錬成師と投術師のありふれたはじめて   作:simasima

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02 夏休みなので

 

 

ありふれの最新刊を読みました

優花ちゃん健気可愛いヤッター!

挿絵もあるし色々語りたいのですが

ネタバレになるのでやめます。

優花ちゃん推しの気持ちがわいたので

書き上げた二話目です。

 

 

 

                  

 

 

 

 

 

~ハジメ~

 

「じゃ”うみねこ”に朝9時に行けばいいんだね?」

 

「・・・・・・・」

 

「・・うん迷惑じゃないから園部さん明日よろしくね」

 

僕は電話を切ると

珍しく日中のリビングでくつろいでる父さんに

 

「父さん。明日から三日間ほど園部さんの

親戚がやってる海の家でバイトするから」

 

その言葉を聞いた父さんは困惑した顔で

 

「・・・何・・・だと」

 

「父さんなんでそんな顔するのさ」

 

「いやなぁハジメ女の子に誘われて

海の家でアルバイトとかハジメお前は父さんを超えた」

 

「わけがわからないよ父さん」

 

「でっハジメ?泊りか?」

 

「近くの海水浴場だから日帰りだよ」

 

「そうか・・惜しかったなハジメ?」

 

「なにがさ!!」

 

僕は会話を切り上げ明日からの準備をするため自分の部屋に向かった。

 

 

 

 

~優花~

 

 

「うん。南雲、明日はよろしくね」

 

そう言って私は電話をきった。

南雲は臨時のバイトを快く引き受けてくれた。

 

「優花ちゃん例の子バイト引き受けてくれたの?」

 

「はい早希さん明日から来てくれるって」

 

「そう良かったわ。私は明日からおじさんの店の

盆休み前の特別営業の手伝いに行かないとだし。

いつものバイトの子は風邪で倒れたから助かったわ」

 

そう言ったのは大学生の従妹の早希さんだ。

早希さんは父さんの親戚の海の家”うみねこ”と

母さんの兄がやってる洋食屋と掛け持ちでアルバイトしている。

バイトの子が風邪でダウンして週末に人手が足りないので

私が南雲にバイトに入ってくれるように頼んだのだ。

 

「しかし南雲っちか~」

 

「優花もいつのまにぃねぇ?」

 

私と一緒にアルバイトとしている

奈々と妙子が手が空いたのか

ニヤニヤ顔で話しかけてくる。

 

「なにを言ってんの二人とも南雲は檜山達のことが

あったからで他には何もないし」

 

「優花っちは素直じゃないねぇ~」

 

「だね!だね~」

 

「しっこい!ほら奈々、妙子お客さんがきたよ!」

 

奈々と妙子は仕事に戻っていった。

その様子を見ていた早希さんは優しい笑顔を浮かべ

 

「初々しいよ優花ちゃん」

 

「早希さんまで。裏からキャベツを取ってきますから」

 

そう言って私はその場からにげるように離れる。

 

 

「奈々と妙子に早希さんも

すぐにアッチ方向の話に

そんななんじゃないのにさぁ」

 

私はキャベツを取り出しながら愚痴る

 

「でも南雲は明日からか・・フフッ」

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日のお昼ごろ

ジュゥウウとソースの焦げた匂いが広がる

 

「ふぅ、 あつぅ」

 

髪をポニテにまとめた私は焼きそばを焼いていた。

この海の家”うみねこ”の焼きそばは

太めの麺にスジ肉とコンニャクを煮込んだ

物を使った所謂”ぼっかけ”いわれる焼きそばだ。

叔父が関西に行った時に気に入ってメニューにいれたらしい。

連休に入り海水浴の客も増えこの辺では

ぼっかけ焼きそばが珍しいのか受け

私は休む間もなく焼きそばを焼いていた。

 

「園部さん、キャベツを切ってきたよ」

 

「南雲、脇のざるに移しといて」

 

「うんわかった」

 

「南雲っち!ラムネが少なくなったから補充おねがい」

 

店頭で飲み物の販売をしてる奈々が南雲に声をかける。

今朝からバイトに入った南雲は補充やらの裏方の仕事をやってもらってる。

南雲はわりと飲み込みが早くそつなく仕事をこなしている。

 

「妙子、焼きそば二つ三番に持って行って」

 

「はーい」

 

接客している妙子にオーダーの料理を持って行く様に声をかける。

 

「優花、追加で二番に四つね」

 

妙子は焼きそばを受け取りながら追加の

オーダーを私に伝える。

返事を返し新たに麺をほぐす為の水をかける。

むわーっと蒸気による熱気が広がる。

今日何度も言った言葉を

 

「暑っうぅ」

 

と私は繰り返す。

 

 

 

 

~ハジメ~

 

