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触角宇宙人 バット星人
宇宙恐竜 ゼットン 登場!
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そこはウルトラ戦士対バット星人の最後の戦場──ウルトラの星近くの宇宙空間では、バット星人司令官デルザム率いる艦隊と外宇宙から帰還した宇宙警備隊員との戦いが続いていた……が、その天秤は徐々にウルトラ戦士の側に傾こうとしていた。
「バーチカルギロチン!」
「グレートスライサー!」
「「グモォォォ────ッ⁉︎」」
ある所ではウルトラマンエースの放った三日月状のエネルギーが宇宙用量産型ゼットンを縦に真っ二つに切断し、更にウルトラマングレートの腕から伸びた長大な光のブレードが複数体のゼットンを袈裟斬りにする。
「ストォリュゥゥーム! 光ぉぉぉ線!!!」
「メガ・スペシウム光線!」
「グワァッ⁉︎ ……艦長! 今の攻撃でエンジン部が破壊されました!!!」
「もう爆発します!!!」
「止むを得ん……全員緊急脱出!!!」
またある所では、腕をT字に組んだウルトラマンタロウと十字に組んだウルトラマンパワードが撃ち放ったそれぞれの必殺光線がバット星人が乗る戦艦のエンジンを破壊してそのまま木っ端微塵に爆散させた。
「そこだっ! ネオマグニウム光線!」
「行けっ! ヴェルザード!」
そして別の所では複数の無人戦闘機群をウルトラマンネオスが放った光線が薙ぎ払い、ウルトラセブン21の頭部に装備された宇宙ブーメランが宙を自在に飛翔して次々と切り裂いていく。
……この様に、外宇宙から集まった戦士達は普段から過酷な任務をこなしている分実力が高く、更に時間が経つごとに次々と援軍が到着していった事もあって形勢はバット星人の不利になっていたのである。
「脱出した者は後方の輸送艦に再集結して態勢を立て直せ! 時間稼ぎにゼットンと無人戦闘機を前面に出すのだ! ……親衛隊は私と共に敵の陣形を崩す! ……行くぞぉ!!!」
「「「「ウオォォォォ────ッ!!!」」」」
だが、そんな中であってもバット星人司令官デルザムは部隊に指示を出して戦線を維持しながら、自らも親衛隊を率いてウルトラ戦士達を打ち倒していった。
……彼等の勢いは凄まじくウルトラ戦士達の陣形は一時的に崩れてバット星人達が態勢を立て直す事を許してしまっていた。特にデルザムの剣さばきは凄まじく、手に持った長剣だけで何人ものウルトラ戦士を戦闘不能にした程であった。
「チッ! あの司令官を抑えないとまずいな。……ドリュー! エース! タロウ! 俺と一緒にあの司令官を抑えるぞ!」
「分かった!」
「よし! 行こう!」
「分かりました、サージさん!」
それを見たサージは自らも腕に氷の剣を展開し、他にまだ余裕があったドリュー・エース・タロウの三人を伴ってデルザム率いる親衛隊との戦いに挑んで行った。
……しかしデルザムと彼が率いる親衛隊は、この場のウルトラ戦士達の中でもトップクラスの実力者達である彼等四人相手でも互角以上に渡り合っていた。
「行くぞ、リオート!」
「甘いわっ! そこだぁ!!!」
まずサージが得意の高速移動から氷の剣で斬りかかるが、武人としても超一流であったデルザムはそれを見切って剣を合わせてそのまま鍔迫り合いに持ち込んだ……そしてデルザムはそのまま力任せにサージを押し返して逆に斬りかかって行く。
「サージ! パンチレーザー!」
「援護します! タロウカッター!」
「させるか!」
「司令の邪魔はさせん!」
それを見たエースとタロウはそれぞれ額から放つレーザーと十字に組んだ腕から放つカッターで援護しようとするが、それらは親衛隊が撃ち放った銃火器による射撃で相殺された。
……彼等親衛隊は更に火勢を強めて二人に攻めかかるが……。
「イヤァァァァァァァッ!!!」
「グハァ⁉︎」
……そこにドリューが放った凄まじい勢いの飛び蹴りが親衛隊の一人を吹き飛ばしたので、彼等は一旦距離を取って態勢を立て直しに入った。
それに対してドリューも同じくエースとタロウの近くに戻って構えを取った。
「エース、タロウ、司令官はサージに任せろ。……この連中は余所見をして勝てる程容易い相手ではない」
「……そうだな。今はこいつらの相手に集中しよう」
「分かりました。確かに油断出来る相手じゃないですね」
そのドリューの言葉に頷いた二人も同じ様に親衛隊に向けて構えを取り、その直後に彼等は再び激しい戦いを演じ始めた……それに合わせる様にサージとデルザムの剣戟もまた加速していった。
