天才の高校野球   作:やってられないんだぜい

4 / 15
 なんか1週間ってあっという間ですね。なんか最近時間が過ぎるのがとても早い作者であった。

 では本編どうぞ


 久里!高校デビュー

 青道高校対市大三校の試合は初回、先攻の青道高校の6番である御幸一也の満塁ホームランから始まった。その後も市大三校のエースである真中はホームランのショックから立ち直れず連打を浴び、初回だけで8得点もあげる。

 

 青道高校はその後も順調に追加点を上げていくが、問題は打線ではなく投手であった。

 

 ツーアウトランナー1、3塁。ピッチャーが第一球目

 

 一塁ランナーが投手のモーションを完璧に盗み誰もが盗塁成功かと思ったが、捕手である御幸の完璧な送球によりスライディングすらさせずにチェンジになる。

 

 「ナイスっ!御幸」

 「相変わらずえぐい送球してるな」

 

 皆は御幸の完璧な送球に盛り上がる中1人だけが冷めていた。

 

 (ふーん、センバツベスト8の割に大したことねぇな。投手がこれでよく甲子園なんて行けたなぁ。まぁ所詮県大会なんて通過点か。俺の目指す場所は別にある。まぁそれは置いといて丹波さんのやつだらしねぇな。これでエースだったのかよ。これじゃあ監督は怒るだろうな)

 

 久里の予想通り丹羽は片岡監督に怒られた。丹波は自分が不甲斐ないだけに何も言えなかった。

 

 「もういい!……久里。次の回からお前が投げろ」

 「「「「「「「「「「「⁉︎」」」」」」」」」」」」」

 「オッケー!了解です!」

 

 片岡は次の投手に久里を指名したのだ。これについては全員が驚く。たまらず太田部長が片岡に訳を尋ねる。

 

 「どうしてですか⁉︎ここは川上でしょ!久里はまだ一年です。こんな場面を任せるわけにはいかないでしょ!」

 「だからだ。久里は能力テストで凄まじい力を見せたからと言ってまだ一年。川上とどちらに後を任せるか考えた結果、久里に後を任せるほどまだ信頼出来ていないのも事実だ。それは選手達も同じ考えなはず。そうだな?おまえら」

 

 片岡は選手に尋ねる。皆も同じ気持ちなのか誰も否定しない。その光景を見た久里もイラつきはしたものの当然だと思った。

 

 「久里!これがお前の本当の一軍テストだ!認めて欲しければ死ぬ気で抑えてこい!」

 「了解!」

  「いいか!相手の投手はもうスタミナが切れてるぞ。一年が投げるんだ!お前らはもっと援護点を取り久里を支えてやれ!」

 「はい!」

 

 久里と御幸はブルペンに向かう。その途中、御幸は久里に声をかける。

 

 「久里。お前テストのとき本気で投げてなかったろ」

 

 その発言に久里は目を見開いた。

 

 「へぇ、わかったんだ。流石だなあんた」

 「やっぱりな。あのときお前から覇気が感じなかった。今日こそは投げるんだよな」

 「は?投げるわけないじゃん」

 

 そのセリフに御幸は耳を疑った。相手は弱小ではなく、センバツベスト8だ。そんな相手につい先日に入学した一年坊が全力を出さないと言うのだ。しかも目の前で先輩がめったうちになってるのにもかかわらず、だ。その言葉は舐めてるとしか言いようがなかった。

 

 「お前、舐めてるのか?」

 

 御幸は少し怒りながら、しかし試合なので我慢しながら久里に問う。すると久里は

 

 「舐めてるねぇ、こんな情けない試合してるのに何言ってんだか。それにこんなとこで本気出していて、甲子園優勝できると思ってんの?あんた」

 「な⁉︎…お前、そこまで言うからには結果だせよ。出せなかったらただじゃおかないからな」

 「分かってるよ」

 

