メフィスト 「...................」
ファウスト ゴシゴシ
メフィスト 「....................お前何やってんの?」
ファウスト 「洗濯だけど」
メフィスト 「」
少女の服はいつも綺麗です
ーー浦の星女学院・二年生の教室ーー
「淡島にでっかい怪獣?」
「そうそう!こーーーんなにおっきくてカエルみたいな形の!」
「むっちゃん達知らないの⁉︎私も曜ちゃんも大変な目に遭ったんだから!」
何故か皆昨日のことを覚えていない。ニュースを確認してもそれらしき内容の物は一切放送されていなかった。昨日中々寝付けず少し遅刻してしまった千歌と曜はクラスメートに昨日起きた事を一生懸命説明しているところである。
一通り説明を終えるとクラスメートは黙ってお互いの顔を見合わせる。
「「「あっはははははははは!」」」
どっと笑いが巻き起こった。
「いくら二人揃って遅刻したからってその言い訳はぶっ飛び過ぎてるよ千歌!」
「しかもカエルって!確かに淡島にはカエル館なんてのもあるけどカエル嫌いだからって怪獣扱いすることないじゃん!寄り道するのも良いけど家には早く帰りなよ、カエルだけn.....っておぉーい!千歌、曜、何処いくのー!」
使い古されたネタを聞くより前に千歌と曜は無言で自分の席に戻っていった。
「どうしちゃったんだろう皆んな...私達が変な夢を見ていただけなのかなぁ...............」
「でもでも!果南ちゃんは覚えてるって言ってたよ?」
首を傾げる千歌を曜が隣からフォローする。二人は隣同士なので基本的に席を立って話すこともあまり無かった。
「何か...怪獣騒動のことを差し引いても昨日は本当に変わった日だったなぁって」
「そうそれ!私も千歌ちゃんと同じ事考えてた!」
そう、昨日は本当にたくさんの事が起こり過ぎた日だった。
ーー時を遡ること昨日の昼ーー
「スクールアイドル部でーす.....」
二人が誰もいない場所でまだ呼び込みをしていた時のこと。
千歌がふと前を見ると一年生を表すオレンジ色のリボンを付けた二人の美少女が前を歩いている事に気付いた。千歌は考えるより先に二人が歩く先に滑り込む。赤髪の短いツーサイドアップの少女が慌ててもう一人の茶髪のロングヘアーの少女の後ろに隠れた。
「ぎゃっ」
後ろで転倒する曜。
それに気付く事なく千歌は二人に声を掛けた。
「あの!スクールアイドルやりませんか?」
「ずらっ!?」
茶髪の少女は見た目に反して訛った口調で言葉を返す。決してある髪型を馬鹿にしている訳ではない。
「ずら?」
「い、いえ...」
「大丈夫!悪い様にはしないから。貴方達きっと人気が出る!間違い無いっ!」
「でもマルは...」
千歌は後ろの赤髪の少女が自作のポスターに釘付けになっている事に気付いた。試しに上下左右に動かしてみるとそれを追う様に顔を動かしてくる。
「興味あるの⁉︎」
「あのっライブとかあるんですか?」
「これから始めるところなの。だから貴方みたいな可愛い子に是非!」
そう言って赤髪の少女の手に触れる千歌。対するその少女の顔は見る見る真っ青になっていく。
「ピギャアアァァァァァ!!!!!!」
「うわっ!」
「あ゛あ゛い゛ッ⁉︎」
突然奇声を上げ始める少女に仰天する千歌と曜。
曜に至っては腰をさすりながら起き上がったところで、完全に無警戒だった為変な声を上げてしまう。踏んだり蹴ったりである。
「ルビィちゃんは究極の人見知りずら...」
赤髪の少女、黒澤ルビィの悲鳴はまるで怪鳥の鳴き声だった。
茶番はまだ終わらない。
「うわぁぁぁぁ!」
何故か桜の木から少女が落ちてくる。
内股で着地するとシニョンのついた頭にカバンが乗っかった。
「痛ぁ....」
「ちょ、いろいろ大丈夫?」
痛みで蹲ろうとしているその少女に千歌は恐る恐る声をかける。
