暫くの間読み専になっておりました
大変申し訳ありません
これまでのあらすじからご確認下さい
◇◇◇これまでのあらすじ◇◇◇
PVの再生数が5万を超え、ランキング総合順位も99位とかなり好調な成績を出し始めたAqours。皆が来るべきラブライブ を向けて想いを馳せる中、一通のメールか届く。
それは、東京で開催されるスクールアイドルのライブの参加を募ったものだった。
いきなり東京でライブする事が決まりお祭り騒ぎのAqoursだったが、
「
「例え何があろうとも、皆さんの事は私が全力でお守りします!」
彼女の揺るぎない決意も虚しく惨劇は始まってしまう。
ビーストヒューマンーー有働貴文によってビースト化させられた人間達が秋葉原を中心に大量に出現し、華やかな都市は瞬く間に血の海と化した。
元々人間だったものに力を行使する事を躊躇し、宙は変身する事を拒んでしまう。
【馬鹿が】
敵の思うがままに嬲られる彼女への侮蔑と共に、強制的にファウストは力を解放。意識が元に戻った時に宙の目に入ったものは
「嫌ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!
来ないで‼︎来ないで‼︎来ないで‼︎」
自分を慕っていた少女が恐怖に怯える姿と
「
返り血に塗れた自らの悍ましい姿だった
◇◇◇
あっという間に昼が過ぎた。約束の集合時間はとうに越したが、集合場所には千歌と曜の2人しか揃っていない。
「……うん!大きなビルの下!見えない?」
「制服……♪」
大きな紙袋をうっとりしながら撫で回す曜を尻目に、残りのメンバーと連絡を取る千歌。
『あ……!見えました!』
「「すみませ〜〜ん‼︎」」
電話越しに聞こえていた声が段々と近くなり、雑踏の中からパタパタと善子と花丸が駆け寄って来る。
「ん、これで一先ず揃ったね。よし!じゃあ明日のライブの成功を祈って、神社の方にーーー」
「ちょ、ちょっと待って下さい!ルビィちゃんがいないんです!」
「それに梨子と宙は?一緒に行かないの?」
「ああ、あの3人なら今一緒にいるみたいだよ。ほら!」
慌てている花丸と善子に携帯を見せる曜。画面には少し前に交わした梨子とのやり取りが映っていた。
「えーーと…『宙ちゃん、ルビィちゃんと一緒にいます。お疲れみたいなので先に行ってて下さい』……何これ」
画面を下にスワイプすると、ベンチの上で仲良く身を寄せ合って眠っている宙とルビィの写真が載せられている。
「……何これ」
「2人共慣れない場所で歩き続けてお眠なんだって。もう少ししたら直接向かうみたいだよ」
「もう少しって?」
「さぁ……?」
「もう!皆んな勝手なんだから!」
全員で一緒に神社に行くつもりだった千歌は頬を膨らませている。
「でもあの3人が一緒って珍しいよね?梨子ちゃんと宙ちゃんはともかく、ルビィちゃんはてっきり花丸ちゃんと一緒だと思ってたから」
「途中まで一緒だったんですけどはぐれちゃって、電話も繋がらなくなって……後でちゃんと謝らなきゃ。とにかく、先輩達と一緒なら安心しました」
花丸は安堵したように笑う。
「ルビィちゃん、人見知りだけど先輩達なら緊張しないって言ってたから」
「人見知りね……宙は確か新しい学校に行っても友達出来ないから廃校を阻止したいって言ってたっけ?あの子も大概でしょ……な、何よその目は!」
「何でもないずらよ」
柔かな表情を保ちつつも花丸は目を逸らす。
「千歌ちゃん、どうする?3人は行かないのかな……」
「うーーん………よし!」
考え込んでいた千歌は決心した様に顔を上げた。
「一先ず私達だけで行こう!」
「良いの?」
「ここで悩んでてもしょうがないよ。あっちには梨子ちゃんがいるから迷ったりする事も無いだろうし。それに疲れてるとこを無理矢理起こすのも悪いよ」
千歌は片目を閉じながらそう応じると、結構気に入ったのか梨子が送ってきた写真をそっと保存した。
ーーー
目的の場所に辿り着いたのはそれから直ぐだった。
「……っ‼︎」
Aqours一同は思わず足を止める。