 久里と御幸の仲はこの時点では最悪であった。御幸とて甲子園を狙っているがだからと言って一年が見せる態度ではなかった。しかし御幸は久里の力の強大さを思い知るのであった。

 

 そして青道の攻撃が終わり久里の高校での初登板になる。

 

 ピッチャー 丹波君に変わりまして 久里君 9番 ピッチャー 久里武君

 

 会場はざわつく。

 

 「誰だあいつ?」

 「あんなやついたか?」

 「青道高校の練習とか何度も見に行ったけどあんなやつ見たことねぇぞ?」

 「まさか一年か?」

 「この時期でか⁉︎」

 「本当にそうだとしたらいったいどんな選手なんだ?」

 

 センバツベスト8相手に出てきたのはまだ誰も知らない男だったからだ。体格もそれほど大きくない未知数のやつだからだ。敵である市大三校側も困惑していた。

 

 「誰だあいつ?見たことねぇが1年か?」 

 「ちくしょう。俺ら相手に無名な奴を使いやがって!滅多打ちにしてやる!」

 

 選手達が燃えてるなか、久里は御幸と最後のサイン確認をしていた。

 

 「久里最後のサイン確認だ。球種はストレート、カーブ、スライダー、フォーク、シュートでいいか?」

 「あぁ、それでオッケーだ」

 「?よし、打たれんじゃねぇぞ」

 

 御幸は久里の言い方に違和感を覚えていた。

 

 (なんだこの違和感は?普通球種が全部なら『それで全部だ』じゃないか?まさかこれ以上の球種があるのか?いやそれはねぇか。それよりしっかりリードしねぇとな)

 

 御幸は自分の考えを一旦置いたき、試合に集中する。

 

 バッターは1番からだった。まず御幸は久里の度胸試しにインコースにストレートを要求する。それに久里はうなずき御幸が構えたとこドンピシャにきた。バッターも要求した御幸も驚く。練習でのコントロールの良さは受けていて分かっていた。しかし試合で出来るとは限らない。しかも初登板でだ。もう一球同じところを要求し久里もドンピシャに投げる。そして最後は低めのフォークで三球三振を取った。

 

 「なんだあのピッチャー!」

 「球はぇー!」

 「市大三校の1番が手も足もでねぇじゃねえか!」

 

 そして久里は流れに乗り三者連続三振に切って取った。野手達も久里を褒めはじめる。

 

 「ナイスピー久里!」

 「ヒャッハーやるじゃねえか!」

 

 周りが久里を褒める。御幸も褒めはするがそれ以上に久里の底知れない力に恐怖もしていた。

 

 (こいつのコントロールは本物だ。これで奴が本当に手を抜いてるとしたらいったいどんな力なんだ)

 

 そして打順は9番である久里からだった。

 

 初球、ストレートのアウトコースにぴくりともしない。

 

 2球目、今度はストレートをインコースギリギリについてくるがこれもピクリとも動かない。

 

 (なんだこいつ?投球だけか?それなら高めのストレートで三球三振だ!)

 (よし!)

 

 「あのやろぅ、散々大口叩いといて全然見えてねぇじゃねえか。所詮この程度かよ」

 

 金丸は以前に教室で大口叩いていた久里がバッティングでは大したことないと思い。馬鹿にしていた。

 

 3球目、高めのストレートで市大バッテリーは三球三振を取ろうとした。それが久里の狙いとも知らずに。

 

 「へっ!だと思ったぜ!」

 カッキーーン

 ドゴッ!