「ウフフフフ.........ここは、もしかして地上?」
この場所に普通のテンションの者などいなかった。
「うわっ......大丈夫じゃ、無い...........」
「ということは貴方がたは下劣で下等な人間という事ですか?」
厨二病を拗らせた様な喋り方をする少女はよくわからないことを話し始める。
「それより足大丈夫?」
千歌は話を軽く受け流しながら変な着地をした少女の足に手を触れる。
「いっ!たいわけ無いでしょう?この身体は単なる器なのですから。ヨハネにとってこの姿はあくまで仮の姿。 おっと名前を言ってしまいましたね。我が名は堕天使ヨハn「善子ちゃん?」
先程の茶髪の訛りのある娘が堕天使ヨハネの言葉を遮った。
「やっぱり善子ちゃんだよね?花丸だよ〜。幼稚園以来だね?」
「ふぇ?花丸?に、人間ふぜいが何を言って...」
「じゃーんけーん...........ポンッ!」
茶髪のロングヘアーの少女、国木田花丸は突然ジャンケンを仕掛けた。
それに対して自称堕天使、津島善子はかなり特徴的な形のチョキを出す。
「そのチョキ!やっぱり善子ちゃん!」
「善子言うなーー‼︎いい、私はヨハネ、ヨハネなんだからねーー‼︎」
そう言うと善子は頭にカバンを乗せたまま器用に走り去っていく。
「待ってよ善子ちゃ〜ん!」
それに追従する花丸とルビィ。
「来るなぁぁぁ!」
嵐のように三人は去っていった。
ーー現在・教室ーー
「三人ともちょっと変わった子達だったけど、皆んな可愛かったなあ....やっぱりもう一度スカウトしに行ってみよう!」
「その後、生徒会長にお叱りを受けたんだよね...」
ーーまたまた時を遡ること昨日の昼・生徒会室ーー
「ふぅん.......設立の許可どころか部の申請もせずに勝手に部員集めをしていたというわけ?」
「悪気は無かったんです。ただ、皆んな勧誘してたんでついでと言うか焦ったというか...........」
千歌はすっかり縮こまっていた。蛇に睨まれたカエルとはこの事である。
「部員は何人居るんですの?ここには一人しか書かれて居ませんが」
検察官のように問い詰めているのは浦の星女学院生徒会長・黒澤ダイヤ。千歌達が無断で部活動の勧誘をしていた事に大変お怒りのようだ。
眼光がやけに鋭い。
「今のところ...一人です☆」
「部の申請は最低五人は必要だと知っていますわよね?」
「だ〜から勧誘してたんじゃないですか〜」
可愛くとぼけようとする千歌だったが申請書を握るダイヤの手はブルブルと震えている。
「フゥン!」ベチン
手の平を机に叩きつけるダイヤ。さほど大きな音は出なかった。
「痛ったぁ〜〜」
「ぶっ」
千歌はその様子が何だか可愛くて笑ってしまった。ダイヤはキッとこちらを睨む。
「笑える立場ですの⁉︎」
「す、すみません...」
やっぱり縮こまってしまう千歌。
「とにかくこんな不備だらけの申請書を受け取るわけにはいきません」
「えぇ〜⁉︎.....じゃあ五人集めてまた持ってきます!」
「別に構いませんけど、例えそれでも承認は致しかねますがね」
「どうしてです⁉︎」
「私が生徒会長でいる限りスクールアイドル部は認めないからです‼︎!!」
ダイヤがそう言い切ると同時に後ろの窓からは強烈な突風が吹き込んできた。
ーー現在・教室ーー
「横暴だぁぁぁぁ!」
周りをはばからずに大声を上げる千歌。
「どうしてスクールアイドルはダメ、なんて言うんだろう...?」
「嫌い...みたい。クラスの子がスクールアイドル作りたいって言ってた時も断られたみたいだし」
目を逸らしながらそう呟く曜。
「え!!曜ちゃん知ってたの⁉︎」
「ごめん!」
「先に言ってよぉ〜」
千歌は最初からこうなると決まっていた事に肩を落とした。
「だって千歌ちゃんいつに無く夢中だったし、言い出しにくくて...