目の前には境内まで続く美しい石段の坂が広がっていた。
神田明神。
縁結び・商売繁盛・除災厄徐の3人の神を祀り、神田、日本橋、秋葉原、築地魚市場など、日本経済の中枢をなす108町会を氏子に持つ日本有数の鎮守である。
「ここだ……!」
千歌は体中から沸き上がる熱い想いを抑えながら言葉を紡ぐ。
都内でも屈指の観光スポットにAqoursが訪れたのはライブの成功祈願の他にもう一つ理由があった。
「これがμ'sがいつも練習していたっていう、階段……!」
そう、この石畳の階段こそ「男坂」……μ'sが階段ダッシュのトレーニングに利用していた場所だった。
μ'sに憧れてスクールアイドルを始め、大きなモチベーションとなっていた千歌にとって、何が何でも来なければならなかった場所と言っても過言ではない。
「私達も走って登らない?いや走ろう‼︎」
「そうだね」
興奮を抑えきれない様子の千歌が微笑ましいのか、曜・花丸・善子の3人は顔を綻ばせながら頷いた。
「よし!よーーい‼︎」
千歌は階段を一気に駆け上がっていく。
「「「ドンは⁉︎」」」
慌ててその後を追う3人。
普段は淡島神社のもっと長大な階段を登っているお陰か、皆荷物を持ちながら楽々と駆け上がる。あっという間に境内まで辿り着いた一同はお互いの手を取り合って飛び上がり、笑い合う。
誰が想像できるだろう。
同時刻に起きている凄惨な殺戮をーーー
◇◇◇
–––––––––––来ないで‼︎
どうして
–––––––––––来ないで‼︎
どうしてこうなる
–––––––––––嫌だ……死にたくない‼︎
私はただ皆んなを守りたいだけなのに
––––––––––– 殺される
側にいたいだけなのに
–––––––––––
何が守るだ。何が正義だ。
私がもたらしたのは破壊と殺戮と恐怖……それだけ
先程まで人の形を成していたものが辺り一面に転がっている
血の匂いが鼻を突く
寒い
苦しい
また生きる場所が無くなってしまう
嫌だ。そんなの絶対に嫌だ。
また1人になるくらいなら–––––––––––
––––––––––ドクン
「うぅッ……ぐぅう……あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛‼︎」
突然、茫然自失になっていた宙は絶叫しながらその場に倒れ込んだ。右足首を抑えながら血溜まりの中を転げ回る。
「
「宙ちゃん‼︎–––––––––ッ!?」
駆け寄った梨子はその有り様を見て言葉を失う。
宙が必死に抑えている右足首ーーー患部と思わしきくるぶし辺りから膝にかけて黒い蔦のような何かが浮き出ていた。
「何?何なのこれ……!?」
「あ゛あ゛あ゛‼︎痛い!痛い‼︎」
子供の様に泣き叫ぶ宙を見て梨子はパニック寸前になってしまう。
黒い蔦の様な何かは宙の体を蝕むように次第に足の付け根辺りまで伸び–––––––––
「ゔ゛ッ……はぁッ‼︎…はぁッ‼︎」
淡い紫色の光を放ち消え去った。
「くっ……あっはははははははは‼︎ヒャハハハハハハハハハ‼︎…グヒッ…」
先程の戦闘で四肢を全て失い、動かなくなっていた有働が不気味な笑い声を上げる。
「ようやく
「何…が…」
有働は顔面を鮮血に汚したまま言葉を続ける。
「分からないなら教えてあげましょう!姉さんはラフレイアに"死の楔"を打ち込まれたんですよ」
「…は……?」
未だ体に燻り続ける痛みに顔を歪める宙を見て有働は更に口角を上げる。
「覚えていないんですか?ずっと右足首に包帯巻いてたのに……随分と痛々しく見えましたよ?」
◇◇◇
(これで一先ずは安心かな……)
手早く対処出来た事を確認し、宙は高空を警戒しながらゆっくりと降下していく。次はこのガスを撒き散らした本体を見つけ出さなければならないが、周囲に一切敵の気配は感じられない。一体どうしたものか……
「危ない‼︎避けて‼︎」
突然警告を促すような叫び声。咄嗟に地上を見下ろすと、そこには槍状に尖った無数の何かが視界一杯に広がっていた。
(は–––––––––––?)
