名探偵コナンの世界で気ままに生きる(一旦休載中)   作:ゆかなおっぱい

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投稿が難しいと言ったな。あれは嘘だ()
忙しいのは本当なのですが、ササっと続きは書いて置きたかったので投稿します。
誤字とかわからないとこがあったら直ぐに指摘をお願いします。



事件の裏に蠢く陰謀

「被害者は東郷病院の院長、東郷定吉さん56歳。カラオケで歌っている最中にナイフが腹部に刺さり、死亡したそうです。」

 

悲鳴を聞き中に入った俺はすぐさま警察に連絡、到着後直ぐに現場は封鎖されてしまった。まぁ俺はちゃっかりと現場の様子やら遺体やらを記憶しておいたのだが。

 

「ねぇ裕太…あの時カラオケボックスにはジュリ、橋本朱莉さんともう1人の女性島本さんしかいなかったのよね?それでナイフ刺されて死亡した…なら、普通に考えてずっと側にいた橋本朱莉さんが犯人なんじゃないの?」

 

「あぁ、橋本さんはそのときまでずっとあのオッサンに抱きついてたらしいし、すぐ近くにいてあれだけ接近してたんだから幾らでも刺しようはある。それにあのナイフ、柄の部分が少し暖かかったらしいんだ。警察の到着は署が近いのもあってたったの2分だったし、そこまで温度は下がってないだろうから人肌で温めて暖かくなっていたとも考えられるってさ。だから今回は俺の出番は無いよ。それに橋本さんも自供したらしいし、もう直ぐ終わるんじゃないかな?」

 

そう話して冴子と皆んながまだ歌ってる部屋に戻ろうとすると、クラスメイトの梶田が走ってきた。

 

「おい星川、なんか刑事さんが話したいことがあるってさ。」

 

「ありがとう。…なんか進展でもあったか?」

 

ーーー

ーー

 

「あぁ裕太君、来てくれたか」

 

刑事さんが待ってると言われて来てみると目暮さんが待っていた。

 

「えぇ、それで何かあったんですか?」

 

「あぁ、実はあのナイフ、しっかりと刺さって無かったらしくてね。脂肪に刺さってただけで、全く致死性が無かったらしいんだ。」

 

つまりは直ぐに終わると思っていたこの事件は全く違う側面を持っていることになる。吐血して倒れていたのを鑑みると、ナイフで刺されたことによる出血多量とも考えにくい。

 

「…てことは死因は全くの別ってことですか?」

 

「あぁ…橋本さん以外に真の殺人犯がいるんだろう。何が原因で死んだのかはまだハッキリしていないがな。橋本さんは殺人未遂であることに間違いは無いから署まで連行したが、もしかしたらそこでの取り調べでもっと重要なことが分かるかもしれない」

 

「そうですか…」

 

いきなり展開が止まってしまった…ナイフでの刺傷事件じゃないなら…他の原因があるのか?

 

俺は捜査官に頼んで事件現場に入らせて貰った。

そこは普通のカラオケボックスであり、特に怪しいものはない。ただあるのは飲みかけのジュースとアイスティーの入ったグラスが一つずつに空のコーヒーカップ、マイクセットと、特別なものはない。

 

 

取り敢えず島本さんともう1人の男の情報を貰いたいと思い、もう一度目暮刑事の元へ向かうことにした。

 

 

〜〜

 

 

「目暮さん、島本さんともう1人の男の人の事情聴取はどうなってますか?」

 

「あぁ、それなら今終わったところだ。なんでも2人は殺害された東郷さんの知人らしくてね、島本さんは橋本さんの勤めていたキャバクラにいきなり呼び出されて、もう1人の男性である柿谷慧悟さんは東郷さんの病院に勤める医師で、仕事終わりに病院からずっと東郷さんについてきたそうだ。

島本さんは専業主婦で、一ヶ月前まで入院していた旦那さんの執刀医だった東郷さんとはその時以来の知り合いで、旦那さんは今も入院しているらしい。

柿谷さんはただの仕事付き合いで来ただけだと主張しているが、病院の関係者によると2人には黒い噂があったらしく、何でも麻薬や劇薬を非合法に売買していたのではないかという疑惑がある。

それに関しては槇村君に調査を依頼したところだ。」

 

「なるほど…」

 

槇村刑事か…一応師匠繋がりでコネがあるし、連絡してみるか?

