宇宙に輝くウルトラの星   作:貴司崎

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脅威の邪神・闇を払う者

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 暗黒大魔縁 デモンゾーア・ジアザー 登場

 

 

 ──────◇◇◇──────

 

 

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!』

「…………」

 

 お袋を取り込んで降臨した邪神は身の毛もよだつ様な恐ろしい咆哮を上げながら、惑星K54星をその身から出る闇で包んでいった……ふうむ、しかし本当に何となくなんだが、あの邪神は見た目がデカイ割に()()()()()()()な気がするんだが……。

 

「うむ、御主の考えている通りティアを完全に取り込まずに降臨したあの邪神は不完全な状態で現界しておるからな。……故にかつて並行世界の地球に於いて惑星一つを闇に包んだ邪神程の力は無いのだ。……それにそろそろ来る所だぞ」

『……ティアッ!』

「あ、親父が来たわ。流石いいタイミング」

 

 ……その時、どうやらお袋の緊急連絡はちゃんと届いていた様で、邪神の上空におそらくテレポートを使ったのだろうがいきなり親父が現れたのだ。

 そんな親父はお袋の名前を叫びながらも即座に目から透視光線を放って邪神の全体を調べ上げ、その頭部付近にバリアフィールドに包まれたお袋がいる事を見破った……この辺りの行動の的確さは流石は後の宇宙警備隊隊長を言った所か。

 

『……クソッ! やはり内部に取り込まれているか! ……だが、ティアはバリアフィールドを張っている様だからこの邪神をすぐに倒せば! ウルトラスラッシュ!』

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!?』

 

 お袋が内部に取り込まれていると見た親父は一瞬動揺するものの直ぐに気を持ち直して複数の光輪を邪神に向けて射出、更にはそれらをウルトラ念力で自在に操り空中を高速で移動させて邪神の触手を次々と斬り払っていく……そのダメージによって邪神は絶叫を上げて元凶である親父に口や触手から反撃の光弾を放つが、それらの攻撃を親父は飛行のみで回避するか素手で弾き飛ばしていった。

 ……うむ、確かにひいじいちゃんの言う通りこの邪神は全長200メートルぐらいあって見た目もヤバイけど、攻撃自体は威力や密度とか含めて大した事がないな。

 多分、体力と火力はあっても動きは鈍いし総合的な戦闘能力はそこらの強力な怪獣と大して変わらないっぽいから、親父であれば()()()()()()問題は無い相手なんだろうが……。

 

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!』

『チッ! 再生するのか⁉︎』

 

 だが、邪神はその身から邪気を噴きだすと斬り裂かれた触手の傷口纏わりつかせ、それを再び元通りの触手へと実体化させる事によってダメージを回復させたのだ。

 ……この様に端を削るだけなら直ぐに再生されてしまう上、急所っぽい頭部付近にはお袋が囚われているため親父が全力で攻撃出来ずに時間を稼がれてしまっているのだ。

 

「……うむむ、過去の映像だと分かってはいるのだが実にもどかしいな。……というか、ひいおじいちゃん(ウルトラマンキング)はまだなのか? 正直さっさと現れて邪神を消し飛ばすものだと思っていたけど」

「……あの“邪神”は『銀の鍵』の力で限定的に深淵と繋がっている中途半端な状態で現界しておってな、その為に能力は大幅に劣化しておるのだが深淵から邪気を汲み上げる事で高い再生能力を確保しておるのだ。……確かに儂ならば現世に実体化邪神を倒すのは容易いのだが、そんな儂でもあの『銀の鍵』によって形成された繋がりを断つのは容易な事では無い。お腹の中に居た御主に悪影響を与えずにと言えば尚更な」

 

 尚、あの邪神の元となった残滓はかつてお袋の能力を調べていた研究者達の『深淵へ繋がる道を作る』という妄念がベースになっているらしく、だからあんな風に『銀の鍵』近くに干渉して深淵から邪気を汲み上げる能力に特化しているらしい。

 ……これは邪神という存在自体が『生物の心の闇を写す鏡』の様な性質を持っており、影響を及ぼした生物の心の闇に影響されて性質を変異させる事があるからだとか。

 