……だが、この戦場以外の戦局は既に決まっており、それを伝える通信が一旦サージを押し返したデルザムの下に届いた。
『……司令官! ウルトラの星の先行部隊は壊滅! 前線指揮官殿も宇宙警備隊隊長ゾフィーに討たれた模様! 今、残存兵を乗せた脱出カプセルが宇宙に上がってきました!』
『こちら地球方面! ……ち、地球攻撃担当の息子様がウルトラマンジャックに敗北! 奴は今こちら向かって……ギャァァァァ⁉︎』
「! …………そうか……」
それらの報告を聞いてデルザムは静かにこの戦争に敗北した事を理解した……元々『養殖派』に嵌められた事を察した時点でこうなる事は覚悟しており、それでもウルトラ兄弟の誰か一人でも打ち取れればまだ勝算があると考え戦いを続けたのだが、彼等の実力が予想以上だった所為で完全に追い込まれてしまったのだった。
……だが、それでも彼はバット星人司令官としての
「……輸送艦は脱出カプセルを回収した後に残存人員を連れて本星に撤退せよ。……殿は私と親衛隊、そして残存しているゼットンと無人戦闘機で行う」
『ッ⁉︎ 司令官! それは……』
「この戦いは我らの負けだ! ……そうなった以上、私はこの戦いを引き起こした者として責任を取らねばならん。どのみち本星には私の居場所など等に無いだろうしな。……二度は言わんぞ、急げ!」
『……ッ! 了解……しました……』
その指示が出されると同時に後方にいた輸送艦隊へ撤退の準備を急ピッチで進めて行く……そして、指示を出し終わったデルザムは親衛隊を率いてウルトラ戦士達に最後の戦いを挑んで行くのだった。
「……では、私の死出の旅路に付き合って貰うぞ! ウルトラ戦士達よ! ……総員、突撃ィ!!!」
「「「「「ウォォォォ────ッ!!! バット星に栄光あれぇぇぇぇぇぇ────っ!!!」」」」」
「ッ⁉︎ 来るぞ!」
その後もバット星人残存部隊はウルトラ戦士達と激しい戦いを繰り広げた……彼等の死を覚悟した特攻はその気迫もあってか多くのウルトラ戦士達に重傷を負わせて、撤退部隊への追撃を不可能にする事に成功したのだった。
……だが、その代償として彼等は一人残らず討たれる事となった。彼等の中には一人たりとも降伏を選ぶ者は居なかったのである。
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はい、こちら避難シェルターに居るアークです。突如現れたゼットンから撤退した後、俺達はそこに居る住民を襲撃を受けていないシェルターまで避難させている人達に協力していました。
……幸い、他の三人もダメージ自体は大した事無かったので問題無く協力は出来て、俺達は多少の混乱はあったもののどうにか避難を終えたので、今はそのシェルターの警備を行なっている。
「……教官達大丈夫かな? 相手はウルトラマンさんを倒したあのゼットン、しかもそれが三体も居るなんて……」
「あのゼットン達の強さは並大抵のものじゃなかったぜ……」
「おそらく、アークの言っていた“高級品のゼットン”なのでしょうが……まさか、あそこまでの強さを誇るとは……」
……だが、初めての実戦であんなバケモノ達と戦ってメビウス達は相当に動揺している様だ。先程の避難誘導の時には作業に集中する事で考えない様にしていたんだろうが、こうして警備に入って余計な事を考える余裕が出て来た所為で噴出した感じか。
「まあ、とりあえず落ち着けお前ら。……ゼットンの方には教官達が行ったし、多分援軍も送られるだろうから大丈夫だろう。……それにここを守る俺達が不安そうにするのは余り良くないだろう。特にメビウス、さっきの無駄な元気はどうした?」
「……それはそうだけど……。アークは悔しくないの? 初めての戦いでああも簡単にやられて。それに教官達の事も心配だし……」
俺が注意がてら適当に茶化して場の雰囲気を変えようとしたら、なんかメビウスからそう聞かれた……よく見るとゴリアテとフォルトもこっちを見てるから同意見っぽいし……。
「ふむ、別にシェルターを守る役目は果たしたんだし後は教官達に任せればいいんじゃないか? それに、まだ訓練生でしかない俺達がどうこう言ってもしょうがあるまい」
「……いや、まあそうなんだが……」
「それに俺だって悔しくない訳ではないんだぞ。……実際、さっきの戦いでは恐怖で余り上手く動けなかったし」
「え? めっちゃ動いていましたよね? 真っ先に援軍呼ぶとか判断も的確でしたし」
「いや、全然動けてなかっただろ? ……あんな戦い親父に見られていたら『なんて下手な戦い方だ!』とか言われながらM87光線Bタイプを撃たれそうだ」
「ええぇ……」
……よし、とりあえず雰囲気は少し良くなったかな。
