東京編を宜しくお願いします。
ーー東京・郊外ーー
「よし、多分これだな」
携帯電話のライトには「慰霊碑」と書かれた石塊が薄明るく照らし出されている。
「え、凄い凄い‼︎本当にあったんだ!」
「じゃあ、この道路が原因不明の事故が多発してたっていうアレか」
男女8人がその慰霊碑を取り囲むように近づいて来た。大学生の集まりといったところか、皆顔立ちは若い。彼らは最近都内でも有名な心霊スポットを訪れていた。
矯めつ眇めつしていた内の1人が後ろを振り返り、叫ぶ。
「おい、おまえここに片足乗せてポーズ決めろ。俺達が写真撮ってツイッターに上げといてやるから」
「え⁉︎冗談ですよね」
指名された1人は激しく狼狽する。
「やだー、悪趣味ぃ」
「よくそんな事思いつくよねぇ」
取り巻き達は口先だけで咎め、くすくすと笑い声を上げている。皆その顔は赤らんでいた。辺りの不気味な雰囲気を醸し出しているが、酔っ払っている彼らに怖いものはない。取り巻きの様子に気を良くした男は指名した後輩と思わしき男の腕を掴んだ。
「ちょ、不味いですって!ここって最近まで死者出してたって言うじゃないですか。俺祟られるの嫌っすよ」
「早くやれよ。何か起きないと面白くないだろ」
「ちょっと足乗せるだけじゃん。ごねんなよ」
尚も声高に騒ぐ集団。肝試しというより、ただ嫌がらせをしているようにしか見えなかった。痺れを切らしたのか、突然1人が理不尽にも抵抗している後輩に向かって拳を振り上げる。
「は!?」
その時、突然後ろに停めてあったアルファードが轟音と共に爆発した。
「お、俺の車⁉︎」
殴りかかろうとしていた男が慌てて炎上している車に近づくが、異変に気が付き口をつぐんで立ち止まる。
「あ––––––」
その体は一瞬にしてバラバラになった。
ーーー
暗闇の中から現れた巨大な影が残された7人を片端より薙ぎ払う。1人、また1人と悲鳴が響き渡る度に血飛沫と肉塊が地面に散らばり一面が赤くなった。
「ぃギャアァァァァァァ‼︎足がァ‼︎だれか、だれかたすけでぇ!」
膝から下が欠落した男がのたうち回りながら助けを叫ぶが、その場で生きている者は彼以外誰もいない。
「ーーーー!!!!!!」
痛みに耐えかねるように頭を反らすと、彼を見下ろす巨大なソレと目が合った。10メートルをゆうに超えた巨躯を持つ異形の獣。刀の様に長く伸びた爪が地面を擦り嫌な音を響かせながら近づいて来る。
あまりの恐怖に悲鳴すら上げられなくなった男はその場から懸命に逃げようとするが、背を向けた途端巨大な爪が振り下ろされその体は粉微塵に吹き飛んだ。
「もっとだ………もっと傀儡を造り出せ」
「ーーーーァ゛ァァ!!!!!!」
人間の断末魔にも似た悍ましい咆哮が真夜中の山林に木霊する–––––––––
ーーー
ーー 浦の星女学院 ーー
夏が近づいてきたせいか、てきめんに日照時間が長くなりつつある。吹き抜ける風すら生暖かく感じていたある日、千歌・曜の2人は手に持っていた団扇を投げ出さんばかりの勢いで飛び上がった。
「この前のPVが5万再生?」
「本当に⁉︎」
ネットにupされた動画を確認し、コメント欄でその反応を伺っている善子がそれに応じる。
「ランタンが綺麗だって評判だったみたい。ランキングも……ッ⁉︎」
画面に示された数字を見て善子は目を丸くした。
「99位⁉︎」
「ずらっ!?」
何と2桁台にまでランキングが上がっていたのだ。堕天使コスチュームで動画を撮った時以上に良い数字を目の当たりにして皆目を白黒させている。
「キタ……キタキタ‼︎ それって全国でって事でしょ?5000組くらいいるスクールアイドルの中で100位以内って事でしょ?」
興奮気味に捲し立てる千歌を見て、梨子・宙も表情を綻ばせる。
「一時的な盛り上がりってこともあるかもしれないけど、それでも凄いわね!」