「ティア君の『銀の鍵』の制御が効かなかったのも本人のトラウマ以外だけでなく、この妄念が取り付いていたのも理由だったんだろう。……『銀の鍵』は怪獣墓場を始めとする霊界への干渉が可能だから、そう言った残留思念がこびり付いていても気付けなかった様だな」

「……邪神ってマジで面倒くさいな。それと『銀の鍵』も」

 

 そう話している間にも親父は邪神の触手や中のお袋にダメージを負わせない位置に次々と攻撃を仕掛けているのだが、それによって与えたダメージは溢れ出す邪気によって瞬時に再生されてしまい有効打にはならなかった。

 ……このままズルズルと戦局が長引いてしまうのかと俺が思ったその時、上空から()()()が鳴り響くと共に黄金の粒子が降り注いで邪神に纏わりつき、その動きと邪気の発生を止めたのだ。

 

『!? ◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!』

『これは……! キング殿!』

『すまんなゾフィー、少々遅れた。……ティア君と赤子に影響を出さず、深淵へと繋がる門を塞ぐ為の準備に時間が掛かってな』

 

 そうして上空から黄金の粒子を纏いながら舞い降りたのは、やはりというかウルトラマンキングその人であった……なんか割とあっさり邪神を封じてる感じなんだけど……。

 

「……ひいじいちゃんは『深淵へと繋がる門に干渉するのは容易な事では無い』とか言ってなかったっけ?」

「うむ、だからこそゾフィーが邪神の注意を引き付けている間、儂はその影で()()()準備をする必要があったのだ」

 

 うん、ひいじいちゃん的には十分ぐらいの事前準備は『容易な事では無い』判断らしいね……まあ、超絶チートなウルトラマンキング基準で事前準備が必要って事は、俺みたいな一般ウルトラマンでは手も足も出ないぐらいの難事って事なんだろうけど。

 ……まあ、それはともかくとして邪神の動きを封じた親父とひいじいちゃんは中に取り込まれているお袋を助け出そうとしていた。

 

『ゾフィーよ、邪神の動きの封じ込めとティア君の身を守る事は儂に任せよ。御主はティア君を取り込んでいる部分の邪神の肉体を破壊するのだ。……御主の技量であればティア君を傷付ける事無く邪神の肉体のみを破壊出来るであろう。ある程度破壊した所で儂がティア君を邪神から切り離す』

『ッ⁉︎ ……分かりました! ティア、今助けるぞ! M87光線!!!』

 

 ひいじいちゃんがそう言うと親父は一瞬だけ迷った様な表情を浮かべたが、直ぐに意を決して精神を集中しつつエネルギーをチャージし始めた……そして十分に準備が出来た所で親父は自身の最強光線である『M87光線(Aタイプ)』を邪神の頭部に向けて撃ち放った。

 

『ハァァァァァァッ!!!』

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!?』

 

 そうして放たれたM87光線は一撃の元に邪神の頭部を吹き飛ばしながらも取り込まれているお袋には当たる事が無く、そのまま親父はお袋のいる場所以外の部位に光線を当てて邪神の肉体を消し飛ばして行った。

 ……これは過去の映像だからか今のそれと比べるとやや威力と精度は落ちているみたいだが、それでも親父のM87光線は凄まじいな。

 

『◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️!!!』

『……よし、ここまで削れれば……ハッ!』

 

 そして邪神の肉体が三割くらい消滅して中にお袋がいるバリアフィールドが露出してきた所で、ひいじいちゃんが腕を一振りしてその球体のバリアを更に黄金の粒子で包み込み、そのまま邪神から引き剥がして見事にお袋を外に出してみせたのだ。

 引き剥がされたお袋はエネルギーを消耗し過ぎたのかバリアフィールドを解除すると、そのまま人間態に戻って地面にへたり込んだ様だが命に別状は無さそうだ。

 ……これで後は邪神を倒せば無事解決……と思ったのだが、お袋を引き剥がされた邪神は突如として肉体を急速に回復させると共にまるで狂ったかの様に暴れ始めたのだ。

 

『⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️!!!』

『なっ⁉︎ ティア!!!』

『むっ、これは……』

 

 暴れ出した邪神は周囲へ闇雲に光弾を放ったが、お袋に向かった物は親父が瞬時に展開したシールドで防がれた……更にひいじいちゃんが邪神に手を翳すと黄金の粒子の密度が大幅に上昇して、光弾を出せないぐらいにその動きを完全に封じ込めた。

 ……しかし、お袋を助け出したのにひいじいちゃんがまだ邪神を倒さない所を見ると、何かまだ問題があるみたいかな? 

