名探偵コナンの世界で気ままに生きる(一旦休載中) 作:ゆかなおっぱい
そして感想で、主人公が傲慢で萎えるというのがありました。これについて、主人公は私をモチーフとしていまして、小学生時代に傲慢で謙虚のけの字も知らないような人間だった私を投影しています。気持ち悪い、嫌いだと感じると思うんですが、こういう時期をあえて描写することで良くも悪くも人間らしさを表現したいんです。勿論このままの性格で終わる訳じゃありません。この主人公も成長していきます。現時点ではその過程にあるので、ご了承下さい。長文失礼しました。
俺と冴子はトンネルの入り口で親不知駅に向かって走る運転手さんの後ろ姿を眺めながら立っていた。
「ねぇ裕太?」
「ん?なんだよ」
「裕太は、怖くないの?」
「んー、そうだな。車掌さんが埋まってるかもしれないんって考えると怖いけど、今はあまりかな。想像つかないし」
「そう…私はやっぱり恐ろしいわ。どうしても…」
「そうか。なら、電車の中に入って麗香ちゃん達のところに行って待ってなよ。」
「…そうね。」
そう言うと冴子は気分悪そうに、どこか悲しげに車内へ戻っていった。
(大丈夫かよ、冴子…)
少し時間が経つと、除雪の作業員を乗せたトラックと除雪車がやってきた。
「こりゃあ酷いな。最低でも2時間は掛かるかもしれんぞ。」
「お願いします!山崎君が…車掌の山崎君が埋まってるかもしれないんです!!」
「そうですか。オイ皆んな!!早く始めてくれ!!時間の猶予は無い!!」
そうしてチーフらしき人の掛け声と同時に作業員の方達が一斉に除雪作業を始めた。
俺は出来ることが無いので、それをボンヤリと眺めていた。
「裕太君、怖くはないか?」
「えぇ、まぁ。ただ、この雪です。正直なところ…その…」
「…まぁそうだな。全く、恐ろしいものだな。あと少し早かったら、俺たちもこの雪崩の下敷きになっていたかもしれないと考えると、本当に不幸だったな…事故は怖いものだな」
(事故、ね。事故に見えるけど、なんか引っかかるんだよな…)
「うっ、うわぁぁぁぁっぁ!!」
「「!?」」
「どうした石松!」
「ひ、人が…うっ…」
石松と呼ばれた人の先を見てみるとそこには…
雪崩で押しつぶされ、所処が潰されてしまい、原型をとどめていない車掌さん、山崎さんの遺体があった。
「こ、これは…」
「うっ…」
「っ!……」
作業員の方達が見ては目を逸らし、何か逃げるようににそれぞれの持ち場に戻って作業を再開した。しかしその表情はとても暗く、気の毒といった様子だった。
(こ、これは…うっ…)
(これが、遺体…これが…人の死?…警察の人とかはこれを何度も見てるんだ…これを見るのが、仕事になるのか…?)
俺も、思わず目を閉じて後退り、後ろを向いてしまった。そしてバツが悪くなってしまい、走って車内へと駆け込み、誰もいない最後尾の車両のボックス席で一人で俯いて座った。そこに一つの足音が鳴った。
「裕太。」
「…冴子か…」
「車掌さん、亡くなってたそうね…」
「……」
「遺体、見たの?」
「……」
「そう。怖かったのね。」
「っ!煩い!!あっち行け!!…ほっといてくれよ…」
(違う、そんなこと言いたい訳じゃない…冴子は悪くないのに…何八つ当たりしてんだよ俺。…クソッ)
そうして俺はその席で顔を伏せてしまった。しかしそんな俺を、冴子は抱きしめた。
「…冴子?」
「辛かったでしょう。それに、初めて遺体を見て、気持ち悪くなったんでしょう。分かるわ。」
「…将来、俺は刑事になりたいと思ってるんだ…」
「……」
「そしたらさ、こんなのを何度も、何度も何度も見ることになるんだって思うと、怖くなって…」
「そうね…怖いわね…」
「それで…それで…」
震える俺の肩を冴子はしっかりと抱きしめてくれる。
(冴子の体…柔くて…暖かい…)
「裕太、それは当たり前の感覚よ…私もね?一回だけ見ちゃったことがあったの。遺体を。その時私は小さかったからすぐに泣き出しちゃって。その後も夢に何度も出てきて、そのたびに大泣きしたわ。でもね、毎回毎回お母さんが私のことを抱きしめてくれたの。どうかしら、私を感じられる?」
「あぁ、冴子がちゃんとここにいるのを感じる…」
「良かった…確かに遺体を見て、辛い気持ちになったと思う。怖かったと思う。でもね?私達は生きてる。その生きていることの暖かさを感じて?これからも刑事になったらこういう経験をするかもしれない。でもその度に思い出して?生きている人の暖かさを。ちゃんと貴方を大事に思う人がいることを。」
