前回は6回裏の攻撃の白洲から小湊が打って終わってしまいましたので今回はその続きの久里からです。楽しんで下さい!
では本編どうぞ!
6回裏1アウト ランナー1.3塁 バッターは3番久里
お互いに睨み合う。かたや必ず抑えこの回を0点で抑えようと思い、かたや必ず打ち流れをこっちに戻そうと思い。
山田は守備位置の指示をする。ファーストとサードはバックホーム体制。セカンドとショートはゲッツー体制だ。
山田は悩んだ。どうすれば久里を抑えられるのかと。悩みに悩んだ末にサインを決める。里中もそれにうなずきフォームに入る。その時ファーストから大きな声が飛んだ。
「ランナー走った!」
そう、1塁ランナーである小湊亮が走ったのだ。ランナー1塁だとゲッツーの可能性がある。それを阻止するために走った。彼は倉持ほどではないにしろ足は早いしスタートも良かったからセーフになると思われた。
ズドン! アウト!
「……え?」
スタートは良かった。足も遅くない。なのに刺された。
151キロ
ありえない。キャッチャーの送球で出していい数値ではない。こんなもの強肩ではない爆肩の域だ。
「チッ、余計なことして逆転のチャンス潰しやがって」
「すごい自信だな。あの人はお前がゲッツーにならないよう走ったってのに」
「それでアウトになってるんじゃ話にならねぇ。それに俺がゲッツーになる訳ないだろ」
これで2アウトになってしまった。そしてホームランを打っても逆転はない。最高同点になる。久里はもうマウンドを降りるのでせめて逆転しておきたかったのだ。
1ボール0ストライクからの2球目山田は頭から大きく曲がるカーブでカウントをとりに行こうとした。それを久里は仰け反らないで思いっきり引っ張る。
すると打球は綺麗な放物線を描いて飛んでいく。
「何⁉︎」
山田は打たれたことに驚きを隠せなかった。しかも打球はグングン伸びていき場外となった。ボールを見送り観客が盛り上がってから久里はゆっくりダイヤモンドを周る。一周してくると次の打者である結城が手を上げて待っていた。その姿に久里は温かい気持ちになった。
「へっ!(そういやこういうの初めてだな。ハイタッチはあったけどそれは今まで草野球でだった。こういう一つの目的に全員で立ち向かってる。そんな時に打ったハイタッチはよ)」
「ナイスバッティング。よく打ったな」
「しっかり続いてあってくださいよ4番」
「ああ。俺の出来る最高のプレーをしよう」
パンッ!
二人の強者はハイタッチをする。久里はベンチに帰った後も褒められた。
「やりやがったなこいつ!」
「こいつ〜」
「先輩達まだ同点ですよ」
「そうだよな!続けー哲!」
里中はホームランのショックに立ち直れてないのか続く結城に対して甘いストレートを右中間に打たれスリーベースとなった。すかさず山田はタイムを取る。
「悪い里中。ホームラン打たれた後直ぐにタイム取るべきだった」
「いや、山田は悪くない。俺が甘い球投げたのがいけなかったんだ。次からは切り替える!」
「ああ。絶対に逆転してやるからな」
山田はそう言ってマウンドを後にする。里中は一度落ち着かせるためにロジンバックをさわる。
「里中大丈夫だ!落ち着いたけ」
「サト!心配することあらへん。悪いのはそんな要求したやーまだや!それにワイがまだホームラン打ってやるさかい!気にすんな」
「そうだぞ里中。また点とってやるから気にすんな!」
里中はチームメイトの声を聞いてなんと頼もしい仲間を持ったんだと思った。このメンバーがいれば自分は怖くないと。そう思うと力が湧いてきた。5番を打っている増子を初球でレフトフライに打ち取る。ベンチに戻る際も誰も不安な顔をしておらず本当に試合を楽しんでいた。それを見ていると自分も笑顔になる。
「チッ!逆転できなかったか」
「悪かった」
「ありゃしょうがねぇよ。あのキャッチャーから盗塁できるやつが全国になんにいるか」
「それより頼むぜ丹波」
「ああ絶対に抑えてみせる」
青道高校 選手の交代をお知らせします。レフトの坂井君に変わりまして8番に丹波君が入り、ピッチャー。ピッチャーの久里君がレフト。3番レフト久里君、8番ピッチャー丹波君。以上に変わります。
青道がメンバーチェンジすると一同は騒然とする。
