ツブイマで配信してくれませんかマジで
今回は暴力的な描写がかなり多いので苦手な方はブラウザバックをお願いします
◇◇◇
梨子をビーストヒューマンへと改造し、その命を弄んだラファエル。彼に対して
修羅が如き戦いぶりを発揮し、ラファエルの傀儡と化したビースト2体を撲殺する宙だったが、瀕死の梨子を人質に取られたことで戦意を喪失。遂にノスフェルの凶刃に倒れてしまう。
「今の貴方が道具程度の価値しかなくても、ちゃんと使い切ってあげますよ…この上なく有効に————残酷にね」
ラファエルの手に堕ちた宙は異形の海へと連れ去られてしまった———
◇◇◇
「ええ、急に家を飛び出していったみたいで……警察にも連絡しました。大丈夫、2人とも無事ですよ!……はい、何かあったらすぐに連絡します。では、失礼します」
「で、桜内さんのとこは何って言ってた⁉︎」
受話器を戻した志満に詰め寄る美渡。その表情は今にも倒れてしまいそうな程に真っ青だった。
「梨子ちゃんも家に帰ってないみたい。曜ちゃんや他の友達の家にも連絡したけど来てないって。取り敢えず、もう直ぐ警察が来るからここで私と待ってて」
「突然音信不通になるなんておかしいでしょ‼︎宙は出掛ける時はいつ戻るか必ず連絡するし、必ず時間も守ってた‼︎そんなあの子が…直ぐに探しに行かないと!車の鍵貸し「駄目」
捲し立てる美渡を遮り、その手を彼女の眼前に掲げる志満。美渡の手は小刻みに酷く震えている。
「これで運転できる?探しに行けるの?」
「…!」
「お父さんがもう探しに行ってる。今はやれる事をやって、宙ちゃんを信じましょう。大丈夫…宙ちゃんは私達にはない強さを持ってる。そんな簡単にいなくなったりしない」
「でもあの子、かなりヤバいことやってるんでしょ?この街に怪獣がいて、それと戦ってるって…全部本当なら帰って来ないのも」
行き倒れた宙を保護した日、宙は美渡達に自らが抱える事情の一端を話した。最初は半信半疑だった美渡。夜になると何処かへ出掛けて傷だらけで戻ってくる宙の姿や、"TLT"という謎の特務機関の女性が尋ねてきた事が更にその疑念を深めていた。
だが、
「宙さんは現在、ある特殊な事情によりこの国の治安を維持する為の任に就いており、我々と行動を共にしています」
「詳細を説明出来ない事を謝罪します。ですが、我々は貴方方に干渉したり生活を脅かすつもりはありませんし、皆さんの生活もこれまでと何も変わることはありません…ただ一つを除いて」
「金銭面を含め、必要な援助はこちらが全て行います。どうか今後も、宙さんを家族として迎えて頂きたいのです」
彼女達が嘘を言っているようには思えず、宙が何か大きな事情を抱えていることを察した。行き場を無くしていた宙を助けたかった。そして何より、
「1階の掃除終わりました!2階の窓拭きもーーーの前に千歌さんを起こしてきますね」
「初めてご馳走して貰ったあのカレー、今度は皆さんに食べて貰いたくて…私も料理、やってみてもいいですか…?」
「包丁を持たないほうの手は猫の手で、指を切らないように…大丈夫、流石にこのくらいは簡単ですよ!せーーの、 あ痛ッ‼︎」
「え⁉︎茄子って丸ごと焼いちゃダメなんですか⁉︎あぢぢぢぢぢッ!?」