「動画の再生数もまだまだ伸びてますし…もしかしたら順位ももう少し上がるかもしれませんね」
「ランキング上昇率では1位!」
「おお〜凄いずら!」
次々と分かるPVの好評ぶりを裏付ける数字。数週間前まで伸び悩み唸っていたのが嘘のようだった。
「何かさ、このままいったらラブライブ 優勝できちゃうかも」
「優勝?」
「そんな簡単なわけないでしょう」
「分かってはいるけど……でも、可能性はゼロじゃないってことだよ」
そう言ってニコニコする千歌を見て、内心皆胸を撫で下ろした。彼女もビーストが出現して取り乱していた時が嘘のように、いつもの溌剌とした調子を取り戻している。
曜と梨子が無言で宙の様子を伺うと、彼女は頬を染めて視線を逸らす。
「「?」」
首を傾げる梨子と曜を他所に、宙は昨日の夜の事を思い返していた。
(私、何であんな事したんだろ…)
Aqoursは一躍有名なスクールアイドルとして名を馳せ始めている。動画のコメントを見る限りファンもどんどん増えている。そのリーダーである千歌に、昨日みたいな事をするのは如何なものか……少し調子に乗りすぎている気がする。
ファンからすれば有罪も良いところだ。
(でもでも、疚しさは一切無くて!千歌さんの側にいると、とても懐かしい…温かい何かが……?)
1人悶々としている宙を見て梨子と曜は顔を見合わせる。
少なくとも千歌と同棲している彼女が何かをした事は確かだった。
と、そんな中突然パソコンに一件の通知が入る。
「ん?なになに?」
「えーーと…『Aqoursの皆様 東京スクールアイドルワールド運営委員会』…って書いてあります」
ルビィがメールを読み上げると千歌は小首を傾げた。
「東京って……あの東にある京?」
「何の説明にもなってないから」
「…………」
数秒の沈黙の後、事の重大さを理解した千歌達は揃って歓声を上げる。
「「「「「「東京だ!!!」」」」」」
東京で開催されるスクールアイドルイベント。聞けば去年ラブライブ で入賞したスクールアイドルも大勢参加するそうだ。そんな全国規模のイベントに新星スクールアイドルとも言うべきAqoursが参加できると思うと、練習を手伝っている身としても誇らしく思ってしまう。
『行きます‼︎』
『交通費とか大丈夫なの?』
『あー…お小遣い前借りで‼︎』
楽しそうに東京への思いを馳せるAqoursの面々……自分がやるべき事は一つだ。
大きく深呼吸し、気を引き締め重厚な木製扉をノックする。
「どうぞ〜」
部屋の奥から聞こえるふわふわした声。意を決して宙は理事長のドアを開いた。
「失礼します。2年生の高海です」
「いらっしゃい」
椅子を回転させこちらに向き直った鞠莉が堂々とした佇まいで微笑みかけてくる。
「理事長に折り入ってお話があります」
年は千歌達と1年しか変わらないはずなのに、2人きりで対面するとやはりどうしても緊張が抜けない。ましてや相手は学校の最高責任者かつ今までスクールアイドルに風当たりが厳しく何回か衝突した理事長だ。
「そんなにかしこまらないでください。それで、何でしょう?」
その言葉を聞き、宙は少しだけ姿勢を楽にする。
「実は、Aqoursのことでお話しが…」
「やっぱりかしこまってください」
ビクッとして立ち上がり、再び背筋を伸ばす。そんな彼女の様子を見た鞠莉はコロコロと笑った。
「あはは、イッツジョーク」
やはり自由奔放な人だった。
「あ、そこに座って良いですよ」
「いえ、お時間は取りませんのでそこまでは」
「良いから良いから」
鞠莉はニコニコしながらいつ備え付けたのか、来客用のソファに宙を座らせる。
「わぁ…」
とんでもない座り心地だった。お尻がゆっくり深々と沈み込んでいく。
改めて思う。理事長は一体何者なのかと…
ーーー
「良いですよ」