「まあ、後は教官達を信じて自分の役目を果たすべきだろう。……仲間を信じるのもウルトラマンの大事な資質だと親父も言ってたし」
「アーク……うん、そうだね! 仲間を信じて自分のやるべき事をやる……さっき自分で言ってた事だけどもう忘れそうになってたよ! やっぱりアークは凄いな!」
「……確かにちょっと考え過ぎてたみたいですね。ここはもう少しアークを見習いましょうか」
「ま、悩む暇があったらちゃんと仕事をするべきだよな」
と、俺が適当に親父の受け売りを言ったら三人共なんか立ち直ってくれた様だ……だからメビウス、あんまりそんなキラキラした目で見るんじゃない。別に俺は仲間を信じてるとかじゃなくて、あの場で最善だと判断される行動を取っただけなんだよ。
……そんな事をしていたらいつのまにかシェルターの方から戦闘音が聞こえなくなり、暫くして通信によってシェルターに襲来した三体のゼットンが倒されたと連絡があった。
「お、どうやらあのゼットン達は倒された様だな。流石は教官達だ」
「そうみたいだね。良かったぁ……あ! カラレス教官だ!」
そう言ってメビウスが指を指した方向を見ると、そこにはカラレス教官がこちらに飛んで来ているのが見える……そして教官はそのまま地面に着地すると、俺達の下に歩み寄って話しかけて来た。
「四人とも大丈夫か? ダメージは問題ないか?」
「ああ、俺は攻撃を受けてないですし、他の三人も既に回復済みです」
「そうか、それは何よりだ。……それと良くやったな。お前達がいち早くゼットンの襲来を皆に伝えて、更に援軍が来るまで時間を稼いでくれたから人的被害が出ずに済んだ」
「「「ッ⁉︎ ……ありがとうございます!」」」
カラレス教官からの褒め言葉に三人とも感動したのか声を震わせながら頭を下げていた……しかし、こういう状況で素直に礼を言うより現在の戦局や被害状況が気になってしまう俺は、やっぱりちょっとズレてるんだろうなぁ。
……まあ、それでも気になったから聞いて見るけど。
「うんうん、人的被害が出なかったのは何よりだな。……それで教官達の方は大丈夫だったんですか?」
「ああ、こちらも追加の援軍が来てくれたお陰で大したダメージも無く勝つ事が出来たさ。……ほら、彼等がな」
そう言ったカラレス教官が後ろを振り返ると、そこにはフレアさんと初対面の筋骨隆々なレッド族の男性は地上に降り立った所だった。
「うぃーっす! 大丈夫かアーク?」
「フレアさん、貴方が援軍だったんですか」
「よう! ゴリアテ。大分無茶したみたいだが大丈夫だったか?」
「ゴライアンの叔父貴! 来てたんですか?」
まさか、宇宙技術局所属のフレアさんまでかき集められていたなんてな。しかも、ゼットン撃破では凄く活躍したって言うし……元宇宙警備隊で俺も指導を受けてるから実力が高い事は知ってたが……。
それともう一人の方はゴライアンさん。フレアさんの友人でゴリアテの叔父に当たる人らしい……詳しく話を聴くと、彼も元宇宙警備隊だったのだが負傷で一線を退き、今はゴリアテも通っている格闘技のジムを経営しているとの事。
……だが、今回は光の国の窮地とあって親父からの現場復帰に答えたそうだ。
「とりあえず、俺達もシェルターの警護に回るぜ。……まあ、ゾフィーが言うにはスペースポートの戦闘もそろそろ決着がつきそうらしいし、後もう少しの辛抱だろう」
「再びシェルターを狙う者が出て来るかもしれないからな、最後まで油断せずに行こう」
「「「「了解です!」」」」
フレアさんとカラレス教官の言う通りまた敵が来る可能性を考慮して、俺達は引き続きシェルターを守る事になった……幸い再びシェルターに敵が来る事は無く、それから暫くした後に大隊長から光の国全体に無事バット星人を撃退したとの報告があった。
……しかし、今回初めて実戦を経験した訳だが力不足で殆ど何も出来なかったのは悔しいな。やはり宇宙警備隊になるのならば、もっと己を鍛えなければいけないのだろうな。
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広大な宇宙のどこか、そこにはウルトラの星の宙域から離脱して本星に戻ろうとしていた『バット星人養殖派』の艦隊の姿があった。
「……ふむ、私が派遣した三体の試作型ゼットンは全て撃破されましたか。……それ自体は予定通りですが、まさか一人のウルトラ戦士も倒す事が出来ないとは。どうやら少々彼等の事を過小評価していた様ですね」
その旗艦のブリッジでは『養殖派』の首魁グライスが船の操作をオートパイロットに任せながら、自身が光の国に送り込んだゼットン達の戦闘データを閲覧していた。
