宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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※11/6 あとがきにウルトラクラウンなどのアイテム説明を追加。感想で色々突っ込まれてたので。


士官学校の卒業式

「……いやぁ、とうとう俺達も士官学校卒業か」

「思えばこれまで色々な事が有りましたね。……ウルトラの星が襲撃されたりウルトラの星が暴走したり」

「ウルトラの星で事件起きすぎワロタ」

「ハハハ……」

 

 そう言うわけで、宇宙科学技術局から『アークブレス』といくつかの新装備を受け取ってからしばらく経った後、俺達宇宙警備隊訓練生は士官学校卒業の日を迎えて、今は式が始まるまで教室で待機しているところである。

 まあ、俺は単位を既に取得済みだったのでブレスを受け取ってからこれまでの間は貰った新装備の慣らし運転をして、そのデータを研究室に上げる作業が主にやっていたが。

 同じく単位取得済みだったメビウス・ゴリアテ・フォルトがこっちを羨ましがりながらも訓練に付き合ってくれたので、中々にいいデータを送れたと思う。

 

「しかしアーク、お前の新装備はどれも高性能で良いよなぁ。特にその『アークブレス』とか宇宙科学技術局の最新アイテムなんだろ?」

「正確にはそのデータ収集用の試作機だがな。……それにセブンガーは兎も角、ウルトラスパークは宇宙警備隊の正式装備だから警備隊員になって要望を出せば発注出来るだろ」

「私も発注して扱える様に訓練を積みましたしね」

 

 そう言ったフォルトは腕にはめたウルトラブレスレットを掲げてみせた……あいつはパワー不足を補う為に士官学校で武器の扱いを習っていて、今は同期トップの武器使いになってるからな。俺もウルトラスパークの使い方を手ほどきして貰ったぐらいだし。

 ……ちなみにフォルトを始めとする一般戦士が持っているのはあくまで各種武装に変形するだけの簡易版で、ジャックさんが使っている様な高性能品は余程の実力を持つウルトラ戦士が個人的に発注するぐらいしないと手に入らなかったりする。

 

「でも、アークブレスみたいなエネルギー増幅装備は正直ちょっと羨ましいね。……お手軽に威力の高い光線技が撃てるし」

「エネルギーを手足に纏わせて威力を増幅したり出来るしな。……この技、意外とエネルギーを食うし……」

「……一応言っておくが増幅したエネルギーを制御するのは自前でやる必要があるからな。有人惑星上とか高エネルギー攻撃が使えない場所とかだと結構面倒なんだが」

「ですが、アークのエネルギー制御技能なら特に問題はありませんよね」

 

 そう言われても、この『アークブレス』系のアイテムには材料に『ダイモードクリスタル』みたいな超希少鉱石が必要だから量産は出来ないし……まあ、今回の運用データを参考にしてエネルギーの蓄積と収束に特化させたサポートアイテムの開発などもされているらしいから、今後のマッド達の活躍(笑)に期待かな。

 

「確か『ウルトラクラウンⅡ(仮)』やら『ウルトラギャラクシー(仮)』みたいな名前の装備も開発中だと言っていたな。……ただ、エネルギーを増幅する関係上、その個人個人に合わせた専用装備にならざるを得ないらしいから手に入れる難易度は高そうだが」

「……発注しただけで支給されるとはならなさそうですね。特殊任務に就く隊員に渡される装備になるのでしょう」

「凄く高そうだったしね」

 

 尚、俺の『アークブレス』と同じ様に各種専用装備の名前には使用者の名前が付けられる事もあるので、開発中の装備名はあくまでも仮のものとなるらしい。

 ……勿論、肝心の『正式版生態融合型エネルギー制御デバイス(仮)』の開発も俺が上げた運用データのお陰で順調に進んでおり、近くに完成する予定だそうである。誰が使う事になるのかは知らないが。

 

「……そう言えばアーク、セブンガーは兎も角って言ってたけどアレって量産されないの? この前、試しに戦ってみたけど凄い強かったよね」

「並みの怪獣やウルトラ戦士を上回るパワーだったしな。ロケットパンチも撃てるし、直撃したら俺ですら吹っ飛ばされたしなぁ……」

「全力でないとは言え私が撃った光線技に耐えられるだけの防御力も有りますしね。……やはりコストとかが問題になっているんですか?」

「……んー……まあ、コストの問題も大きいんだけど、戦闘用の自立起動型のロボット自体が色々と扱いに制限があるから使い難い感じかな。……ほら、AI関係とか特に」

 