生徒会長の家って古風な所で、ああいうチャラチャラしたのは嫌いなんじゃ無いかって噂もあるみたい」
千歌は教室の窓から見える山々の景色に手を伸ばした。
「チャラチャラなんかじゃ、無いのになぁ...」
別に生徒会長の事が嫌いになったわけでは無い。ただ、自分が心動かされ夢中になっているモノをチャラチャラしていると一蹴されてしまう事が悲しかった。
(どうにかしなきゃなぁ。折角見つけたんだし.....)
「.............ねぇ、やっぱりまた生徒会長の所に行くの?」
何かを確かめるように曜が顔を覗き込んでくる。
「うん、もちろん!諦めちゃダメなんだよ!
曜はそう言い切る千歌の姿がキラキラと輝いているように見えた。
「そっか...本気なんだね。」
「うん!」
曜は突然千歌の持っている申請書をえい!と取り上げた。
「ちょ、ちょっと!」
手を伸ばしてくる千歌をヒラリとかわしながら自分の机に向き直り、サラサラとペンを走らせる。
「私ね、小学校の頃からずっっっと思ってたんだ。千歌ちゃんと一緒に、何かに夢中になりたいって。」
「曜ちゃん?」
「今はよく分からない事が色々起こってて大変、だけど!」
曜はそう言って千歌に申請書を返す。部員の一覧には新たに「渡辺曜」と書かれていた。
「曜ちゃん...............ぐすっ................曜ちゃあああん!」
嬉しさで感極まって思わず抱きついてしまう。
「ちょ、苦しいよ千歌ちゃん」
「千歌と曜、相変わらず本当に仲良いね。」
「そりゃそうだよ。あの二人が一緒に居ない時なんて見た事ないもん!」
「何だか微笑ましいなぁ」
千歌と曜は結構大きな声で話しているのだが、クラスメートはそれを咎める事なく温かな目で一暼した後、チャイムが鳴ったので自分達の席に戻っていく。
「よーーーっし!絶対凄いスクールアイドルになろうね!」アナタタチ、モウセキニツキナサイ
「うん!」オーイキイテル?
決意を新たにする二人。しかし千歌は飛び上がった拍子に申請書を放り投げてしまっていた。窓の外から飛び出し、申請書はそのままーー
ーー水溜まりに着水した。
「「ギャアアアアアアアアアア‼︎」」
「席に着いてぇぇぇぇぇ!」
授業はもう始まっているのに着席せず窓から身を乗り出し絶叫する二人に向かって当然教員はキレた。
ーー昼休み・生徒会室ーー
「こんな状態でよく持ってこられる気になりましたわね?」
ダイヤの手元には水で濡れてクシャクシャになった申請書が置かれている。
「しかも1人が二人になっただけですわよ?」
「やっぱり簡単に引き下がったらダメだって思ったんです。もしかしたら生徒会長は私達を試しているんじゃ無いかって!」
「違いますわ!何度きても同じだとあの時も言ったでしょう!」
「どうしてですか!」
「この学校にはスクールアイドルは必要無いからですわ!」
千歌とダイヤ、両者共断固として譲らない。千歌はともかく、何故ダイヤはここまで頑にスクールアイドルを否定するのか。
「...............今言ってる事以外に何か別の理由、あるんじゃ無いですか?」
ダイヤの言葉の奥に何かあるのを感じ取り、そう尋ねる曜。
「....................私個人として最近この街では色々と物騒な事が起きていると感じています。私達は野外活動を出来る限り自粛するのが良いと判断しました。」
躊躇うように顔を逸らした後、ダイヤはそう答えた。
「黒い巨人と怪獣はもういないじゃ無いですか!」
そう言った直後千歌は後悔した。この事は周りの皆殆どが覚えていないのだ。今こんな事を言っても理解してくれる筈が無い。
「貴方はどうして何もかも安直に......⁉︎待って!貴方達もその事を知ってるんですの⁉︎」
「え⁉︎じゃあ生徒会長も淡島で起きた事覚えてるんですか?」
「えぇ。 じゃあ何で他の皆さんは何も...とにかく!次が来ないとも限りません。野外で活動する機会が多くなるスクールアイドルの活動は危険すぎますわ!」