「大丈夫か?あのピッチャー下ろしちまって」
「丹波も悪いピッチャーじゃないが通用するのか?」
観客は丹波で大丈夫なのか不安なのだ。それほど久里のピッチングが凄かったのだ。そしてこの交代には明訓ベンチも驚いている。
「なんだ、あのピッチャー代っちまうのか」
「次こそ打ってやろうと思ったのに」
「投げやがったなぁ!」
「マグレホームランに2三振は黙ってるズラ」
「なんだとぉ!とんま!」
「少し静かにしてくれ岩鬼。このピッチャーは140近いストレートに縦に大きく割れるカーブが特徴だ。そして打たれだすと止められない、いわば打たれ弱いピッチャーだ。代えたことを後悔させてやれ」
「オウ!」
御幸は投球練習が終わると1度丹波の元へ向かう。
「丹波さん。下位打線ですが気を付けて下さい。いくら0ヒットと言っても1人でも出すとあの1番に周るんで」
「分かっている。あのスイングはベンチで見ていても脅威だった。その前にランナーは出したくない」
「分かってるならいいです。頼みますよ」
丹波はロジンバックを触ってから1度深呼吸をする。
(あの久里の速球にすらついてくる打線だ。一歩間違えたら俺なんか直ぐ持ってかれるだろう。この下位打線もヒットは無いにしろバットに当ててきていた。…大丈夫だ。落ち着け。必ず出来る。今までの練習を思い出せ)
7番である石毛への初球丹波の代名詞ともいえる縦に割れるカーブでストライクをとる。
(よし!球はきてる。良いときの丹波さんだ!これなら戦える)
御幸の思った通り8番9番をそれぞれサードゴローショートゴローに抑える。そして迎えるはピッチャーの里中。ここまで1度もバットを振っていない。
(こいつは1度もバットを振っていない。振らなかったのかそれともワザとなのか。ワザとなら厄介だぞ)
本当に未知数なのだ。ピッチャーだからこそ久里の球により痺れることを恐れたのか、それとも本当に見えずに振らなかったのか。
まず初球は様子見としてアウトコースのボール球から入った。明らかに先程までとは違い打ちに来ている。もしかしたらバッティングも上手いと思い警戒を強める。
2球目もストレートで押す。さっきよりは中に入りストライクとなった。
3球目、ここで縦のカーブを見せた。里中は振ってきたが見当違いな場所を振っておりバッティングはそこまで得意とは思えなかった。そのスイングを見て御幸は最後に投げる球を決めた。
(丹波さん!ボールになってもいいので思いっきり投げて下さい!)
丹波はうなずき4球目を投じた。インコースを抉るストレート。先程のスイングを見て打てるとは思えない。そしてもしバットに当たって痺れたら儲けもんとストレートを投げた。これで抑えられると思ったのだが金属バット特有の金属音が鳴った。
キーン
里中は膝をたたみ、腰の力でレフト前に運んだ。これで回ってしまった。
「よっしゃー!ナイスやサトー!ワイに任せたとき!」
初回に特大ホームランを打っている岩鬼だった。御幸は1度タイムをとり、丹波の元へ向かう。
「大丈夫です丹波さん。2アウトですから安心して下さい。それに奴はいくらパワーがあると言ってもボールしか打てない悪球打ち、ど真ん中にストレート3球お願いします」
「あ、ああ。分かってる」
「大丈夫ですよ。落ち着いてください」
「分かってる」
御幸は少し心配になったがど真ん中に投げるだけなら平気と思い戻る。丹波はまた深呼吸をする。その姿に少し不安になるナイン。
岩鬼への初球、普通の人ならホームランボールであるど真ん中へのハーフストレート。しかし岩鬼は見当違いな場所を振っており打てそうにない。
続く2球目も同じような球を投げて追い込む。
「オッケーです丹波!」
御幸もこの調子で抑えると思った。岩鬼に至っては対策も出来ていない。これで抑えられると思った。3球目、1塁ランナーの里中ぎが走る。しかしバッターを抑えれば良いはずなのだがファーストからの走ったの掛け声により動揺したのかボールが低くなってしまった。
「しまった!」
「うまかー」
グワラキーン
ヤバイぞ。1つの話で1イニングなら後最低でも3イニング必要になるな。遅っ!
次回はタイトルが思いつかない笑笑。まぁ良いよね、どうせ次で分かるんだから。
ご愛読ありがとうございました!ではまたね!