僕は今、なんとか園部さんに紹介された

海の家でのアルバイト初日を無事に終え

帰路の電車に揺られていた。

園部さん達は週末は叔父さんの家に

そのまま泊まるそうだ。

 

今まで両親の手伝いはしてきたけど

やはりそうじゃない所で働くと

父さんの会社の人や母さんのアシスタントの人たちが

僕に遠慮して気を使ってくれてた事がよくわかる。

僕は周りに甘やかされてきたんだと

それなのに変に斜に構えた学校での態度は良くなかったと

新学期に白崎さんに会ったらお礼と謝罪をしようかな

 

園部さんとの出会いで僕の世界は

これからも広がっていきそうな気がする。

そんな事を考えて電車の揺れに身を任せていると

いつの間にか寝てしまい三駅ほど寝過ごしてしまった。

 

 

~優花~

 

南雲が来て二日目の昼の食事時が終わり

焼きそばも好評の内に売り切れて一息いれてると

 

「園部さ~ん」

 

と南雲が少し情けない声で私を呼んだ

南雲を見ると困ったような笑顔で

小さい女の子と手をつないでいた。

 

「裏でかたずけていたらこの子がいてさ

多分迷子だと思うんだけど」

 

私はしゃがんで女の子の視線に合わせ

 

「あなたのお名前は何ですか」

 

「やまのみあ!よんさい!」

 

「名前と年も言えて偉いねミアちゃん

お母さんはどうしたの?」

 

「わかんない」

 

ミアちゃんはそう言って心細くなったのか

泣きそうな顔をしたとき

南雲もしゃがんでミアちゃんの頭を

なでて安心させるために優しい笑顔を浮かべ

 

「お兄ちゃん達がお母さんの所に連れて行ってあげるから」

 

「うん!」

 

ミアちゃんは安心したのか元気に返事をする。

小声で南雲が私に話しかける

 

「迷子センターに連れて行こうと思うんだけど

男の僕が一人で連れて行くのはだから園部さん・・」

 

「男子が小さい女の子を連れまわすのは良くないわね

仕方ないから私も一緒に行ってやるわ」

 

そう返事をして立ち上がり近くにいた奈々に

 

「私、南雲とミアちゃんを届けてくるから

もし御両親がたずねて来たらセンターに居ると伝えといて」

 

ミアちゃんを不安にさせないため

迷子と言う言葉は使わず奈々に事情を説明する。

 

「は~い。優花っち今ならお客さんもまばらだから

ついでに南雲っちも連れまわしてきていいよ~」

 

「奈々!すぐに戻ってくるよ」

 

奈々はすぐに南雲との事を茶化す

そういうのではないのに

 

「さぁ行きましょう。・・んっどうしたのかなミアちゃん?」

 

ミアちゃんは何か私に言いたそうにしている。

 

「おねぇちゃんはおてて、つないでくれないの?」

 

と私に南雲と手をつないでない右手を差し出してくる

私がその小さな手を握るとミアちゃんは笑顔を浮かべた

気恥ずかしさを感じながら手をつないでしばらく歩いているとミアちゃんが

 

「おにぃちゃんとおねぇちゃんはなかよし?」

 

「えっと僕は・・・」

 

南雲はそれを聞いて少し赤くなり言葉につまってた。

私はつとめて冷静にミアちゃんにたずねる

 

「ミアちゃんはどうして私とお兄ちゃんが仲良しだと思うの?」

 

「んっとねパパとママもおてて、つないでくれるの

でね、パパとママはいつもなかよしだから」

 

ミアちゃんは両親とこうやって手をつないで歩いているから

私と南雲も同じように仲が良いと思ったようだ

同じようにパパとママ・・・

 

「なっ南雲!私はミアちゃんに言われて

手をつないで歩いてるだけだからね!」

 

「そっ、そうだね。園部さん」

 

「おねぇちゃんとおにぃちゃんのおててあつくなったぁ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとうございました」

 

「ありがとう!おにぃちゃん!おねぇちゃん!」

 

「お母さんがすぐ見つかって良かったねミアちゃん」

 

「私たちは仕事に戻りますから、バイバイ、ミヤちゃん」

 

「バイ!バイ!]

