだ。しかし執務官としてどうなんだと自分を疑ってしまうが、それは彼女らに毒されたのだろうと納得した。それに時間をかけて逃げられては元も子もない。今は話が出来なくても情報の1つも欲しい所であった。

 決断したなら即行動。クロノはある2人に通信を繋げた。

 

「なのは、ユーノ。唐突だがすぐこちらに来て欲しい。君たちの力が必要なんだ」

『クロノくん?』

『急にどうしたんだ』

「説明はするがとにかく急いでほしい。時間をかけては逃げられるかもしれない」

『逃げられるって、何を捕まえるの?』

「まぁこれは先に伝えておこう。マテリアルと、リインフォースを救った例の子供だ」

『えっ!?』

『わかった、すぐに来る!!』

『ちょ、なのは!? ああ、もうっ。ボクもすぐに向かうよ』

「ああ、頼む」

 

 通信を切り、再び目の前の結界を眺める。今の時点で手出し出来ないが、とりあえず2人が到着するまで内部の事が終わらないでくれと願うのだった。

 

 

 




マテリアル娘たちのコソコソ話。内容


「なんか漫才はじめたよ?」
「彼らの個性でしょう。ところであっさり同行してくれると言っていますが?」
「いや、あの状況では無理であろう。どう見ても天吹の独断だ。と言うか誘った我らが心配になるぞ、あれは」
「攫います?」
「あー、それ無理そう。あのござる言ってる子、隙がないもん。あとこっちの隙狙ってるよ」
「マジか。レヴィ、奇襲の対応は出来るか?」
「うん、たぶん大丈夫」
「多分、と言いますとあの少女の実力は中々のようですね」
「よし、任せたぞ」
「りょーかい」



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