麻薬とかの追跡に関しては香さんのお兄さんである秀幸さんは非常に優秀な方だそうだ。将来を有望視されている若手刑事の1人だ。

 

「取り敢えず君は冴子さんを連れて帰りなさい。野上警視監から娘と裕太君がそこにいるはずだから帰るように言ってくれと頼まれたものでね。…野上警視監はそこまででは無かったが、君達のお母様方は大層お怒りだそうだ。」

 

「あっ()…ハイ、分かりました…」

 

そうだ。今日打ち上げがあるから遅れるとは言ったものの、事件のせいでとっくに門限過ぎてるもんなぁ…ハァ…

 

 

ーーー

ーー

 

ガッツリ母さんにシバかれた翌日、文化祭の振替休日なるもののおかげで槇村刑事と合流することが出来た。

槇村さんは穏やかな雰囲気のお兄さんのような存在で、いつも俺に優しくしてくれる。

 

「裕太君、今日は獠の代わりにボディーガードしてくれるのかい?」

 

「えぇ、まぁ。それもありますし、この事件の解決の糸口になるかもしれないですし。」

 

ちなみに最初は師匠にボディーガードを依頼したらしいが、

「やーだ!!なんでわざわざ月曜にお前のお守りなんかしなきゃいけないんだ!!ボディーガードつけたいなら裕太に言え!!」

と言われて追い出されてしまったそうだ。

…つまり、今回は俺の弟子としての定期テストみたいなものだ!!

 

「それで、君は何か武器を持っているのかい?」

 

「えぇ、師匠から頂いた『ソードカトラス』を持ってきましたので」

 

そう言って俺は師匠とお揃いのジャケットの前を広げてショルダーホルスターとそこに入っている銀色に輝くベレッタ92f二丁、『ソードカトラス』を見せる。

 

「ハハハ、そりゃ頼もしいな。…警察としては銃刀法違反だから複雑だけどね。」

 

そりゃそうだ。師匠はまぁ大人だから良いとして(良くない)、俺はそもそも未成年だ。アメリカでもダメな未成年での銃保有である。しかも二丁。平和な日本ではありえないことだ。

 

「アハハハハ…ま、まぁ行きましょう」

 

「分かった。車出すよ」

 

槇村さんはそう言うと集合場所にしていた師匠のマンションのガレージから愛車の初代マツダ・キャロルを出してくれた。

乗り込むと師匠の言う通り、槇村さんと俺が並んで座ると狭い。俺は高校生ながら185cm93kgのガッチリとした体格で、槇村さんも師匠と同じような体格でかなり大柄なので、より狭く感じてしまう。

 

とはいえ俺はこの体を気に入っていて、前世より身長は+10cm、体重も+10kgということでプロ野球選手のような体格になれたし、冴子が170cmもあるので抱き合ったりキスしたりするのに丁度いい。

高身長で抜群のプロポーションを持つ冴子の彼氏として似合うだけの体を作れた気がする。

 

そうして少し談笑を挟みながら湾岸へと向かっていると、道の途中で島本さんを見つけた。ゴミ捨てをしているようだった。

一般的な一軒家ではあるが、庭は垣根から推測するにかなり広いようだ。

それを見て俺はボンヤリと後で島本さんにも探りを入れなきゃなぁなんて思っていた。

 

ーーー

ーー

 

「さぁ、着いたよ」

 

俺たちはレインボーブリッジの側にあるコンテナや倉庫の密集した所にやってきた。レインボーブリッジを渡った先には台場があるのだが、反対側である今いるところは工場や倉庫、コンテナ置き場しかなく、人がいなくて静かだ。

麻薬とかを取り引きするには人目が無いことや大量の麻薬を運び入れても大して目立たない場所が大事なのだが、その点では絶好のスポットだと言える。

 

俺達は槇村”刑事“の調べ上げた取り引きをしているであろう倉庫に向かう。

そこは少し古めな倉庫で、錆の付いた外壁には銃痕も少し見受けられる。

 

俺達は裏へと回り、誰か来たらその証拠を押さえるための準備をしようとしたら、意外な人物とブッキングしてしまった。

 

「君は…あの時の青年か!!」

 