何かを考えるより前に体を思いっ切り捻って反射的に被弾面積を抑える。顔面のすぐ隣を突き抜けていく黒い棘。奇跡的に胴体貫通は免れたが、右足首に槍状の何かが突き刺さった。
◇◇◇
全てのスカイランタンが空に登っていったのを確認すると、宙はカメラを折り畳んで下山する準備をする。
「……痛」
足首に僅かな痛み。少し前の戦いで出来た傷は中々塞がらなかった。宙は足首に巻いた包帯の具合を確認する為にしゃがみ込む。
◇◇◇
後ろから鞠莉に呼び止められる。
「そういえば足、怪我してるの?」
「……つい先日切ってしまって。でももう痛くも何ともないです」
宙はそう言って包帯を巻いた右足首を前後に軽く揺らした。
「そう。お大事にね」
「お気遣い、感謝します」
◇◇◇
「……ぁ」
さあっと顔中から血の気が失せていく。
「はははははァ‼︎さっさと
いや、
それはまるでナイトレイダーを…TLTの事を良く知っているような口振りだった。
「もうあんたは終わりだなんだよ!ラフレイアは"χニュートリノ"に敏感だからなァ……力を使えば使うほどその身は"死の楔"に蝕まれる…肉体が死滅するまで後3回…いや、その苦しみ様だと後2回程度かなぁ?動く事もままならないでしょうけどねぇ‼︎
はははははははは‼︎はぁ…」
欠落した四肢を懸命に揺すって笑い続けるその悍ましさに梨子も宙も絶句する。そして宙は、その身に迫る確かな死の感覚に恐怖し、戻しそうになる。
(いや、あんな奴の言う事なんて嘘に決まってる……追い詰められて出鱈目言ってるだけ……あんなの嘘。嘘。嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘)
「この程度で終わると思うなよ」
頭を抱えている宙に怨嗟に満ちた声が纏わりつく。小刻みに痙攣しながら顔を上げると、爛々と狂気に溢れ返った有働の双眸が宙を捉えていた。
「ひっ……」
「お前にはこれまで散々足蹴にされてきたからからなぁ‼︎ この手と足が治ったら」
宙に向かって這いずるように体を動かす有働
「お前には死すら生ぬるい程の絶望と苦痛––––ドンッ––––を゛」
刹那、彼の顳顬を1発の銃弾が撃ち抜く。
目を剥いて倒れ伏すその先に銃を構えるのは紺色の戦闘服を纏った人間だった。
「ナイト、レイダー……?」
「ラファエルの沈黙を確認。このまま掃討作業に移行します」
『確認しました。各員はラファエルの身柄を拘束、直ちに作戦エリアから離脱して下さい』
「何故です⁉︎こいつはすぐに処分しないと–––––––」
『上層部からの命令です。勝手な行動は謹んで下さい。石堀隊員』
「……ッ‼︎…了解…しました…」
悔しさを隠し切れない表情で石堀はラファエル––––有働貴文を拘束し始める。
「石堀!先行し過ぎるな‼︎」
「…申し訳ありません」
街中に展開していたナイトレイダーの部隊が少し遅れてその場に集結していった。
「……何だこれは……?」
そしてその誰もが、目の前の凄惨な光景に……無数の屍が転がる広間の中央に立つ血塗れの宙の姿に絶句する。
「これをあの少女が…たった1人でやったというのか?」
何で
何でそんな目で私を見るの
立ち上がろうとするとまだ右足が僅かに痛み体勢を崩す。
「…ッ!」