「っ!!あぁ…ありがとう…」
「フフッ、もうちょっとこのままでいる?」
「あぁ、頼む…」
(冴子…)
〜〜
2、3分程か、はたまたそれ以上か、二人は抱き合っていた。
「その…ありがとうな冴子。なんとか立ち直ることが出来たぜ。」
「えぇ。どう致しまして。フフッ、顔真っ赤よ?」
「う、煩いっ!!暑かっただけだ!!」
「フフ。なら、そういうことにしとくわ。」
(全く、冴子の奴、意地悪な顔しやがって…まぁ、いいか)
「なぁ、一つだけ聞くぞ?この電車、発車した後に汽笛を鳴らしてたよな?」
「えぇ、音は聞こえたわ。」
「そうか。色々ありがとうな」
「いいわよ、これくらい。何ならまた抱き締めてあげようか?」
「なっ!?…まぁそうだな。偶には、いいかもな。」
「えっ!?」
「じゃあ、またな冴子!!」
「ちょっと!!…頑張ってね、裕太。」
〜〜
俺は歩いて親不知駅に来た。
(俺の推理を立証するにはもう一つ条件がある。それを確かめるには…)
「すいません。親不知駅の駅長さんですか?」
「え、えぇ。君は?」
「いや、さっき警察の人からお手伝いを頼まれまして。では一つだけ質問いいですか?」
「は、はい。答えられることなら…」
「この一帯に、最近雨は降りましたか?」
「え?あぁ、それなら昨日は晩に雨が降ってましたね。でもそれがどうかしたのかい?」
「さぁね。ありがとうおじさん!!」
「あぁ。雪に気をつけて下さいね。」
「はーい!!」
(最後のピースは揃った!!これで行ける!!)
〜〜
戻ってくると新潟県警の人達と剛昌さんが話し合っていた。
「どうかしたんですか?」
「あぁ裕太君。丁度事情聴取をしていた所だよ。」
「あの、この子は?」
「あぁ、中々頭の切れる子でね。未来の刑事の卵なんだよ。」
「そんなことより剛昌さん、何を話してたんですか?」
「あぁ、運転手の柿谷さんが言ってたことと食い違うことがあってね。事故発生時、柿谷さんが言うには信号が赤になっていたから止まったって言うんだが、実際には信号は青だったみたいなんだ。それに車掌さんが親不知駅に行った理由もおかしいんだよ。柿谷さんは無線が繋がらなかったから山崎さんに親不知駅まで伝言を伝えに行くように指示したらしいんだが、車両の無線に不具合は無くてな。別に電波が悪いわけでも無いそうなんだ。」
「なんかキナ臭いんですよねぇ」
「ま、事故だろうこれは。」
「いいえ、違います。」
「何だって?裕太君、これは事故じゃないというのか?」
「はい。これは立派な、殺人です!!」
「「!?」」
「刑事さん、柿谷さんをここに連れてきて貰えますか?」
「あ、あぁ!!」
〜〜
「お集まりいただきありがとうございます。私は今回、殺人事件だと認識しました。そしてその犯人は…柿谷さん!!貴方しかいないんですよ」
「な、何を言ってるんだボク。そ、そんな訳ないじゃないか。第一、山崎君は雪崩で死んだんだ。私が殺せる訳ないじゃないか!」
「そうだな。裕太君、この雪崩で人を殺すというのは不可能なんじゃないか?」
「いいえ、可能です。皆さんご存知ですか?水分を吸って重くなった雪は高音が当たるだけでも落ちてきてしまうことを。」
「えぇ、新潟県では、そういう事故も良くありますから。」
「なら話は簡単です。今回も同じ原理ですよ。親不知駅の駅長さんによれば、昨晩ここでは雨が降っていたそうです。昨晩の雨で重くなった雪は電車の汽笛によって振動し、あそこの崖から落ちてきたということです。」
「こんな状況で汽笛を鳴らす訳ないだろう!!それにそんな証拠はどこにも…」
「いいえ、ありますよ。ねぇ、青木刑事?」
「はい。乗客の一人が運転席の後ろで動画を撮っていたそうで、その映像を見ると確かに親不知駅発車後、トンネルに入る前に汽笛を鳴らしてたいるのが分かります。」
「なぁっ!!」
「それに、貴方は繋がる筈の無線を繋がらないと偽り、青信号であるにも関わらず停車した。これは証拠になりますよ?柿谷さん?」
「ぐぅぅ!!クソォォ!!」
〜〜
柿谷さんは山崎さんに対して借金をしており、その返済を迫られていたそうだ。しかし、その借金を返したくないと思い、犯行に及んだとのことだ。
「お疲れ様裕太。久しぶりに大活躍ね」
「いや、今日のMVPは冴子だよ。ありがとうな!」
「フフフ。お役に立て嬉しいわ。」
「冴子…」
「あら、いい感じじゃない二人共〜!!」
「「!!」」
「あらあら裕太君の顔赤くなってるわ。可愛い〜」
「お姉ちゃんも顔真っ赤〜w」
こ、このお母さんズ+麗香はーーーー!!
冴子さんマジヒロイン。