家族がもう1人増えてから毎日がより楽しく、尊いものになった。
「ちゃんと、帰ってくるよね…?」
肩を震わせる美渡を抱き寄せる志満。その様子を暗い廊下で立ち尽くしながら見る影が1つ。
「負けないって言ってたのに…絶対大丈夫って言ってたのに……なんで」
フラフラと覚束ない足取りで千歌はその場を離れた。
ーーー
手を引かれている。とても小さく、幼い手だ。
「た、ただいまー…」
「! 帰ってきた‼︎」
促されるまま玄関に入ると、2つの軽快な足音が向かってくる。
「おかえり!もう、心配したんだから‼︎」
「チカおそい!今までどこいって……ッ!」
扉を潜った先に、いつかの懐かしい景色を見た気がした。
「チカ…だれ、その子」
「森の近くであそんでたら、いたの。ひとりぼっちでさみしそうだったから」
掌に伝わる温もりを確かめるように繋いでいた手を握り返し、ぼやっと前を眺める。2人の小さな女の子だ。2人は訝しむようにこちらを凝視している。
「その子、クラゲみたいにふにゃふにゃだし、変だよ…人間なの?」
「えっと…でも見て!ケガしてる…」
私を握る手が震えている。
「もしかして…宇宙人⁉︎ほんとにいるんだ…!」
「ええ!?いけないんだー!勝手に連れて来ちゃ」
「でも!宇宙人だってケガしたら痛いよ…ひとりぼっちは寂しいよ!おねえちゃんたちだってそうでしょ?」
彼女は私の手を離さなかった。
心の内の何かが動かされたような気がした、その時だった。
「話は聞かせてもらったよー!!」
パチパチパチ!と手を叩きながらまた誰かがこちらに駆けてくる。
「よく言った!偉いぞ千歌!」
「お、おかあさん⁉︎ちょっと、くるし…」
私の手を引いていた彼女を抱きしめ、頭を撫で回す小柄な女性。
「怪我したら誰だって痛いし、困った時はお互い様!千歌の言う通りだよ!」
ひとしきり撫で回した後、女性はこちらに向き直る。
「こんにちは。怪我してるけど、痛くない?」
「………」
「手当しても良い?」
「………」
無言を貫く私に構わず、女性はしゃがみ込んで目線を合わせ笑い掛けた。
「手、出してくれる?」
ゆっくり手を持ち上げて差し出すと、目の前の笑顔は更に柔らかくなった。
「ありがとう♪」
その笑顔を見ていると、不思議と胸の内がどんどんぽかぽかと温かくなってくる。得も言えぬ不思議な感覚に囚われている間に女性の言う"手当"は終わったようだった。
「これで良し!見たところ酷くは無さそうだし血も止まってるけど、触ったり絆創膏を剥がしたりしないようにね…それで」
「……」
「なまえは何ていうのかな?」
「…な、ま…え」
「?」
「なまえって……なに」
「お母さん…この子、本当に連れてきてよかったの……?」
首を傾げながらようやく言葉を絞り出した私を見て、いよいよそのおかしさに耐えられなくなった後ろの2人は怪訝な表情を浮かべる。手を引いてた子は無言で手を握りしめたまま。
「そうねえ…新しく生まれてくる大切な命に、親が贈る最初のプレゼントって言うのかしら?説明しようとすると何だか難しいわね」
「なまえ……ぷれぜんと……?」
「そうだ!分からないならここでの名前、考えてもいい?
