宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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新装備運用実験(中編)

 ──────◇◇◇──────

 

 

 宇宙怪獣 ベムラー 登場

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

『ギャオオオオオオ!!!』

「シェアッ!」

 

 現在俺は試作生態融合型エネルギー運用デバイス(仮)のテストの為に、シミュレーターによって作りされた【宇宙怪獣 ベムラー】との戦闘を行なっていた。

 ……尚、あのマッド達がシミュレーターのバージョンアップを行なったらしく作り出される怪獣の能力は大幅に上がっており、他にも色々な特殊設定が可能なのだとか。

 

『グギャアアアアア!!!』

「ッ! 早い!」

 

 今も作り物とは思えない程に俊敏に動いたベムラーが口から放つ青白い熱線を、俺は腕を交差させてどうにか防いだ所である……まあ、受け止めたのは試作デバイスの再生補助の試験も兼ねての事だけどな。

 そして、俺は腕を振り払って熱線を弾き飛ばしてからベムラーに接近しつつ、右腕の試作デバイスに備え付けられたクリスタルサークルを勢いよく回転させて蓄積されたエネルギーを解放して……。

 

「……セヤァッ! ライトニングカウンター・ゼロ!!!」

『ギャアアアアアアア!!!』

 

 そのエネルギーをそのまま右腕に集中させながらの右ストレートをベムラーの腹部に叩き込んで大ダメージを与えた……うん、使い用によっては格闘能力の強化にも使えるな。

 ……だが、ベムラーは相当強化されているのかこの攻撃を食らっても直ぐに体勢を立て直して再び熱線を放ってきたので、俺はすぐに側転しながらそれを回避した。

 

「……いや、これは本物よりも強化されてないか?」

『今回のベムラーは試験用に耐久性を大幅に上げてますからね。……だからガンガン試作デバイスを使っていって下さい!』

『アンギャオオオォォォ!!!』

 

 ……どうやらそういう事らしいな。まあ今回は試作デバイスの試験が主体だからこういう設定でもしょうがないか……とりあえず俺は再びクリスタルサークルを回転させてエネルギーを解放、そのエネルギーを試作デバイスを起点としてブレード状に生成させた。

 

『ギャオオオオオオ!!!』

「踏み込みが甘い!」

 

 そして俺に追撃しようとベムラーが連射して来た熱線をブレードで切り払って行く……しかし、コイツ耐久性だけじゃ無くて攻撃性も上がってるんじゃ……。

 

『おい……あのベムラー明らかに耐久性以外も強化されてないか?』

『え? …………あ、設定ミスって難易度が耐久性強化の試験モードじゃ無くて、最高難易度のEXモードになってました』

『あー、怪獣の戦闘能力をその種族に於ける理論上の最高値で再現するモードだったな。……いやー、生化学担当メンバーと協力してこのモードを作るのは大変だったな』

『そうですね。……何せ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()とかを引っ張り出す必要もありましたから』

『アンギャオオオォォォアアアアアア!!!』

 

 研究室の方からフレアさんとマッド達の会話が聞こえると共に、目の前にいるベムラーが一際大きな叫び声を上げた……すると突如としてベムラーの背びれが青くなり更には頭部に二本の角が生えてきたのだ。

 ……うん、見た目だけでも分かるぐらいに物凄く強化されている感じがするな。ていうか【レイブラッド星人】のデータとかヤバい単語が聞こえて来た様な……。

 

『グギャアアアアア!!!』

「ヌワッ⁉︎」

 

 そして、その強化ベムラー(仮)は口から先程までと比べて遥かに高い威力の熱線を放って来た……俺は咄嗟にブレードで受け止めるものの、大幅に強化されたその威力を受け止めきれずに弾き飛ばされてしまった。

 流石にこのままやられっぱなしでは不味いと思った俺は、牽制の為にゼットレーザーを撃って強化ベムラーの動きを止めようとしたのだが……。

 

『ギャオオオオオオ!!!』

「なっ! 光線を吸収した⁉︎」

 

 何と強化ベムラーは放たれた光線を頭部の角に吸収してしまったのだ! ……光線吸収能力とかウルトラ戦士の天敵みたいな強化されてるな。何でベムラーが宇宙の悪魔とか言われているのが気になってたんだが、ひょっとして昔はこんな凶悪な能力を持っていたのかな? 