「良いんですか⁉︎」
あっさり公欠が受理され宙は思わず目を見開いた。
「はい。皆さんが良ければ理事長として許可を出しマース」
鞠莉はAqours全員分の書類を受け取り判子を押していく。
「怪我体調には気を付けて下さいね」
「ありがとうございます!」
やっぱりAqoursの皆んなで作り出したあのPVで良い印象を持ってもらったのかもしれない。とにかくこれで千歌達は問題無く東京に行く事が出来る。千歌が喜ぶ姿を思い浮かべていると、鞠莉が悪戯っぽい微笑みを浮かべこちらをずっと見ていることに気が付いた。
「あの……?」
鞠莉は宙の目の前を指さす。
「…飲まないの?」
「あっ…すみません‼︎」
宙は慌てて用意してくれた紅茶を飲み干す。……コーヒー同様そこまでは美味しいとは思えない。瑞緒然り理事長然り何故こんな苦味のある飲み物を好き好んで口に入れるのだろうか。
顔をしかめていると何故か頭を撫で回される。
「ごめんなさいね。さっきから意地悪しちゃって。あなたみたいな素直で優しい子を見るとついからかいたくなっちゃって」
「はぁ…」
「こうやってちゃんと話すのは部室の使用許可の時以来かな。どう?学校にはもう慣れましたか?」
今までとは異なり、落ち着きのある声音で語りかけてくる。おどけた態度だと思っていたら急に大人びた振る舞いになったり……不思議な人だ。
「楽しく生活できています。千歌さん達のお陰です。右も左も分からない私にたくさんの事を教えてくれましたから」
「ふふっ…あの子達の事、好きなんですね」
「はい!私も精一杯彼女達の役に立って恩返しがしたいです……感謝、してますから」
「貴方みたいなマネージャーがいて…今のAqoursがうらやましいデス」
「ど、どうも…」
素直に褒めて貰えると何だか妙にこそばゆく感じてしまう。用事が済んだので、理事長室から退室しようとすると後ろから鞠莉に呼び止められる。
「そういえば足、怪我してるの?」
「……つい先日切ってしまって。でももう痛くも何ともないです」
宙はそう言って包帯を巻いた右足首を前後に軽く揺らした。
「そう。お大事にね」
「お気遣い、感謝します」
宙は深々とお辞儀して背を向ける。
「………?」
一瞬背を向けた宙と何かが重なったような気がした。
––––––待て。
急に鞠莉の頭の片隅に何かが引っかかる。
そういえば、あの日自分の前に現れた黒い巨人も右足首を傷付けられていた筈……
「…まさかね」
ただの偶然だ。だいいち、あの巨人は声的にどう考えてもオスだし。あの物腰穏やかな少女とは似ても似つかない…そう結論付け鞠莉は再び椅子に座り直すのだった。
ーーー
ーー 十千万旅館 ーー
(……東京…か…私はどうしよう)
宙は部屋のベッドで何回も寝返りをうちながら考える。結局、1番の問題は自分にあった。今のところ内浦を防衛している立場にいる自分が、勝手に内浦から数日間離れて東京に行って良いのか。
瑞緒達TLTからは極力内浦から離れないように言われている。
だが、自分が内浦に留まっている間に東京で大型ビーストが出現し、Aqoursの皆が巻き込まれてしまう可能性も拭い去れない。
TLTはポテンシャルバリアと呼ばれる防衛機能を駆使してビーストが市街地に侵入出来ないようにしているそうだが、ここ最近の戦闘記録を見るにあまりその効果が芳しくないという。
自分の手の届かない所で誰かを失うなんて絶対に嫌だった。
かと言って勝手な行動をする事も……
つくづく優柔不断なものだ、と宙は自嘲するように笑う。リスクばかりを考えていては前に進めないと分かっている筈なのに、親しい人がその危険に絡んでくるとどんな選択を取れば良いか分からなくなってしまう。
「宙ちゃん、ちょっと良いかな?」
布団の上で転がっていると、ノックの音と共にドアが開かれ千歌が入ってきた。