「うぐぐ...じゃあ何でソフトボール部とか他の部活動は続けても良いんですか?」
「それは....................だいたい!やるにしても曲は作れますの?」
「曲?」
「ラブライブに出場するにはオリジナルの曲でなくてはならない。スクールアイドルを始める時に最初に難関になるポイントですわ。東京の高校ならいざ知らず、うちの様な高校だと、そんな生徒は...」
ーーーー
「一人もいない....................」
全くの盲点だった。いくらやる気があっても曲が作れなければ活動を始めることすら出来ないのである。
「生徒会長の言う通りだよ.........」
「大変なんだね。スクールアイドル始めるのも」
「こうなったら私が何とかして!」
机の中から小学校の音楽の教科書を取り出し読み始める千歌。
作曲の勉強を始めるつもりなのだろう。
「出来る頃には卒業してるよ.....」
「だよね............」
項垂れる千歌。その時、千歌達の担任が教室に入ってきた。
「はーい皆さん!ここで転校生を紹介します!」
入り口から赤紫色のロングヘアーをバレッタで留めた少女が入ってくる。
「と、東京の音ノ木坂という高校から転校してきました、桜内梨子です。宜しくお願いします。」
そう言うと柔らかな笑みを浮かべる。とてもお淑やかで可愛らしい仕草だった。
千歌も曜もその顔に見覚えがある。
「あー‼︎」
思わず立ち上がる千歌。
「あ!貴方は!」
向こうも気付いたようだ。
「奇跡だよ‼︎」
桜内梨子ちゃん。怪獣騒動があった後、私達は避難所で彼女とお話させて貰った。彼女は東京でピアノをずっとやっており、その腕は全国大会に出られる程の実力だそうだ。
そう、ピアノの。ピアノが出来るという事は作曲は勿論お手の物。今の私達にとってこの上無い程頼もしい存在。きっと神様が私達に力を貸してくれたんだ!
「スクールアイドル、やってみませんか⁉︎」
転校生が自己紹介中だというのにいきなりそんな事を言う千歌。
梨子はそんな千歌を見てニッコリ笑うとーー
「ごめんなさいっ」
やっぱりこうなった。
それからと言うもの、千歌は何度も梨子をスクールアイドルに勧誘した。休憩時間、体育、昼休み。更には梨子が動く度について回って勧誘しだすようになった。
「桜内さーーん!スクールアイドルはね、学校を救った事もある凄い存在なの!だから是非ーー!」
「ごめんなさーーい!」
しかし、いつまで経っても梨子が首を縦に振る事はなかった。
ーーある日の休み時間ーー
千歌と曜は作曲が出来ない間もダンスの練習を行っていた。
「また駄目だったの?」
「うん。でも後もう一歩ってとこかな!」
梨子の事を尋ねる曜に向かって自信たっぷりに胸を張る千歌。
「だって最初は”ごめんなさいっ!”だったのが最近は”…………ごめんなさい…”になってきたし!」
「それ嫌がられてるんじゃ...」
曜は、梨子がいつかブチ切れる時が来るのではないかとだんだん不安になってきた。
「そう言えば、桜内さんもあの日の事覚えてたよね?」
「あ、確かに。今まで普通に話してたから気付かなかったよ」
「何か、私達見えない力みたいなのに引き寄せられてる感じしない?記憶が残ってる人にどんどん会ってるんだよ?」
曜の言っている事は突拍子も無い事のように思えたが、妙に的を射ているようにも思え、千歌は何も言う事が出来なかった。
そしてその日の帰り道。千歌と曜はまたあの二人に会った。ルビィと花丸である。
「ねえねえ!スクールアイドルやらない?」
「マルはそういうのはちょっと...」
やっぱり千歌は勧誘をしていた。ダイヤに五人集めてくると啖呵を切った後なのでそれはもう必死である。
「じゃあじゃあ!ルビィちゃんは?」
「ルビィは...お姉ちゃんが...」
「ルビィちゃんのお姉ちゃんはダイヤさんずら」