不思議な人だ
「これからって……まさかお母さん、いっしょに住むの!?」
「ええ、もちろん」
得体の知れない物を前に
「えええええ!?!?!?」
「良いじゃない!美渡だってこの前、妹がもう1人欲しいって言ってたでしょ?楽しいわよ〜!」
「そういう問題なのかなあ……?」
何故こんなにも楽しそうにいられるのだろう
「あ、そういえば聞いてなかった。あなた、どこから来たの?」
空を指指した私を見て先程怯えていた子が飛び上がる。
「宇宙!?ほんとに宇宙人なの!?すごい!ほんとにいたんだ!!」
「おうちから迎えは来そう?」
首を横に降ると、
「じゃあ決まり。ここが、もうひとつのおうち」
抱きしめてくるその体は小柄なのに、とても温かかった
遠い
貴方の名前は————
ーーーぐしゃあ。
「ゲホッ…ゲホッゲホゲホ‼︎……がっ…ぁ……!」
突然の息苦しさにたまらず咳き込むと、何を掛けられたのか顔中水浸しになっており、全身を駆け巡る激痛が無理矢理意識を引き戻す。
心と体を満たしていた筈の温もりは当に失せていた。
「やあ、こんにちは。気持ち良くお休み中すみません」
目の前で軽薄な笑みを浮かべるラファエル。刹那、
「殺す‼︎殺シテヤルゥゥゥゥゥゥ!!!!」
「うるさい」
滾る怨嗟を炎の如く吐き出し絶叫する宙を、ラファエル無造作に蹴飛ばした。椅子のようなものに全身を括り付けられた宙は無抵抗のまま、激しく椅子ごと後ろに転倒する。
「静かに。貴方に許されているのは答える事だけです。自発的に喋らないで下さい」
顔を踏みつけられそれ以上の言葉を遮られる宙。それでも尚拘束された身体を激しく動かし、声にならない叫び声を上げる宙を無視してラファエルは言葉を続ける。
「"
「姉さんが暗黒適能者である限り、それに抗うように姉さんの周りにも"光の超人"になり得る存在が現れ続ける事をご存知でしたか?」
途端に推し黙る宙を横目に、ラファエルは鼻で嗤う。
「愛だの、守りたいだの、周囲の人間に下らない庇護欲を持って接触し続けるほど、そいつらを殺し合う運命に巻き込んでいく……何とも皮肉な事です」
「手間暇かけて作った居場所に"適能者"が溢れるのも時間の問題でしょう。まあ、心当たりはあると思いますが…桜内梨子、だったっけ?何も彼女が特別だった訳じゃない。姉さんが"そうさせた"だけの話」
「……ッ!」
「自分の罪を理解してもらったところで本題に入りましょうか。貴方を下し、ようやく戦う力を手に入れたのは上上ですが、あの人の為にも障害となり得るものを全て取り除くのが僕の仕事です…そこで」
「ぐっ…!」
話を一区切りさせた途端、ラファエルは宙を踏みつける足に更に体重を掛けた。
「家族、友達、関わって来た人間の名前と場所を全て教えて下さい」
それは、死刑宣告に等しい言葉。
「適能者になり得る者は、僕が
「…ハハ…ハハハハ…」
「ん?」
「あっははははははは‼︎」
突然笑い始めた宙を見てラファエルは首を傾げる。
「おや、遂に壊れてしまいましたか?」
「普通の人たち」
「はい?」
踏みつける力が若干弱くなったのを見計い、宙は一気に切り出す。置かれている状況とは裏腹に、何の曇りもない声だった。
「皆んな、こんな私を温かく迎えてくれたかけがえの無い
冷え切った瞳がラファエルを射抜く。蔑みに満ちた、鋭利な眼光。
「何で貴方はそんなに怯えているの?可哀想な人」
「…確かに」
「力の無い者は何も成せない、哀れな存在です。強者に蹂躙されるだけの存在でしかない…僕もかつてはそうだった。力を持つ姉さんが心底羨ましかった」
「ですが、そんな力無き哀れな者に敗れ、無様に地を舐めている者もここにいる。本当に可哀想なのはどっちなんでしょうね?あ、あとそれから」
ラファエルはしゃがみ込んで宙に笑いかけ、宙に傷付けられた跡の残る右目を指さす。
「あの時の右目のお礼がまだでしたね」
刹那、突き出された狂爪が宙の右目を貫いた。
ーーー
生徒が2人行方不明になったことで、その事件性を鑑みて浦の星女学院は一時休校となった。
生徒数は少ないながらも、常に活気のあった校舎も今や閑散としており全く人気はない……体育館を除いて。