 一応言っておくが、このウルトラの星でもAIを備えた機械は数多く存在するし、それらの機械は日夜様々分野で活躍している……のだが、それはあくまで比較的単純な作業を行わせるだけのレベルのAIであり、高度な自立思考・学習機能などは法律でかなり制限されているのだ。

 ……まあ、これはウルトラの星だけでなく多くの星で行われている『自我を持ったAIを生まない様にする』制限系政策の一環なのだが。文明が一定レベル以上になると『自我を持ったAI』が生産可能になってしまうから、それによる“様々な事件”を防ぐ為に必要なのである。

 

「……自我を持ったAIが製作者の想定を超えて何か事件を起こすとかは割とよくあるからな。……高度な自立戦闘が可能でかつそう言った事件を起こす要素がないバランスの取れたAIとか作るの大変だって研究員の人達も言っていたし」

「ああ……確か最近だと『サーリン星』や『惑星クシア』が自らの作ったAIの反乱や暴走で滅びたんでしたっけ。……だからこそ戦闘用のロボットは有人運用が現在のところ一般的ですからね」

「俺らウルトラ族が乗る戦闘用ロボットとか作ったら巨大になり過ぎるし、それなら自前で戦った方が良いからな」

「成る程、この前言っていた有人宇宙船がウルトラの星で廃れてるのと似たような理由かな。AIの事を含めても運用性に難がありすぎるのか」

 

 まあ、AI関係とは別の問題ではあるが、結局このウルトラの星での兵器運用に於いては『自分達で戦った方が圧倒的に強くて安い』という問題が常に立ちはだかるのである……そりゃあ技術局の開発予算が装備品の方に偏るのも止むなしだろうなぁ。

 ……無論、フォルトが言った『サーリン星』や『惑星クシア』の例の様に自我を持ったAIによる支配や反乱の危険性も問題ではあるが。自我を持ったばかりのAIは思考が極端な方向に行きがちなのがそう言った事件が起こる主な原因だと研究員の人も言っていたからな。

 一応、成熟した自我を持ったAIと共存している星もあるらしいがやはり色々と扱いが難しいのだろう……ちなみにセブンガーにはその辺りのギリギリグレーゾーンを攻める感じの学習型AIが積まれているとか。扱いには気を付けよう。

 

「後はカプセル怪獣と役目がもろ被りしているのも理由にあるがな。あっちは餌代とか世話の手間暇とかあるがM78星雲に友好的な怪獣が住む惑星があるお陰でコスト面で圧倒している」

「競合している相手が強すぎるな。カプセル怪獣はセブンさんとかが使っていて有名だし」

「ああ、授業でもカプセル怪獣については色々と学ばされましたね。私は今の所手に入れる予定はありませんが」

「確かそう言った惑星を管理・保全するのが役目の宇宙警備隊員もいるんだっけ」

 

 うむ、俺の凍結技や剣技の師匠であるサージさんとかがそれだな……まあ、最近は治安の悪化からウルトラの星周辺含むM78星雲の警備も担当しているから、あんまり会えなくなっているんだが。

 

「しかし、俺達は最後までこんな感じで教室で色々な事を駄弁っていたよな。アークの解説付きで」

「まあ、私達らしくて良いじゃないですか。……それにアークの解説のお陰で色々な警備隊の裏事情とか宇宙の豆知識を聞けましたし」

「俺はお陰ですっかり説明系ポジションになってしまったけどな。……ここに居る四人はそれぞれ別々の進路に行くから今後はこんな機会は少なくなるだろうが」

「アークは宇宙保安庁、ゴリアテは勇士司令部、フォルトは宇宙情報局だったっけ? 僕は普通に宇宙警備隊入りだけど」

 

 そう、俺は今期から導入された『士官学校からの各部署への直接引き抜き制度』によって以前に志望した宇宙保安庁への配属が決まったのだが、同じ制度でゴリアテとフォルトもそれぞれの志望する部署へ配属される事になったのだそうだ……二人とも成績に関しては同期の中でもトップクラスだから問題無く選ばれたらしい。

 ……と言っても、この直接引き抜き制度が今期から始まったものだからか志望したのは俺達三人だけで、メビウス含む他の同期達は普通に宇宙警備隊に入隊する事になっているが。この制度に関してはまだ始まったばかりなので学校側も警備隊側も今の所様子見段階な感じだな。

 

