宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

36 / 89
【小ネタ・ギャラファイ二話の特訓シーンを見たアーク】
「あー、あるある。なんか『どうして覚醒しないんだ?』的な事を言われながら、複数名にボコボコにされる緊急時用速成訓練。……普通はそんなポンポン都合よく潜在能力解放とか出来ないのにリブット君凄いわー」


その後の二人

 そういう訳で、俺はひいじいちゃん(ウルトラマンキング)が作り上げた過去の映像を映し出す幻術空間によって、自分の親父とお袋の過去を見ていた。

 ……まあ、色々と情報量が多過ぎてまだちょっと頭の中で整理出来ていないが……。

 

「さて、この様な理由で御主の母親であるティアはK54星に一人住む事となり、そんな中で定期的に自分の様子を見てくれるゾフィーに惹かれていく様になるのだが……その様子を全部写すと時間がかかりすぎるからな。……なので()()()()()()()()()()()()()までは簡単な概要だけを見せたいと思うが構わんか?」

「……ええ、それで良いですよ。ダイジェストでお願いします」

 

 まあ、若かりし日の親父とお袋のラブコメを見せられても反応に困るしね……それに五日後には宇宙警備隊に入隊する以上、あまり此処にも長居をする訳にはいかないしな。

 ……それでは親父とお袋の過去はダイジェスト映像でお送りします。どうぞご覧下さい。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

『ここがK54星……自然が多くていい場所ですね。本当にありがとうございますキング様、私などの為にこれだけ良い惑星を用意して下さって。……それに住む家や生活物資なども』

『うむ、一応一人で暮らす分には十分なだけの物資を用意しておいたし、この惑星の生物には邪神が依代に出来る様な知性がある存在はおらん。それに精神干渉を防ぐ結界も貼っておいたからな。……まあ、少々危険な猛獣もいたりするが御主であれば問題なかろう』

『はい、これでも凶悪な怪獣と戦って来ましたから、多少の自衛ぐらいなら出来ます』

『俺はこれからもこの惑星に定期的に様子を見に来るし、念の為に俺かキング殿に繋がる通信機も置いておくから万が一何かがあった時には使ってくれ』

『本当に色々とお世話になってしまってすみませんゾフィー様。……これからもよろしくお願いしますね』

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

『やあ、ティア君。何か変わりはないかな?』

『ゾフィー様、来てくれたのですね。……はい、特に変わりなく生活出来ていますよ。最近は家庭菜園とかも始めてみました』

『そうなのか……一応食料とかは十分に用意してあった筈だが、何か足りない物でもあったのか?』

『ああいえ、そういう訳では無く……ずっと一人でいると暇になったのでキング様が用意して下さった家庭菜園セットや園芸セットを使ってみたんです。……昔、戦士になる前はお花などの植物を育てるのが好きだったので……』

『そうだったのか。気が効かなくて済まない。……確かにこの惑星に一人きりでは暇にもなるか。今度は土産か土産話を持ってこようか』

『それは楽しみですね。今度はゾフィー様の話を聞かせて下さい』

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

『……そういう訳でどうにかペダン星人が開発した試作兵器を破壊したんだ。……あのロボットが試作段階で装甲に隙間があったからどうにかなったが、もし完成していたら俺でも易々とは破壊出来なかっただろうな』

『そうだったんですか。……しかし、この宇宙にはそんな凄い科学力を持つ者達もいるんですね。私のいた地球にも過去に光の巨人以外の宇宙人が訪れた記録がありましたが、私が生まれてからはそういった者達が訪れた事はありませんでしたし』

『……しかし、ティア君は私の任務の話なんかを聞いて本当に楽しいのか? どれも物騒な内容ばかりなんだが』

『そんな事は無いですよ。……私はあちらの世界では地球から出た事がありませんでしたから、ゾフィーさんが話す宇宙の様々な出来事はとても面白いと思ってます。……それに、こうしてゾフィーさんと話しているだけでも楽しいですし』