「………」
千歌は虚な眼を彷徨わせながら館外を周るように歩く。
居そうなところ、今まであった場所は全て探した。ここ以外。それなのに、何で。
「そういえば、ここだったよね。ファーストライブの場所」
背後から掛けられた声に振り向くと、そこには見慣れた幼馴染の姿があった。
「千歌ちゃんと、私と、梨子ちゃんの3人でライブして、沢山の人が来てくれた」
「その後直ぐに何故か怪獣が襲ってきて、でも宙ちゃんが助けに来てくれた、2つの意味で思い出深い場所」
「曜ちゃん…休講中なんだよ?いいの、勝手に入ってきて」
「そう言う千歌ちゃんこそ」
自分と全く同じ状況の千歌に苦笑する曜。が、それも直ぐに引き締まった表情に戻る。
「…無理してる。東京から帰ってから、ずっと。ちゃんと休んでる?」
「…曜ちゃん…私、どうしたら良いのかな…大切な友達が2人もいなくなって、その理由も何となく分かるのに、怖くて何もできない。考えられないの」
「千歌ちゃん…」
「ここにいたか」
俯く幼馴染に駆け寄ろうとしたその時、目の前の異質な光景に硬直する曜。いつの間にか知らない男達が2人を取り囲むように立っていた。
「高海千歌、渡辺曜…適能者候補で間違いありません」
「確かに、
黒と赤を基調とするボディアーマーを装備した謎の集団が距離を詰めてくるのを見て、本能が警鐘を鳴らす。直ぐにここから逃げなければならないと。
「千歌ちゃん、こっち!」
曜は咄嗟に千歌の手を引いて駆け出そうとするが、炸裂音と共にその足元アスファルトが吹き飛んだ。遅れて撃たれたことに気付かされる。
「抵抗するなら直ぐに撃つ。その場を動くな」
喉奥から声にならない悲鳴が漏れた。もう逃げられない。殺される———
「ちょっと待ってぇぇぇぇぇぇぇ‼︎」
よく通る高い声と共に現れた車が千歌、曜の2人とレッドトルーパーの間に割って入るように急停車し、助手席のドアが勢いよく開いた。
「乗って下さい‼︎早く‼︎」
頭に包帯を巻いた若い女性だった。その姿を見た途端、曜は千歌の手を引いて弾かれたように飛び出す。
「ッ‼︎」
迷わず車内に飛び込むと、少し遅れて殺到するのは弾丸の雨。だが、防弾仕様を施した車窓がその全てを阻む。
「よし、出します‼︎」
唸る音と共にタイヤが急回転し、一気にスタートを切る。
「クソが‼︎撃て!逃すなッ——!?」
飛び出した車と入れ替わるように雪崩れ込んだナイトレイダーがレッドトルーパー目掛けて直様発砲。
「ギャッ!?」
蜂の巣になったその体はみるみる醜い獣へと姿を変える。
「ビーストヒューマン…こんな所にまで潜伏していたのか」
千歌と曜を乗せた車は壊れた校門を通過して公道に入り、追跡が無いことを確認すると法定速度へと戻った。
「ごめんなさい…壊した物はちゃんと直しますので!」
運転席で懺悔する女性、七瀬瑞緒は自分に訝しんだ目を向ける曜に慌てて向き直る。
「お怪我はありませんか⁉︎」
「は、はい。何とか…」
「私もです」
「良かった…!」
胸を撫で下ろしてうるうるとしている姿に面食らいながらも、曜は言葉を続ける。
「貴方は誰ですか?さっきの人たちは?」
「申し遅れました、七瀬瑞緒と申します。えー…高海宙さんの仕事仲間と説明すれば良いのでしょうか…?」
「宙ちゃんを知ってるんですか⁉︎」
「あ!この人見たことある!前にうちに来てた人!」
驚く曜と千歌を安心させるように瑞緒は微笑む。
「ええ、そうですよ。千歌さんに、曜さんですよね?宙さんからよく話を聞いています。とても素敵な友達だと。梨子さんのことも」
「宙ちゃんと梨子ちゃんはどこにいるんですか⁉︎教えて下さい‼︎」
「その事で、まず私達の不手際でお2人に迷惑をかけた事を謝罪させて下さい。本当にごめんなさい…それでも、お二人にお願いしたい事があるのです」
「どうか、宙さんと梨子さんを助け出すのに力を貸していただけないでしょうか」
「え…?」
ご存知の方もいるかもしれませんが、七瀬瑞緒というキャラは拙作のオリキャラです。ウルトラマンネクサスに登場するメモリーポリスの野々宮瑞生とは一切関係ありませんのでご了承下さい。
今言うことじゃないですね