……あのゼットン達の体内には特殊な観測機械が埋め込まれており、彼等が倒された時にそれまでの戦闘データをこの旗艦のコンピューターに転送する仕組みになっていたのだ。
「格闘型は相手の格闘技量で翻弄されているな……宇宙にある各種格闘技のデータをインストールしたのだが、ゼットンの頭脳ではデータ通りにしか使いこなせていないな。お陰で技術が互角の相手にはあっさり完封されている。……やはり自立駆動だとせっかくの機能を活かしきれないな。…………バリア型とテレポート型は両方とも動きを封じられて撃破されたか。特殊能力を特化させる代わりに身体機能などをスポイルしたのが悪かったか? だが、今現在の技術では素体の性能はこれが限界であるしな……」
そうやって取得した戦闘データを閲覧しながら、彼は頭の中で次のゼットン開発のプランを思索していた……が、そこで僚艦の一隻から通信が届いた。
……彼は間の悪いそれに対してやや憮然としながらも、艦隊の艦長としてそれを表に出さない様に意識しながら通信を開いた。
「何かありましたか?」
『ハッ! ウルトラの星から脱出した『武断派』の生き残りが現れてこちらに保護を求めていますが……どうしますか?』
それはデルザムが殿になる事で脱出出来た『武断派』の輸送船が此処に来ており、更には自分達に保護を求めているという報告だった……彼等『武断派』が壊滅したのは『養殖派』が裏で糸を引いていた所為でもあるのだが、それに気づいたのはデルザムだけである。
……無論、通信先の養殖派バット星人はその事を知っていたので、その上で“どうするか”を訪ねて来たのだが。
「ああ、丁重に保護した上でキチンと本星まで送り届けてあげなさい」
『宜しいのですか?』
「当然でしょう? 撤退する友軍を保護するのはごく当たり前の行動ですよ。……それに、彼等には
彼等『養殖派』はウルトラの星への侵攻作戦中、援軍の派遣や敵重要拠点への攻撃など表向きは『武断派』に全面協力を行なっていたので、裏で糸を引いていたなどという証拠は一切残していないのである。
故に『今回の戦いの敗因は『武断派』が敵戦力を見誤り無茶な侵攻作戦を行ったから、自分達はウルトラ戦士の接近に気付くことが遅れたりもしたが概ねやる事はやった』という事に出来る算段を既につけているのだ。
……まあ、侵攻作戦がうまく行き過ぎたのなら何らかの妨害工作をしたかもしれないが、そこはウルトラ戦士達が“予想以上に優秀”だったお陰で問題無く事を済ます事が出来た。
『成る程、了解しました。……では丁重に保護しておきましょう』
「ええ、頼みましたよ。…………さて、データ分析の続きをしますか」
そうしてグライスは通信を切ると先程の
……彼は自身の手で宇宙を統べる『最強のゼットン』を作るという野望を持っており、今回の作戦もより研究しやすい環境を作る為に行ったに過ぎないのである。
「…………分かってはいましたが、やはり今の技術では私が求める『最強のゼットン』を作る為の基本的な技術レベルが足りませんね。……まあ、その為にバット星の方針が内政に傾く様にこんな面倒な事をする羽目になったのですが」
今回の光の国侵攻作戦の失敗でバット星に於ける『武断派』の発言力は大きく下がる上、そもそも戦力その物を大幅に減じているので侵略活動は休止せざるを得ないのである。
……更にグライスは裏の任務の報酬として『養殖派』の上層部に自身の研究のスポンサーになって貰える様に話を付けていたりする。
「私の目的である『最強のゼットン』の為には大量の資材が必要ですからね。……と言っても、やはり計画の本格始動は大分先の話に成りそうですし、今決められるのは生み出すゼットンの名前ぐらいですか」
そう一人心地たグライスは暫し考え込んだ後……。
「……そうですね、私が作るのはゼットンを
……此処に後の時代に置いて、とある宇宙を震撼させる事となる“
あとがき・各種設定解説
バット星人グライス:出展『ウルトラマンサーガ』
・最終的に一人勝ちになったヤツで、名前とか殆どは独自設定。
・これから遠い未来に“厳選した素体”に“ウルトラ戦士の手が届かない宇宙”で“大量の資材”を使って“滅亡の邪神”を作り上げる事になる。
・その結果どうなったのかは『ウルトラマンサーガ』を見よう!
バット星人デルザム:最後まで将としての役目を果たした
・グライスが保護するだろう事も読んで、敢えて裏の事は誰にも話さなかった。
アーク:光の国と自分の価値観がややズレている事は少し気にしている
読了ありがとうございました。
これで長くなってしまったバット星人襲来編は終わりになります。次はプロットとか考える必要があるから少し遅れると思います。