お久しぶりです。何ヶ月ぶりかな?本当に遅れてしまって申し訳ありません。なんか明訓戦書いて一回満足してしまいました。でもまた投稿再開します。投稿スピードは以前より遅いかも知れませんが完結まで頑張るのでよろしくお願いします。
では本編どうぞ!あ、因みに今回は沢村回です。
沢村は現在悩んでいた。それは先輩であるクリスに言われた『自分の持ち味』についてだった。
時は遡り、今朝。
みんなが朝飯を食べている時の事だ。沢村がクリスに頼み込み、ピッチングを見てもらった時の事。9回裏、2アウト満塁。カウント2ー3。1打サヨナラの場面。その時お前なら何を投げる?と問われた。それに対し沢村は、自分の最高の球をど真ん中に投げると言った。自分にはそれしかないと。だがそんなのは自己満だ。投手対バッターで勝負するなら自由にすれば良い。しかしチーム対チームなのだ。チームの勝敗を左右する、それを分かった上で投球なのかと更に問いかけた。
沢村は思い出す。中学での最後の試合を。自分の暴投で負けたあの試合を。唾を飲み込み、ゆっくりと首を縦に振った。その覚悟を感じたのか、クリスは座ってミットを構える。
「良し、なら投げてみろ」
「え……でもプロテクターは?」
「心配するな。それより自分の投球に集中しろ」
自分の今の持てる全力の球を沢村はクリスのミット目掛けて放る。結果は奇跡的に構えたミットにドンピシャだった。確かに沢村のボールは切れていた。しかし、
「場外ホームランだな」
「え⁈」
「バッターはバリーボンズだからな」
「外人さん⁈」
ここで沢村なら甘さが出た。最高の球を投げる?それでは不正解。正解はその打者に対して1番友好的な球を投げるだ。例え千賀であろうとストレートが大得意な選手にストレートを真ん中に投げれば打たれる。それなのに沢村はそもそも打者の情報を全く聞かずに投げたのだ。例えば、今投げた打者が身長100cmの幼稚園生だと今の球も高めのボールになる。それ程今の野球は情報が大事なのだ。
「どうして打者の情報を聞かずに投げる。力で持っていかれたホームランを忘れたのか?」
「…⁈」
「お前には身長がない。そして、久里の様なスピード、コントロール、変化球が無い。そんな奴に勝とうとしているんだ、お前は。自分の持ち味を知れ。お前だけにしかない持ち味を」
(お…俺の持ち味……)
「ズバリそれは何でしょう!」
「それを考えろと言っている」
そう言い残しクリスはグラウンドから去ろうとしていた。しかし今の沢村には悩みがあった。深い深い悩みが。
「ちょっと待ってください!1つだけ聞かせてください!」
「何だ?」
「俺は、あいつに勝てるでしょうか?」
あいつとは言わずもがな久里の事だ。丹波達先輩達が手も足も出なかった明訓高校に対しての堂々としたピッチング。横学戦の時の降谷の様な勢いだけに任せたピッチングではなく、スピード、コントロール、変化球、フィールディング、牽制。その全て、自分とはレベルが違った。横学の時の降谷の時も確かに凄いとは思ったがまだ荒削りだ。壁は高いだろうが諦めようとは微塵も思わなかった。しかし、久里のピッチングを見た時。あまりの凄さに思わず見惚れた。憧れてしまったのだ。自分もあんな風になりたいなと。今までこんな気持ちになった事は無かった。だからこそ不安なのだ。自分は自分を保てるのかと。
クリスも沢村の気持ちを察した。恐らくあのピッチングを見た投手出身の者は魅了されただろう。明らかに自分とは格が違うと。感覚で言えば、甲子園で活躍している松坂を見ている同世代に近いだろう。だが、
「諦めるのか?」
「そ、そう言う訳じゃ」
「確かに今のお前ではあいつの足元どころか靴の裏にも及ばないだろうな」
「そんなですか⁈」
「だが、お前にあってアイツにないものがある。それを極めろ。そうすれば少なくとも勝負は出来るだろう」
「クリス先輩……」