「柿谷さん…貴方がどうしてここに?」

 

柿谷慧悟。殺害されたあのオッサンの下で働いていた医師で、事情聴取では警察に対してあまり多くを語らなかったため警察側から疑われている。

 

「…自分は警察の捜査のボディーガードとしてこの槇村刑事に付いてきただけです。東郷さんが殺害された事件の手掛かりになる可能性もありますし…貴方は何故ですか?」

 

「君がボディーガード…?わ、私はあの狸が麻薬組織と関わっているという噂を聞いてあの事件はその組織の仕業かもしれないと思って…自分の目で確かめてみようと思ったんだ。」

 

狸って…あのオッサンそんな悪口言われてたのか。

そう思っていると今度は槇村刑事が口を開いた。

 

「なら何故お一人で?もし貴方が麻薬組織のことを知っていたら一人でなんか危なくて来れない筈です。推測するに、貴方、その組織と繋がっているのでは?」

 

「ち、違う!!…あの狸が俺の友人の小牧っていう人と繋がっているのを知ったんだ。証拠はこれだよ。何度も密会してたんだ。」

 

柿谷さんは写真を何枚か見せてきた。どれも隠し撮ったもので、喫茶店やレストランで不気味な笑みを浮かべて密会する2人が写っていた。

 

「小牧は私の学生時代からの付き合いでね…良いやつだったんだが、彼の父親が借金してから人が変わってしまって…最近になって他の学生時代の友人から麻薬組織と関わっているって聞いて、探偵を雇ったんだ。そしたら…」

 

「東郷さんもグルだった、って訳ですね。てことはそんな道に連れ込んだ東郷さんを憎んで殺害したのですか?」

 

「だから私じゃない!!小牧には先ず話をして、足を洗わせようと思って…それで今日はきたんだ。別にあの狸にはなんの恨みも無いよ」

 

…嘘は言ってないようで、彼は本当に小牧という人を心配しているようだ。

 

「そうですか。ですが警察としては見逃す訳にはいきません。逮捕して然るべき罰を受けてもらうことになるますよ」

 

一瞬柿谷さんは悲しい顔をしたが、決意したようにすぐ表情を変えた。

 

「ハイ、お願いします。」

 

 

キキィ!!

 

丁度話が終わった時に車の止まる音が聞こえ、3人とも陰から覗き見る。

 

「あの日本人が小牧です。あとの外国人は知りません。」

 

なるほど…あの片言の英語で会話し、現金を受け取っているのが小牧という人らしい。残りの外国人が組織のメンバーだろう。トラックから木箱を倉庫に入れていき、数十分したら終わったのか帰っていった。

 

「よし、裕太君、一緒に入ろうか。柿谷さんはここで待っていて下さい。」

 

「ハイ」

 

「わかりました…」

 

柿谷さんは事実を突きつけられてショックだったのだろう。意気消沈していた。しかしそんなことに構っていられる状況ではない。彼らが戻ってくるかもしれないからだ。

 

俺と槇村刑事はもう一度表に戻り、ドアの前まで来た。

鍵が掛かっていたため、周りに人が居ないか確認してから右だけソードカトラスを取り出す。

バンという銃声と甲高い鉄の接触音が響いた後、鍵が破壊されたことを確認してドアを開き中に入る。

中は照明が着いていないためかかなり暗かったが、槇村刑事がライトを付けてくれたのとドアを開けておくことである程度の光を確保した。

中は木箱が整理されて置かれていて、麻薬の入った木箱の他にも銃弾の入ったコンテナ、ダイナマイトの入った箱とかが列をなして置かれていた。

 

それを確認した槇村刑事はすぐさま本庁に連絡し、人員を寄越すように要請、俺はその間に槇村刑事のカメラを使って証拠写真を撮った。

 

それらが一段落し、そろそろ出ようとしたその時だった。

 

『おい!!鍵が壊されてるぞ!!中に誰かいるはずだ!!探せ!!』

 

英語の男の声が聞こえた。倉庫内に響き渡ったその声を聞き、俺と槇村刑事は側にあった積み重なった箱で出来たスペースに身を隠した。幸い木箱は整理されているとはいえ高く積み上がっている上に少し入り組んだ迷路のような道を形成していた。

 

『探せ探せ!!どうせもう逃げられないんだ、痛めつけてから殺してやれ!!』

 