 ……俺が現実逃避気味にそんな事を考えていると、攻撃されて怒ったのは強化ベムラーは反撃として熱線を連発して来たのだ。

 

『ギャギャアアアアアアア!!!』

「クソッ! ええいっ! 光線技が吸収される以上は近づきたいんだが、こうも攻撃が激しいと……!」

 

 それらの熱線を俺はどうにか回避し続けるものの、立て続けに放たれる熱線の圧力と光線による牽制すら出来ない事もあって、こちらが有利になれる接近戦に持ち込む事が出来ないでいた。

 ……やれやれ、このままでは埒があかないし仕方ない、再生補助機能の試験がてらダメージ覚悟で突っ込むか。

 

「……それじゃあ行くか、シェアッ! ライトニングスラッシャー!!!」

『ギェギャアアアアアアア!!!』

 

 俺は三度試作デバイスのクリスタルサークルを回転させてエネルギーを解放しつつ、それをそのまま両腕に纏わせた手刀で熱線を斬り払いつつ強化ベムラーに向かって走って行った……幸い連射している所為か一発辺りの威力は低いので斬り払う事自体は容易だ。

 

「ここだ! ウルトラ霞斬り!」

『ギャアアアアアアア!?』

 

 そして多少のダメージはあったが一気に接近出来た俺は、すれ違いざまに強化ベムラーの両角をチョップで叩き斬る事に成功した……更に俺はそのまま強化ベムラーの背後に回ってその首に腕を回してそれを起点として投げ飛ばした! 

 

「これがマンさん直伝のウルトラネックブリーカーだっ!!!」

『グッギャアアアアアアア!?』

 

 そうして頭から地面に叩きつけられた強化ベムラーはダメージからか身体をふらつかせているので、それをチャンスと見た俺は即座にバックステップで距離を取った……当然、必殺技をでトドメを刺す為である。

 ……俺は右腕の試作デバイスに左手を翳し一気に右腕を斜め上、左腕を斜め下に振り抜くと共にクリスタルサークルを回転させてエネルギーを解放する。

 

「これで終わりだ! アークレイショット!!!」

『ギャアアアアアアアァァァァァァ……』

 

 そしてその両腕をL字に組んで解放されたエネルギーと体内で循環させたエネルギーを合わせた必殺光線を強化ベムラーに放って、その身体を爆散させて跡形も無く消滅させた……よし、普段のアークレイショットに於けるルーティーンにクリスタルサークルを回転させる動作を入れてみたが思った以上にしっくりと来るな。これなら実戦でも使えそうだ。

 

『はーい、アーク君お疲れ〜。いや〜良いデータが取れたよ、ありがとうね〜』

『アーク君が試作デバイスを色々な方法で使ってくれたから、改良に必要なデータは十分に集まったぞい。これで正式生産版のデバイスもどうにかなるじゃろ』

『しかしながら折角作ったEXモードがあっさりと突破されてしまいましたね。怪獣が窮地に陥ると秘められていた潜在能力が解放されてパワーアップする仕組み何ですが』

『やっぱり古代の文献や特殊な環境で少数だけ目撃されている強力な特殊怪獣のデータだけでは足りませんでしたか』

『……お前らもうちょっと自重しろよ』

 

 ……はしゃぎまくるマッド達に対するなんかもう色々と疲れた様なフレアさんの声を聞きつつ、俺の試作デバイス試験の為の模擬戦は終了したのだった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 そういう訳で一通りの試作デバイスの試験を終えた俺は、デバイスを使った戦闘の肉体への影響を調べる為に研究室でメディカルチェックを受けていた。

 

「……ふむふむ、試作デバイスを使った事による身体への負荷は殆ど無し。再生補助も正常に作用してるね」

「試算では分かっていましたが、まさかここまで相性が良いとは。……これなら試作デバイスをそのままアーク君に渡しても大丈夫そうですね」

「ただ、リバーススタイル時にはプラスのエネルギーが使えないので新型デバイスの効果が薄いんですよね。……蓄積しておいたエネルギーだけで光線技を使うという離れ技をアーク君は使ったりしていましたが、それだと大した威力になりませんし……」

 

 まあ、エネルギーの増幅による光線系の技の出力増大が新型デバイスの基本的な特性だからな、どうしてもプラスのエネルギーが使えないリバーススタイルだと相性は余り良くないんだよな……何か上手い手が有れば良いんだが……。

 