「諦めたら試合終了だからな」
クリスの言葉は沢村の冷えた心にもう一度火を付けてくれた。自分に言い聞かせる。諦めるな!と。
「てかそれスラダンの安西先生ですよね」
「俺だって漫画くらい読む」
それから沢村は自分の持ち味を探すべく、早速行動に移した。同室の先輩である倉持と増子に尋ねる。自分の持ち味とは何ですか?と。しかしまともな返事は返って来なかった。そこで同じクラスである春一に尋ねた。
「持ち味?う〜〜ん、守ってて楽しいトコかな。打球もいっぱい飛んでくるし……そういえばフォアボール一個も無かったね。これっけ結構凄い事じゃない?野手もリズム作れるし」
そう言われてクリスに初めて投げた時の事を。あの人はボールがミットに行かなくてもその位置で構え続けた。それはつまり沢村のコントロールを信じてなのか?と。だが沢村はクリスの言っている持ち味がコントロールとは思えなかった。
(コントロールなら
沢村は春一に言われたコントロールも自分の持ち味の1つとして頭に置いておき、更に自分の持ち味を探しに励む。その前に春一から夏まで後2人ベンチに選ばれると聞いて教室で騒ぐのだった。
しかし考えども考えども答えには辿り着けない。結局答えが見つからないまま、週末の練習試合に投げる事になってしまった。
しかし結果はボロボロ。意味を持って試合に取り組もうと思っていたので、春一に言われたコントロールを意識して投げた。しかしコントロールを意識しすぎるあまり、ただの棒球となってしまった。しかもフォアボールが出てなかったと言っても、コーナーを突く気が無かったから枠内で散っただけで、沢村に誇れる程のコントロールは無い。結局2回も持たずして沢村はマウンドを降りた。ベンチに戻ると試合終了を待たずしてクリスとの反省会が始まった。
「コントロールを意識しすぎるあまり、球威を失ったな。ただでさえMAX130km/hに満たないお前のストレートじゃ打ち込まれて当然だ」
(そんなの分かってるよ!)
「今日の敗北をしっかりと胸に刻んどけ。そうすればお前はもっと上にいける。正確なコントロールに球速のアップ。それは簡単に身につくモノじゃない。だが、今は焦らず土台を作る事に専念すれば…お前の持ち味は必ず生きてくる筈だ」
その時1軍でもハプニングがあった。ダブルヘッダーの2試合目。先発であった降谷が爪が割れたのだ。そのため、こちらも2回投げきらずに降板。降谷の様な豪速球を投げる投手で爪が割れる事はある。しかし片岡はそれをしょうがないで済まさなかった。手入れがなってない証拠。投手である自覚が足りないと。実際同じ速球派投手である久里は平気だからだ。久里は1試合目に投げて完封。スピードを抑えて9回被安打4の13奪三振。球数も91球と危なげなしだった。それを目の前で見ていた降谷は同じ1年でこれだけのピッチングをする久里に負けない様に気合が入っていたために悔しがる。
降谷の後に急遽登板した丹波は3回被安打2の3奪三振で無失点で切り抜ける。明訓戦では打たれはしたものの、今までの様なランナーを出して動揺で自滅した訳ではない。ただあの強力打線に通用しなかっただけだ。
片岡は悩んでいた。このチームのエースを誰にするか。
(圧倒的実力であの強力打線に堂々のピッチングをしたが、まだ1年生の久里。前回打たれはしたものの自分のピッチングを貫き、この夏にかける想いは比べ物にならない3年生である丹波。一体どちらにエースナンバーを渡せば良いのか)
ご愛読ありがとうございました。
今回は久里登場しませんでしたね。圧倒的な才能に諦めかかってしまう沢村。降谷はスピードはあってもボール球を相手が振ってくれて助かっていたため、隙がありましたが久里の大きく、分厚い壁に脳が理解してしまう。降谷も自分だけ2軍に行かされてしまう。果たして2人は久里に勝てるのか。
では次回もお楽しみに。またね