ぐらりと数歩足を進めると、その分だけナイトレイダー達は素早く後退し、距離を取った。
何で
私は……
「……なのに」
「え?」
「貴方達と同じ、人間なのに‼︎」
大粒の涙を滴らせながら叫び、身を翻して走り出す。
「宙ちゃん‼︎」
「待て!止まれ‼︎」
「馬鹿、撃つな‼︎」
反射的に数人が隊長・和倉の制止を振り切って発砲。しかし弾丸は宙の足元に何発か着弾するだけで本人には1発も当たらない。
宙はそのまま驚異的な跳躍力でビルを飛び越え、消えていった。
「………」
重苦しい沈黙がその場を支配する。
「……周囲にビースト反応無し…状況終了。これより二班に分かれる。西条、平木、俺の班をそちらに回す。お前達が指揮を執り、彼女を捜索しろ」
「了解!」
「わ、分かりました!」
「残りはこの処理だ。処理班と早急に片付ける」
「「了解!」」
和倉の指示の下、全員が慌ただしく動き始める。身柄を拘束された有働はそのままチェスターへと運ばれていった。
「おい!落ち着け!」
「嫌あぁぁぁ‼︎化け物が、化け物がぁ‼︎」
伸ばされた手を払い除け、ルビィはその場に蹲る。
「駄目です。酷く混乱しています。意思疎通は不可能です」
「分かりました。後は任せて下さい」
ナイトレイダーの背後から現れた黒スーツの女ーー
「大丈夫。すぐに良くなるから」
ーーー
「怪我は無いか?」
「は、はい…あの!」
「何だ?」
ヘルメットを外し駆け寄ってきた石堀に梨子は思い切って声を上げる。
「宙ちゃんが私達を守ってくれたんです!だから……‼︎」
「分かっている」
「え…?」
「少なくとも、俺は」
◇◇◇
ーーフォートレスフリーダム
・ブリーフィングルームーー
U字形に並べられた机と向かい合うように巨大なスクリーンが立てられた一室。数度扉を叩く音と共に赤い戦闘服を纏った男が入室する。
「報告します……ナイトレイダーがラファエルの捕獲に成功しました。13分後、此方に移送が完了するとの事ーー」
「それで?」
男が言い終わる前に中央に鎮座する男が口を開く。
「ミカエルはどうした?」
「…現在逃亡中です」
「何?」
「戦闘記録は既に撮影済みです。説明するより確認された方が早いかと」
男が手を振って合図するとスクリーンに映像が投影される。
「……まるで獣だな」
その一方的な殺戮を目にして嘆息する。
「戦闘が終了した後酷く取り乱しています。ウルティノイドの力を制御出来ていないのは明白です」
「ミカエルの場所は?以前細工したなら把握できるだろう?」
「大変申し上げにくいのですが、現在捕捉する事が出来ません。戦闘開始と共に奴は、予めGPSを埋め込んでおいた右腕を引き千切っています。おそらくウルティノイドは既に気付いていたのでしょう」
「失敗作同様、やはり獣を飼い慣らすのは不可能のようだな」
「はっ…」
「部隊は直ぐに動かせるな?」
「ご命令さえあれば、直ちに。ミカエルは手負いの状態です。速やかに捕捉、及び捕獲します」
「よし……作戦を許可する。レッドトルーパーは直ちに行動を開始せよ」
「ラファエル及びミカエルは……処分だ」
いきなり変身制限……そして不穏な動きを見せ始めるTLT
耐え凌げは必ず状況は好転すると信じておりますのでどうか応援宜しくお願いします