 

「うむ、実は儂であっても『銀の鍵』によって作られた門を“塞ぐ”事は出来ても“閉じる”事は出来んのだ。……厳密に言えばやろうと思えば出来るのだがティア君や赤子への負担を考えると、外部からの干渉によって無理矢理閉じるのは避けたかったからな。……そして門が閉じられていない以上、ティア君を引きずり出した所で未だにあの邪神は彼女やお腹の中の赤子と繋がっていると言う事でもあったのだ」

 

 俺の考えを読んだのかひいじいちゃん(現在)が邪神とお袋の状態について解説してくれた……確かにひいじいちゃんの言った通り邪神から引き剥がされた後もお袋は地面に蹲ったまま苦しそうにしているな。

 

「儂が邪神を消滅させられなかったのは、未だにパスが繋がっている以上は下手に倒すとティア君や赤子に悪影響が出る可能性が高かったからだ。……この状況で最もティア君への負担を少なくした上で邪神を倒す方法は完全に門を閉じると共に邪神を倒す事なのだが、万全の状態のティア君ならともかく身重の状態の今ではこの方法は不可能だったからの」

「……成る程……」

 

 ただ、それでもこのまま放置しておけば状況は更に悪くなる事ぐらいは側から見ていた俺でも分かるからな……とは言え、どうにかする方法は俺には思いつかなかったが。

 ……そう考えていたら地面に蹲っていたお袋が苦しそうにしながらも身を起こしたのだ。

 

『……ハァ……ハァ……私が……門を閉じて……あの邪神を送還します』

『ティア! 無理をするな! 今の体調では……!』

『いえ……あの邪神を下手に倒せば繋がっているこの子に悪影響が出ますし……それは放置していても変わりません。……この子の為にも門を閉じて繋がりを絶った上で邪神を倒す必要がありますから』

『…………ッ!』

 

 起き上がったお袋は息も絶え絶えではあったがその目には明確な決意と覚悟が浮かんでおり、自分の子供を守る為に何としてでもあの邪神を倒すと考えている事が俺にも分かる程だった……本当に母親ってすごいんだなぁ。そんな感想しか浮かんでこないや。

 ……だが、それでもお袋がかなりのエネルギーを消費している事には変わりはなく『銀の鍵』の力を使う事は難しい様だった。

 

『……グッ……』

『ティア! ……やはりその身体では……!』

『……待て、ティアよ。その身体で無理に力を使おうとすれば御主の身体に甚大な負担が掛かる……そうなれば御主は元よりその赤子の命も危うい。焦っている様だが少し冷静になるといい、もうしばらくであれば儂が邪神の動きを封じておけるからな』

 

 それでもお袋は無理に力を使おうとしたが、それは物凄く威厳のある雰囲気になったひいじいちゃん──ウルトラマンキングの言葉によって止められた。

 ……流石は伝説の超人、身内である俺と話す時には穏やかなおじいちゃんって感じなんだが、その気になったら物凄い迫力があるな。

 

『……では、どうすればいいんですか⁉︎』

『うむ、問題はティア君にエネルギーが無い上に肉体の疲労によって負担がかかり過ぎる事だ。……だから、ティア君の『銀の鍵』の力を一時的にゾフィーへと譲渡し、その力を込めた最大威力の光線であの邪神を撃つのだ! 深い絆で結ばれ自らの子供を救わんとする御主等ならばそれが出来よう。儂も手を貸そう』

 

 そういうや否やキングが黄金の粒子を親父とお袋の二人へと降り注がせてエネルギーを回復させると共に、おそらくだがお互いのエネルギーを譲渡しやすくした……のかな? やっている事が規格外過ぎてイマイチ理解出来ないけど。

 ……キングからの提案を聞いた二人は少しだけ戸惑った様だが、やがてお互いを見つめると意を決して頷いた。

 

『……ゾフィー、私の『力』を貴方に託します。だからどうか……』

『ああ、分かっている。……君とその子を縛る邪神の呪いは私が必ず打ち砕こう!』

 