「……ふうむ、それなら試作デバイス内のエネルギーだけで使える様なアイテムを追加すれば良いのではないかの。ちょうど良くアイテムの格納機能もある事じゃし」

「そ・れ・だ! ……とりあえず『ウルトラスパーク』辺りで良いかな。一番運用データが揃ってるし、ちょっと改造すればリバーススタイル時の武装として使えるだろ」

「取り出した時にデバイスに蓄積したエネルギーで使える様にっと……ああ、シルバースタイル時には普通に使える様に持ち主の任意で設定を変更出来る様にするか」

「それなら俺の『ウルトラマジックレイマークII』も『容量が足りないし、使い難いから却下』oh……」

「これでリバーススタイル時の攻撃手段が増えるぜアーク君!」

「……は、はあ……」

 

 ……とか何とか思っていたら、いつの間にやら武器が追加されていた件……まあ、リバーススタイル時の火力不足には悩んでいたから別にいいんだけど。使い方が分からないなとか思ってたら、なんか『よく分かるウルトラスパーク』なんて説明書とか渡してきたし。

 ……このマッド達はやっぱり物凄く優秀で変な所で気が効くんだけど、本当に気を利かせて欲しいのはそこじゃないんだよなぁ……。

 

「そうだ! 報酬と言えばこの『怪獣ボール』をアーク君にプレゼントするという話だったな。日頃から色々と手伝ってくれているアーク君の士官学校卒業祝いも兼ねているから、遠慮無く受け取ってくれ!」

「……いや、何どさくさに紛れて渡そうとしているんだよ。その中身の『セブンガー』はジャックとセブンに酷評されてお蔵入りになる予定のやつじゃん」

「それぞれ『苦労して運んだのに活動時間一分とはどういう事だ』とか『正直言ってカプセル怪獣の方がいいだろ』とか言ってましたからね」

「性能は確かに高いんですけど一分しか無い活動時間と五十時間のインターバルが足を引っ張っていますからね。……そのせいで高いコストに見合う戦績が出せなくて開発中止になったから必死なんでしょ」

「一応、技術面の問題で短い活動時間を『ウルトラ戦士以上の力を持つセブンガーが敵に奪われない様にする意味もある』とか言って売り込んだんですけど……流石に短すぎてまともに戦えないんじゃ量産化する意味が無いって言われてますし」

 

 ……しょうがなく俺が『よく分かるウルトラスパーク』を読んでいると、なんか向こうでラグビーボールっぽい物を持った研究員が中心となって騒いでいた。

 

「……えーっと、それは一体……?」

「よくぞ聞いてくれたアーク君! これは『怪獣ボール』! 中にはウルトラ戦士と共に戦ってくれる最強ロボット『セブンガー』が入っているのだ!」

「……まあ、嘘は言ってないな。実際、無駄にとんでも技術で作られたセブンガーはそこらのウルトラ戦士より強いし」

「あのロボマニアはここでコケるとロボ関係の研究が大幅に縮小されるから焦っているんですよ。……最近ウチの予算はウルトラ戦士のサポートアイテムに多く割り振られてるから」

「ウルトラ兄弟には不評だったから、有望な新人であるアーク君に使わせて活躍させる事で一発逆転を狙ってるみたいね」

 

 ……成る程、大体分かった。つまりその『怪獣ボール』を俺に使って欲しいという訳だな……と思っていたら、ボールを持った研究員がちょっと焦った様子で話し始めた。

 

「いや、話は最後まで聞いて欲しい! ……この『怪獣ボール』の中身である『セブンガー』は実戦のデータを元に強化された改良型なんだ! ……まず稼働時間は三倍の三分間、インターバルも半分の二十五時間になっている。更にボール内部にオートメンテナンス機能を追加したので長期任務にも対応可能。更に更にオプション装備で腕部ロケットパンチ、胸部熱線砲、眼部ビーム砲、口部酸性嵐、背部ウイングユニットなどを装備可能なんだ! ……その名もセブンガァァァァZ(ゼェェェェェェェット)(自称)!!!」

「……でも、そのオプション全部付けるとエネルギー消費の関係で稼働時間が十秒ぐらいになりますよね」

「元々戦闘能力は十分なんだし稼働時間延長とインターバルの半減だけでいいんじゃない?」

「だまらっしゃい! これだからロボのロマンが理解出来ないヤツは……」

 

 ……まあ、なんか色々とアレっぽいオプション装備はともかく、そのスペックならいざという時の戦力として十分に使えそうだな。カプセル怪獣と違って餌やりや散歩の必要とかも無さそうだしね。

 

「……えーっと、確かに強そうなのでくれるなら貰って置きますが……」

「本当かい! ありがとう、これで首の皮一枚繋がったよ! ……それじゃあサービスとしてオプション装備はマシマシで「あ、稼働時間が下がらない範囲でお願いします」……はーい……」