「え⁉︎あの生徒会長⁉︎」
「生徒会長、スクールアイドルの事何でか凄い嫌ってるよね?」
曜の言葉にルビィは何も言わずに悲しそうな顔をして俯いた。
バスの中を沈黙が支配する。 そんな気まずい空気を破ったのは花丸だった。
「じゃあ、マルはもうそろそろ」
「花丸ちゃんの家はこの近くなの?」
「いえ、今日は沼津までノートを届けに行く所で」
「どうして?」
「実は入学式の日...」
花丸の話によると、自己紹介の時にあの津島善子がクラス全員の前で堕天使キャラを解放し恥をかいて、それ以来学校に来なくなったらしい。
善子と幼馴染の花丸はそれからと言うもの家も遠いのにずっと善子の家にその日の授業のノートを届けに行っており、ルビィもそれに付き添っているそうだ。
とても心優しい少女達だった。
花丸とルビィがバスから降りた後、千歌は何かに気付いた様に声を上げる。
「もしかしてーー善子ちゃんがあの黒い巨人なんじゃ⁉︎」
「千歌ちゃん?」
「だってそうだよ!私達と初めて会った時も悪魔を真似た様な口ぶりだったし、私達の事を"下等な人間"とか何とか言ってたんだし」
「言われてみれば確かに...」
千歌と曜は善子があの巨人に変身するところを思い浮かべてみる。
○○○
善子「ヨハネ、堕天!」
ファウスト「…」堕天使のポーズ
善子(ファウスト)「アーハッッハッハッハ」
○○○
「うん、無いね。」
「そうだよね....................」
二人共善子はやはりただ堕天使を演じているだけだという事を確信した。
ーー???・???ーー
空が爆ぜ、大地が揺れる。堅牢な作りをした高層ビルは砕け散り、猛烈な業火がアスファルトを削りながら進む。
地獄の中で、一人の女性が五歳にも満たない小さな子供を抱え必死に走っていた。その小さな子は恐怖でガタガタと震えている。
不意にその女性は子供を下ろし、ギュッと抱きしめる。
「
そう言うと子供を突き飛ばした。
その瞬間、女性の立つ場所に倒壊したビルの残骸が降り注ぐ。
間一髪難を逃れる事ができた小さな少女が身を起こすとそこには無数のガレキの山。
母親の姿は何処にも無かった。
「お母さぁぁぁぁぁぁぁん!」
絶望の中で泣き叫ぶ声がこだまする。
破壊と殺戮が止まることは無かった。
ーー内浦・山中ーー
「ーーーーはッ!」
ジメジメと湿った鬱蒼と木々の生い茂る場所で少女は跳ね起きた。汗と朝霜で濡れた黒髪が顔中にべったりと張り付いている。
何かが頰を伝った。
「?どうしてーー」
一筋の涙を拭うと急いで身を起こす。そこで少女はある事に気付いた。
誰かに自分の名前を呼ばれるのはいつぶりの事だろう。
小川の水で顔を洗うとようやく意識がはっきりとしてきた。
(何でよく思い出せないの?)
何故かさっきまで見ていた夢の内容を思い出す事が出来ない。
誰かに名前を呼ばれたのは確かなのだが。
頭を捻っているとぐぅ、とお腹が音を立てる。
「....................お腹、すいた」
初めて巨大化し戦闘を経験してから何かがおかしい。これまでお腹が空くことも全く無かったのに。
ーー関東地方・???ーー
暗い部屋の中に無数のモニターやその他の電子機器が並んでいる。電子機器の照明以外に照明器具は一つも無いのではと思わせる程の暗さだ。
そんな中で一人の若い男が絶えずキーボードを操作していた。
『静岡県沼津市で微弱なビースト振動波を感知したとの報告が入っています。イラストレーター、如何されますか?』
機械越しに少し老けた男性の声が聴こえてくる。
イラストレーターと呼ばれた若い男は肘を乗せ組んだ手に顎を乗せながら答える。
「少し様子を見ましょう。管理官、一応事後処理部隊の準備をしておいて下さい。」
「『彼』がまた現れるかも知れませんからね」
千歌ちゃん、おめでとう(遅い)
これからの話、ネクサスの原作キャラはあまり出さない方向で行くかもしれないのでご了承下さい