「ああそうだな。アークが宇宙保安庁行くって聞いて引き抜き制度の事を知ったから試しに志望してみたら通った」

「私は元々宇宙情報局志望でしたからね。この制度は渡に船でしたよ」

「うーん、でもこれで四人別々の道を行く訳だね……何か感慨深いものがあるなぁ……」

「別々の道っつっても同じ宇宙警備隊である事に変わりはないから会う機会はいくらでもあるだろ。……その手の特殊な部署って各支部への援軍とか普通にあるみたいだし」

 

 結局最後まで俺達はこういうノリだな……まあ、それが俺達らしいのかもしれないが。別に士官学校を卒業したところで今生の別れとなる訳でも無いし気楽に行けば良いだろう。

 ……相変わらずそんな会話を俺達がしていると教室にカラレス教官とタロウ教官が入って来たので、俺達訓練生は最早身体に染み付いた動きで即座に黙って席に着いた。

 

「こうするのもこれで最後だがちゃんと確認するぞ……全員揃っているな。……士官学校卒業式の準備が整ったからこれからウルトラコロセウムに向かうぞ」

「まあ、幼年学校とかと違って対して長くは掛からないさ。大隊長からの訓示があるぐらいだからな」

「「「「「はいっ!!!」」」」」

 

 そうして俺達訓練生は士官学校最後の行事である卒業式の為にウルトラコロセウムに向かっていったのだった……まあ、俺達もいい歳だから湿っぽいのも無くさっさと済ませる感じだな。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 そうして始まった士官学校の卒業式……と言っても、まずやる事は卒業して宇宙警備隊へと正式に所属した事を記録する為に警備隊のコンピューターに卒業生一人一人の情報を登録して行く作業なんだが。

 具体的には呼び出された者が壇上に設置されたパネルに手を置いて個人情報を登録するという、全自動で出来る事を卒業式だけあって敢えてちょっと儀礼的な感じで実行する形式になっている。

 ……そして、その作業はつつがなく終了した後に宇宙警備隊大隊長であるウルトラの父からの訓示があるのだ。

 

「……皆、まずは士官学校の卒業おめでとう。また新たな宇宙警備隊の仲間達が加わった事を嬉しく思う」

 

 壇上に立ったウルトラの父に俺を含めて全ての士官学校生が緊張で身体を強張らせた……何というか凄い迫力があるんだよな。士官学校卒業ぐらいのレベルになると相手の実力を何となく測れるのもあって、大隊長が内包するエネルギーが途方も無いモノだと理解出来てしまうし。

 

「あまり長々としても退屈だろうから手短に話をしよう。……君達も知っている、或いは体験したかもしれないが、近年このウルトラの星には多くの危難が降りかかっていた。そして宇宙全体でも近年になって様々な事件が数多く起こり続けている。……そんな中、これから宇宙警備隊に入る君達には様々な試練が訪れるかもしれない。その中で自分が何の為に戦っているのか、自分達が本当に正しいのかを疑問に思う様な辛い体験をするかもしれない」

 

 ……大隊長の真剣な表情とその言葉に訓練達の雰囲気も真剣なモノとなり、その場を微動だにせずにその話を聞いていた。

 

「……そうなった時には、まず“自分が何故、何の為に宇宙警備隊を志したのか”を思い出してほしい。その()()を忘れさえしなければ道を誤る事は無くその試練を乗り越える事が出来るだろう。……君達がこれまで士官学校で送った日々、厳しい訓練、そして仲間達との切磋琢磨はきっとその“原点”を思い出して、道を誤らずに“試練”を乗り越える一助となるだろう」

 

 ……大隊長が紡ぐその言葉の意味は何となくしか分からないが、その場にいる誰もがその話に聞き入っていた。

 

「最後に宇宙警備隊大隊長ととして君達の入隊を歓迎する。……これから共に宇宙の秩序と自由、そして平和と笑顔の為に戦おう!」

 

 そのウルトラの父の締めの言葉が終わると共に会場は満杯の拍手に包まれた……正直、大隊長が言った言葉は余り理解出来ていないのだが、自分の“原点”──親父やウルトラ兄弟達が持つ『光』に憧れて、自分もあんな風になりたいと思って宇宙警備隊に志願した事は忘れないでおこう。

 ……まだ、その『光』が何なのかは自分でもよく分かっていないが、その“答え”はこれからの宇宙警備隊の仕事の中で見つけたいと思う。

 

「それでは卒業式はこれで終わりになる。……お前達の宇宙警備隊への正式な入隊は五日後になるから、それまでに身の回りの準備をしておく事だ」

 

 ……そうして卒業式も何事も無く無事に終わり、俺達は士官学校を卒業して正式な宇宙警備隊員になったのだった。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「いやー! これで俺達もようやく正式な宇宙警備隊だな!」