「東京に行くときに着る服を選んで欲しいんだけど」
宙は困ったように笑う。
「恥ずかしながら、服の事はあまりよく分からなくて……千歌さんの力になれるかどうかは分かりませんが、それでも良ければ協力させて下さい」
「いや、私のじゃなくて宙ちゃんが着ていく服だよ」
「わ、私?」
「そう!東京って街も人もすっごいところだから、田舎者って思われないようにとびきりお洒落していかないと!私が持ってる服で好きなの着て良いからさ」
「わ、私は……」
「大丈夫!宙ちゃん可愛いから。おしゃれしたらもっともっと可愛くなるに決まってる。ほら、ちょっと来て!」
「あっ…///」
言われるがままに手を引かれていく。まだ迷っている事を伝えようとするが千歌が笑ってはしゃいでいる姿を見ると何も言えなくなってしまう。どんな人の心も温かくさせてしまうような、太陽みたいな笑顔だった。
この笑顔を、失いたくない。
宙はようやく決心した。
『これで行こうよ!美渡姉が教えてくれたの』
『……なんて言うか、ちょっと派手じゃないですか?』
『私だって、ほら!』
『わぁ…』
ーーー
そして、遂に東京遠征(?)当日。
約束の時間15分前に十千万の玄関に到着した梨子は、玄関に立つ少女2人の格好を見て絶句する。
「東京トップス! 東京スカート! 東京シューズ‼︎ そして……東京バック☆」
「千歌さん……やっぱり恥ずかしすぎて死んじゃいそうです…」
「……一体何がどうしたの」
あまりの派手さに千歌も宙も周囲の景色から浮いている。見るに耐えない格好だった。
「可愛いでしょー」
「東京行くからって何もそんなに構えなくても」
「梨子ちゃんは良いよ。内浦から東京行くなんて一大イベントなんだよ‼︎」
「はぁ……」
「「おはようございまーす‼︎」」
後ろから一年生達の声。梨子は取り敢えず目の前のピエロ擬き2人から目を逸らし、笑顔で声のする方向に向き直ると……再び言葉を失った。
「どうでしょう……ちゃんとしてますか?」
派手…というよりお金持ちの幼い子どもが着るような服装をしたルビィ。2つの大きな飴玉の髪留めがいっそ愛らしさすら感じてしまう。
「こ、これで渋谷の険しい谷も大丈夫ずらか?」
探検家のようにヘルメット、巨大なリュックサックを装備した花丸。両手で抱える鉄製のツルハシは危険な事この上無い。
「2人共、地方感丸出しだよ〜」
「貴方達もよ」
「えぇ!?」
「ですよね…」
結局、4人はその後すぐに着替えさせられる事になった。
ーーー
沼津の駅前で曜・善子と合流し、遂に一同は東京行きの電車に乗る準備が整った。
車から降りようとする梨子と宙に、駅まで運転してくれた千歌の姉・志満から声が掛かる。
「梨子ちゃん。皆んなあんまり東京に慣れてないから、宜しくね」
「はいっ」
「宙ちゃんも千歌ちゃん達と一緒に精一杯東京、楽しんで来てね」
「はい!例え何があろうとも、皆さんの事は全力でお守りします!」
「ふふっ それは心強いわ」
志満は終始ニコニコしながら去っていった。
「じゃあ、私達も行こうか」
「はい」
そろそろ電車に乗り込むという頃、千歌のもとにクラスの友人達が駆け寄ってきた。
「千歌ー!」
「あっ!むっちゃーん!」
「イベント、頑張ってきてね!」
「これ、クラスみんなから」
大量のパンが差し出される。
「わあ、ありがとう!」
「それ食べて、浦の星の凄いところ見せてやって!」
「……うんっ!頑張る‼︎」
クラスからも期待されている事を実感した千歌。笑顔でそれを受け取り精一杯手を振るのだった。
ーーー
ーー 東京・秋葉原 ーー
大量の通行人で埋め尽くされた道路。天から伸びた支柱のように高い超高層ビル。何故そんな設計にしたのかと問いたくなるような不思議な形をした建物。目に入るもの全てがまるで別世界のようだ。