『……そうか。……じゃあ次は惑星ミカリトであった話を……』

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

『貴女がゾフィーの言っていたティアさんですね。……私の名前はマリー、こっちは夫のケンです。今日は楽しいお茶会にしましょうね』

『は、はいっ! よろしくお願いしますっ!』

『そう緊張する事は無い、今日は単にお茶でも飲みながら話をするだけだからな。……ゾフィーからは『何も聞かずにただ話をしてほしい』とだけ言われているし、彼が私にそこまで言うという事は何か事情があるのだろうから詳しく何かを聞く気などは無いからな』

『はい……本当にすみません……』

『ハァ……貴方、そんな言い方じゃあ逆に緊張を煽ってしまうでしょう? ……ねえティアさん、今日私達は単にゾフィーの()()である貴女とちょっと話をしたくて来ただけだから、あんまり畏る事は無いわ』

『は、はぁ……って、私がゾフィー様の恋人⁉︎ ……ちちち違います! まだそういうのじゃ……⁉︎』

『あら? “まだ”って事はいつかそうなる予定でもあるのかしら』

『え、ええと……それは……』

(……いかん、全く話に入っていける気がしない……)

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

『……クゥッ!』

『大丈夫ですか! ゾフィーさん!』

『ああ問題無い、かすり傷だ。……しかし、こんなウルトラの星に近くにまで【凶獣 ルガノーガー】が現れるとは。どうにか撃破したが噂通り厄介な相手だったな』

『すみません、私の所為で……』

『いや、これは別に君の所為ではあるまい。……あの怪獣【ルガノーガー】は緑溢れる星を次々と破壊して回っている凶暴な宇宙怪獣で、宇宙警備隊のブラックリストに乗っている程の種族だ。……一説には何処かの宇宙人が作った生物兵器が制御下を離れて野生化したという説がある怪獣だし、別に君の能力に惹かれたとかではないだろう』

『それはそうですが……でも、ゾフィーさんは私を庇って……』

『それこそ君が気にする事ではない。……この宇宙の平和を守るのが宇宙警備隊員である私の仕事だし、何より私とっては君が傷つく方が辛いからな』

『ゾフィーさん……』

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

『……それで? ようやくゾフィーと付き合い始めたのね? おめでとうティアさん』

『ええと……はい……ありがとうございます、マリーさん……』

『いやぁ、でも本当に良かったわ。……ゾフィーったら割といい年なのに浮いた話一つも無かったから。これで肩の荷が一つ降りた感じね。……あとは他の兄弟達にもいい人を見つけないと……』

『……別にそこまで焦る事は無いと思うが……』

『ところがそうも行かないのよねぇ。……ウルトラ族って寿命が長すぎるのと食欲とかの欲求が薄い所為なのか、新生児の出生率が物凄く低いのよ。……このままだと超少子高齢化になりそうな上に、例えそうなったとしても寿命や全盛期で活動出来る期間が長すぎる所為でズルズルと問題を放置しがちになりそうだし……』

『……なんかウルトラの星も色々大変なんですね』

『そうなのよね。これでも私は銀十字軍の長をしているからその辺りの事も色々考えないと。……ティアさんも子供が出来たら言ってね、相談に乗るから』

『ええーっと……その時はよろしくお願いします……』

(……やっぱり全然話について行けない。……むしろ俺がここに居る意味はあったのだろうか……)

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

「……ゴフッ! ええいっ、親父とお袋の過去ラブコメを見せられるのは思った以上に俺(と作者)の精神にダメージが入るな⁉︎」

「一応これでも告白シーンとかは飛ばしたんじゃがのう。……まあ、ゾフィーもまだ若い頃じゃったし、こんな感じでもしょうがないじゃろ」

 

 ひいじいちゃんは呑気に自慢のヒゲをさすりながらそう言っているが、俺的には今後親父と微妙に顔を合わせづらくなりそうで困っているんだが……クッ、やはり調子に乗ってまともな経験も無いのにラブコメを書こうとした作者の無謀のツケが来たか(メタ)! 