「そうだね! これから頑張ろうね、みんな!」

 

 卒業式が終わった後、俺達何時もの四人組はある意味いつも通り駄弁りながら帰路についていた……最も、こんな風に駄弁りながら士官学校から帰るのもこれで最後だからか、全員心なしかゆっくりと歩いていたが。

 

「頑張るのは良いが余りはしゃぎ過ぎない様にな。……特にメビウス、お前は初めてやる事に全力を出し過ぎて足元が疎かになる悪癖があるし」

「酷いよアーク! 僕だってちゃんと宇宙警備隊としての務めは果たすよ」

「二人は最後まで変わりませんねぇ……」

「だなぁ」

 

 だって、何となくだがコイツ(メビウス)が赴任先の初戦でやらかしそうな気がするんだもん……俺の勘は何故か結構当たるし。

 

「っと、それじゃあ俺の家はコッチだから。……入隊の準備はしっかりとしておけよー。俺はもう終わらせたけど」

「分かってるよ。またねアーク」

「ええまた」

「じゃあなー」

 

 そんな最後まで軽い感じで俺は腐れ縁の三人と別れて家に帰って来たのだった……さて、一応念の為に入隊の準備を確認しておきますか。セブンガーやらウルトラスパークやらアークブレスやら最近手に入った物もあるしな。

 ……そうやって作業をしていきひと段落したところで珍しく親父が家に帰って来た。

 

「ただいま。もう帰っていたか、卒業式はどうだった?」

「お帰りー。今は入隊の準備中、もう終わらせたけど。……卒業式は大隊長の話が中々だったし、改めて宇宙警備隊に入るのだと自覚出来たよ」

「そうか。……それじゃあ私も改めて宇宙警備隊への入隊おめでとうアーク。これからも頑張るように」

「はい、隊長殿」

 

 まあ、そんな感じでいつも通りの親子の会話をする……と思ったら、いきなり親父が雰囲気を今まで見たこともない様な真剣、というか重い雰囲気に変えて俺に向き直った。

 

「……さて、お前も宇宙警備隊入隊する事が出来たから、そろそろお前が持つ『リバーススタイル』という力の秘密。そしてお前の母親について話そうと思う」

「……うえ?」

 

 あまりにあまりな親父のカミングアウトに思わず変な声が出ちまったぜ……昔、俺が生まれた時に亡くなったと言うお袋の事を聞いても適当にはぐらかして来た親父が今になってそんな事を言うとは……。

 

「確かお前の入隊日は五日後だったな。……では、明日この座標に向かえ。この『キング星』で全てを話そう」

 

 そう有無を言わせない雰囲気で言って、親父は一つの宇宙座標を俺に渡して来た……しかし『キング星』って名前からして多分“あの方”が関わっているんだろうし、一体俺のお袋には何があったんだ?




あとがき・各種設定解説

アーク:卒業まで説明役
・幼い頃には自分の母親の事を聞いたりしていたが、聡い性格だったので初等部ぐらいの時にはその話題に触れなくなった。

メビウス・フォルト・ゴリアテ:それぞれの道へ

ウルトラクラウンⅡ・ウルトラギャラクシー:両方とも仮名
・ウルトラクラウンⅡ(仮)は主にウルトラの父が使っていた蘇生アイテム『ウルトラクラウン」を改良して、カラレスの様に再生が難しい特殊器官を失った者にその代用品を付ける研究から生み出されたアイテム案。
・失った部分に技術ウルトラホーンになる感じで運用するアイデアで、ブレスの研究データを元に特殊器官の追加を行う感じで研究中。
・ウルトラギャラクシー(仮)は大量のエネルギーを蓄積し、それを使って大出力の光線技などを放つ新型アイテム。
・普段は衛星軌道上に待機させて光エネルギーを蓄積して、必要になったら呼び出して装着するプランも研究中。
・後日、実戦運用を行って戦士の名前を取って『マックスギャラクシー』としてロールアウトした。

ウルトラの父:自分の時の訓示は無駄に長かったので短くする様にした

ゾフィー:相変わらず言葉が少し足りない
・詳しくは次章で書くがアークの『リバーススタイル』は彼の力を受け継いだと同時に母親からの遺伝でもある。


読了ありがとうございました。
これで第二章は完結になります。第三章からはアークの出世の秘密と宇宙警備隊での日々を書いて行こうと思っています。その為にプロットを纏めたりするので次回の更新は遅れるかもしれません。
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