 

 そういう訳で『セブンガー』ゲットだぜ! ……尚、オプション装備は稼働時間に影響を与えず整備もしやすいロケットパンチのみになります。

 ……そして、そんなこんなをしている内に俺のメディカルチェックは終わった様だ。

 

「……はい、これでチェック終わり〜。お疲れ様でした〜」

「お疲れ様でした。……それで俺はこれからどうすれば?」

「うーん……一応正式生産版に必要なデータは集まったんだけど、強いて言うなら他者のエネルギーを集束させる機能の試験もしておきたいかしら。……まあ適当にフレアとトレギア辺りの研究員何人かのエネルギーをアーク君に供給して、それらを運用するデータを取れれば今日の所は終わりね。後はその試作デバイスの運用報告を定期的にこっちへ上げてくれればいいわ」

 

 まあ、そのぐらいなら別に大した手間じゃないし構わないが……しかし、今日は一気に手持ちのアイテムが増えたから、今後はコイツらちゃんと使いこなせる様に練習はしないと駄目だろうな。

 ……俺がそう考えていると研究室の扉が開いて誰かが入って来た……その人物とは……。

 

「済まない邪魔をするぞ。……例のデバイスの開発は順調か?」

「だ、大隊長⁉︎」

「「「「えぇ⁉︎」」」」

「あら、ケン。何か用かしら」

 

 そうして、おもむろに研究室に入って来たのはこの光の国の生ける伝説、宇宙警備隊大隊長であるウルトラの父であった……いきなりの超有名人の登場に、その場にいた者達は以前に面識のあった俺を含むあのマッド達ですら若干緊張してしまっていた。

 ……だが、そんな俺達をスルーしてマーブル博士は親しげに大隊長と話し始めた。

 

「いや、何の用も何も新型デバイスの試験に付き合ってくれとお前が頼んで来たんだろう、マーブル」

「あ、そう言えば士官学校の卒業が近いアーク君が予定が合わない事も考えてそっちにも頼んでたんだったわね。……アーク君が新型デバイスに完全適合して欲しかったデータが取れたからすっかり忘れてたわ。ごめんごめん」

 

 ……と言うか、マーブル博士が大隊長をめっちゃ雑に扱っているんですが……もう一周回って博士がすごい人に思えて来たぞ。

 

「あ、そうだケン。これからアーク君の新型デバイスに他者のエネルギーを集束させる実験やるから手伝ってよ。あんたそう言うの得意でしょ」

「まあ、ウルトラホーンにエネルギーを与えるのは息子相手に慣れているからそのぐらいなら構わないぞ。それにこの試作デバイスは今後の事を考えると完成させねばならないからな。……ではアーク、済まないが手伝ってくれ」

「は、はあ……」

 

 ……何故かあれよあれよと言う間に俺は大隊長と実験を行う事になってしまった……どうしてこうなった!!!




あとがき・各種設定解説

アーク:試作デバイスを何だかんだ言って使いこなしている
・ただ、武器の扱いに関しては経験が無いのでウルトラスパークをどう使おうか悩み中。
・後、模擬戦時に使った技名はメビウス達との特訓で教えた時に『せっかくだから名前を付けよう!』と言うあちらの提案で付けられたもの。

セブンガー:昭和のヤツだからか扱いが渋い
・だが、戦闘能力はそこらのウルトラ戦士を上回っており、新装備のロケットパンチは並みの怪獣なら粉砕する威力があったりする。
・……ただ、最初の実戦運用で稼働時間とインターバルが足を引っ張り、ウルトラ兄弟には不評だったのでお蔵入り博物館行きになり掛けていた。
・ウルトラの星でカプセル怪獣と比べてロボット兵器が採用されていないのは、戦闘能力の基準はウルトラ戦士でありそのレベルに準ずるぐらいの戦闘能力を持ったロボットの製造にはコストが掛かるから。

マーブル博士:ウルトラの父や母とはタメ口で話すぐらいには仲が良い
・と言っても、大隊長相手にタメ口なのは本人がそういった事を良くも悪くも気にしない事が大きいが。

ウルトラの父:タメ口で話されても特に気にしない人
・これには試作デバイスの件で結構無茶を言ったのも理由の一つである。


読了ありがとうございました。
ウルトラの星製セブンガー(改良型)は卒業してから主人公の相方ポジで活躍する予定(未定)。
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