「うわぁぁ……」
(やっぱりファウストの倍以上に大きい……)
梨子を除いたAqours全員がその雰囲気に圧倒される。
「フフッ…ここが遍く魔の者が闊歩すると言い伝えられる約束の地、魔都東京……」
「わあ見て見て!あれってスクールアイドルの広告だよね⁉︎」
皆それぞれ目に入った物に向かって駆け出していく。皆んなで見て回る予定が、結局それぞれ連絡を取りながら約束の時間まで自由行動することになってしまった。
「あっ…皆さんちょっと……」
あっという間にメンバーの姿は人混みの中に紛れてしまい、宙は1人になってしまう。
「一緒にまわりたかったのに…」
安全面からみてもそれが1番だと考えていた宙は頭を抱える。
とは言え、いつまでも同じ場所に留まるわけにはいかない。宙は歩き始める前に目を閉じ、周囲の状態を注意深く確認する。
(……大丈夫。ビーストの反応は一切無い)
何かあればすぐに駆けつけると気を引き締めながら彼女は歩き出した。
「………」
「………」
「……………どこに行けば良いの?」
今の今まで東京に行く事だけを考えており、着いてどこに行けば良いかを一切考えていなかった事に気がついた。行きたい場所が特に無いのだ。
人の波に流されながら考える。
(人が多いところはあんまり好きじゃないし……どこかひっそりとした場所に行きたいな。自然豊かなとことか)
東京に来た意味がまるで無いようなことを考える少女。そんな彼女はある建物を発見する。
「……ここにしよ」
適度に人も集まらなさそうな場所。店内も静かそうだった。
「………」
所狭しと並ぶ本の一冊を抜き出し、試しにページを捲ってみる。
「………」
「………」
「………ッ⁉︎」
「こ、これは……///」
ーーー
「はあっ……!はあっ……!」
ある看板に釘付けになった梨子はその看板に示された場所に向かって懸命に走っていた。
(まさかこんなところであの掘り出し物が……‼︎)
件の建物に辿り着くと、周囲を何度も見回して知り合いが誰もいない事を確認。
(……よし)
こんな自分を誰にも見られるわけにはいかない。梨子は急いでこの建物––––「女性向け同人誌 オトメシアン」へと足を踏み入れた。
「あった……‼︎」
目当ての本…『壁クイ』を手にとり、梨子は1人ほくそ笑む。
私には誰にも言えない秘密がある。今手に取っている本がそれだ。
壁クイ……壁ドンと顎クイ2つのシチュエーションを混ぜた究極の併せ技。写真の少女が顎を摘むように手を伸ばすその先にあるのは無機物の壁。表紙を見ただけでときめいてしまう。
何故こんなのが好きになったのか……私も分からない。でも、そんな事考えたってあんまり意味は無いだろう。趣味なんて物は周りの人に迷惑が掛からなければ別に何だって良い。
ただ、私の友人達にこんなところを見られてしまえば幻滅されちゃうかも…。それだけは絶対に避けなければならない。もしそうなったら……色んな意味で終わる。……終わる
梨子は他にも何冊かの同人誌を手に取り、後ろめたさを感じたのか一目散に駆け出した。
(そこを曲がればいつものレジ……ん゛ッ⁉︎)
「きゃっ」
本棚の角を曲がった瞬間、誰かにぶつかった。
「ごめんなさいっ!」
梨子は慌てて立ち上がり、ぶつかってしまった相手に謝る。
「いえ!こちらこそすみま……あれ?」
目が合った瞬間、頭の中が真っ白になる。
「な、な……」
何で、こんなところにいるの……
「梨子さん?」
宙ちゃん………
「あ––––––」
ぶつかった拍子に私の本が床に散らばってしまい、「壁クイ」の3文字がモロにその姿を見せている。
私、終わった–––––––––––
壁クイは分かるんですけど、サンシャイン2期に出てくる空中カベドン・水中カベドン・ダンスカベドンって一体なんなんでしょうね
未だに凄く気になっています