ちょっと外見がリザードマン寄りな竜人の話 作:野狐丸
生暖かい目で見守ってくれるとありがたいです。
竜人という種族を見つけた時「これだ!」と声を出して喜んだのを覚えている。そこから長くこのゲーム ユグドラシルをプレイした。
自分でギルドも立ち上げ、NPCを作り、フレンド達と遊び尽くしたものだ。
だが、そんな楽しい時間もすぐに過ぎ、今は衰退するばかり。
俺だけとなってしまったギルドの維持も不可能となり、俺は自身のNPCを連れある人を頼った。
異業種だけで構成されたギルド。
アインズ・ウール・ゴウン
そのギルド長にして死の支配者モモンガ。
ユグドラシル初期からギルドこそ違えどなかなかに交流のあった人物だ。人柄がいいモモンガは俺がギルドに加入したいと告げるとすぐに承諾してくれた。
なんでもいつか俺をギルドに誘おうと思っていたらしい。
俺がギルドを創設したことで誘うべきか悩んでいたとか。
それが今から半年前の話。
今は最期の日でもある。
ユグドラシルが今日で終わるのだ。
「短い間でしたがこのギルドに受け入れてくださって本当にありがとうございます。…自分のギルドを守り抜きたいと思ってたんですがやはり誰かとプレイする方が楽しいですね」
「いえいえ、1人でギルド維持費を集める大変さは俺も十分理解してるつもりですよ。ドラクさんが来てくれて本当に助かりました」
円卓の間昔の思い出話に花を咲かせている俺とモモンガさん。
「レイドもドラクさんにはすごくお世話になったし、その頃から既にギルメンのようにみんな扱ってましたよ」
「マジですか。あの悪名高いアインズ・ウール・ゴウンの方々に認められてたのは光栄ですね」
昔の話で盛り上がろうとも2人の暗い雰囲気は誤魔化せない。
最終日だというのに顔を出してくれたギルメンは少数。
つい先程その1人ヘロヘロさんがログアウトしたところだ。
「…またみんなで集まりたかったなぁ…」
「そうですね。俺ももう一度くらい皆さんと楽しくプレイしたかったですよ」
俺たちは良くも悪くも昔に縛られている。
過去の栄光、過ぎ去った日々を思い、前を向くことが出来ていない。
だが、それも今日までにしなければならない。
その為にも今日を笑顔で終わる必要がある。
「…モモンガさん。勝手は承知ですが玉座の間でスクショでもとりません?この楽しかった日々を思い出として残すためにも」
俺の言葉に「いいですね」と立ち上がるモモンガ。
少し悩みながらもギルド武器を手に持ちNPC達を付き従わせる。
それに習い俺も自身のNPCを連れ彼について行く。
玉座の間まで来るとそこには美しい女性の姿をしたNPCがいた。
彼女はアルベド。守護者統括のサキュバスでギルメンであるタブラ・スマラグディナの作成したNPCだ。
モモンガさんは玉座へと腰掛け俺はその側へ立つ。
一通りスクショを撮ったら時間はほとんど残されていなかった。
突然少し驚くようなモモンガの声が聞こえる。
「見てくださいよドラクさん。見るのも億劫になりますよこれ」
彼が見せるのはアルベドの設定。タブラさん設定魔だったからなぁ。
そんな彼女の設定を俺とモモンガさんは流すように見ていく。
なかなかに終わりの見えないその文の最後には「ビッチである」の文字。
「ははは、タブラさんらしい」
「そうですけど…さすがになあ…」
そこでモモンガさんは自然とさも当然かのように手を加えた。
「ビッチである」が「モモンガを愛している」に。
「…何やってるんだろう俺…。すみませんドラクさん、すぐ戻しますね…。」
「…?なぜです?あなたはギルド長ですし、最期のこの時に何しても彼らはとやかく言わないと思いますよ」
「でもさすがに…」
「それにアルベドは元々…あ、やっぱ忘れて、なしなし今のなし」
「えぇぇ?」
少し怒って俺に話しかけてくるモモンガさんを後目に俺はひれ伏すNPC達を見た。その中には当然俺の作成した2人のNPCも存在する。
まずはセリオン。
こいつはもう1人のNPCの兄として作った。
種族は竜人。半人半竜のような姿で眉間の少し上から尻尾にかけて白い鬣が生えている。青黒い鱗に白い鬣は割と気に入っている。
近距離を中心に戦う前衛として作成した。
次に弟のオスカー。
同じく竜人。兄のセリオンはスラッとしたイカついトカゲのような顔立ちをしているが、オスカーは少し横に膨らんだ蛇のような顔つき銀縁メガネをかけている。
青黒い鱗に黄色い鬣が生えている。
ガッツリ後衛として作った。
細かいところは…まあ今はいいか。
こいつらとはギルメン並に長く連れ添ってきた。
大切な俺の息子たちだ。
2人とお別れとも思うと込み上げてくるものがあるな。
「…もうすぐですね。」
「えぇ、モモンガさん。短い間でしたがこのギルドに入れてくれて本当にありがとうございました。…最後の時もひとりじゃないって思えて心強かったです」
「だから今更だし、大袈裟ですよ。…でもそうだな…また楽しいゲームでも見つけて一緒にやりましょうか」
そのモモンガの言葉に「ぜひ」と返しユグドラシル終わりの時間が来た。
お目通しありがとうございます