男はさらに続けて怒鳴る。

不味いことになったが、槇村刑事も俺も冷静になりアイコンタクトで合図を出す。俺はジャケットに隠されたソードカトラスを両手に持った。

 

俺は飛び出してすぐ引き金を引く。狙いは腕部もしくは銃本体。出来るだけ殺さないように狙いを定め、発射する。1発目は銃身にあたり、銃を弾く。

 

倉庫内に銃声が響き渡り、それに反応した敵のリーダーの指示が飛ぶ。

移動する足音的に12人。全員が銃を持っていると見て間違いない。

 

俺が応戦しているうちに移動した槇村刑事が横から援護射撃をしてくれる。

 

足下に銃痕が出来る。音から判断して左斜め上30度くらい。

俺は右の敵に目で照準を合わしつつ左の狙撃手にもソードカトラスを向ける。同時に発射した弾丸は両方の銃にあたった。

 

『クソ!!なんであんなガキに負けるんだ!!』

 

『お縄に捕まりな、オッサン!!』

 

AKをぶっ放して錯乱する敵のリーダーの肩に一発。

男は崩れ落ち、倉庫から銃声が消えた。

外からサイレンの音が聞こえる。警察のお出ましだ。

 

「裕太君、君は直ぐに帰りな。香を呼んでおいた。」

 

「ありがとうございます」

 

〜〜

 

帰り際、香さんに頼んで島本さんの家の前にやってきた。

 

「ね、ねぇ。こんなところで何か用が?」

 

「えぇ。出来れば…おっ、ラッキー。こんなにも早く見つけられるとはな」

 

「ちょっと!!他人の家のゴミを漁るなんて…」

 

「香さん、新宿の本庁までお願いします」

 

俺は島本さんの家のゴミ置き場から球根の入ったビニール袋を取り出した。

そして電話をかける。

 

「あ、目暮警部?証拠は掴めました。えっ!?本当ですか!!これで…えぇ、お願いします」

 

ーーー

ーー

 

「な、何ですか?いきなりここまで呼び出して。あの事件ならあの橋本っていう方が犯人だったんじゃないんですか?」

 

「そう言いたいところなんですがね。ですが橋本さんのナイフは死因ではなかったんです。ナイフは奥まで刺さっておらず、致死性は無かったんですよ」

 

「は、はぁ…それでなんで君がここに?あの時の高校生よね?」

 

「あぁ、申し遅れました。警察の手伝いをしています、帝丹高校の星川裕太と申します。話を戻しますが、貴女、庭で色んな花を植えているようですね。」

 

「何故それを!?」

 

「貴女の手ですよ。かなり荒れていて、所々何か尖がったものに刺されたような傷がある。それは花を良く手入れしている人の肌で、刺し傷はバラのトゲで出来たものでは?それにそれ以外の肌は別にアトピーだとか乾燥肌とかでもなく健康的だ。違いますか?」

 

段々と島本さんの顔が青ざめ、目が泳ぐようになってくる。図星か。

 

「え、えぇ。でも、それと何の関係が?」

 

「ヒガンバナってご存知でしょう?秋に咲く有名な花で真っ赤な綺麗な花ですよね。でもそんな綺麗なヒガンバナには毒がある。球根のところには有毒アルカロイドが多く含まれている。知らない訳ないですよね?わざわざ袋に詰めてゴミとして捨ててましたものね?」

 

俺はそう言いながらゴミ捨て場で見つけた球根の入った袋を島本さんに見せる。それを見てさらに島本さんの顔が青ざめ、足が震え始める。

 

「な、なんでそれを?」

 

「偶然貴女の家のゴミ捨て場で見つけたんですよ。それで、一部砕いて粉状にしてますね?まるでコーヒーに入れる砂糖のように…「分かった!分かったわ!!もう言わないで!!」そうですか。なら、自白して貰えますか?」

 

島本さんは目も虚に、数秒間の沈黙の後、ポツポツと喋り始めた。

 

「東郷さんは私の夫のかかりつけだったんです。最初は手術も上手くいって順調だったんですが、途中から段々態度が変わってきて、多額の入院費用を肩代わりする代わりに身体を売らないかと…東郷さんは自分は裏の社会で女性の斡旋をしているって言ってて、それで恐怖に怯えた私は気づけば私の愛するヒガンバナの球根を使って…」