 

 久里はその高めのストレートを待っていた。打球は従来のホームランと違い弾丸ライナーでスタンドへ突き刺さった。

 

 「入ったーーー!途中交代で出場した1年生久里武!3球目釣り球のボール球を見事左中間に弾丸ホームランだぁ!」

 

 久里は打球が入ったのを見てからゆっくり回った。バッテリーはその凄さに膝をついてしまう。そして久里がホームインするとキャッチャーに話しかけた。

 

 「なぁ?なんで打たれたか分かるか?」

 「なにぃ?」

 「おれは名も知れてねぇ1年だ。そんな奴にセンバツ出たエースが変化球を使うわけがねぇ。そして俺は投手で初球、2球目はぴくりともしない。それを見たら打撃に自信がねぇと当然思う。そんな奴にアウトコースなんかは合わせられるかもしれない。かと言ってインコースでもしデッドボールなんかしたら後味が悪い。だから当てられないとふんでの高めのストレートなんだ。高校入学したばっかの奴には絶対打てないと踏んでな。こんな読みやすい配球はなかったぜ」

 

 キャッチャーはそれを聞いて久里の底知れぬ力に恐る。つい先日まで中学生だった奴に完璧に読まれ、完璧に打たれたのだ。そのショックに立ち直れず、後続にも連打を浴びてこの回一挙4得点を許し、なおもこの回2打席目の久里に回った。

 

 「いけー久里!」

 「もう一発叩き込め!」

 「二発も打たれてたまるか!」

 「抑えろ!真中!」

 

 球場の盛り上がりは最高潮に達していた。そこでキャッチャーは一旦タイムをとり真中の元へ向かう。

 

 「やべぇぞ真中。さっきのホームランはまぐれでもなんでもねぇ簡単に入れていったら持ってかれるぞ」

 「分かってる。あいつのスイングを見たらそんなのすぐにな」

 

 真中とキャッチャーは久里を見る。久里は素振りもせずに真中の方を見ていた。

 

 「もうこれ以上点をやるわけにはいかねぇんだ。お前の最高のスライダーを投げ込んでこい!」

 「ああ!」

 

 意見が纏まったのかキャッチャーは戻ってくる。そして久里への初球、外いっぱいのスライダーが来た。

 

 (よし!これなら打てるわけねぇ!初球は貰った!)

 

 キャッチャーは久里の始動の遅さにより初球は見送りでストライクを取れたと思った。しかしキャッチャーはミットに収まった感触はなく代わりに金属音が球場に響きわたった。

 

 キィィィイン

 

 打球はぐんぐん伸びていき右中間上段に叩き込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後は久里が5回裏の4.5.6番を3者連続3球三振できっちり抑えて5回コールドでゲームは幕を下ろした。この試合により久里は本当の意味で一軍入りを果たしたのである。久里の高校デビュー戦は6者連続三振、2打数2安打2ホーマー5打点と怪物っぷりを観客の脳裏に焼き付けたのだった。

 

 

 〜試合後〜

 

 久里達はバスで学校に戻ろうとしたところ市大三校のキャッチャーに呼び止められた。

 

 「久里!」

 「ん?」

 「な、何故。何故あのスライダーが打てたんだ!」

 「何故って、分かり易すぎでしょ」

 「なんだと?」

 「前の打席でホームランを打たれた相手にピッチャーが最も得意としている球種。打ちやすかったね」

 

 久里の発言に一同は驚く。確かに前の打席で打たれた相手に最も得意としているボールを投げるのは分かる。しかしそれを一球でホームランにするなんて1年生の出来ることではない。それも真中のスライダーなら尚更だ。それを久里は打ちやすかったと言った。そんなことできるのはプロ選手だ。それを高1で出来る久里は正真正銘の化け物だった。

 

 しかしだからと言って1年に負けるわけにはいかない。特に投手である丹波と4番である結城は強大なライバルの出現に闘志を燃やすのであった。そしてこの久里の出現に1番喜んだのは言うまでもなく片岡であった。

 

 

 

 

 




 いやー久里はこのくらいやるでしょ。それにしてもこいつがいる時点で降谷と沢村がエース取れるイメージが浮かばないよぉ!

 次回は1年vs二軍かな?

 ご愛読ありがとうございました!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。