 

「……まあ、妙な所から受信した電波ネタは一旦置いといて……これでダイジェストは終わりなのだな、ひいじいちゃん」

「まあそうなるな。……そしてここからは御主に伝えるべき最後の過去……ティアが御主を身籠った後に起きたとある出来事についての映像になる。……御主にとっては辛いものになるかもしれんが覚悟はいいか?」

 

 そう言ったひいじいちゃん──ウルトラマンキングの雰囲気は先程までとは違い非常に真剣なものであった……どうやら、これまでのダイジェスト茶番(酷)と違ってここからが本番みたいだな。

 ……まあ、この先に何があるのか予想も付かない程に俺は馬鹿では無いんだが……。

 

「……つまり、ここから先の過去は()()()()()()()()が語られるって事ですよね? ……少なくとも俺はここまで聞いておいて最後だけ聞かずに済ませる事は出来ません。ここからの過去がどんなモノであろうと受け入れる覚悟はあります」

「……うむ、では最後の過去を見せようか」

 

 ……俺の言葉に対して頷いたウルトラマンキングは再び腕を一振りして幻術空間の映像を()()()()()へと切り替えた。

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

 そうして映し出されたのは再びのK54星に建っている一軒の家の中……そこには身籠っているからだろう、お腹を大きくしたお袋が椅子に座って寛いでいる所だった。

 

『……あ、また蹴った、……ふふふ、元気そうね』

 

 そんなお袋は大きくなった自分のお腹をさすりながらとても穏やかな表情で微笑んでいた……うむ、息子の視点から見るとやや気恥ずかしいモノがあるが、とにかくお袋が幸せそうなのはいい事だろう。

 ……それ故に、今後の展開が予測出来てしまうのがキツイのだが……。

 

『……そろそろゾフィーが帰って来る時間ね。少しは運動した方がいいとマリーさんに言われてるし、何か料理でも用意しておこうかしら?』

 

 そう言ったお袋は立ち上がって台所に向かおうとし……その途中で()()()()()()()()()()()()()()()()()()足を止めて回りを見渡し始めた。

 

『ッ⁉︎ これは……邪神の気配⁉︎ ……ここはキングお爺様の結界によって干渉出来なくなっている筈なのに……ッ! ……いや、もしかして私が妊娠している所為で『力』の制御力が弱まっているの⁉︎ ……とにかくゾフィーとキングお爺様に連絡しないと……』

 

 そうしてお袋は慌てて部屋に備え付けられていた緊急用の通信機を手に取り……その直後に()()()()()()()()()()()()()強烈な邪気が噴き出したのだ。

 

『ぐうぅ⁉︎ まさかこの子を触媒に顕現する気ですか⁉︎ ……そうはさせませんよ、久しぶりですが!』

 

 噴き出した邪気に苦しむお袋だったが咄嗟に通信機の非常用ボタン──非常事態用にボタンを押すだけで親父とひいじいちゃんに伝わるらしい──を押してから、何か金色の金槌みたいなアイテムを取り出して掲げる……すると、そのアイテムの上部のパーツが開いて強力な光を放つと共に、お袋の姿が以前の遺跡で見た光の巨人の姿に変わっていた。どうやらアレは変身アイテムだったみたいだな。

 ……しかし、お袋が光の巨人に変身しても噴き出す邪気は止まる事を知らず、そのままお袋は膝をついて動かなくなってしまった。

 

『ぐぐぐ……まさか私の身体に残っていた邪神の残滓がこの子に移って⁉︎ ……この子にだけは手出しはさせません!!!』

 

 だが、側から見て鬼気迫る程の気迫でそう叫んだお袋が、直後に全身から強い光を放つと共に自分を包む球体状のバリアフィールドを展開して吹き荒れる邪気から自分とお腹の子供()を守ったのだ。