 

迷子センターに連れていくと

ミヤちゃんのお母さんがすでに訪ねていて

すぐに引き渡す事ができた。

そして南雲と二人きりになって

店に戻るために歩き始めたのだけど

なんとなくというか、気恥ずかしさから

つい南雲と距離をおいてしまった。

 

そうこうして歩いていると

 

「ねぇねぇ、カノジョ一人?友達と来てるなら

俺たちと遊ばない?」

 

ナンパされた。すぐに断ろうとしたとき

右手を握られた

 

「僕の連れなので止めてもらいますか」

 

南雲が私の手を握ってそう言った

ナンパ野郎は「男連れかと」悪態をつくと

すぐに離れていった。

 

「ごっごめん園部さん。手をとっさにつないじゃって」

 

と南雲が手を放そうとしたが私が握りかえし

南雲から視線をそらしながら

 

「いいわよ。ナンパを断るためでしょ。

おかげで簡単に断る事ができたし」

 

「園部さん手を・・・」

 

「またナンパされたら面倒だから

このまましばらく歩くわよ。

ナンパ避けのためだからね!」

 

「うっ・・うん」

 

お互い視線を合わせないようにしながら

店の近くまで手をつないで歩いてしまった。

私は南雲の手を意外と大きい感じた。

 

 

 

~ハジメ~

 

無事に最終日のバイトも終わり。

僕は園部さん、宮崎さん、菅原さん四人で

帰路の電車に乗っていた。

四人掛けの座席に対面に宮崎さんと菅原さん

僕の隣の窓際側に園部さんが座っている。

 

「おつかれしたぁ~」

 

宮崎さんがバイトが終わった事への労いの言葉を言い

 

「優花、南雲君、ハイこれ」

 

と菅原さんがカバンからジュースペットボトルを出し手渡してくれる。

 

「ありがとう菅原さん」

 

「ありがと妙子」

 

そして四人でバイトの無事終了祝ってジュースを飲む。

 

「私、南雲っちの事が誤解してたよ」

 

「そうだね~。私も南雲君の事をいい加減で

適当な奴だと思ってたよ~」

 

「優花っちがさぁ。南雲っちをバイトに誘うと言った時

授業中寝てばかりで香織っちがいくら言っても

態度改めてないからすぐサボルとか思ってた」

 

「優花から檜山達ことでの南雲君の

武勇伝は良く聞かされてたけどねぇ~」

 

「ちょっ!妙子!」

 

「あははっ」

 

と僕は宮崎さん等の僕に対しての印象に苦笑いを浮かべるしかなかった。

 

「でも南雲っちの真面目な仕事ぶりを見て

しっかりしてると見直したよぉ」

 

「学校で寝てた理由も優花から聞いたしね」

 

「妙子それは」

 

「優花、心配しなくても噂広めないよ~

南雲君も余り広げて欲しくないだろうし」

 

「うんありがとう。菅原さん」

 

 

 

「すぅ・・・」

 

「・・くぅ」

 

しばらくすると宮崎さんと菅原さんはウトウトし始め

お互いに肩を寄せ合い眠ってしまう。

バイトの疲れが出たのだろうか

 

コッ!

 

僕の肩に何かが当たった

 

「すぅ・・・ぴぃ」

 

それは園部さんの頭だった。

彼女も疲れてたのか眠ってしまったみたいだ。

 

(日中ずっと焼きそばを焼いていたから疲れるよね)

 

と僕は冷静に状況を確認している。

なぜなら内心は焦りまくりで

園部さんを起こさないようにジッとするためだ。

 

園部さんの体からは仕事が終わってシャワーを浴びた

石鹸の匂いと何か僕の体がムズムズする様な香りがして

どうにも落ち着かないし

 

チラッチラッと園部さんの寝顔を見てしまう

彼女の寝顔はいつもよりずっと幼くみえて

僕にはとても可愛く見えた

思わず僕は自分の手を

 

(収まれ僕の右手!ダメだろ!僕は石、石になるんだ)

 

と何かと戦う僕だった。

戦いは園部さんが目を覚まして

顔を真っ赤にして謝罪するまで続いた。

正直、アルバイトよりしんどかった。

 

 

 

~優花~

 

家に帰り私は自分のベッドの上で

枕に顔を埋め足をパタパタさせていた。

 

(う~南雲に寝顔を見られたぁ~

よだれとか垂らしてなかったよね)

 

南雲に寝顔を見られたのは

恥ずかしかったけど

不思議と嫌だとは思わなかった。

 

それとナンパから私を助けるために

手を握られた時、南雲の手は

いがいと大きくて男の子だった。

 

思い出すと身体が熱くなった

これは南雲でなくて熱帯夜で

部屋の冷房のききが悪いせいだ

私はエアコンの温度を思いきり下げた。

 

次の朝、体が冷えすぎて風邪をひきかけた。

 

 

 

 

                 

 

 

 

 

夏休みの定番イベント海の家でのバイトを書きました。

もう少し二人の関係が進んだ後の方が

色々ドラマを描けると思うのですが

原作のタイミング的に今しかないもので

じれじれ甘々なハジメ×優花を書いていければと

次回は

もう一度夏休みの話か新学期かのどちらかで

 

海の話なのに水着が出なかったよ。

 

 

*もしかするとクロスオーバーネタで続けるかもなので

そのための伏線も入れました。

 

 

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