 

…同情はする。正直ここまでの話なら100%あのオッサンが悪い。でも…

 

「しかし貴女が人を殺めた事実は変わりありません…罪を償って頂きますよ?」

 

「はい…」

 

連行されて取り調べ室を出る彼女の背中は非常に寂しく、悲しいものだった。

 

「そう言えば、東郷さんの殺害された当時、とある薬品を持っていたらしいんだが、どうにも見つからないらしい。東郷さんによって病院から持ち出されたことは確実らしいのだが…まぁ、もしかしたら持ってなかったのかもしれないがな」

 

目暮刑事はふと思い出したかのように呟いた。

 

「何ですか?薬品って。」

 

「さぁなぁ、私にも分からんのだが…確か名前は…

 

     APTX試作型?といったかな?」

ーーー

 

ーー

 

 

 

「ただいま〜。ふい〜疲れた〜」

 

完全に日も沈み、夕飯時になってようやく家に帰ってきた。

 

「あら、おかえりなさい裕太。夕ご飯作ってるから手を洗ってきなさい」

 

「あれ?冴子?」

 

いつも通り母さんが出迎えてくれるのかと思ったら冴子がエプロンを着て夕飯を作ってくれているようだ。

 

「えぇ、お義母様から今日は同窓会で帰れないから代わりに裕太のお世話をしなさいってお願いされたの。メール来てない?」

 

そう言われて携帯を開くと確かに母親から着信がある。

手を洗って着替えてからそのメールを開くと

『今日同窓会で帰れないから冴子ちゃんにアンタの面倒見て貰うようにお願いしたから、2人で協力してなんとかしてね。』

と書かれていた。

 

リビングに戻ると、冴子がキッチンで料理をしているのが分かった。匂い的にカレーだろうか?

そんな冴子の姿に、俺はふと前世での母を重ねてしまった。

いきなり死んで、かつての母は何を思ったのだろうか。親父が死んだ時も結構精神的にくるものがあったはずなのに気丈に振る舞って支えてくれた母に今更ながら罪悪感を感じる。

…どうやら少し疲れているようだ。

 

俺はフラフラと立ち上がり冴子の後ろからギュッと、抱きしめた。

一瞬ビクッと反応した冴子だったが、俺が抱き締めたと認識してすぐにまた力を抜いた。何かを感じてか、何も言わない。本当に良くできた女性だ。

冴子は、彼女だけには、悲しい思いをさせたくない。

そう、心に誓ったのだった。

 

〜〜

 

「ジン、アポトキシンは手に入れられたか?」

 

東京湾沿いの倉庫に2人の男が立っている。

1人は白い髪を伸ばした青年くらいの年齢の人物で、もう1人の妙齢の日本人のガッチリとした男と相対している。

2人とも、真っ黒なコートに黒い帽子をかぶっていた。

 

「ハイ、あのトウゴウって奴からキチンと奪ってきましたよ。野郎、俺にアポトキシンを盗られたことに全く気付きもしませんでした」

 

「フン、所詮三下のジジイだ、そんなものだろう。しかし殺されたのはいい計算外だったな。口封じをする必要が無くなった」

 

「えぇ、あんな女に殺されるとは…笑いが止まりませんよ。

…それにしても手酷くやられたものですな。」

 

2人のいる倉庫の床には血と銃が落ちていて、銃撃戦で出来た新しい銃痕が多数残っており、中身の飛び出た箱やコンテナが散乱している。

 

「これをやったのは誰なんでしょうか」

 

「ジンが知ることじゃない。別に俺達には関係ないことだ。たかが一個の下部組織がやられた、それだけのことだ」

 

「それもそうですね」

 

そういうと暗く、立ち入り禁止のテープの貼られた倉庫からジンは出ていった。

 

もう1人の男も続いて出るが、ドアの所で振り返った。

 

「裕太、成長したな。次会う時は父と子じゃないかもしれんな…

お前とは会えた。後は母さんを探すとするかな」

 

呟かれた男の声は東京湾の波音にかき消されていった…




ソードカトラスはアニメ『Black Lagoon』に出てくるヒロインのレヴィの愛銃ですね。おすすめのアニメなので是非見てみてください。

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