 ……その直後、吹き荒れる邪気はバリアフィールドに包まれたお袋を飲み込んでどんどん膨れ上がっていき、高さ200メートル程まで膨張した所で無数の触手と巨大な口を持つ頭を有する怪獣……否、()()の姿へと実体化してしまった。

 

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!』

 

 そして、その“邪神”は身体から黒い煙の様なモノを噴き出させて、K54星を徐々に“闇”へと包んで行ったのだった……。

 

「……ひいじいちゃん、ひょっとしてあの“邪神”は()()()()()()()()()()()()()()()『銀の鍵』を触媒にして顕現したのか?」

「それも要因の一つではあるが……正確にはティアの肉体に残っていて今までは彼女の『銀の鍵』の力によって封じられていた“邪神”の残滓が、御主を妊娠した事によってそちらにエネルギーを費やしたが故に緩んだのだ。……その隙を突いて彼女の中で虎視眈々と機を伺っていた“邪神”の残滓は、母体と赤子の繋がりを介して彼女の『銀の鍵』の()()()()()()()()()()()()()()()()、更に移した『銀の鍵』を使って深淵から邪神の力を引き出したという訳だ」

 

 尚、本来『銀の鍵』は所有者の“意思”によって力を引き出す様になっているので、例えば封印時のお袋の様に石化する事で意識を封じていたり、この時の俺の様にまだ生まれてもいない状態では力は引き出せないのだそうだ。

 ……だが、この時の“邪神”は生まれていなかった俺に取り付く事で己の意思を『銀の鍵』に俺の意思だと誤認させて僅かに深淵への門を開き、そこから自分と深淵の邪神を共鳴させる事で邪気を引き出して実体化したらしい。

 

「……正直、“邪神”の残滓がここまで周到に準備をして事に及ぶとは儂やゾフィー、ティアにも予想出来なかった事だ。……だから御主が気に病む事は無いぞ」

「……分かってますよ。俺はこの時まだ生まれてもいませんしね」

 

 ……まあ、それはそれとして過去のこんな出来事を見るのは結構キツイんだけどね……嗚呼、さっさと親父かひいじいちゃんが来ないもんかなぁ……。




あとがき・各種設定解説

アーク:精神ダメージ大(色々な意味で)
・『銀の鍵』は有らざる場所に繋がる力なので、たまに第四の壁を超えたネタ電波を受信する事がある(笑)
・真面目に言うと『ガイア劇場版』や『超ウルトラ8兄弟』みたいな世界に繋がる事もあり得る感じ。

ウルトラマンキング:色々と気が効く(年の功)
・家庭菜園セットや園芸セットとかは自前で、実は趣味でやってる裏設定がある。

ゾフィー:プロポーズシーンはカット
・アークの精神と作者の能力的にラブコメなんて書けないのでカット(一応プロポーズは彼の方からした設定)

ウルトラの父&母:ケンは空気

ティア:母は強し
・最後のバリアフィールドは自分の子供を邪気から保護すると同時に、深淵からの邪気を子供を介さずに自分の身体を通す事で子供への負担を出来る限り減らす為のもの。
・……ただ、自分の身体の事は一切考えていないので……。

【闇黒大魔縁 デモンゾーア・ジアザー】:過去編のボス
・“邪神の怨念”が“巫女である女性”に取り憑いて顕現する……と言うティガ劇場版の大ボスである【デモンゾーア】と同じ経緯で生まれたその亜種。
・だが、巫女を無理矢理取り込んだ事や、そもそもの怨念の量が少ない事などから【デモンゾーア】と比べると大分弱く惑星を一瞬で闇に覆い尽くすとかは出来ない。
・なので異名も【闇黒魔超獣】では無く【闇黒大魔縁】にしてみた。


読了ありがとうございました。
意見・感想・評価・誤字報告・お気に入りに登録などはいつでも歓迎です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。