 二人はそれだけの言葉を交わすとお袋は目を瞑って祈る様に手を組んだ……すると銀色のエネルギーらしきモノがお袋から親父に流れ込んで行き、それを受けた親父の額が徐々に()()()()()()()()()のだ。

 

『……ハァァァァァァァァァァァァッ!!!』

 

 更にその額が完全に黒く染まった所で、親父は『腕を水平にした上で指先を揃える』という俺も良く見知ったM87光線の発動準備の為のポーズをとった。

 ……だが、この親父は普段のM87光線の時とは違って揃えた指先の間に黒い空間の歪みの様なモノが発生しており、その歪みに向かって周辺から何か膨大なエネルギーの様なモノが集まっている様だった。

 

『よし! ゾフィーよ、集まったそのエネルギーを光線と共に解き放つのだ! 細かい制御に関しては儂がやる!』

『分かりました! ……消え去れ邪神よ! M87光線っ!!!』

 

 そして限界までエネルギーがチャージされた所で親父は右腕を前に出して光の国に於ける最強光線『M87光線』を邪神に放った……が、放たれたその光線は色が真っ黒にになっていたのだ。

 ……そして、その漆黒のM87光線は黄金の粒子で動きを封じられた邪神へと直撃してその身体を爆散させ、更には光線が突き抜けていった先に真っ黒な空間の穴を作り上げて邪神の残骸をその中へと吸い込んでいったのだ。

 

『⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️⬛️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◼️◾️◾️◾️◾️◾️◾️…………!!!』

 

 そうして跡形も無く砕かれた邪神は断末魔の叫び声を上げながら黒い穴へと吸い込まれていったのだった……うん、ここまで見れば俺でも分かる。親父の『ブラックストリームM87』はお袋から託された力だったんだな。

 

『……ふぅ、終わったか……。ティア、体調は大丈夫なのか?』

『ええ、お爺様がフォローしてくれたお陰で私のこの子も問題無いわ。……それとありがとうゾフィー、私の過去のやり残しを払ってくれて』

 

 邪神を打ち倒した親父とお袋はその様に言葉を交わし……そこで目の前の幻術空間による過去の光景の再生は終了して、辺りの風景は暗転したのだった。




あとがき・各種設定解説

アーク:これで過去を見るのは終わり

キング:超絶有能ひいじいちゃん
・今回の話で使った『黄金の粒子』は“ロイヤルメガマスター”や“デルタライズクロー”が使っているモノの超強化版である謎万能エネルギー。
・サイドスペースで『幼年期放射』と呼ばれるモノと同じエネルギーであるが、本人が直に操っているので出力や万能性のケタが違う。

ゾフィー:結婚してからは名前呼びになった
・この作品に於いて『ブラックストリームM87』はティアが残した『銀の鍵』の力の断片を上乗せした光線という設定で、使用時には額の部分が黒く染まる。
・所謂“妻の形見”である技なので滅多な事では使用せず、最近では地球で瀕死になったウルトラマンを助ける為に邪魔だったゼットン星人率いるゼットン軍団を倒す時に使ったぐらい。
・尚、彼は『銀の鍵』の断片を持ってはいるが正規の資格者では無い為、細かい操作は出来ず“力”を光線に乗せて撃ち出すしか出来ない。
・一応、現在では長年の修行で周辺への被害を無くす程度のコントロールは出来る様になっている。

ティア:母は強し(2回目)

【暗黒大魔縁 デモンゾーア・ジアザー】:強くは無いがひたすらに厄介
・不完全な限界だったので戦闘能力は【ガタノゾーア】や【デモンゾーア】と比べれば遥かに低く、ゾフィーやキングが相手では手も足のでない程度。
・だが、限定的とはいえ『銀の鍵』に干渉しているので、深淵から力を汲み上げる事に関しては上の二者を上回っている。


読了ありがとうございました。
この前のギャラファイでレジェンドやゼノンが登場したり、マックスギャラクシーからのエネルギー供給やクロスパーフェクションとかがあって実に素晴らしかったですね! 次は光の国の過去編っぽいので自作にも関係ある新情報が出てこないか怖いけど楽しみです。
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